8話
日々の勉強に追われつつ合間に修行。その間に体の使い方もある程度学んだ
時は流れて受験シーズン
まず地元にある私立高校のヒーロー科を受験した
筆記はまずまずの手ごたえ、その後おこなった個性を使った体力測定ではほとんどの種目で好成績を叩き出した。周りを見る限りでも問題ないじゃろう
後日、首席で合格したと通知が来た。うむ儂もなかなかやるもんじゃ
開けて翌週、今度は雄英高校の受験。受験人数が多いからかセンター試験のような感じで、まず筆記試験が近くの大きな会場で行われた
流石に問題の難易度が違いすぎる。四苦八苦しながらもなんとか時間内に全部の解答欄を埋めはしたが、全く自信が無い
後日。今度は実技試験の案内が来たので、新幹線に乗って一路雄英を目指す
電車の中で自分の戦闘スタイルについて考える
打撃もある程度身に付いたし、体の使い方も覚えた
確かに打撃系の技は見栄えがするし、決着もつけやすい。何より楽しい
しかしやはり自分が憧れたのは渋川剛気なのだ。自分はああなりたくて武術を始めたのだ
ならばここらで合気柔術一本に絞るべきか。いやしかし・・・
駅に着くと受験生らしい人影がチラホラと見られ、学校に近づくにつれそれらしい人影は数を増していった
周りを見るがあまりパッとした印象を受けない。武術をやっているものがほとんど見受けられない。ウェイトトレーニングはしとるんじゃろうが、闘う者の体ではない
ヒーローの卵のエリートが集まるというくらいじゃから、虎殿のような御仁がわんさかといると思うとったのに非常に残念じゃわい
これからあのように成長してゆくのじゃろうか?
校門を通り過ぎ、説明会場へと入り説明を受ける
あれもヒーローかの?派手なおっさんがはっちゃけながら試験の説明を進めていく
なんとも聞き取りづらい話し方だったが要は仮想ヴィランを倒して点数を稼げばいいらしい。貰った資料に載ってるシルエットからすると相手はロボットか・・・
前言撤回じゃ、こりゃイカン。ロボット相手に合気もクソも無いわい
さすがの儂も見ただけでロボットの内部の重さまでは分からんし、痛覚も反射も期待出来ん。そもそもあいつらに関節なんてあって無いようなもんじゃろ
ああいう手合いは殴って壊すに限る。さてどこまで通じるかの
道着に着替え、バスに揺られて演習場へと向かう
なんじゃこの学校、敷地内をバスで移動とかどんな広さなんじゃ
で、ついた先が街・・・
確かに市街戦と言うとったが・・・。試験会場は7つじゃったよな・・・。訳が分からん!全くもって意味が分からん、日本がおかしくなっとる!なんか儂の知らん国になっとるっ!
ふぅ
落ち着け、まずは試験じゃ
持ち時間はわずか10分。人数を見るに、まとまって動けば乱戦必至。周りに邪魔される上、敵の数も削られる
開始と同時に全速力で奥の角付近まで行って、倒しながら反対の角に進む
それでも時間が余るようなら後はその時に考えればよいか
『ハイ、スタートー!』
?
『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねえんだよ!!
走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!?』
なるほど常在戦場と。それは儂の望むところじゃ
一斉に動き出した周りに合わせて儂も動き出す
動きながら周りの受験生を観察する。腹から光線を出す者、素早い動きで敵を蹴り壊す者、なんか知らんが浮かせてる奴もおる。なるほど個性的じゃ
ロボットの方も合わせて観察する。1と書かれたロボットは高さ3メートルくらい、なんかガトリング装備しとる。やっぱり訳が分からん!
が、しっかりと目で追える速さで打っとるし、あれは恐らくゴム弾じゃろう。さすがに受験生を殺す気は無いようじゃ。打撃で壊れとるようじゃがそんなに固くないんじゃろうか
2と書かれた奴は首の長い4足歩行でサソリのような尻尾持ち。でかい上に攻撃範囲が広い
問題は3の奴じゃな。でかい上にあいつだけは装甲が厚いようじゃ。何人か攻撃してはじかれとる。おまけになんじゃあれ?ミサイルポッド?音と煙は派手じゃが着弾点を見るにそこまで破壊力はないらしい。しかし本当に殺す気は無いんじゃよな?あれでも当たり所が悪ければ最悪死人が出るぞ?
さて、儂もそろそろ始めるか。ここまで一分半、余裕はある
まずは1点のやつから行ってみるか。どうせなら人間相手に使えなかった技を試してみることにしようかの
跳躍し相手の首元にまたがるように着座、そのまま胡坐をかくように首をロック。少々頭が大きいので手でも抑える。そのまま首を軸に回転。すなわち
「転蓮華じゃ・・・おっと」
技の途中で頭が取れてしまった。どうやら想定よりもだいぶ脆いらしい
制御をなくしたのか、そういう仕様なのか、ロボットは動きを止めて倒れる
その音に反応してか1点と2点がわらわらと集まってきた
一体ずつにあまり時間をかけるのは得策ではないか。ならば打撃で押しとおる
2点の背中に飛び乗って首元に蹴り。よし壊せる。そのままジャンプし1点にかかと落とし。そのまま次々と壊しまくる。そうして予定していたコースを進んでいると
「うわあぁぁっ!来るなぁっ!」
受験生の一人が3点の奴に襲われとる。ありゃいかんな、戦意をなくしとる
他人の勝負に手出しするのはあまり好きではないのだがのぉ、儂ならどれほど負けそうでも手出しして欲しくはないんじゃが・・・
しかしじい様に『弱きを助け強きを挫く』と言われとるしのぉ
うぅむ悩む。・・・一応本人に確認して決めるとするか。必要ないと言われるかもしれんしの
「お主、助太刀はいるかの?」
「えっ?あっ、たっ頼む、俺じゃ倒せない!」
「了解じゃ」
相手は装甲の厚い3点。ならばと相手の脇腹目掛けてゴキブリダッシュ。そのままスピードに乗せて手を固定しながらの肘打ちを繰り出す
「残影拳じゃ」
思ったほどでもなかったのか3点はあっさり壊れて動かなくなった
「大丈夫かの?」
「・・・あっ、あぁ。すまん、助かった・・・」
「なに構わんよ、では儂はもう行くでの」
それだけ言い残し試験に身を戻す
ロボット群を破壊していると、今まで聞こえてきていた破壊音よりも一際大きい破壊音と地響きが聞こえてきた
確認の為近くのビルの屋上に跳び上がると街の中心辺りで巨大ロボが暴れていた
・・・はあっ!?なんじゃあれはっ!?
ビル10階分の高さより余裕で高い。推定60メートル以上は確実じゃ
やはりこの世界は狂っとる、殺す気かっ!誰かガンダム束で持って来い!
いやガンダムでは足らん!コンバトラー、いやダイターン持って来い!今すぐカムヒアじゃ!!!
ふぅ
しかし実際あれはどうする。恐らくあれが派手な男の言うとったお邪魔虫というやつなんじゃろう。倒しても0点。さすがの儂も東方不敗のような真似は出来ん
ここは無視一択かの
そう考えて試験に戻ろうとした時、一人の受験生が巨大ロボの前に飛び出し一撃で殴り壊しおった
ふむ。遠目でよくわからんかったが、水色っぽいジャージを着た普通の人間型。普通の人間ならばいかに鍛えようともあれは無理じゃ。ならばそういう個性か
では素の力はどの程度のものか。試験が終わったら見に行ってみるかの
『終了~~~~~!!!』
もうそんな時間が立っておったか
ならばと先ほどの場所に行ってみると、水色っぽいジャージを着ている受験生が倒れ伏していて、老婆から治療を受けていた
あ奴がさっきのあれをやったやつか
うむ、ありゃ駄目じゃ。箸にも棒にもかからん。やはり個性のみか・・・がっかりじゃ
そうして試験は終了し、各々解散して帰路についた
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『レスキューポイント0で1位とはなあ・・・』
『対照的にヴィランポイント0で7位・・・』
モニタールームで雄英の職員たちが実技試験の採点結果をもとに、その時の映像を振り返っている
各々が「この子の攻撃力はすごい」や「この子の個性はすごい」などと思い思いに自分の感想を述べている
先生方の発言が途切れたタイミングで根津校長が発言する
『すまないけど受験番号456番の映像を出してくれるかい?』
『構いませんが、少々お待ちください・・・。どうぞ』
『うん、ありがとう』
『あら、この生徒筆記の方で落ちてますわ?何かの間違いで実技試験の案内が届いてしまったのかしら?』
『あぁ、それは間違いじゃないよ。彼は僕が通したのさ』
『あら、そうなんですか。えぇっと、名前は渋沢四五六、個性は『無効』。ヴィランポイント50、レスキューポイント10。7位タイですわね』
『おい、個性が『無効』だってよ。お前の『抹消』と似たようなやつか』
『恐らくそうなんだろうな、つまりあれは素の身体能力って事だ』
『かぁ~~、素であれだけ動けんのはシヴィ~な!筆記で落とすのはもったいねぇZE!』
『だがそれが結果だ』
『実技の方は問題ないみたいだね。・・・みんな聞いてくれるかい?突然で悪いんだけど、僕が持ってる特別入学権を彼に使わせてもらうよ』
『なるほど、最初からそのつもりで実技試験を受けさせたんですね?』
『実はその通りなのさ。彼にはなるべくヒーローの道を歩んでほしいからね』
『また公安が何か言ってきたんですか?』
『いや、もっと個人的な事情さ。僕だってたまにはわがままくらい言うのさ』
『・・・。』
『相澤くんは不満みたいだね』
『・・・いえ、校長の決定には従いますよ』
『うんありがとう。彼の個性を考えると相澤くんに任せたいところなんだけど、おそらく君と彼は致命的に合わないと思うんだ。すぐに除籍にされちゃいそうだしね。だから彼はB組に入れようと考えているのさ』
『つまり俺の担当ってわけですか!』
『そうさブラドキング先生。君には彼を熱血指導して欲しいのさ』
『分かりましたっ!任せてくださいっ!』
こうして本人の知らないところで四五六の合格が決まっていった
捏造のオンパレード。
ちなみに
ガンダム:18メートル
コンバトラーV:57メートル
ダイターン3:120メートル
です。確実に勝ちに行きました。