遅くなってしまい申し訳ありません、後編です。
感想や高評価をいただけますと作者はまだまだ頑張れます!
まだだ!まだ終わらんよ!
店を出てから暫く歩くと、
「あっ! ギルだ!」
複数人の子供達が此方へと走ってくる。
「ふむ、久しいな童共」
時折り相手をしてやっている童共が我を見つけて集まって来おったか。
「どうやら初めて見る顔もおるようだな」
子供達の中には見覚えの無い者が数人いた。
「あれ? みつきちゃん?」
どうやらアイは知っている様でその内の一人に話しかける。
「あ、アイちゃん あと私はさつきだから」
どうやらアイは相変わらず人の名前を覚えるのが苦手の様だな。ただアイの頭が悪いのでは無く、今までの生活から来る自己防衛の様なものかもしれんな。
「何だ知り合いか?」
「うん、私と同じで最近転校してきた子だよ!」
どうやらアイと同じく最近越してきた様だ。なるほどな、どうりで見ない顔ぶれだったわけだ。
「はじめましてだな、我の名はギルガメッシュだ」
「えっと…日本語お上手ですね、私は宮ノ下さつきです、こっちは弟の敬一郎です」
見た目が外人であるからか驚いた表情で答える少女。そういえばもう慣れたから気にせんかったが、最初は驚かれたな。
「けーいちろーです!」
姉に手を引かれながら、元気良く答える少年。
「ふむ、元気が良いな」
「恋ヶ窪 桃子と申します」
もう一人の大人しそうな少女も名を名乗る。何処か浮世離れした様な独特の雰囲気を持つ少女だ。
「なぁ〜ギル〜カードで勝負しようぜ! オレのバスブレで今日こそギルに勝ってやるからな!」
この勝ち気で生意気な小僧はハジメと言い、ここらの子供達のリーダー格だ。まぁ 礼儀は足りんが、リーダーシップがあり、物怖じしない性格は気に入っておるがな。
勢いよく手持ちのカードを広げて我に近づいて来ると、
「あぁッ! オレのカードが!」
ヒラリと数枚のカードが自販機の下へと入ってしまう。
「もう! 何やってんのよ!」
さつきと名乗った少女が声を上げる。やれやれしょうがないな。
「おい ちょっと退いてろ」
我は項垂れるハジメを退かして、自販機の端に手を掛け。
「うそでしょ!?」
目の前で起こった事が信じられないのかさつきは目を丸くして声を上げる。
何故なら100kgどころか中身次第では1t近くはあるであろう、金属の塊を細身のギルガメッシュが軽々と持ち上げ、斜めに傾けているのだから。
「わぁ〜ギル兄すご〜い!」
「ギルガメッシュさんはとても力持ちなのですね」
他にも我を称賛する声がチラホラと聞こえてくるのは、素直に気持ちが良いものだ。
「ほれ 早う取らんか」
自販機の電源が高い位置にあるのと、鉄板に固定しているだけのタイプで助かった。これが地面に完全に固定されているタイプや電源ケーブルが低い位置にあったのならこの様な事は出来んからな。
「王さま すっご〜い!」
アイも我の勇姿にはしゃいでおるな。
「サンキューなギル!」
ハジメが急いで自販機の下のカードを回収する。
「わかっておるとは思うが、小銭を拾うなどの貧乏臭い行為はするなよ」
恐らくはやるであろう事を、先に釘を刺す事で止めさせる。その様なセコい事をするなどアイだけで無く他の童共の教育に悪いわ!
「へーい おっ!あったあった!」
ササッとカードを回収したハジメが出てきた事を確認してから持ち上げていた自販機を元の位置に戻す。
「へへ あんがとなギル! そんで勝負しようぜ!」
コヤツは本当に礼儀知らずだな。まぁ この年齢ならまだそこまでとやかく言う程のものでも無いか。
少々面倒に思いながらも宝物庫からデッキを取り出す。
「何あれ!?」
「不思議な方ですね」
突如現れた揺らぐ黄金の波紋とそこからデッキを取り出した事に驚く二人を他所に。
「しょうがない。光栄に思え、我が黄金卿デッキで相手をしてやろう」
デュエルを開始する。
そして数分後…そこには手と膝を地につけた所謂orzの体制になって落ち込んでいるハジメの姿があった。
「ちくしょう…また負けた」
「ふん 甘いわ小童。切り札は常に我が手の内にある、格の差と言うものを知るが良い!」
我が命運は常に我が有利になる様に廻っておるのだ!
「さて敗者には罰ゲームでもしてもらうとするか」
「うげー マジかよー!?」
敗者となったハジメに罰ゲームを課そうとしたその時、
「見つけたぞ金ピカー!」
威勢の良い声と共に、年齢はアイ達と変わらぬくらいで、褐色肌の少女とその後に続く様にメガネをかけた白髪の少女と、気弱そうな赤茶色の髪の少女達が現れる。
「何だ猪か」
「ダァれが猪か!? この金ピカー!」
このハジメ以上に無礼な猪女は蒔寺 楓、我が懇意にしている老舗呉服店で骨董品も取り扱っている詠鳥庵の一人娘で。とある事をキッカケによく絡んでくるのだ。
「ダメだよ蒔ちゃん! ギルさん蒔ちゃんがごめんなさい!」
今我に謝ってきたのは三枝 由紀香ある意味この3人組の中の良心的存在である。
「申し訳ないマキの字がまた無礼を」
もう一人の白髪の少女は氷室 鐘父親が市長をしており、我が市長を援助して政界の足掛かりとして使った事もあるので我とも面識がある。
「ふむ まぁこの猪女は言っても聞かんからな」
「やかましい! えぇい! アタシと勝負だ金ピカ! アタシが勝ったらたい焼きを奢らせてやる!」
勢いのままにカードを取り出し勝負を仕掛けて来る。
そして3分後、
そこには先程のハジメと同じく手と膝を地につけてorzの状態となっている蒔寺の姿があった。
何処からか速えーよホセッ!と聞こえたのだが気のせいだよな?
「何でだよー」
因みにだが、こいつは性格通りのパワー馬鹿故に楽勝勝ちよ。
「さて敗者には罰ゲームを受けてもらうとするか」
恐らく今の我の顔は愉悦に満ちた表情である事だろう。
「さてマキジよ、金を渡すからそこのコンビニで人数分の飲み物と適当な菓子を買ってこい」
「マキジって言うなぁ! ドチクショウ!」
涙目で吠えるマキジに対して耳打ちをする。
「なお、余った金は駄賃として取っておくが良い」
そう告げると、
「いやぁ、お代官様もお人が悪い」
まるで時代劇の越後屋の如く態度を一変させ、揉み手をしながらだらしの無い顔で媚びて来る。
変わり身が早すぎるぞコイツ。
「ほれ、行ってこい」
「アラホラサッサー!」
何処ぞの悪役の手下の様な独特のセリフを吐いてあっという間にコンビニへと駆けて行く。
「自称陸上部の黒豹というのは伊達ではないな」
それから暫くして、両手に大量の飲み物と、菓子類を買って来たマキジが帰って来る。
「ほれ お前達も好きなものを取るが良い、我の奢りだ」
「ありがとうございます!」
口々に我に礼を述べ、各自で好きなものを取っていく。
「うーん何で勝てないんだろな? 」
「お前達はもっと頭を使え、カードの種類を増やすのも手だぞ」
悩める愚か者共に天啓を与えてやる。
「そうかアタシに足りないのはカードか! 金ピカからもらった金でカード買って来る!」
「オレも!」
どちらかと言うと頭を使って欲しいのだがな。そんな事を考えていると、
「王さま さっきユキちゃんからこんなのもらったよー」
どうやら由紀香の名前は覚えている様だ。
アイ本人は気づいていないのだろうが、穏和で側にいると癒されるからか、普通の相手の様に警戒をする事無く接する事が出来る為名前もすんなりと覚えられたのだろう。
「ん? 福引券?」
内容を見るにこの近くの商店街で、福引をやっている様だ。
珍しいな。
「ほぅ 暇つぶしがてら行ってみるか」
紙の裏を見ると入手法が書いてある。福引券を手に入れるには商店街の商品を買えば良いのか。
「時間も昼に近いから丁度良いであろう。おい童共!」
我の号令に各々自由に遊んでいた小童共が気づき、我の下へと集まって来る。
「この福引券を手に入れる為商店街で買い物をする故に、お前達にも我が馳走してやろう。我の慈悲深さに感謝するが良い!」
「有難い、大人しくご馳走になるとするか」
「え? 良いのかな?」
それぞれが戸惑いながらも反応を見せる。
「あの〜私達も良いんですか?」
弟の手を引きながら我に問うさつきに当然だと応えてやる。
「そういえばハジメさん達はどちらへ?」
そういえば先程カードをコンビニへ買いに行ったキリだな。
確認の為コンビニへと足を運ぶと、カードの入ったブースターパックを真剣な顔で睨んでいる二人の姿が見える。
勉強にもそれだけ真剣になれば良いのだがな。
「おい、まだ選んでいるのか?」
我の問いに二人揃って血走った目を向け此方を睨む。
「「小遣いがヤバいから絶対当てたいんだよ!」」
まぁ 子供の小遣いなぞたかが知れているわな。
「はぁ、コレとコレを買うが良かろう」
我は徐に二つのパックを選び渡す。
「マジか、いやオレ/アタシはギルを信じるぜ!」
二人は一目散にレジへと駆け込み、パックを買うと直様開け放つ。
「マジか!? シークレットレアキターッ!?」
「コッチはウルトラレアだ!」
目当てのレアカードが出た事に驚き声を上げる。
「フッ 当然よ、我の下に財は集まる。この様にな」
我は徐に某携帯獣のパックを一つ選び購入し、開けて中のカードを見せる。
そこにはピンクと青の混じった独特の髪色と衣装を来た少女のイラストが描いてあった。
「ナ◯ジャモだ!?」
「金ピカスゲーッ!」
一時期買取金額が20万を超えたレアカードが一発で当たった事に二人は目を丸くしながら絶叫する。
「なぁギル〜それオレにくれ!」
「ちょッ! アタシも欲しい!」
二人揃って今当たったカードを欲するが、
「我が財を欲するならば、それに相応しき功績を見せるが良い。具体的には苦手な科目で満点を取るか、大会で優勝するなどしてみせい」
我が財を拝領する事を欲するのならば、それ相応の功績を立てるが良い。
そう告げると二人揃って顔を歪める。
「さて、それはさておき。我はこの後福引券を手に入れる為に商店街に赴くが、貴様らはどうする?」
「金ピカのオゴリならアタシも行く!」
「オレも!」
真っ事現金な奴らよな。
苦笑を浮かべながら二人を引き連れ、アイ達の所へと戻り、
「さて、行くぞ貴様ら、腹の減り具合は万全か?」
「うん! 大丈夫だよ!」
そして童共を引き連れ我は商店街へと赴き、対象の店で買い物をする。
「まぁ、悪くは無いな」
肉屋で購入したメンチカツをアイと半分こにして、齧る。
我1人なら足りぬが、アイは未だ食が細い故にコレくらいの量が丁度良いだろう。
それにちょこちょこと色々な物を食べるつもりであったから、コレはコレで悪くない。
噛み締めると肉汁が溢れ出し、下味がしっかりと付いているのでソース無しでも十分に楽しめるな。
「マイウー」
童共も美味そうに齧っておるな。
「さて、次は甘味だな」
「きゃわー! 美味しそう!」
甘味屋を見た瞬間に女童共が目の前色を変える。やはり女子供は甘味類が好きな者が多いな。
近くのクレープ屋でクレープを購入する。
もちもちとした生地に色とりどりのフルーツと生クリームを使ったクレープは甘く、果物の酸味がそれを引き立て舌を楽しませる。
「庶民共も安く、美味く食えるよう中々工夫しているようだな」
まぁ、大抵は値段相応の庶民メシであるが、時々光る物がある。
「王さま! 一口上げる!」
アイが我にクレープを突き出し、食わせようとするのでそれに乗ってやり、一口齧る。
ふむ、悪くないな。何やら我を見てさつき達が顔を赤らめておるがどうしたのだ?
口の中が甘くなったので、近くの焼き鳥屋で焼き鳥を購入する。
「ぬっ! この甘辛いタレ…こやつめ…中々良い仕事をしよるわ」
地鶏を使っているのか、歯応えがあり、それでいてしっかりと肉の旨みを感じられ、甘辛いタレが脂と混じり絶妙な味わいを感じさせる。
酒が欲しいな…晩酌用にいくつか買っていくか?
口の中を先程購入した烏龍茶で油と甘味を流して、サッパリとさせる。
所謂B級グルメに舌鼓を打ちながら辺りを回っていると、突如鼻が痛くなる様な香辛料の臭いが漂う。
この臭いはまさか!
臭いの元を辿ると、そこにあったのは…
「やはりか!?」
一軒の中華料理店なのだが、その暖簾には大きな字で『紅洲宴歳館・泰山』と書いてあった。
これが漫画であれば、我の顔は劇画タッチで描かれる事間違いなしと断言出来るほどの衝撃を受けた。
何故この世界にも存在するのだ!?
「へー麻婆豆腐が売りか。おっ!麻婆を食い切ったら福引券が10枚か! なーギルーこれ」
ハジメの阿呆が恐ろしい事を言い切る前に我は既に行動に出ていた。
ハジメの両肩をガシッと掴み真顔で言い切る。
「おい小僧、馬鹿な事を申すな! お前は死にたいのか!?」
我の形相と強い言葉に目を丸くしたハジメ。
「え? 死ぬって大袈裟な…」
お前はアレを知らぬから言えるのだ! 別世界の黒い聖杯の泥すら飲み干した我が唯一勝てなかった劇物なのだぞ!
「アレを見てもそう言えるか?」
我が指差した方向には、唇を大きく、まるでアヒルの様に腫らし。白目を向いて口から赤黒い何か(たぶんマーボーです)を垂らしながら気絶している複数の人間の姿が店内にあった。
これが
「さて…アレを見てもなお挑戦しようとするならば我は何も言わん…寧ろ尊敬すらしてやろう」
「すいませんでした」
流石にアレを見てしまったせいか、血の気の引いた青い顔で謝るハジメ。
素直に謝罪出来る事を褒めてやろう。勇気と蛮勇は違うのだ。
そんな一幕はあったが、しばらくして。
「ふむ、結構貯まったな」
人数分を購入していたのもあり、福引券は結構な数が集まっていたので福引を引く為に一度交換所へと赴く。
「いらっしゃい! おや? お兄さんは引率かい? 大変だね!」
威勢の良い法被を来た親父が我を見やり、開口一番に言う。
「さて、福引はここであるな?」
「そうだよ! 今年は良い商品が多いから頑張ってくれよ!」
確かに商品は結構な量があり、品揃えは悪くない。
「あっ! アレカワイイ!」
アイがとある商品を指差す。
それは我が先導し創った型月作品のマスコットキャラ、フォウくんの大型ぬいぐるみであった。
大きさはアイより少し小さいくらいの抱き枕サイズの物だ。
「おっ! お嬢ちゃんお目が高いねぇ! 今人気の商品でね、さっきも他の子達が欲しがってたよ」
ふむ、C賞か…微妙な等級ではあるが、イケるか?
寧ろAとかB賞なら当たる自信はあるが。
「親父、この福引券全部を使うぞ」
受付の親父に福引券を全て渡して福引を回す。
「あいよ! 良いのが当たると良いね!」
機会を回して、出たものは…
「おめでとう! 特賞の温泉旅行券だよ! 一発で当てるたぁお兄さん運が良いねぇ!」
確かに良い商品だが、我の仕事が忙しいので無用の長物だな。
「これでは無いのだがな…まぁ良い次だ」
気を取り直して再び回すと、
「おめでとう! A賞のクロスバイクです!」
うぅむ、なまじ運が良い故に中々微妙な等級の物が当たり辛いな。
「王様! 私もやりたい!」
アイが福引を回したいとせがむので両脇を抱えてやり、引かせる。
出た物は、
「おっ! お嬢ちゃんおめでとう! お目当てのフォウくんのぬいぐるみだよ!」
どうやらコヤツは恵まれている様で、目的の物を一発で引き当てよったわ。
「わ〜い! カワイイ!」
嬉しそうにフォウくんぬいぐるみを抱きしめるアイ。その姿に頬が緩むな。
後の残りの福引券は童共に渡して引かせ、商品も我には必要無い故に欲しい奴にくれてやった。
そんなこんなをしている内に日が暮れ、解散してそれぞれの帰路へとつく。
「まぁ、有意義と言えるかは微妙ではあるが。悪くは無い休日であったな」
「楽しかったよ!」
フォウくんのぬいぐるみを嬉しそうに抱きしめるアイを見て、再度悪くは無いと感じいる。
さて残りの有給をどう消化したものか。
更新が遅くなりまして申し訳ありません!
次回は釣り回を予定してます。
なおアンケートは今週の日曜日に一度締め切ります。
次の更新も頑張ります!
感想や高評価をいただけますと作者は何度でも蘇ります!
次回もお楽しみいただける様に頑張ります!