季節ネタをやりたくて衛宮さんちの今日のゴハンを参考に書きました!
お楽しみいただけると幸いです。
季節は春、麗らかな優しい陽光が世界を照らし、春の訪れを告げる。
桜の花の芽吹き始める季節に女の子の成長を祝うお祭り、ひな祭りが行われる。
本日はアイの通う学校の教師、藤村大河の家にてひな祭りが行われており、
「タイガ〜 まだ動いちゃダメ?」
「んふふ〜 まだよ〜」
「ふふふ、もう少しで終わりますからね」
アイは大河の呼んだ着付け師の手によって和服の着付けを行われており、髪型なども手を入れているため時間がかかっている様だ。
「ほう、これが日本の伝統行事のひな祭りか」
異なる文化と時代の出身である我から見ても珍しい祭り故に、少々興が乗り辺りを見回す。
「おう! 久しぶりだなぁギル坊」
突如背後から不遜にも我を呼ぶ声がして振り向けば、
「雷画か…何…異国の出身の我からは少々物珍しくてな…」
深い皺が刻まれ、彫りが深く角刈り強面の老人が好好爺然とした表情を浮かべている、この家の主たる藤村雷画の姿があった。
この爺はこの辺り一帯に強い影響力のある昔カタギのヤクザであり、地元の名士でもある。
我もこの辺り一帯に支店や企業傘下の建物を建てる際に、土地の紹介及び交渉等で少々世話になった事がある故に好きに呼ばせている。
でなければ無礼打ちにしているところである。
ヤクザではあるが、そこらの不良ヤクザ共とは違い、テキ屋の管理や土地の貸し出しなどから資金を得て、地元住民達から頼られる今の時代では絶滅危惧種の任侠である。
我をあの様な不遜な物言いで呼べるの、今の時代であれば、この爺くらいであろう。
「そうかい、好きなだけ見ていってくんな。 昔職人に大河のために作らせた雛人形もあるぜ」
雷画の勧めにて見やれば、そこには少々古さは感じるが、今の今まで大切に手入れをされていたのが解る立派な雛人形が飾られていた。
「ほぅ、中々に手が込んでいるな」
「おうよ、何たって地元じゃあ知らねえ奴はいねぇ、有名な職人の手によって作られた逸品だからな!」
確かに時間を経ても品質の良さが解る故に、中々の腕前の職人なのであろうな。
「最近は孫息子が後を継ぐために頑張ってるから、その内代替わりをするだろうな」
などと世間話に乗じておれば、
「はいはーい! お姫様のお披露目よ〜!」
大河が、着付けの終わったアイの手を引いて現れた。
「タイガ〜 動きづらいよ〜」
全体的に桜の模様が描かれた薄いピンクの和服に身を包み、紅白の紐で帯は縛られ、腰には大きな赤いリボンの様な飾りがあり、髪は見事に結い上げられ、桜の花飾りの付いたリボンで団子の様に纏められ、同じく桜の飾りの付いた簪を刺すアイの姿があった。
その姿はとても似合っており、既に整い始めているアイの見た目の良さを引き立てるだけでは無く、少女らしい可愛さもしっかりと演出しており、知らぬ人間が見れば桜の妖精にも見える程である。
「え、えっと…王さま…どう…かな?」
顔を赤らめながら、恥ずかしげに感想を求めるアイに我は、
「ふむ…中々似合っておるではないか、良いぞ」
素直に褒めてやる。 実際にアイの紫がかった黒髪と和服はとてもマッチしており、ピンクという色も少女故の可愛さを引き立てており、文句無しに良いものである。
「良く似合っているぜ! 後で爺ちゃんと写真撮ってくれ!」
いやお前の孫はそこにおるだろう。
雷画はアイを孫の様に可愛がっておるせいか孫娘の大河よりも構っている様に見える。
コヤツ本当に孫と見ているのではなかろうか?
「えへへ〜」
嬉しそうに顔を赤らめながら照れるアイである。 そして我の下へと近寄って来ると、
「きゃんっ!?」
アイは着慣れない着物故にか、足元を滑らせる。
「おっと…気をつけよ」
無論直様抱き止めてやる…その際に更に顔を赤らめたのは見て見ぬ振りをしてやろう。
「あ、ありがと王さま…」
まったく危なっかしい奴よな。 我は再び転ばぬ様にアイの手を引いてやり、本日のメインイベントが行われる部屋へと連れて行く。
英雄王side out
アイside
先週の事だけど、
『あ、アイちゃん? 今度の週末なんだけどね、お兄さんと一緒にウチに来てくれないかな?』
っていう連絡がタイガーからあったから今日、約束通り王さまと一緒にタイガーのお家に来たの。
「わぁ〜やっぱり大きい〜」
「ふむ…中々趣きのある建物よな」
タイガーのお家は今私が住んでいる王さまのマンションとは違って、一階建の平屋?っていうんだっけ? 何か時代劇に出てきそうな凄く大きな木の家なの。
「おう、アイか 良く来たなぁ〜」
お家に入ると、ちょっと顔が恐いおじいちゃんが出迎えてくれた、この人は顔は恐いけど良く私にお菓子やお小遣いをくれたりして、可愛がってくれる。
もし…私におじいちゃんがいたらこんな感じなのかな?
「アイちゃん いらっしゃ〜い」
今日呼び出した張本人のタイガーが出て来て、
「アイちゃん…何も聞かずにちょ〜と着替えてほしいのよ」
出て来るなり、いきなりお着替えして欲しいと言われる。
「どーして?」
「良いから♪ 良いから〜♪ あっ、お兄さんはちょっと待っててね〜」
どこか楽しそうなタイガーが、王さまを残したまま、私の手を掴んで別の部屋へ連れて行かれると、
「あらあら 大河さん、とても可愛いお嬢さんをお連れですねぇ」
優しそうな笑顔を浮かべたおばさんが、私を待っていたみたい。
「それじゃあ、お願いしますねぇ〜」
何があるのか詳しい説明をされないまま、
「ウフフ、それじゃあ お着替えをしましょうね」
おばさんの指示に従って服を脱いで、着替えさせられる。
「ふぅ〜 これでよし! 大河さんお待たせ、終わりましたよ」
「わ!」
おばさんに連れられて、タイガーの待つ縁側に向かうと、
「ねぇタイガー…これ…」
「うんうん! お姉ちゃんとても良いと思います!!」
「ウフフ、素敵ねぇ、いいわねえ」
何だか良くわからないけど、褒めてくれるのは嬉しいかな?
「そ、そうかな?」
「さてと…アイちゃんの準備が出来た所で行こうかな?」
「行くってどこに?」
「まずは折角おめかしをしたんだから、お兄さんに見てもらいましょう!」
そう言って私が何かを言う前に、タイガーは私の手を引いて行く。
「はいはーい! お姫様のお披露目よ〜!」
「タイガ〜動きづらいよ〜」
前に浴衣を着た事があるけど、今着ている着物は浴衣よりも動きづらくて、足が上手く動かないので歩き辛い。
「え、えっと…王さま…どう…かな?」
タイガーに少し押される形で、王さまとおじいちゃんの前に出ると、
「ふむ…中々似合っておるではないか、良いぞ」
王さまが褒めてくれた。 なんだろう…嬉しいんだけど…顔が熱くなって来ちゃうのは何でだろ?
「良く似合っているぜ! 後で爺ちゃんと写真撮ってくれ!」
おじいちゃんも私の事を褒めてくれる。
「えへへ〜」
嬉しくて王さまの隣に移動しようとすると、
「きゃんっ!?」
いつもの洋服とは違って着慣れないからか、足を滑らせて転けてしまう。
痛みに耐えようと、ギュッと目を瞑ってたけど、痛みはいつまでも来ず…
「おっと….気をつけよ」
気づけば私は王さまの腕の中にいた、王さまが私を抱き止めてくれたおかげで痛い思いをせずにすんだみたいだけど…
うぅ〜…何でだろ…さっきよりも顔が熱いよ〜
「あ、ありがと王さま」
私はそのまま王さまに手を引いてもらいながら部屋へ案内してもらう。
アイside out
「うふふ〜 今日は女の子が主役のお祭りよ! と言うわけで士郎! よろしくね〜!」
部屋では既に大河がスタンバイしており、今日の日のために料理の準備などで強引に連れて来られた店主がいつもよりも更に仏頂面となっていた。
「藤ねえ…いつも言っているだろう? 何かある時はもっと早く連絡をくれと…仕込みだけなら兎も角、雛人形や部屋の飾り付けくらいは自分でやってくれ」
「まぁまぁ 藤村先生も悪気は無いのですから」
そんな仏頂面の旦那を嫁が宥めていた。
「桜はこういうのはりきるタイプだもんね〜」
良く良くみれば、赤い服を着たツインテールの女性がおり、彼女は桜の姉である凛である。どうやら大河の元教え子らしく、今回招待されていた様だ。
「姉さんは嫌いですか?」
「え? う、うぅん…私も…楽しい…かな?」
「仲が良いのは嬉しいのだが、2人共…出来れば手伝ってくれないか?」
「あ、ご、ごめんなさい。 直ぐ手伝います」
「はいはい、アンタも相変わらずね〜」
相も変わらず姉貴分には頭が上がらないのか、ブツクサと文句を言いながらもテキパキと仕事を熟す主夫の姿がそこにあった。
何だかんだ言いつつもマメな奴よな。
部屋に入れば花瓶には花を咲かせた桜が飾られ、他にも小さな男雛と女雛が飾られており、部屋の真ん中に設置されたテーブルの上には色鮮やかなちらし寿司や他にも可愛らしい手毬寿司など数々のご馳走が用意されていた。
「ふっふ〜ん 3月3日は桃の節句、ひな祭り。 女の子の健やかな成長と幸せを願ってお祝いするのよ」
「わぁ〜! 綺麗!」
初めてのひな祭りという事もあり、どうやらアイもお気に召した様だ。
「今回の催し物ですが…アイちゃんとお兄さんにも、日本の伝統文化を経験してもらうのも悪く無いわよね〜という私の思いつきで〜す」
確かに異国出身の我には少々関わりの少ない行事である故に、今回の様なイベントは言われねば、知らずにおったかもしれんな。
「ほぅ…中々に殊勝な心掛けであるな。それでは折角の心遣いだ、楽しませてもらうとしよう」
「きゃわぁ〜! これ可愛い〜」
アイの手元にはウズラの卵で頭を、薄焼き卵で和服を表現している雛人形を模した物があった。
「ほぅ、中々器用なものよな」
「あ、それは姉さんがつくってくれました」
「慣れない事はするもんじゃないわね…私も場の空気に呑まれたと言うか、感化されちゃったていうか…」
照れくさいのか、少々顔を赤らめさせながら凛は宣う。
「ね〜士郎〜これ甘酒よね? 白酒はないの? 白酒〜アルコール〜」
「藤ねえ…今日は彼女が主役なのだから少しは我慢したまえ…それにどうせ夜に飲むのだから昼くらいは抑えるように」
「ぷ〜士郎のケチ〜」
もはや見慣れたやり取りを行う2人。
そして、そんな店主にコッソリと耳打ちし、
「おい店主、今日掛かった費用は後ほど我に請求しろ、本日の催し物は中々愉快故に全額支払ってやろう」
「ほぅ、どうやら社長のお眼鏡に叶った様で、恐悦至極にございます」
慇懃無礼な奴ではあるが、今の我は気分が良い故に対して気にする事無く流してやる。
「士郎〜アンタねぇ…折角稼ぐチャンスなんだからしっかり請求するのよ! 何なら私が間に入ってあげても良いのよ!?」
どうやらどこの世界でも守銭奴なところは変わらずの様だ。
ふとアイを見やれば、
「美味しい〜」
幸せそうにちらし寿司を頬張っていた。 最近はこの様に彩り豊かなものであれば米を食える様になっており…ゆっくりとだが、コヤツも前に進んでいる事が見受けられる。
まぁ、まだ白米オンリーはもう少々時間が掛かる様であるが、そう遠くは無いであろう。
少々騒がしくはあるが、この様な祝いの席であるならば悪くは無いものよな。
遅くなりましたが、気分転換も兼ねて季節ネタの投稿。
あとはホワイトデーと花見もしたいなぁ。
Zero本編も頑張ります。
仕事が増えて忙しい…12時間拘束は辛いです…
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!
出久はONE for Allを
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継ぐ
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継がない
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後で継ぐ
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神砂嵐