諸事情で遅くはなりましたがエタりはしません!
エタりはせんぞ! エタりはせんぞー!
そして遅刻からのイベント投稿!
作者はチョコなんてもらってないですよー!
2月14日、それは一般的にはバレンタインデーと呼ばれる日。
元々はお菓子メーカーの策略によって生まれた日ではあれど、いつの間にか定着し、世間一般の認識としては好きな人物や家族へ愛を贈る日である。
教室内ではチラチラと女子生徒を見る男子生徒の姿があり、その中にはアイを見る不快な視線もあった。
「ねぇ 睦月ちゃん、今日何か皆んなそわそわしているけど何かあったの?」
昼時の学校にて、クラスメイトの少女に教室の中の雰囲気が違う事が気になったのかアイが尋ねる。
「あれ? 知らないの? 今日バレンタインデーだよ。 あと私の名前はさつきだからね」
「バレンタインデー?」
「うん、今日は好きな人達にチョコレートをあげる日だよ」
「好きな人?」
この時の私はまだ、『好き』っていう心がわからない。 だからバレンタインデーっていう日が理解できなかった。
好きって何だろう? わからない…怖い…誰かを好きになれるのかな?
俯く私の様子に気を遣ってくれたのか、
「あのねアイちゃん、最近は他にもお世話になった人に、ありがとうの気持ちをこめて贈る事もあるから無理に考えなくても大丈夫だよ」
贈る形が他にもある事を教えてもらう。
「そうなんだ」
お世話になってる人…王さまとお姉ちゃんかな?
「みつきちゃんは誰かにあげるの?」
「私はお父さんと弟かな? あと私はさつきだよ。 アイちゃんはあの金髪のお兄さん?」
「う〜ん そうだね〜。なつきちゃんは、はざま君にあげないの?」
何か仲良さそうだし、良く遊んでいるところを見るから、あげるのかな?
「はじめ? 無い無い。 あんな人のスカートめくる様なガキ何てイヤよ。 アイちゃんは良いよね、お兄さん凄くカッコいいし、お金持ちだし私もあんなお兄さんが欲しかったわ」
何だろう…王さまの事を褒めてくれて嬉しいはずなのに、何か心がモヤモヤする。
「そうなんだ」
「放課後に桃ちゃん誘ってチョコレートを買いに行かない?」
「うん 行く」
放課後になり、私が帰る準備をしていると、
「星野さん!」
名前を呼ばれたので、振り返ると、猿顔の鼻息の荒い男子を中心に4、5人の男子が集まって私を見る。
「なに? えっと…エテ山君だっけ?」
「猿山です! それよりも! 今日バレンタインデーだよね!?」
鼻息をさらに荒くさせながら、私の方に近づいてくる猿野君? だけど、その顔が凄く気持ち悪い。
「みたいだね?」
それが何だろう? 私早く帰りたいんだけど。
「俺達にチョコレートください!」
突然土下座しながら私にチョコレートを強請ってくる。 必死過ぎて引いたのは悪く無いよね?
「私チョコ持ってないよ」
そういうと何故か、この世の終わりでも見たみたいな顔になって全員が倒れた。
「ごめんねアイちゃん! 弟と桃ちゃん迎えに行ってたら遅くなっちゃった!」
葉月ちゃんが戻って来て私を呼ぶ、その声に少し安心して、私は走り寄る。
「うん! 早く行こう!」
とにかくこの場所から離れたい一心で私は桃ちゃん達を引っ張って校門まで走る。
「大丈夫?」
「何とか…」
何か怖かったなぁ〜 エテ山君達ってそんなにチョコレートが好きなのかな?
「あら? 門の前に車が止まっていますね?」
桃ちゃんの言葉で私達も門を見ると、黒塗りの高そうな車が止まっていた。
「あれ、うちの車だ」
車へ近づいて行くと、窓が開いて見知った相手が顔を出す。
「お迎えにあがりましたよ、アイさん」
「ライダーさん」
紫色の髪の美人で良く私の送り迎えをしてくれるお姉さんだ。
「シドゥリ様もご一緒ですよ」
「お姉ちゃんも?」
「お帰りなさいアイさん」
車の窓から顔を覗かせるシドゥリの姿に驚くアイ。
「ちょうど用事が終わったので、アイさんを迎えに来たのですよ」
「あ、お姉ちゃん。 桃ちゃん達とチョコレートを買いに行きたいんだけど、帰りにデパートに寄っても良い?」
アイの発言にシドゥリとライダーが驚く。
「もちろんです。 王もきっとお喜びになられるでしょう」
アイの発言から察した2人が嬉しそうに頷く。
何だろう? 2人の私を見る目が凄く優しいというか、なんて言うか生暖かいっていうのかな? そんな感じで私を見てるんだけど?
「桃ちゃん達も車に乗ってね」
とりあえず気にしない事にしとこう。
「はい」
「こんな高そうな車に乗っても大丈夫?」
普通の家庭では恐らく乗る事が無い様な高級外車に、幼い弟が粗相をしないか気が気でない様子を見せる彼女を気遣ってか、
「お気になさらず。 アイさんのお友達でしたら大歓迎ですよ」
シドゥリは笑顔で大人の対応を見せる。
「えぇと…お願いします」
大人の余裕を見せるシドゥリの姿に、顔を赤らめながら従うさつきの姿があった。
その後車に乗り込み、この町で最も大きいデパートである、バビロニアデパートへと車を走らせる。
「わぁ〜 やっぱりここ大きいね〜」
高級感溢れる巨大複合施設であるバビロニアデパートは、多くの人々で賑わいを見せ、特に今日は製菓関連の店舗が一際賑わいを見せる。
王さまに何回か連れて来てもらった事があるけどやっぱり大きいな〜 。
「え? ここってあの有名な超高級店が多く入ってるデパートだよね?」
連れられて来た場所が、まさかの超高級店であった事に固まるさつきとは対照的に、
「まぁ! 一度こちらのお店に来てみたかったのですよ」
上流階級出身の桃は興味深そうに周りを見回していた。
「お小遣い足りるかな?」
必要なものは何でも買ってくれるけど、お小遣いは毎回相談なんだよね。 王さまは子供が大金を持って金銭感覚を狂わせないためとか言ってたけど…
財布の中身を確認するアイに対し、
「ふふふ…代金については大丈夫ですよ。 私から皆さんにプレゼントさせていただきますから」
代金をシドゥリが受け持つ事を告げる。
「え! そんな…悪いですよ!」
「いえいえ、アイさんと仲良くしていただいているお礼も兼ねておりますのでお気になさらず」
高価な商品を購入してもらう事に焦るさつきに対して、シドゥリはそれを微笑ましいものを見る様に優しげな微笑みを浮かべながら宥める。
「こ、これは! シドゥリ様! 本日はお越しいただきありがとうございます!」
シドゥリが先頭に立ち子供達を案内していると、突然スーツに身を包んだ男性が、シドゥリの前に現れ頭を下げる。
「あら? これはこれは、支配人様。 本日はお世話になりますね」
頭下げる支配人と呼ばれた男性に対して、優雅な仕草で挨拶を返すシドゥリに子供達は呆気に取られる。
「はい! どうぞ心ゆくまでお楽しみください!」
「ねぇ アイちゃん…シドゥリさんって凄い人?」
「う〜ん 確か王さまの秘書?をしてるって聞いた事があるよ」
私がいる時はいつもお家に居てくれてるけど、時々パソコンや電話で忙しそうにしている時もあるんだよね。
高い地位にあるであろう男性がぺこぺこと頭を下げている姿から、シドゥリが何かさらに高い地位にいるであろう事が伺えたのか、さつきがコソコソと耳打ちをしてアイに尋ねる。
「いえいえ、私が凄いのでは無く王が凄いだけですので」
聞かれていたのか、アイ達の雑談にしれっとシドゥリが言葉を返す。
「どんなの買えば良いかな?」
「いっそ自分達で作っちゃう? 手作りのチョコのお菓子も喜ばれるよ?」
周りに並ぶ高級チョコレートを前に悩むアイにさつきが助言する。
「お菓子って自分で作れるの?」
お姉ちゃんに簡単なお菓子や料理を教えてもらってるから少しはできるけど…
「分量や時間に気をつければ簡単だよ」
「そうなんだ」
上手く出来たら…王さま…褒めてくれるかな?
「作ってみたいな」
「じゃあ材料だけ買って一緒に作ろ! 初めてならブラウニーとか良いよ!」
「とても楽しそうですね」
「それでは、家の設備を使われては如何ですか? 一通りの物は揃っていますよ」
アイ達の会話を聞いていたシドゥリが会話に加わり、マンションの設備を使う事を提案する。
「良いんですか?」
「えぇ、もちろんですよ」
再度確認をするさつきにシドゥリは笑顔で答える。
「それじゃあ折角だし、チョコは少し奮発して、ヤヤウキカンパニーの新作を買っちゃおうかな!」
「では私も同じ会社の物を買いますね」
何処かで見た覚えのあるマークの付いたチョコレートの箱を手に取り、嬉しそうにするさつきと桃。
その後支払いを済ませて、再び車にてアイの住むマンションへと車を回す。 なおその過程でさつきの弟を家の前で降ろしている事をここに綴る。
「それじゃあ作りましょうか!」
シドゥリに設備の使い方を聞いたさつきが率先して、お菓子作りの音頭を取って作り始める。
「今回使う材料はこちらです」
ミルクチョコレート 200g
お湯 (湯せん用・50℃) 適量
無塩バター 70g
砂糖 50g
牛乳 70ml
溶き卵 (Mサイズ) 2個分
ホットケーキミックス 50g
ココアパウダー 10g
アーモンドスライス 40g
チョコレートペン (白) 50g
「まず最初にチョコレートを刻みます」
さつきの指示に従ってアイと桃も包丁でチョコを刻んでいく。
みつきちゃんの言葉に従ってチョコを刻んでいくけど、手を切りそうでちょっと怖いなぁ。
「ボウルに刻んだチョコと無塩バターを入れ、湯せんにかけて溶かします」
手間取るアイとは対照的にさつきはテキパキと作業を進めていく。
「とても手際が良いですね」
「こうかな?」
葉月ちゃん凄いなぁ、私と違ってスイスイ作業をこなしてるなぁ。
「なじんだら湯せんから外し、溶き卵を少しずつ入れてホイッパーで混ぜます。牛乳を少しずつ加えて混ぜたら砂糖を入れてさらに混ぜます」
「こんな感じかな?」
「ホットケーキミックス、ココアパウダーをふるい入れ、ゴムベラで全体がなじむまで混ぜ合わせます」
ちょっと煙たい…
「型に生地を流し入れ、アーモンドスライスをのせます」
「少し溢れてしまいましたわ…」
「溢れたのは少しだけだから大丈夫だよ。次は170℃のオーブンで30分焼きます」
熱の入ったオーブン中で生地が焼けていき、甘い匂いが部屋中に充満していく。
「良い匂〜い」
甘く、香ばしい匂いに花をヒクヒクとさせながら湧き上がるのを楽しそうに少女達は和気藹々としながら待っていると、
「何やら良い匂いがするな」
匂いに誘われて来たのか、突如ギルガメッシュが現れる。
「あ、王さま」
あれ? 今日は早いね? いつもはもう少し遅い時間に帰ってくるのに。
「お久しぶりです」
「お邪魔しています」
家主であるギルガメッシュが現れた事に少し驚きつつも、さつきと桃の2人は挨拶を返す。
「良い、楽にせよ」
「お帰りなさいませ王。 本日はお早いお帰りですね」
「仕事が早く片付いた故に少々早めに帰って来たまでよ」
ギルガメッシュはペコリと頭を下げ臣下の礼を取るシドゥリに対し、楽にしろとハンドジェスチャーを返す。
「しかし…何やら今日はそこらかしこから、甘い匂いが漂っておるが何かあったか?」
不思議そうに言うギルガメッシュの様子から、今日が何の日なのか理解していない様子が見て取れる。
「ふふ…王、本日はバレンタインデーでございます。 今アイさんが王のために、頑張ってお菓子を焼いております故もう暫くお待ち下さい」
「お、お姉ちゃん!」
そんな風に言われると、うぅ〜ちょっと恥ずかしいよぉ〜。
「ほぅ…この我に献上するためとは関心であるな」
王さまは相変わらず偉そうに言い放つと、
「ひゃわ!?」
突然私の右ほっぺに指を這わせて…
「今はこれで我慢してやろう」
私の頬っぺたに付いていたチョコを指で取った後、ペロリと舐めた事に驚いたけど、それ以上に何だろう…顔が熱くなってきちゃった…
みつきちゃんと桃ちゃんが、何故か顔を赤くしながら私を見ているのは何でだろ?
「うわ〜…大胆…」
「うふふ…殿方にあの様な事をされたら照れますわね」
してやったりとした表情のギルガメッシュは手をひらひらと振りながら、励むが良いと言い残して部屋から出て行った。
「アイさん? 大丈夫ですか?」
心配したお姉ちゃんが話しかけてくるけど、今の私は何でだろう…恥ずかしい? 何か違う…だけどすっごく顔が熱い…なんで?
「桃ちゃん…」
「ふふ…そうですね…」
何かを察した2人はあえて何も言わずに、アイの肩を軽く叩き…
「もう少しで完成だから頑張ろう」
「応援してますわアイさん」
アイの応援をし、お菓子の制作の続きを促す。
「え? あ、う…うん…そうだね」
気を取り直して、再びアイ達は作業を続ける。
「焼き上がったら粗熱をとり、冷蔵庫で2時間ほど冷やし固めます。」
「うぅ〜 ちょっと焦げちゃった…」
オーブンの温度が少し高かったのか、アイのものは少し焦げていた。
「これくらいなら大丈夫だよ。 初めてにしては上手だよ」
「大丈夫ですよアイさん、それに私の方も少し焦がしてしまいましたので…」
落ち込むアイを2人がフォローし宥める。
「では冷えるのを待つ間にお片付けと、お茶にいたしましょうか」
シドゥリがテキパキと後片付けを率先して行い、同時にお茶の準備を行う。
冷え固まるまでの短い時間の間、シドゥリは学校での普段のアイの姿などを2人との会話から自然に聞き出し、以前の学校で行われていたイジメの様な事が無い事を知り内心で胸を撫で下ろす。
その後は和気藹々と女子トークを行っているとあっという間に時間が過ぎていき。
「では冷蔵庫から取り出す直前にチョコレートペンをパッケージの表記通りに溶かします。 その後型から取り出し、チョコレートペンをかけ、固まったら完成です」
「やった〜!」
「ほぅ…中々良く出来ておるではないか」
「わひゃあっ!?」
完成した事で気の抜けたアイの背後から、突如ギルガメッシュが音も無く現れた事に驚いたアイが少し変な悲鳴を上げてしまう。
「王さま!?」
いつの間にいたの!? 全然気づかなかったよ!?
「ぷくく…なに…何やら楽しそうにしている故に、邪魔をするのは少々憚られてな…先程までスタンバッていたにすぎん」
態々気配を消すという事までやっていたのは、少々意地が悪いと言えるかもしれんがな?と小さく呟くギルガメッシュの言葉はこの場の誰にも聞こえていない様であった。
「さて…折角完成したのだ、疾く献上するが良い」
ギルガメッシュの催促に応えて、固まったブラウニー切り分け、皿に盛って差し出す。
「では…いただくとするか」
何処となく気品溢れる仕草で、アイの作ったブラウニーをフォークで口へと運び咀嚼する。
「ふむ…少々香ばしいが悪く無い、褒めてやろう」
久しぶりに王さまに頭を撫でてもらう。 少し乱暴だけど嬉しいな…
「えへへ…」
「…(やったねアイちゃん!)」
「うふふ…(とても幸せそうなお顔ですね)」
顔を破顔させながら照れているアイの姿を2人は暖かな目で見守る。
その後ブラウニーを全て平らげたギルガメッシュは、さつき達と少しばかりの世間話をした後、遅くならない様に2人をライダーに車で送らせ、部屋へ戻り早めの夕食を済ませる。
疲れたのか、早めに就寝したアイを寝かせたシドゥリが、晩酌をしているギルガメッシュの側に寄り尋ねる。
「アイさんのお菓子は如何でしたか?」
「ふむ…少々焦げておったが食えなくはなかったぞ」
表面が少々焦げており、香ばしさが目立っておったが、まぁ問題あるまい。
「それは良うございます」
「あやつが我のものである自覚が芽生えてきたのは良い兆候よ」
「ふふ…相変わらず素直で無いですね」
いつもの調子で偉そうにふんぞり帰っている様子を見せるが、シドゥリからみた王の表情は僅かにだが微笑を浮かべている様にも見えた。
「何か言ったか?」
「いえいえ…王 よろしければこちらもどうぞ」
徐にシドゥリが差し出したのは、綺麗な包装の施されたチョコレートの箱であった。
「ふん…殊勝な事だ、まぁ…ツマミくらいにはなる故に受け取ってやろう」
少々乱雑に箱を受け取り、中のチョコを齧りながら酒を流し込むギルガメッシュの姿に口元に手を当てながら、まるで思春期の男性を見るかの様な柔らかな眼差しで見つめるシドゥリであった。
作者も可愛い女の子達からチョコレートを貰いたいです(泣)
今年も年始早々から大変ですが、頑張って投稿していきます!
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