ぐうたらトレーナーの怠惰(笑)な日常   作:タニコウ

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UA5000突破ありがとうございます。これからも頑張っていきます。

さて、今回は遥ちゃんのチーム名を発表します。お楽しみに。

では、11話です。




休日って最高ですね。

課題?知らない子ですね。


#11 その手を使うとは卑怯だぞ!!

 

「そもそも、何でわたしがメジロマックイーンのトレーナーにならないといけないのさ」

 

 一頻り暴れまわった遥がソファーにうつ伏せでぶつぶつと文句を言っていた。そんな遥にグラスワンダーが集団を代表して声を掛ける。

 

「あの、ハルちゃん。マックイーンさんのトレーナーになるのは嫌ですか?」

「愚問だね。そもそもわたしがグラス以外に担当を持っている時点で奇跡だよ」

「成る程成る程。では、マックイーンさん、例のモノを」

「分かりましたわ」

 

 そう言ってメジロマックイーンが取り出した物はスマホだった。メジロマックイーンが操作をして、ウマミミに当てる。どうやら、電話をしているようだ。

 

「もしもし、おばあさまでしょうか?…………えぇ、はい。そうですわね。(わたくし)はそのようにしたいです。…………はい、えぇ。本当ですか!?……はい。分かりましたわ。では…………遥教官、こちらを」

 

 メジロマックイーンが遥にスマホを差し出して来た。遥はスマホの画面に写し出された名前を見て心底嫌そうな顔をする。

 だが、隣に控えているグラスワンダーからの無言の圧力に敗北し、すごすごと受け取る。

 

「はーい、秋川遥でーす」

『私だよ、久しぶりだね。遥ちゃん』

「うへぇ……メジロ家当主がわたしに何の用なのかなー?」

 

 その遥の言葉に沖野の顔がムンクのような形になり、青ざめる。

 

 言っておくが、別に遥がメジロ家当主――俗に言う『おばあさま』にタメ口で話していることではない。そのことは、既に学生時代で経験済みである。

 では、何故こんな顔をしているのかと言うと、これまた学生時代の話なのだが、沖野と遥が『おばあさま』と話す機会があったそうだ。その時に、この男は――

 

「あ、そう言えば今センパイいるけど、変わる?」

『変わるなくていいさ。その代わりにスピーカーにしてくれるかい?』

「ん。わかったー」

 

 そう言ってスマホを操作する遥。スピーカーモードになったスマホから、おばあさまが沖野を呼ぶ。

 

「あぁっと……お久しぶりです。ご当主様」

『アッハッハ!どうしたんだい?アンタがそんな殊勝な態度をとるなんて。あの時みたいに威勢のいいことを言って脚でも触ってみなさいな』

「い、いやぁ……あの時は若気の至りと言いますか……その、マジスンマセン」

 

 見えていない筈なのに、スマホに向かってペコペコと頭を下げている。そう、この男はあろうことか『おばあさま』の脚を触りまくったそうだ。

 そして、勿論、黒服の男達にボコボコにされていた。

 

 因みに、当時隣でその様子を見ていた遥は、腹を抱えて爆笑して、自分もやられたんだよねー。と、おばあさまと意気投合して、それ以来仲良くなったそうだ。

 

『さてと、遥。大事な話をしようさね』

「……ふーん」

 

 先程まで沖野をからかっていたおばあさまのスイッチが切り替わったように話し始めたことで、遥のスイッチも押され、真面目な顔になる。

 遥は直感したのだ。ここでいつも通りだったら、昨日の二の舞になる。と、考えたようだ。

 

 正解である。

 

『早速、本題だ。マックイーンのトレーナーになりな』

「イヤだ」

『まぁまぁ、話を聞きな。これは取り引きさね。互ぁいに得がある取り引きさ』

「ふーん?で?こっちはメジロマックイーンと契約するとして、そっちは何を出すのかな?」

 

 その遥の言葉におばあさまは、「そーさねー」と、態とらしく溜めを作ってこう言った。

 

『アンタの所から仕入れる野菜でも増やそうかねぇ』

「アハハ、御託は良いよ。本音は何なのかな?」

『はて?これが本音なのだが、足りなかったかえ?』

「いや、そっちのご令嬢にしては随分安いなぁ。とは思うよー」

 

 先程までののんびりした雰囲気とは一転し、おばあさまと遥による腹の探りあいの緊張感が辺りを満たす。

 

『ふむぅ、これでは足らぬと言うか。仕方ないのぅ、三割増しで買おうかね』

「ふぅん?足りないかなー、せめて八割増しかなー?」

『ふぅむ……流石にその値だと払えなくなってしまうなぁ』

 

 遥の釣り上げた値段に反応したおばあさまの声はセリフとは裏腹に、声が若干跳ねているように聞こえた。

 

 まるで、魚が釣り針に掛かったかのように。

 

『四割』

「七割」

『五割』

「六割。ここからは譲らないよー」

 

 そう言った遥の言葉に、おばあさまは大笑いをしてこう言った。

 

『アッハッハ!仕方ない。私の負けだ』

「ふふん」

 

 薄い胸を張って威張る遥に、おばあさまが()()()切り札を切る。

 

『この私に勝ったのだ。正に、秋川家の当主に相応しいと思わないかね?やよい嬢』

「は?」

「妥当ッ!姉上が我が家の当主になられたら、歴代でも稀に見る程繁栄することだろうッ!」

「ちょ、ちょちょ、ちょっと待って!アンタ確か、やよちゃんの派閥だったよね!?」

 

 この派閥と言うのは、名門の当主の間でどの家の子が次期当主に相応しいのかを推し合うものだ。

 そして、おばあさまが秋川家の次期当主にと推薦したのは、やよいの方だった。

 

『なに、今のやり取りで充分()()()()()()()()()と判断したまでのことよ。だから、今後メジロ家は秋川家の次期当主に秋川遥を推薦しようか――』

「ご、五割でいいから……」

『んー?聞こえないのぅ?』

「よ、四割」

『んー?一割ぃ?』

「くっ…そ…ババァが……」

『ほぉ?三割引してくれるってぇ?』

 

 亀の甲より年の功とは良く言ったものだ。見事なまでに手玉に取られた遥は、結局一割増し+遥を絶体に当主に推薦しないことの二つでメジロマックイーンと契約することになった。

 つまり、この勝負はメジロ家の圧勝で幕を下ろした。

 

「その手を使うのはズルじゃないかなーッ!?」

『カッカッカ!まだまだ脇が甘いぞ小娘が』

「ちっ……次は絶体に負けない!」

 

 そう言って遥は自棄糞気味に契約書にサインをした。そして、やよいが判子を捺したのを見てからメジロマックイーンの方に向き直ると、右手を差し出して口を開く。メジロマックイーンもおずおずとしながらも、遥の手を握り返した。

 

「じゃあ、これからよろしくねー……」

「よ、よろしくお願いしますわ。その、申し訳ありませんわ」

「いや、いいよ。て言うか、本当にあのおばさん強すぎない!?今までずっと負け続きなんだけど!?」

 

 これまでの戦績は10戦8敗2分である。つまり、0勝だ。これは、決して遥が駆け引きに弱いのではない。それどころか強い方だろう。ただ、おばあさまが余りにも強すぎるのだ。

 遥は、どちらかと言うと、話を長くして相手の思考力を削ぐことで有利に持っていこうとするし、弱点も少ない。だが、数少ない弱点のどれもが致命傷なだけなのだ。

 そして、おばあさまは的確に最適なタイミングで弱点を突き刺して、傷口をグリグリと捩じ込んでくるのだ。まさに、遥の天敵と言える存在だ。

 

「まぁ、負けた以上はちゃんと契約は守るよ。じゃ、来週からトレーニング始めるからルームに来てねー」

 

 そう言うと、遥は皆から離れてお立ち台に登ると、解散の宣言をしてウマ娘達を寮に帰らせた。

 片付けは、ロボット達に任せて、遥はグラスワンダー達の元へ戻ると、口を開いた。

 

「あ、そうだ。夏合宿だけど、チームスピカと一緒に行くことになったから、今の内に仲良くしといてねー」

 

 そう言った遥だったが、既にメジロマックイーンもスピカのメンバーと自己紹介を終えて親しげに話していた。その様子を見て、そろそろ帰ろうかなー、と考えていると、やよいがそうだ。と、言わんばかりの勢いで遥に話し掛ける。

 

「提案ッ!姉上もチームを立ち上げたら如何か!?」

「チームねぇ…」

「いいんじゃないでしょうか?」

 

 やよいの言葉に遥は難色を示すが、グラスワンダーがやよいの意見を援護する。そして、ここに集まっている他のメンバーもそれに続く為に口を開いた。

 

「セイちゃんも賛成ー」

(わたくし)も賛成いたしますわ」

「いいんじゃないか?俺がチームを持っててお前が持ってないってのもおかしな話だしな」

「いいね。是非ともアタシ達(スピカ)と仲良くして欲しいところだね」

「お?アタシらと仲良くするんならチーム名は星に因んだモノにしねぇとな。じゃあ、特別にゴルゴル星を使ってもいいぜ!」

「zzz…もうたべられにゃいよぉ…」

 

 そんな声を聞いて遥は諦めてチーム名を考え始める。え?一人別なやつがいた?きっと、そいつは食べ過ぎて眠っているだけだ。

 

 そう言えば、何故、遥は諦めが良いのかを教えて差し上げよう。

 理由は単純明快、至極当然。そっちの方が早く終わりそうだから。だ。

 実際、今回のメジロマックイーンの件もセイウンスカイの件もだが、一度契約しても、基本的に体調とかは一目見れば分かるため、大した手前にならないしメニューを考えるのは、彼女らの目標を聞いた時点で瞬時に考え付いているので、必要ない。

 よって、グダグダ駄々を捏ねて時間を潰すよりも、後々面倒にはなるがさっさとトレーナー業務を片付けた方が良いと結論付けたのだ。世間では、これを後回しと言う。

 

 

閑話休題

 

 

 暫くチーム名を考えていた遥だったが、徐に顔を上げるとチーム名を口にした。

 

「スピカと仲良くするなら、アークトゥルス……て、どうかな?」

 

 スピカとアークトゥルス、『夫婦星』と呼ばれるその名前に、メンバーは賛成を示す。やよいは頷きながら『チーム立ち上げ申請書』に必要事項を書いた後に、判子を捺した。

 

 

 

 この日、後に『夫婦星の蹂躙劇』と呼ばれる新時代。そのプロローグが終わり、第一章が幕を開ける。

 

 

 

 





恒例の解説と言う名の余談です。

そもそも、遥ちゃんは金策を今更する必要はありません。なので、あの価格交渉に移った時点で殆ど遥ちゃんに勝ち目が薄く、おばあさまは遥ちゃんにメリットが薄いところまで持っていき、妥協点を低くする予定でしたが、予想以上に遥ちゃんが粘ってきたので、切り札『お前を当主にするぞ』を発動させました。
因みに、これは遥ちゃんにとって必中一撃必殺の糞技です。



さて、今回で一章が終わりです。次回からは数日間の遥ちゃんの休養と言う名の二章を挟んで、本格的にチームアークトゥルスが始動する三章が始まります。
二章は大体10話くらいかな?ネタ切れになったら三章にいきます。




▼質問箱兼意見箱

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=299297&uid=420333





第二回アンケートです。

今回は、遥ちゃんのお休み期間が明けたらどのウマ娘を出すかです。出来れば投票してってください。

四人目の遥ちゃんが担当するウマ娘は?

  • サイレンススズカ
  • マヤノトップガン
  • アグネスタキオン
  • マンハッタンカフェ
  • トウカイテイオー
  • スイープトウショウ
  • アドマイヤベガ
  • ナカヤマフェスタ
  • シンコウウインディ
  • キタサンブラック
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