星屑の誓いは礎となりて   作:堕無

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 いつもの体調不良+全然筆が乗らなかったので遅くなりました!
 短いし今回もほぼアスレコ通りです
 次回はオリジナル回になると思います!


対策会議

 

 都市北西、冒険者通りに位置する迷宮都市の管理期間――ギルド本部。その奥にある大型の会議室に、各派閥の代表者が集結していた。

 

 錚々たる面々が集まったのは、定例の闇派閥(イヴィルス)への対策会議に参加するため。先日の闇派閥(イヴィルス)の襲撃もあり、ギルド長を務める肥えたエルフ――ロイマン・マルディールが唾を飛ばして怒声を吐く。

 

「現状の体たらくはなんだ、お前たち! 連日のように襲撃は絶えず、つい先日には大規模の奇襲さえ許しおって!」

 

 例の炊き出しで起きた幹部の襲撃。民間人にまで多大な被害を出した一件。自らの力不足で【殺帝(アラクニア)】を好きにさせてしまった俺としては言い返す言葉がなく、視線を落とすしかなかった。

 

「さっさと害虫を駆除してえなら、闇派閥(イヴィルス)も追ってダンジョン攻略も進めろなんざ、間抜けな注文を押し付けるんじゃねぇ豚が」

 

 しかし、それに反論するのは猫人(キャットピープル)の青年、フレイヤ・ファミリアの副団長を務めるアレンだった。殺気を隠そうともしない彼は、遠征のすぐ後に都市中を回らされたことに不満や怒りを募らせ、ロイマンを睨みつける。

 

「し、仕方なかろう! 男神(ゼウス)女神(ヘラ)が消えた今、都市の内外にオラリオの力を喧伝するのは急務! でなければ、第二、第三の闇派閥(イヴィルス)を生み出しかねん!」

 

 何とか絞り出したのだろう、ロイマンのその言葉に俺は見ている景色の違いに違和感を覚える。

 

「…………今。目の前の闇派閥(イヴィルス)も止められていないのに第二、第三の()()()を見ているなんて随分ギルド長は余裕なようだ」

 

 気付けば、言葉は口からこぼれていた。被害を食い止められていない俺たちが言うのもなんだが、現時点の対応に主力派閥さえも駆り出されている現状を見た上で後のことを考える余裕など無いだろう、と考えた俺を睨みつけるロイマン。何か口にしようとしたところで、アレンから追い打ちが入る。

 

「そいつの言うこともそうだが、んなことより自分(てめえ)の趣味の(わり)(いす)が後生大事だと素直に吐きやがれ。その脂ぎった体で権力にしがみつきやがって」

 

 その殺気に気圧され、ロイマンが口を開いては閉じ何も言い返せない。なおも吐き捨てられる毒舌に、ついにそれまで静観していたフィンが本題に進めない、と静止する。

 

 それに噛み付くアレン。いつも通りの光景にため息をこぼす。ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアの発する剣呑な空気がしばらく続いた後、アリーゼたちの空気を読めない一幕を無視するようにガレスさんが口を開いた。

 

「ロイマンを庇うわけではないが、先の奇襲を食い止められなかったのは儂の責任だ。詫びのしようもないわ」

 

「いえ、俺の力不足が招いた一件です。先に【殺帝(アラクニア)】に遭遇した俺が止められていれば防げたこと」

 

 俺がはじめに取り押さえられていれば、あんな惨劇は起こらなかった。末端の手下が破壊工作をしたとしても、被害は大人しく済んだだろう。殺気に満ちていた会議室は一転、重苦しい雰囲気に静まり返る。

 

「白昼堂々、しかも往来の中心での突然の凶行など、予想出来ていたとしても止められるものではない。ましてや【殺帝(アラクニア)】の仕業となれば」

 

 シャクティが擁護する。続けて想定していた()()()による混乱の山が外れ、不審物に注意するように指示を出していたことがかえって仇となったと。

 そう、俺たちは一連の工業区の襲撃で奪われた撃鉄装置の用途が爆弾ではないか、という結論に至り例の見回りでは不審物に注意していた。俺が【殺帝(アラクニア)】が片手を懐に入れた段階で飛び出したのもそれが理由だった。

 

「魔剣や魔道具(マジックアイテム)とも異なり、戦闘の心得のない信者でも設置及び作動できる。警戒していたのだが……山が外れたか」

 

「あるいは、まだ切り時ではないと溜め込んでいるのか、だ」

 

「俺はその意見に同意します。【殺帝(アラクニア)】はあの一件を前夜祭と称していた。本祭の開幕の狼煙になるかもしれません」

 

 会議室に再度緊張が走る。そこでここまで黙って聞いていた輝夜が口を開き、鋭い視線を俺に向ける。

 

「理解はいたしました。ですが、なぜ先に情報を共有されなかったので? 答えていただけますよね、リアム様?」

 

「君たちを信用していない訳ではない、というのが前提のうえで、少しでも警戒される可能性を低くしたかった」

 

 小言めいた言葉に、本音を語る。それに続くようにフィンが口を開いた。

 

「それに、あくまで予想に過ぎなかったというのが一点。そしてこれはリアムの話に繋がるんだけど、警備を厳重にするあまりに敵の動きを誘いにくくしたくなかった」

 

「…………勇者様の中では、あの奇襲さえ予定調和であったと? 犠牲者の数も算盤で弾いて、小を切り捨てたので?」

 

 輝夜が言葉に棘を纏わせ、非難の色を強める。想定よりも被害が多かった。言い訳にしか聞こえないだろうが、それは俺たち情報を共有していた人間すべての考えの甘さだ。猫人(キャットピープル)の皮肉を甘んじ、厳しい視線を向けられるフィンを責められない者たちは口を閉ざす。

 

「正義の眷属として、この言い方はどうかと思うけど……少を捨て多を救うのは、現実的な正義の在り方だ」

 

 アリーゼと輝夜が驚いたように目を見開く。

 

「もちろん、褒められたことでは無い。でも輝夜なら頭の中では理解しているんじゃないか?」

 

「理解はしています。多と少の取捨選択も正しいのでしょう。それを相談もせずに遂行したことに不信感を抱いているのですが」

 

 鋭く、細められた視線が俺の目を見据える。気付けばフィンを擁護する俺にも厳しい視線が向けられているが、そんなことはどうでもいい。

 

「理解してくれているならいいんだ。この議題に関するこれ以上の討論は無意味だろう、フィン。次の議題を」

 

「ああ。じゃあ次はシャクティたちが制圧した悪人共の違法市(ダーク・マーケット)について情報の共有を――」

 

 その後は特に問題なく議論が進み、長丁場になったものの会議が滞りなく終了した。

 

「さて、他に共有しておきたい情報はあるかい?」

 

 フィンの問いに、これまで口を閉ざしたままだった【猛者】オッタルがおもむろに口を開く。

 

「……闇派閥(イヴィルス)に最低でも一人、手馴れがいる。恐らくは、生粋の戦士」

 

 フィンやリヴェリアたちロキ・ファミリアの幹部や、フィンから情報を得ていた俺は知っているが他の冒険者たちは聞いていないようで、アリーゼが疑問をなげかける。

 それに対し、精査する必要もない離れ業だったと簡潔に答えオッタルの仮定ではLv.6以下はやはり有り得ないと。

 

 会議室がどよめきに包まれる中、次いでシャクティが口を開いた。例の廃教会――倉庫で彼女たちを襲った謎の女。そして、俺の推測が正しければ……。

 

「リアム、どうかしたかい? 何か心当たりでも?」

 

 フィンの言葉に思考から引き戻される。

 

「いや、なんでもない。気にしないでくれ」

 

 アリーゼや輝夜を含む冒険者たちが不審そうな目を向けるが、気にせずフィンに続きを促す。

 

「うん、それじゃあこれが最後になるが……()()に入る」

 

 静まり返る会議室。各々が真剣な表情に切り替え、フィンがそれまでの議論の全てを前座に変える『作戦目的』を切り出した。

 ヘルメス・ファミリアの偵察により判明した闇派閥(イヴィルス)の拠点が三つ。ギルド上層部もそれを敵の本拠だと判断し、三つを同時に叩くという作戦を切り出した。

 

「――一つは【アストレア・ファミリア】が行くわ!」

 

 まだ何も言っていないというのに、うちの団長様は名乗りをあげる。苦笑を浮かべるフィンだが、シャクティが協力を申し出ることで【アストレア・ファミリア】と【ガネーシャ・ファミリア】の協力体制という形で落ち着いた。

 残りの二つはロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアが受け持つこととなり、他の区域に関してはオラリオにある全ての有力派閥の協力を仰ぐようだ。

 

 作戦の決行は三日後。敵に気取られないようにとフィンが釘を差し、解散となった。

 

 この会議の内容が盗聴されていることに、誰も気付くことができないままに。




 アーディ生存√で一応考えてるのに関わりをほぼ書いてない事実……正義はめぐるよの所にもリアム関わらせる予定ないし……
 まあいいか。
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