天に輝くは黄金の北極星   作:帝月

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キャスターのいる場所に着くまでに起きたイベントです!

レースの描写ってこれで大丈夫かな?


『峠最速伝説頭文字『E』』

夜の峠道…闇に覆われた暗闇の道を一台の車が爆走する。

 

「助けてええええええええええっ!」

 

殆どブレーキを掛けず、カーブを曲がる際のドリフト走行の際に使うくらいだが、その際の強力な負荷によって身体が強かに打ち付けられる度に後部座席の2人から悲鳴が上がる。

 

「今夜の私は誰も止められないわよーーーっ!」

 

運転している当の本人は、背後の2人の様子など知った事かとばかりにハイテンションでさらにアクセルを踏み込む。

 

「英雄王の運転もヤバかったけどコッチも大外れかよおおおおっ!」

 

「うっぷ…」

 

車の軌道は最早絶叫マシーンの如く、縦横無尽な動きで爆音を轟かせながら走る。

 

その代償に後部座席の2人は既にグロッキー状態となっている。

 

「よく免許取れたな…」

 

そんな雁夜の呟きに…

 

「免許? まだ持って無いわよ?」

 

あっけらかんと無免許である事を告げるアイリスフィールの言葉に2人は揃って絶望の表情を浮かべる。

 

「ちょ! 待てよ! アンタ無免許なんかい!?」

 

「ここ法治国家よ!?」

 

今の状態で警察に捕まったら面倒な事になると考えるが…その反面この地獄から解放されるのならそれもアリかと雁夜は考える。

 

「大丈夫♪ だって私上手だから♪」

 

悪びれる様子一つ見せずに、どっかの最強みたいなセリフをほざくアイリスフィールである。

 

「頼むから運転変わってくれぇぇぇぇえっ!」

 

後に語る…雁夜はこの時本気で死を覚悟したと。

 

そんな時…

 

「あっ…追い越し…この野郎」

 

突如現れた2台の車がアイリスフィールの運転するベンツェを追い抜く。

 

一台は白と黒のツートンカラーが特徴的なAE86スプリンタートレノ。

 

もう一台は漆黒のBNR32 スカイラインGT-R。

 

この2台に追い抜かれたアイリスフィールの表情…というか画風が変わる。*1

 

「アイリスフィール?」

 

隣の助手席で見ていたセイバーが話しかけるが、

 

「ちょっと本気出すわね」

 

そう言った次の瞬間に慣れた手捌きで、車のギアを動かしアクセルをさらに強く踏み込む。

 

「ドワォッ!!」

 

「きゃあ!?」

 

車が操縦者の意思に応えるかの様に、そのエンジンをまるで獣の唸り声の如く咆哮させる。

 

「………」

 

前を走る2台の車を操縦席から睨むかの様に、真剣に見つめて操作を行うアイリスフィールの姿に歴戦の強者であるセイバーも息を呑む。

 

それはセイバーだけでは無く…

 

「ん? さっき追い抜いたベンツェか?」

 

「何だあの車…俺らと張り合うつもりか?」

 

互いに鎬を削り一進一退の攻防を繰り広げていた2台の運転車もまた背後から近づいて来る気配に気づく。

 

「おもしれぇ! 付き合ってやるよ!」

 

「結構上手いな…」

 

片方は火がついたかの様に苛烈に、

 

もう一方は冷静にかつ、楽しげに背後に迫りつつあるベンツェに反応する。

 

3台の車が漆黒の闇の中、誰1人として先頭を譲る事は無く、お互いに付かず離れずの距離を保つ。

 

先頭の漆黒のGT-Rがコーナーに入り、ドリフトを行えば後ろの2台も同じくドリフト走行を行い、カーブを曲がる。

 

しっかりと前輪に荷重を移して頭を突き入れ、遠心力で振り出された後ろ半分をカウンターステアを切り安定させる。

 

車体が綺麗に横を向く。 絵に描いたような派手なドリフトでクリッピング、最もコーナーのイン側に寄るポイントを通過すると、大きくアクセルを開け大馬力を活かしてロケットのように立ち上がる。

 

その際に86はガードレールスレスレでコーナーを曲がり、アイリスフィールの運転するベンツェもまた最小限のコースでカーブを曲がる。

 

このどちらの車の操縦者も尋常では無い腕前である事が見受けられる。

 

3台の車のドリフトによって巻き起こる白煙が闇の道を彩る。

 

「楽しいな」

 

並の相手なら、この時点で勝敗は明らかになっている。

 

まだ鬼ごっこを続けさせてくれるなら…やはり期待した通りの相手というわけだ。久々の獲物と呼ぶにふさわしい相手の出現に、男の闘争心が掻き立てられる。

 

だが二つ目のコーナーを抜けた後気付く。

 

「!?(差が詰まってる?)」

 

ヘッドライトの光でしか位置を確認できなかったはずの2台の車両が、今は直接見えるようになっている。

 

そんなはずはない…とアクセルを踏みしめる。 だがヘアピンカーブに差し掛かり車を横に向けた時、己のすぐ後ろで、今まさにターンインに入ろうとする86とベンツェの頭をはっきりと視界にいれてしまう。

 

「追いつかれた!?」

 

今まで経験したことのない状況に、男の額に冷や汗が一筋…音もなく流れた。

 

有り余るパワーで暴れる車を抑え込むのにタイヤのグリップを割いているため、車が前に進めない。

 

並のドライバーならとっくに限界を超えてスピンしているであろうが、それを操るあのGT-Rの操縦者ならギリギリでそれを抑え込めてしまう。

 

86の操縦者はGT-Rの操縦者に対してそんな一種の信頼を持つ。

 

だが…GT-Rの非常に高い旋回性能と男のコントロール能力、皮肉にも両者が悪い方向で噛み合い、足の引っ張り合いになってしまっている。

 

そして抜け出る最適な瞬間を虎視眈々と狙う。

 

「……(これなら、次で届きそうね…)」

 

アイリスフィールは前を走る2台の車の操縦者の技量に関心しながらも、冷静にレースの展開を見つめる。

 

迫る二連続のヘアピンの一つ目に、アウトからインへとGT-Rが切り込んでいく。

 

86の方はブレーキングを遅らせてGT-Rに接触しないギリギリ外側をすり抜けながら、4速から3速へシフトダウンしつつアウト側を駆ける。

 

一つ目の出口で並び、左右の入れ替わる二つ目のヘアピンでイン側を取りに行く戦術である。

 

クリッピングにつかず、アウト側を目いっぱい使って速度を稼ぎ、コーナー勝負では不利な側にいながらも二つ目のイン側に何とか86の鼻先をねじ込む事には成功するが、GT-Rも前には行かせまいと加速を始めている。

 

そしてその直ぐ後ろを、獲物を狙う狩人の様に冷徹な視線で睨むアイリスフィールの姿が見える。

 

前に出る事に成功した86だが、まだ追い抜けたとは言えない。

 

2連続ヘアピンを抜ければ、次はこのコース最長の直線であるストレート。実際には緩やかに曲がっており厳密には直線ではないが、それでもこのコースで最もスピードが乗るポイントだ。

 

左車線にへばりつくようなライン取りで精一杯加速する2台の右側に、今度はGT-Rが頭を捻り込みに来る。

 

2速での立ち上がり、3速への切り替え直後までは86が優勢だったが、ブーストさえ立ち上げ終えてしまえばターボ車の爆発力には敵うはずもない。

 

加速力だけで言えばベンツェも負けてはいないが、いかんせんまだ勝負を決め込める様なコースでは無いため今はまだ大人しく86の背後にピッタリと着く。

 

「もう少しね…」

 

先ほどの苦労はなんだったのかと、容易く前に出なおしたGT-Rだが、ここで抜き返されるのは想定済みである。

 

そう…このストレートの終点である左コーナーにはミゾが、排水用の小さな側溝が彫られている。これを利用する為に、このストレートで付けられる差を最小限にするのが目的でいったん前に出たのである。

 

だが…それを目的としていたのは86だけでは無い…

 

ブレーキランプを点灯させたGT-Rの左側に突っ込んでいき、インに並ばれた事でアウト側よりへの走行ライン変更を余儀なくされたGT-Rをよそに自身も減速にかかる。

 

「今よ!」

 

アイリスフィールは待ってましたとばかりにアクセルを深く踏み込み、限界まで加速させる。

 

「ぎゃーっ!? ブレーキ壊れたのか!?」

 

その突然の加速に涙を流しながら雁夜が悲鳴を上げる。

 

「「何っ!?」」

 

無論この暴挙に驚いたのは雁夜だけでは無い。

 

86とGT-Rを操縦していた2人の男達もまた目を見開く。

 

完全にオーバースピードでの進入となるが、

 

ゴトンッ!っという衝撃と共に車の軌道が見事なカーブを描く。

 

目論見通り溝に引っ掛けられたタイヤの抵抗が、本来の限界よりも少しばかり速い速度での進入を可能とした。

 

「やられた…」

 

86の操縦者は自分がやろうとしていた事を先にされた事で頭を軽く掻きながら呟き。

 

「うぉっ!? やべ!?」

 

GT-Rの操縦者はその光景に驚きを隠せずにいたせいか、ハンドル操作を誤り、ガードレールに車体をぶつけてしまう。

 

「やっちまった…とほほ…板金代…7万か…」

 

怪我は無いが、ガードレールにぶつかった事で凹み、擦れた部分を見て泣きそうな表情で呟く。

 

ゴール前に詰めかけたギャラリーが、2台を置き去りにして飛び出していったベンツェを大歓声で見送る。

 

峠でのカーチェイスで、抜きつ抜かれつの白熱した展開などそう滅多に見られはしない。

 

珍しいものを見られた幸運に沸きたつ無関係なギャラリーの間で、バトルの様子を実況するために配置された連絡員が、震える手でトランシーバーを操作する。

 

「マジかよ…こちらゴール前…今一台のベンツェが通過した…2人揃って抜かれちまった。あっけなく…インから、スパーっと…な」

 

自分達の事など知った事かとばかりに純白のベンツェはさらに加速し、走り去って行く。

 

この日…一つの伝説がうまれた。

 

*1
(チョメチョメD的な画風)




チョメチョメD風に書いて見ました!

原作でも運転のヤバいアイリスフィールはこの世界でもヤバかった…

なおステイナイトのイリヤは実は免許持っているんですよね…

母親は免許持ってないんですけど。

見た目は小学生くらいにしか見えないロリっ子なのに…どうやって取ったのだろう?

遠坂時臣はどうする?

  • 顎髭を引っこ抜く
  • アッー!(笑)
  • 傀儡化
  • 時/臣になる
  • 賢い時臣は逆転の秘策を思いつく
  • 残念!だが現実は非情である
  • 処す?処す?
  • 英雄王に裏切られる
  • まぁ…そうなるな
  • 嫁の怒り炸裂!
  • 時臣離婚の危機!?
  • 雁夜と肉弾戦
  • からのキン肉バスター!
  • またもやうっかりをやらかす!
  • ヤローオブクラッシャー!
  • 優雅たれ(服が破ける)
  • 時臣アウト〜
  • タイキックッ!
  • それでも私は
  • 神砂嵐ッ!
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