あくまで物語内でのオリ主の表現であり、作者はすべての作品をリスペクトしています。(必死)
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山から帰ってきた後は、いつもの日常に加えて打撃技の鍛錬も増えた
さすがに爺さま相手に突きや蹴りをするわけにもいかないので、打撃の鍛錬は一人でするしかない
基本的な事はこの世界の本でも読めばいいが、それ以外は前世の記憶から多少あやふやながらも思い出す
まずは何といっても刃牙シリーズ
渋川先生に目が行きがちだが、あの漫画は技術の宝庫だ。出来そうなことから順次リストアップしていく
『剛体術』打つときに全身の関節を固めて一塊になり、打撃に重さを乗せる。これは出来そうだ
『マッハ突き』剛体術とは逆で全身の関節を同時に稼働させ、音速を生み出す正拳突き。これもなんとかなるか
『握撃』出来るか!まずあんな握力は出ないし、握力があっても破裂する前に潰れる
『打震』相手の体内の水分を使って内部破壊を引き起こす。ううむ、急所突きとは違うのかイメージが難しい
『鞭打』腕を脱力させて、鞭のように高速で打ち付ける。練習次第で行けそう
『紐切り』だから出来るかっ!人体舐めるな、首に視神経はない!
その他、攻撃技以外にも『消力』や『ゴキブリダッシュ』など、数々の名場面とともに記憶を掘り起こし、情報の取捨選択を進めていった
もちろんこの工程は他作品にも及んだ
北斗神拳や亀仙流、無差別格闘術のようなファンタジー等は端から除外。出来るかあんなもん
陸奥圓明流や陣内流柔術の様に、少々ファンタジーを含むが中には実際に使える格闘技もいくつかある。ちなみに出来ない技はとことん出来ない。なんじゃ『龍破』とか。人間は蹴りで真空波は出せん、出てたまるか
そうして抽出した様々な技を身に落とし込む
しかしいかんせん基礎が出来ていない。技を覚えるにもまずは土台を作ってから
ただ出来上がる建物がある程度見えているので、土台作りもそれに合わせて作りやすくなる
ある程度の構築がすんだらひたすら修行
たまに「あれ?何で打撃訓練やってんだ?渋川先生みたいになりたいんじゃなかったっけ?」と、心が揺れたりするが、そこは強くなる為とぐっと堪える
しかし打撃訓練が楽しい。この世界のおかしな成長率のせいもあるんだろうが、修行の伸びがすこぶる良い。昨日よりも早く、昨日よりも鋭く日に日に良くなっていくのを感じるのは癖になる。違うぞっ!浮気ではない!これも合気柔術の為じゃ!(渋川先生・・・、合気がしたいです・・・)
時々心の中の渋川先生に弁解をしながら、一つ一つ技を積み上げる
一年がたち、中二の夏も山籠もりに行った
山の中で朝から晩まで修行して、たまに様子を見に来る虎殿に勝負を挑ませてもらう
昨年に比べれば、幾分打ち合えるようになり惜しい勝負もあったが肝心なところで勝ちきれず今年も全敗
虎殿には「焦ることはない。ただ年齢的に経験が足りないだけだ」と助言をもらった
くぅ、年齢のことを言われるとキツい。前世も合わせるとおそらく余裕で虎殿より年上、なんならダブルスコアじゃ
だが経験が少ないのも事実。今世の対戦経験と言えば爺さまと虎殿という強者。あとは素人の子供。やばい振れ幅が酷い
中三に上がり、本格的に対人戦がしたいと思うようになった
やはり他流試合などで戦闘経験をふやすべきだろう
そう思い格闘技の道場を調べて愕然とした。まともな道場というものが驚くほど少ない。あって剣道道場、ほとんどは道場と名乗っている会員制のジムみたいなものばかり。改めて格闘技の廃れっぷりを目の当たりにして肩を落とした
はぁ・・・現環境のなんと恵まれた事か。当時爺さまに張り付いた儂をほめてやりたいわい。もちろん爺さまにも感謝じゃ
数少ないまともそうな道場は簡単には行けないような遠い場所にある。参った、初手で手詰まりじゃ
それならばと爺さまに、警察の出稽古に連れて行ってもらえるように頼み込んだ
「連れて行ってもええが、まともに相手になるような奴はおらんぞ?」
それでも爺さまが教えてるならと楽しみに付いていったが、結果は爺さまが言った以上に拍子抜けするものだった。確かに子供に比べたら全然ましだが、いかんせん動きが丸見え。苦戦することもなく片っ端からぶん投げた。これがヒーローと一般人の差なのだろうか。あと今更ながら、うちの爺さまが大分おかしい事に気が付いた
爺さまと警察官の差がありすぎる。下手したらヒーローの虎殿よりも強いさえある
儂も充分強くなっとるはずじゃが、いまだに勝てたためしがないし、なんなら儂を見て覚えたのか、ここ数年合気まで使いだした。もはや手の着けようがない
一度剣道道場に行って他流試合を申し込んだが、問答無用で追い出された。ケチンボめ
いっその事、地下格闘場でも無いかと水道橋に行ってみたが、なんとびっくり東京ドーム自体が存在していなかった
ここまで来れば自棄だとヤクザに喧嘩を吹っ掛けようとしたが、これまたがっかり。ヤクザも見当たらん
完全に手詰まりになった儂は自分勝手な『前田光世方式』を取ることにした
適当に町をぶらついて、強そうな相手に一方的に試合を申し込む。これじゃ、これで行こう
強者を探し町を練り歩いていたら、すごそうなやつを見つけた
身長は高めで少々猫背、その割に軸がしっかりしていて体のバランスはいい。しかしよく見ると四肢それぞれのバランスが少々おかしい。ボルトやプレートではああはならん。おそらく暗器の類が仕込まれているんじゃろう。痩せ型じゃが全体的な筋肉のつき方も申し分ない、特に肩から腕にかけてが発達しとる
仕込んどるものにもよるじゃろうが、振りかぶってからの打撃か斬撃。もしくは投擲といったところか。何よりもすごいのはあの殺気。一般人にはわからぬように抑えとるかもしれんが、しっかりと漏れでとる。くっくっくっ、それでは儂はごまかせん
さて、どうする
おそらくあ奴は殺し屋とかそういった類の人間じゃろう。ヒーローではないと思う
見た眼だけの戦力分析だといい勝負になるじゃろうが、下手をすれば殺されることもあるかもしれん。しかしそれがどうした
命がけ大いに結構、それこそ武術家の本懐よ。惜しむらくは儂がまだ未完成というところか。しかしそれより何より強者を前にしてこの気持ちはもう抑えられん。
儂は意を決して、その男に話しかけた。
(あっ、仕込み武器って銃とかじゃないじゃろな!銃はいかんぞ)