今回はそんな暑い日乗り越える為のお話です。
梅雨…それは恵の雨の降り続く季節であり、農家や水生生物達にとって重要な季節となる。
しかしながら降り続く雨によって湿気が発生し、不快な蒸し暑さに参らされる時期でもある。
今回の話はそんな一時の話である。
「王さま〜 暑いよ〜」
降り注ぐ雨によって大量の湿気が発生し、蒸し暑いこの季節に参った様子を見せるアイの姿があった。
「たわけ、暑いのなら無理に引っ付くでないわ。 余計暑くなるではないか」
ソファに腰掛けタブレット片手に仕事を熟す我の直ぐ隣で、ぐったりとした様子を見せるアイに対し言い放つが…
当の本人はまるでダレた猫の様にグタ〜っとだらしなく寝そべっており、連日繰り返す蒸し暑さにダウンしている。
「王さま〜 クーラーもっと強くしようよ〜」
蒸し暑さに耐えかねたのか、部屋の冷房を強くする様に要求するアイだが…
「阿呆、冷房に頼りすぎると後々急な温度変化に対応出来なくなるであろう。 ましてや
部屋の空調は湿気取りの為に動かしているが、それでもやはり蒸し暑いのは否めない。
「ぷ〜 それでも毎日蒸し暑いのは辛いよ〜」
頬を膨らませながら尚も講義するアイの姿に苦笑する。
だがしかし確かに連日の蒸し暑さは不快ではあるな。
「ならば良いところに連れて行ってやろう。 シドゥリッ!」
指を勢い良く鳴らし、名を呼べば…
「お車の手配をいたしますね」
音も無く我の背後に現れ、出かける準備に取り掛かるシドゥリ。 相も変わらず有能な側近である。
「王さま、何処に行くの?」
「何…もっと熱く、そして…気持ちよくなれる場所だ」
この蒸し暑い季節にピッタリであろう。
そして普段通り、ライダーの運転する車に乗って辿り着いた場所は都心の一等地に存在する建物であり、その外観は五階建て、全面ガラス張りの近未来的な高級感漂う建物であった。
「ほれ、着いた故にさっさと行くぞ」
手慣れた様子で車内から出て、移動する為に建物をじっと見やるアイの手を引いてやる。
「王さま…ココ…何?」
まぁ、外観だけでは何の施設かまでは分からんであろうな。
「此処はサウナだ」
「サウナってあの暑い場所の?」
「あぁ…ただし、ここは我の会社の系列店である、紹介制の超高級サウナ『バビロン』である!」
「超高級サウナ?」
名前からわかる通り、此処の利用は高額で、完全紹介制のみであり、一般人は基本使用出来ぬのだ。
現在では、名だたる大企業の盟主や、所謂大御所芸能人やスポーツ選手。 他には人間国宝、歌舞伎役者などの有名人が利用する事が多い。 そう言えば最近は石油王のオジマンディアスもいたな。
「何せ入会金だけでも200万はかかり、使用するには300万はする年間パスポートを買わねば利用できぬ上に、会員からの紹介が無ければ入会すら出来んのだ」
我からすれば端金に過ぎんが、値段だけでも普通の一般人では手が出せない上に、会社間や何かしらの繋がりがなければいくら金があっても入会出来んからな。
「ぴぇっ!? そんなにお金かかるの!?」
金額に驚いたアイが鳥の鳴き声の様な悲鳴を上げる。 まぁ…金額自体はどれ程の物かはわかってはいない様だが、とりあえずかなりデカい金額であると言う事は理解出来た様だ。
「当然であろう。 設備はもちろん安全面や警備面でも最高クラスのセキュリティを誇り、選りすぐりの各種エキスパートを雇い、満足度は常に最高を記録しているからな」
「スゴイねぇ〜」
どうやら言葉だけではこの施設の凄さを理解出来ないのか、何処かポケーっとした表情をアイが見せる。
「まぁ、この施設ではデカい商談も良く行われる故、そう言う使い方もされるのだ」
文字通りの裸の付き合いと言う奴だな。 といってもここは混浴でもある故に、水着着用は必須だがな。
肉体の開放感から気が大きくなり、かなりの金額の商談が結ばれる事もある故、重要な施設である。
この施設ではその為の部屋もあるので、億単位の商談などよくある事でしか無い。
「とりあえずさっさと入るぞ、湿気が鬱陶しくてかなわん」
今は雨が止んでいるとはいえ、蒸発した水分で湿気が発生しておる故に鬱陶しい暑さとなっており不快である。
「は〜い」
自動ドアを通り、中へ入ると…
「わぁ〜涼しい〜、それに綺麗だねー」
空調がしっかりと効いているため涼しく、それでいて調度品などは洗練されており高級感溢れるラグジュアリーな空間となっている。
「いらっしゃいませ。ようこそ、サウナ 『バビロン』へ」
キッチリとした制服に身を包んだ1人の男性が現れ、ギルガメッシュ達を迎える。
「今日は此奴の会員証とフリーパスの発行をするぞ」
我とシドゥリは男に己の会員証を見せ、その後にアイの登録をさせる。
「かしこまりました。 直ぐにお手続きを行いますので、どうかこちらでお待ちください。 また係りの者がすぐ側におりますので、お申しいただけれは、お飲み物などをご用意させていただきます」
「シドゥリよ、お前に任せるぞ」
「お任せください」
アイの登録の手続きをシドゥリに任せ、我はアイの手を引いて適当な椅子へ腰掛け、すぐ近くの従業員に茶の用意をさせる。
それから暫くの間2人で茶を啜りながら待っていると、
「お待たせいたしました。 さぁ アイさん、コチラが貴女の会員証とフリーパスですよ」
手続きを終えたシドゥリがアイに会員証とフリーパスを渡す。
「では早速行くとするぞ」
「王、こちらを」
シドゥリは既に受付を済ませていた様で、2人分のロッカーの鍵と螺旋状の伸びるプラスチック製のブレスレットを我らに手渡してくる。
今の時代なら大抵の所で使われている物であり、施設内で財布としても使える便利な物だ。
「ご苦労、では中で落ち合うぞ」
いつまでも此処で屯うなぞ時間の無駄であるからな。
そうして、我はさっさと男性ロッカー室へと足を踏み入れ、手早く着替えを済ませ浴場へと繋がる通路を通り、入り口付近で暫し待つ事とする。
「王さま〜!」
待つ事数分、水着に着替えた両名が現れる。
ふむ…アイの奴は背伸びしたい年頃なのか少々おしゃまな水着を着用しており、まぁ…これからに期待だな、シドゥリは大人し目の水着で、肌の露出を抑えておるが、一部の透けるレース素材の部分が少々色気を感じるな。
それに流石にこの様な場所では、普段付けている口元の布も外しておる様だな。
「王、お待たせいたしました」
「良い、さてアイよ」
「なぁに?」
キョトンという感じで首を傾げながら我を見やるアイ。
「まずは軽く湯船に入り身体を清めると同時に温めるぞ」
そんな此奴に対して、我はまず軽くひとっ風呂浴びる事を告げる、サウナに入る前に必要な事である故にだ。
「あれ? サウナは?」
どうやら直ぐに直行するとでも思っていたのだろう、不思議そうな表情で此方を見やる。
「たわけ、先ずは何に置いても身体を清める事が先決よ、それにだ…身体を軽く温める事でさらにサウナの効果が上がるのだ」
「へぇー」
先に身体の汚れを落とし清め、身体を熱に慣らすのも兼ねて湯浴みを行う。
その為に通路を進み、その先にあるガラス戸を開けた先には、大浴場が広がる。
「わぁ〜 広〜い」
複数の湯船の存在する大浴場に驚くアイであるが、こんなものまだまだ序の口であるぞ。
この施設は敷地面積を広く取ってあり、階層ごとに複数の浴場とサウナや岩盤浴、マッサージなどの施設があるのだ。
「まずはマナーとして、掛け湯を行い身体の汚れを落とすぞ」
湯浴みの最低限のマナーとして、直ぐに湯船に入るのではなく掛け湯で汚れを落とす。
人として、最低限のマナーを守る必要があるのだが、
「うっひょー!」
粗野な雰囲気を醸し出す金髪の男勝りな女が湯船に掛け湯もせず飛び込む。
「偶にあの様な阿呆が来る事があるが…」
たまにあぁ言う阿呆もおるのだ…アレは確かイベントと、警備会社の大手の『株式会社 円卓』の社長の親族であったか?
「風呂に飛び込むな!」
因果応報と言うべきか、たまたま入っていたであろう長い髪の平安貴族を思わせる様な女性に往復ビンタを喰らっている。
「あぁいう阿呆みたいにお前はなるなよ」
「うん…」
流石にあの光景は無いと思ったのか、少々引き攣った表情でアイは頷きを返す。
気を取り直し、掛け湯を行い、湯船に入り湯の温かさを感じる。
「気持ちいいねぇ〜」
まるで警戒心の無い猫の様なふやけた表情を見せるアイ、それも当然であろう。 何せこの施設の湯は天然温泉を使っているのだから。
東京は大体1000m以上掘ればかなりの確率で温泉を掘り当てられる故に、当然この施設の湯も贅沢に掘り当てた源泉を使用しておるのだ。
そして軽く身体を温めた後に、
「よし、次はサウナに入るぞ」
2人を連れ立って目的であるサウナへと足を踏み入れると、そこには複数人の男女の姿があった。
「あら? ギルガメッシュ殿ではございませんか、お久しぶりですね」
先程金髪の粗野な女を叱っていた女性、古典芸能に関わりが深くまた、その関係で旧家との繋がりの深い『株式会社 源氏』の女社長 源 頼光が話しかけてきた。
「頼光殿か、久しいな」
「本日は可愛らしい方をお連れの様で」
「あぁ、そう言えば紹介しておらなんだな…アイよ自己紹介せい」
「星野アイです! 今日は王さまに連れて来てもらいましたー」
「ふふ…とても可愛らしい子ですね」
顔を綻ばせながら小動物を愛でるかのような表情でアイを見やる頼光。
「そう言えば、其の方は高温サウナの主…サ主と聞いている、こちらのサウナはいかがかな?」
この施設のサウナは此処だけではなく、もっと温度の高いサウナもあり、他にも様々な種類を保有している。
「ふふふ…もう少し…熱い方が好みですね」
普段はもっと高温のサウナにいる事の多い彼女が初心者でも入れるこのサウナにいるのが少し珍しく感じた。
「いつものサウナは残念ながら点検中のため、今日はこちらを楽しむ事としました」
「なるほどな」
「私も熱いのが好みだ。 この程度の温度で満足しているとは、『経済界の英雄王』も名ほどではないな」
頼光との会話中に横槍を入れて来たのは、これまた先程の粗野な女の親族であるオルトリアであった。
確かもう1人双子の姉である、アルトリアはどうやら本日は来ていないようだ。
「なに…身に相応というものがある、サウナも然り、競争では無い」
少しばかり険悪にも見える2人の会話中に、
「ひゃっはー! こっちのサウナは初めてだな!」
先程の粗野な女ことモードレッドが勢い良くサウナ室の扉を開けてダイナミック入場を行って来た。
「身体は流したのですかモードレッド?」
あまりの傍若無人っぷりに顔を顰めながら質問を頼光が行うが、
「え〜? 風呂入ったしまだるっこしいぜ!」
笑いながらタオルを絞り、水分を床にぶち撒けるモードレッド。
「サウナ室でタオルを絞るな馬鹿者ッ!」
先程と同じく容赦の無い往復ビンタをくらって涙目になる。 学習能力の無い奴よな…
「やれやれ騒がしいことだな、サウナ室は私語厳禁だぞ」
見覚えのある褐色白髪皮肉屋な男、居酒屋の店主が現れる。
「ほぅ…誰かと思えば店主では無いか」
「フッ…本日は当バビロンのサウナにご来場いただき誠にありがとうございます。 私が熱波師を務めるエミヤだ」
「お前は何処にでもおるな?」
最近コイツと会う頻度が多いのだが、コイツ…居酒屋店主以外に何をやっておるのだ?
「何、最近血の繋がらない妹が出来てな…稼げる内に稼いでおこうと思って此処に応募したのだよ、資格も持っている事だしな」
我が言えたギリでは無いのだが…血の繋がらない小学生にしか見えない義姉に襲われたり、嫁の姉やその姉の海外の友人の金髪ドリルに襲われたりしているのにここに来てまた厄介ごととはな…波瀾万丈であるな。
「さて社長…サウナ王でもある事を噂には聞いている」
「ふん…御託は良い、せいぜい期待しておいてやろう」
店主が片手に待っていたバケツを床に下ろし、柄杓を入れ中の液体を汲む。
「さてアイよ、お前には少々熱いやも知れぬ故、シドゥリの背中にでも隠れておるが良い」
我がいるのは最も熱い最上段故に、一番下にいるシドゥリの背後にアイを隠させる。
「は〜い」
大人しく我の指示に従い、アイはシドゥリの背中に隠れる。 コヤツは今回が初めて故に耐えられるかわからんからな。
「本日の目玉は薔薇とレモンでフレーバーを付けたアロマ水だ、これを天然石へ掛けていき蒸気を発生させ発汗を促進させていく、疲労回復と睡眠改善が期待できるが…」
大胆不敵にも鋭い目つきで我を睨み、
「汗の貯蔵は十分か、社長?」
「知れた事!」
「では…行くぞ!」
柄杓いっぱいに汲まれたアロマ水が熱せられた天然石の上に掛けられ大量の水蒸気を発生させる。
繰り返す都度にギルガメッシュの余裕のある表情は険しくなっていく。
「通常は三杯が目安…まだ! まだ入れるのか!?」
繰り返される事五度目、室内の温度は最高潮を迎える。
「耐えられるか社長! 鉄をも溶かす体感温度よ!」
「「あっつ! あっつあつ!」」
男性陣が熱さに耐えきれず、サウナ室から逃げていくのに対し、
「中々堪えますねー」
割と涼しい顔を見せるシドゥリの姿と、
「熱い…けどまだ頑張れる」
そのシドゥリの背後に隠れ我慢しているアイの姿があった。
「ほぅ…最上段に3人も残ったか…それに子供まで耐えるとはな…」
「サウナは『熱ければ熱いほど良い』貪るのならここしかあるまい」
「エミヤ…最高の熱波…受けて立ちましょう」
「ぬるい」
三者三様の様子を見せる。
「フフ…忘れてはいまいな…まだロウリュの段階…本番はこれからだ!」
不敵な笑みを浮かべたエミヤがもっていたバスタオルを高速で振り回す! 高速でバスタオルが振り回される事で室内の熱気が動き、熱波が生まれギルガメッシュ達を襲う!
「ぬうううううッ!」
高温の熱波を全身に浴びる事で肌を焼かれるような熱さを感じ、全身から大量の汗が吹き出す。
「どうした!? ここで腰が引けては名が廃るぞ!」
「応ッ!!」
エミヤがバスタオルを両手で持ち、大きく振りかぶって…
「行くぞ! 『無限の熱波錬成』ッ!!」
一気に振り下ろす!
全身に熱波を浴び熱さによって苦しみを感じつつも、代謝の促進によって体内の不要なものを押し出している感覚に開放感と快楽を味わっていると、
「おかわり」
突如オルトリアが両手を上げて熱波のおかわりを望む。
「ほぅ…強がりではないのかな? オルトリア嬢よ?」
自らも滝汗を流しながらも不敵な笑みを向けるエミヤに対し、
「私は熱いのにはめっぽうつよいのです」
平然とした表情で言い放つオルトリア。
「良かろう! ではいくぞッ!!」
そんな彼女に応え、再びバスタオルを高速で振り回すエミヤ。
そしてまるで台風の如く熱波が暴れ、ギルガメッシュ達に襲い掛かる。
「フッ…これでアウフグースは終了です、退室の際は水分補給をしっかりとするように…」
「熱かった〜」
シドゥリの背中越しとは言え、大人ですら退出する高温と熱波を浴びても耐えているアイは何気に根性があるなと思いつつ、
「そして…まだ終わりでは無いぞ! バビロン特性絶対零度水風呂だ!」
エミヤの示す場所には水風呂があり、一見すれば普通の水風呂に見えるが、
「うっひゃーっ!?」
「あら? 氷が…」
頭から被った水には氷が混じり、
「フフ…最高の熱波には最高の冷たさを、アウフグースに合わせて調整してもらったのだ!」
薄らと氷の浮かぶ極寒の水風呂に浸かれば、
「あぁ、火照りが…鎮っていく…」
「あっという間に気管が凍りつく、これだけ冷たければ沈む時間は僅かで良い」
灼熱の熱波を浴び、全身に蓄えた熱気が一気に奪われていく…この感覚はたまらないな。
「冷た〜い!」
深さがあるのでシドゥリと一緒に入っているアイは少し楽しそうに冷たさに驚いている。
「これは…最高ですね…」
どこかうっとりとした表情のシドゥリ。
全身の熱をあっという間に奪っていく感覚に襲われる中、
「ぬるいな」
オルトリア1人だけが平然と宣う。
「ひょっとしてオルトリア殿は少し鈍いのではありませんか?」
先程の灼熱の熱波を浴びても極寒の水風呂に入っても、物足りなさそう表情を見せるオルトリアに流石の頼光でも信じられない表情で見てしまう。
「思った事を述べているだけだ、失礼な」
「なんだか普段よりサ室が熱かったゼェー! 水風呂だ水風呂!」
声高々にサウナ室から出て来たモードレッドは汗も流さずに水風呂に勢い良く飛び込む!
「イェーイッ! ちべてェーッ!」
飛び込んだ事で波が発生し、周りに水が飛び散る。
「水風呂に飛び込むなーッ!」
学習能力が無いのか、またもや頼光を怒らせて往復ビンタをくらって涙目になっているモードレッドであった。
「まぁ…頭まで潜ると気持ちは良いがな」
「楽しそうだねー」
どこか呆れた表情を見せるアイ。 子供にすら呆れられるとはな…
「さぁ、この後は外気浴で身体を休ませると良い」
アイとシドゥリを連れ立って外気浴室へと足を運び、リクライニングチェアへと寝そべり、流れる外気を感じる。 なおその際我のすぐ隣に抱きつく様にアイも寝そべる。
「気持ち良い…」
身体を血流が迸る…風と一体となる不思議な皮膚感覚…全てを『是』とするこの感覚…
これぞ…まさに…
「フフ…快楽を貪っているなオルトリア嬢…だが何か一つ忘れてやしないかね?…それはこいつだッ!」
エミヤが取り出したのは葉の付いた枝を複数まとめたものであり、その名は…
「『ヴィヒタ』ッ! オルトリア嬢! こいつでお前の血行を最高潮に調律してやるッ! 覚悟は良いか!」
「うむ、かかって来るが良い」
「でりゃああああああああああああッ!」
寝そべり、背を向けたオルトリアの背をヴィヒタでひたすら打ち、刺激を与え続けるが、
「あんまり効かないな、もっと強く」
平然とした表情でさらに強く要求するその姿に、
「やはり…彼女は鈍いのでは?」
どこか呆れた表情の頼光がギルガメッシュに問う。
「左様だな…」
その後は同じ行動を2度3度程繰り返し、身体の血行を極限まで良くし、
「さて…最後の楽しみといこうか」
たっぷりと汗を流した後は、食堂にて食事を取る事とする。
この施設の食堂の食事も店主…エミヤが監修しているので、味にハズレは無く、また漁港などの生産地との直接契約もしており鮮度抜群である。
我は凍ったジョッキに並々と注がれた生ビールを一息に飲み干す。
「くはぁっ! たまらん! これは悪魔的だ!」
キンキンに冷えたビールが渇いた喉を潤し、汗を大量にかいた事で干からびた身体に水分補給を行い生気をとりもどさせる。
「おいしい〜」
アイもくぴくぴと可愛らしく渇いた喉にジュースを流し込み身体の乾きを癒す。
「ふふ…少々はしたないですが、サウナの後の一杯は堪らなく美味なものですね」
色気のある仕草で刺身を肴に日本酒を味わう頼光とシドゥリの二人組と、
「まったくだ」
もっきゅもっきゅと両頬をリスのように膨らませながら海鮮丼を頬張るオルトリア。
「休みの日とは言え、昼間からサウナを楽しみ、酒を飲む…これに勝る快楽はそうはあるまい」
我も注文した肴を少しづつ摘み、酒と肴を交互に楽しむ。
高級会員制サウナ故にトラブルも少ないのだが、
「オイッ! 私を誰だと思っているんだ!? お前なんか四宮の下請けだろうが!私に酌くらいするのが礼儀だろうが!」
たまに此処を利用する資格など無いのに強引に上下関係を利用して入ってくる愚か者もおるのだ、今連れの女に対して怒鳴っているような救いようの無いゴミの様にな…
しかも良く見れば長兄の腰巾着…ドブ鼠の四宮青龍か…アレに此処の会員資格は無いハズであったが…剣幕から見るにまた四宮の権力にものを言わせたか…
「やれやれ、折角の気分が台無しであるな」
本来ならば我手ずから捌いてやっても良いのだが、
「アイよ、此処で要らぬ争いをするとどうなるか見ておけ」
「?」
そう言って未だに怒鳴り続ける愚か者を見やると…
「君は圧政者だね?」
「ひぃっ!? な、何だお前は!? わ、私を誰だと思って…」
その漢はーーー
身長2mを超えるだけでも圧巻であるのに、身を包むスーツは最早可哀想に思える程に筋肉によってピッチピチであり、更にまるで貼り付けたかのようなアルカイックスマイルを見せつけるマッチョネスがいつの間にか現れ。
「圧政者よ汝に我が抱擁を!」
「ちょっ!? ヤメッ!」
「A☆SAYッ!!」
全力で抱きしめられて悶絶した後に、まるでお気に入りのぬいぐるみを抱くかの様に抱き抱えられて何処かへと消えていった。
「フッ…愚か者の末路に少しばかり溜飲が下がったな」
「またあの方ですか…最近は四宮の御当主殿の入院もあって名が落ちるばかりですね…」
「フン…分部不相応にも程がある…あの様な小物が此処を利用するのは不愉快だ」
「まぁ、先程のやらかしで出禁であろう…マナー 一つ守れぬ愚か者など必要無い」
多少のアクシデントはありはしたが、その後は美味い酒と肴、食事にて気分を直し、気分良く帰宅する流れとなる。
「気持ち良かった〜」
どうやらアイも満足した様である。 この様子ならば連れて来て正解のようであるな。
「お前の会員登録も済んだ故にまた時間があれば連れて行ってやろう」
「うん!」
まだまだ暑さは続くが、たまにはこの様な日も悪くはあるまい。
調べてみたら本当に入会金だけで200万もする高級サウナが東京の恵比寿にあるみたいですね。
皆さんはサウナはお好きですか?
名古屋の方ではマイナスの世界を味わえるサウナもあるそうです。
これから夏も本番に入りますので体調にお気をつけください。
出久はONE for Allを
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継ぐ
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継がない
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後で継ぐ
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神砂嵐