ぐうたらトレーナーの怠惰(笑)な日常   作:タニコウ

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毎度、こんな拙作を読んでいただきありがとうございます。

5話です。よろしくお願いします。

先に言っておきます。今作のグラスワンダーは遥ちゃんのトレーニングによって魔改造されています。


#5 契約なんてゴメンだね…

 

「…何でこうなったの……」

 

 呆然としながら遥は目の前の光景を見る。そこには、中央トレセン学園理事長秋川 やよいが、セイウンスカイと遥の名前が書かれた書類に上半分に「承諾ッ!」下半分に「秋川」とカッコ良く彫られた判子を押していた。

 その書類の最上段にはこう書かれていた。

 

 ――担当契約書

 

「いや……ホントに何で……?」

 

 遥は、つい数十分前の出来事を現実逃避として思い出す。

 

 話は前回の続きから始まる。

 

 因みに、リンボは遥のデスボイスで散りました。

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

「イヤだぁーーーーーー!!」

 

 遥の絶叫が木霊するここは、中央トレセン学園のトレーナールームが用意された建物の、遥が独占している一階。遥がここまで叫んでいる理由とは、セイウンスカイを担当したくないのだ。

 当たり前のことだが、堕落を掲げる秋川 遥は、態々仕事を増やすようなことはしたくないのだ。

 

「一応予想はしていましたけど~、ここまで拒絶のオーラが出るとは思いませんでしたね~」

 

 「困りました~」と、言いながら遥を見るグラスワンダー。だが、言葉とは裏腹に説得までの道のりが見えているようで、困ったように作った顔をしているが、瞳は楽しそうに輝かせていた。

 と、ここでセイウンスカイが口を開く。

 

「えーっとー、何でグラスちゃんが私と遥さんを契約させようとするのかなー?」

 

 「流石のセイちゃんでも分からないなー」と、言ったセイウンスカイの言葉に、これ幸いと遥が乗っかる。

 

「そーだよ!セイちゃんにはセイちゃんに合ったトレーナーがいる筈!だから、わたしと契約する必要なんてないよね!」

 

 「いやー、これはしょーがないよねー」などと言いながら、お茶を飲んで、あからさまに、わたし余裕ですオーラを出しながらソファーにだらーんと身を埋める。

 そんな遥を見て、勝利を確信して思わずと言った風に笑みが溢れたグラスワンダーは、顔を引き締めて、一度セイウンスカイに目を向けて申し訳なさそうに頭を下げてから口を開く。

 

「つまり、セイちゃんは弱いウマ娘だからハルちゃんみたいな優秀なトレーナーには似合わない。と、言いたいということでしょうか?」

 

 のんびりゆるーい。で、有名なセイウンスカイもこの言い様には流石に目を見開き、グラスワンダーを見る。グラスワンダーはもう一度申し訳なさそうに頭を下げる。セイウンスカイはグラスワンダーが聞きたいことを察して一つ頷く。

 だが、余裕綽々、慢心しまくりの遥にはこのやり取りが見えていないうようで、つい口を開いてしまった。それも、今までセイウンスカイに見せたことがないレベルで真剣な顔つきをしながら、

 

「いやー、それはないでしょ。今のセイちゃんは正直言って才能は平均より上程度。本気で鍛えれば天才と呼ばれる存在と何とか追い縋れるレベル」

「「…………」」

 

 至って真面目に語り始めた遥の言葉に二人は真剣に聞き始める。

 

「ただ、セイちゃんは観察力と、そこから相手がどう行動するかトレースする思考力に、それを複数人の行動を合わせることで、まるで未来の盤面が分かってるかのように見せる推察力と演技力、そして、そこまで持っていかせることが出来るコントロール技術まである。学園に来てから見た資料では、セイちゃんは今、「先行」で走ってるみたいだけど、これを「追込」か「逃げ」のどっちかでやったら、恐ろしい支配者に早変わりだ。下手したら三冠も取れるかもしれない。まぁ、レース内で予想外のことが起きるのを想定すると「追込」じゃなくて、「逃げ」一択になると思うけど」

 

 そこまで言うと、言葉を切ってお茶を飲む。湯呑から口を話した遥は、先程までの真剣な目付きから戻って、眠たそうな目をしていた。

 

「ま、それもセイちゃんと契約するトレーナーの仕事だし、グラスには勝てないけどねー」

 

 暢気にそう言った遥にグラスワンダーが畳み掛ける。グラスワンダーがセイウンスカイをチラ見して、その後に、先程ハウスキーパーくんが出ていった引き戸の方を見た時には、グラスワンダーの脳内には勝利の二文字が既に見えていた。

 

「成る程成る程~、じゃあ、ハルちゃんだったらやりたい、やりたくないとか抜きにして、ソレ、出来ますか?」

 

 グラスワンダーの言葉に何も考えずに、遥は頷きながら答えた。

 

「余裕。そのくらい出来ないと、トレーナー名乗れないからねー」

 

 そう言った遥にグラスワンダーはニコニコと笑みを浮かべながらこう聞いた。

 

「まあ、ハルちゃんでしたらそうですよね~。そう言えば、セイちゃんはトレーニングを余りやりたがらずに、のんびりしたいと考えてるみたいですけど~、トレーナーとして思うことはありますか~?」

「ん?別に気にする必要なくない?やりたくないなら、やりたい時に詰めてやればいいしー、それにー、そこの調整をするのがトレーナーの仕事でしょー?」

 

 遥は自分の首を絞めているとは気付かずにそう言った。遥が、セイウンスカイは自分の担当ウマ娘にはなりたくないだろう。と、高を括ってしまったが故の失言。

 既に、グラスワンダーと遥のやり取りで顔色が明るくなってるセイウンスカイ。それに気付いているグラスワンダーは、遥に止めを刺しに行く。そして、顔色が変わったのには気付いているが、それは「自身が活躍出来る可能性に気付いたこと」だと考えている遥は気にも留めずに雑談を続ける(狩られに向かう)

 

「つまり、ハルちゃんからしたら出来ればスカウトをしたいウマ娘。と言う事ですか?」

「まぁ、グラスがいなかったらスカウト候補の最有力かなー」

「ですってよ?セイちゃん」

「うん。私も遥さんがトレーナーだといいなー」

「……は?」

 

 そして、セイウンスカイの言葉に続き、ガタンと大きな音を立てて()()()が開けられた。

 そこから現れたのは、

 

「重畳ッ!話は聞かせて貰ったぞ!姉上がその気になってくれて、私は嬉しいぞッ!」

「……え?な、や、やよちゃん?」

「敏速ッ!姉上の気が変わる前に早速、担当契約を結ばねばな!」

 

 突如現れたやよいに嫌な予感をビンビンに感じながらも呆けて固まってしまう遥。

 そんな遥を余所にやよいは懐から一枚の紙――担当契約書を取り出して、先にセイウンスカイに名前を書かせる。続いて、遥に名前を書かせようとしたが、勿論、隅に追いやられたネズミである遥は、怠惰を掲げてこう言った。

 

「わたしはぜーったいに!書かないからね!!」

「承知ッ!そのことは既に予想していた!だから、私が代わりに代筆をしようと思うッ!」

「なッ!?そ、そんなの、お、横暴だッ!!」

 

 遥の抗議に耳を傾けずに、「あ き か わ は る か」と、一言ずつ口ずさみながら名前を書いていくやよいを止めようと、遥が飛び掛かるが、やよいの後ろから出て来たハウスキーパーくんに取り押さえられる。

 

「よし、承諾ッ!これで、二人は今からトレーナーと担当ウマ娘だッ!仲良くやりたまえよ!」

「権力乱用反対だぁ!!」

 

 ここまで外堀を埋めても頷かない遥に、やよいは遥の耳元に近づいて小声で話した。

 

「セイウンスカイはこのままでは担当トレーナーが付かないかもしれないの。だから、お願い。お姉ちゃん」

 

 その言葉で遥は急速な思考を始める。遥だったからセイウンスカイの才に気付けたが、他のトレーナーから見れば、現在の才能は平均的。そして、練習にも積極性が欠ける。成る程確かに、こう聞かされればセイウンスカイにトレーナーは付きそうにない。

 更に、過去に遥がよく見ていた()()やよいの姿。これは遥の最大の弱点の一つだった。それ故に、遂に遥が折れた。

 

「ぐぬぬぬ……はぁ、貸し一つだからね……やよちゃん」

「うむ!それで頼んだぞッ!姉上!」

 

 遥から離れたやよいは懐から扇子を取り出して、大きく頷いた。その時には、既にやよいの顔はいつも通りに戻っていた。

 そして、遥の同意を得たやよいは懐から判子を取り出して押印した。

 

「どうして……こうなったの………?」

 

 全てお前の自業自得である。この日、遥は一つ学んだ。

 

 ――絶対に、手を組んだグラスワンダーと秋川 やよいには勝てないのだと。

 

 そして、時間は冒頭に戻る。

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

「はぁ、まぁ、なったことを気にするのはただの無駄だし、切り替えていくかー……じゃ、改めてこれからよろしくね!セイちゃん!」

「はーい、よろしくおねがいしまーす」

 

 遥は諦めの境地に至り、ここまで来たらセイウンスカイを最強の逃げウマ娘に変えてやろうと決意する。

 やる気になった遥は、立ち上がり、色々なファイルが並ぶ棚を開けると、とある一つのファイルを取り出す。

 

「はい、これ。一週間で読んどいてねー」

 

 遥はセイウンスカイにファイルを渡す。セイウンスカイがファイルに目を向ける。

 ファイルの表紙には、こう書かれていた。

 

「えーと、なになにー。『逃げのコツ◎』ですかー?これはー、何なんですかねー?」

 

 そう言いながら、遥から渡されたファイルを一ページ捲って、軽く目を通すセイウンスカイ。一ページ目の半ばまで読んだ頃には、セイウンスカイの目の色が変わり、ドンドンとページを捲っていく。

 その様子を見た遥は、ふふん。と、小さい胸を張り、先程のセイウンスカイの質問に答えた。

 

「ズバリ!これを読めば全て分かる!『秋川遥印のスキル指南書』です!!」

 

 そう言い切ると、ハウスキーパーくんがセイウンスカイの目の前にドサドサと数十冊のファイルを置いた。

 遥は、にこーっと悪戯気に笑みを浮かべるとこう言った。

 

「ふっふっふー。まずはグラスと5バ身差まで詰めること!これから頑張ってくれたまえ!」

 

 その後、夕飯をやよい、セイウンスカイも含めて四人で食べた後に解散した。

 

 そして、夜は明け、秋川 遥の初めての教官としての授業(お仕事)が始まる。

 

 

 

 





今回もやっていきます。解説と言う名の余談です。

今作には、スキルと言う概念自体は存在しています。ただ、それ(スキル)を理解しているのも、文字に起こして説明できるのも遥ちゃんだけです。
まぁ、スキルを見つけたの自体が遥ちゃんなので、説明出来る人がいないのは当たり前なんですけどね?
要するに、スキルを手に入れたいなら、アプリトレーナーみたいに、何気ない日常からトレーニングのヒントを得るか、初期から持っているスキル程度です。他のウマ娘から教えて貰ったりとかは出来ないです。
教えることが出来るのは、遥ちゃんとあと一人だけです。
あと一人は次回登場予定です。その人は、遥ちゃんとトレーナーとして競える数少ない一人です。

因みに、スキル指南書ですが、スキルの種類は、現在アプリで実装されているスキル全てを持っています。なので、今現在もドンドンと増えています。

そして、スキル指南書の紙を土地の権利書の変わりに引っ越しの時に使えば良かったのでは?と、思った方もいることでしょう。
逆に聞きます。グラスワンダーとの思い出の品はあらゆる物を保存加工して大事にしているような遥が、グラスワンダーと一緒に作り上げたこの書類を捨てると思いますか?つまり、そういうことです。



おまけ

アプリシナリオMake a new track風アイテム紹介

アイテム名『秋川遥印のスキル指南書 ~○○編~』

1ターンの間、トレーニング効果が-50%されるが、○○のスキルをスキルpt消費なしで習得することが出来る。
金スキルの場合は白スキル習得、金スキル習得と2ターン掛けて習得する。既に通常スキルを持っている場合は1ターンで習得する。




▼質問箱兼意見箱

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=299297&uid=420333


アンケート投票してくれた方、ありがとうございます。

後二・三日経ったら投票を締め切りたいと思います。

葵Tとか理子ちゃんとか出すべき?

  • 葵Tだけいる(遥との関係は同期)
  • 理子ちゃんだけいる(遥との関係はゼロ)
  • 二人ともいらん
  • 二人とも出せ
  • 二人含めて色々出せ
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