天に輝くは黄金の北極星   作:帝月

35 / 65
時間が掛かった上に短くてすいません!

次話を早く投稿出来る様に頑張ります!


『解放そして討伐へと』

「さて…戦力は多いに越した事は無い故に使える手札を増やすぞ」

 

「増やすってどっかの陣営と同盟でも組むのか?」

 

頭に疑問符を浮かべながら質問をする雁夜。

 

「阿呆、キサマの駄犬がおるではないか」

 

そんな阿呆に呆れた表情を向けながらも答えてやる。

 

「バーサーカーをか? 確かに強力な英霊だけど、俺じゃ手に負えないぞ」

 

魔術師モドキから見習い魔術師程度になったとはいえ、雁夜の魔力生成量も操作も未熟なのは百も承知。

 

当然バーサーカーをフルスペックで使おうものなら数分で干からびる。

 

ただし『バーサーカー』ならな…

 

我は『王の財宝』(ゲート・オブ・バビロン)を開き、中から輝く光球が詰まったビンを取り出す。

 

「これはシャルルマーニュ12勇姿の1人アストルフォが月へ向かった時に手に入れたとされる理性が詰まった物だ」

 

ローランの歌という叙事詩においては月には失われた物が集まるという伝説が存在し、アストルフォは失恋によって失われたローランの理性を探しに月へと旅立ち、

 

失われた理性を見つけビンに閉じ込めたという逸話がある。

 

これはその逸話から発生した派生系の道具であり理性を強制的に取り戻させる効果がある。

 

「コレを使いバーサーカー…ランスロットを正気に戻して使うぞ」

 

バーサーカーでは雁夜の魔力量ではフルスペックで使えないが、狂化を解除しても元は最強の騎士とまで謳われた存在だ、スペックダウンをしても十分活躍は出来るだろう。

 

「わかった、少しでも力になれるなら喜んで協力させてもらう」

 

雁夜が魔力を周してバーサーカーを実体化させる。

 

「………」

 

ヘルメットに阻まれて解りづらいが、バーサーカーは眼光鋭く我を睨み臨戦体制に入ろうとする。

 

当然それを予期していた我が無策などという事はなく、

 

『魔狼縛りし魔法の紐』(グレイプニル)

 

かつて魔狼フェンリルを『神々の黄昏』(ラグナロク)まで捕らえ続けた荒縄、狂戦士となった事で獣同然となったバーサーカー事ランスロットにはしっかりと効果を発揮し、縛り上げる。

 

「◾️◾️◾️◾️◾️ッ!」

 

獣染みた叫びをあげながら脱出をしようとするが、荒縄はビクともせずに狂戦士の動きを封じる。

 

「そら、さっさと理性を取り戻すが良い」

 

ビンを開け、中の光球を一つ取り出し放り投げる。

 

すると光球はランスロットの頭に吸い込まれていき、

 

「何故…何故だ…何故私の狂化を解いたッ!?」

 

開口一番に怨嗟の叫びをあげる。

 

「狂気こそが私の救いッ! 救いの揺籃だ! 獣であれば迷わずに済むッ!」

 

狂化から解放されたにも関わらず尚も呪詛の念を吐き出し、怨嗟の叫びをあげ続けるその姿に、

 

「ッ!」

 

雁夜は気圧され、後ずさる。

 

「迷わなければ苦しまず、何も望まれず、何も託されなずに済んd…『喧しい!』ヘブっ!?」

 

拘束されながらも尚狂った様に叫ぼうとするが、それは黄金の王の振るった『ソレ』に中断させられる。

 

スパーンッ!と小気味の良い音をたてながら振り抜かれたソレは、

 

「金ピカのハリセン?」

 

『エクスカリパー』と銘を名付けられた無駄に黄金に輝くハリセンであった。

 

「なっ!? 何をッ!? ぐぇっ!」

 

尚も口を開こうとするランスロットに追撃を喰らわせる。

 

「喧しいと言ったであろう? 駄犬」

 

呆れた表情のギルガメッシュではあるが、眼光は鋭く有無を言わさないと目で語っていた。

 

「キサマの後悔などどうでも良い、そもそも所詮は己の所業の結果であろう?」

 

コイツのやった事は国を滅ぼす原因となったのだが…浮気だけでは無く、他にも息子の育児放棄、同僚の殺害、罪人拉致からの逃亡等々ハッキリ言って、百回首を刎ねられても文句は言えんよな?

 

「そもそも貴様を罰っしなかったのは、政治的な判断も入っている事くらいはその残念な頭でも理解しておるであろう?」

 

騎士王がこの駄犬を処罰しなかったのは本人の申し訳なさだけでは無く、その当時元々フランスの一領主であったランスロットは食料の輸入などの窓口となっていた故に、もし処刑してしまえば食糧難の続く当時のブリテンでの食糧輸入が出来なくなる為処刑が出来なかったのだ。

 

「グゥッ!」

 

ランスロットは苦虫を噛み潰した様な表情で我を恨めしそうに睨みつける。

 

「そんなキサマに我からのありがたい提案だ」

 

「提案?」

 

「我に従え、従うのならばキサマの願いも叶うであろう」

 

コイツの願いはアーサー王による断罪…と言ってはいるが本音は罰っされる事で赦しを得たいのだろう。

 

こういうクソ真面目な奴程罪の意識に苛まれ、自己嫌悪と罪悪感で精神的に追い込まれやすい。

 

罰を受けないのもある意味では、罰と呼べなくも無いな。まぁこう言うクソ真面目な奴位にしか通じんがな。

 

罪を犯して赦された奴が処罰を望むのは、ある意味自己満足とも取れる願いであるな。

 

「私の願いが…叶う?」

 

「そうだ。 あのまま狂った獣として騎士王の前に立ち塞がり、ただの駄犬として真に赦しを得ぬまま死ぬか…それとも我に従い理性を取り戻した今の騎士としての己として、騎士王と向き合い赦しを得るか」

 

「……」

 

静かになり、顔を顰めながら思案しつつも、ゴクリと息を呑む音が聞こえた事から天秤は揺れておるのだろう。

 

「その言葉に嘘偽りはありませんね?」

 

どうやら答えを決めた様だな。

 

「当然だ、我が名『英雄王 ギルガメッシュ』の名に誓って嘘偽りは無いと断言してやろう!」

 

宣言と共に『魔狼縛りし魔法の紐』(グレイプニル)を解除し、自由にさせる。

 

「英雄王よ…」

 

先程迄の情けない姿から一変し、我の前で膝を突いて臣下の礼儀を取る騎士の姿があった。

 

「我が願いの叶う…その時まで貴方様に従います。 どうか我が剣をお取りください」

 

ランスロットの真の宝具である『無毀なる湖光』(アロンダイト)を仰々しく両手で柄と刃を持ち、我の前に差し出す。

 

我は剣を受け取り、掲げた後に剣の腹の部分でランスロットの肩を軽く叩き、同じく剣を両手で柄と刃を持ちランスロットに返す。

 

これを刀礼と言い、騎士の叙任式の際に行われる儀式作法であるが、本来ならば他にも行うべき事があるが、コヤツは我の正式な臣下となった訳では無い故に略式で進める事とする。

 

「湖の騎士 ランスロットよ、貴様の覚悟…確かに受け取った。 ならば我も応えよう」

 

ランスロットの覚悟に我も応えてやり、騎士王との会談を約束してやる。

 

「ありがとうございます」

 

我に礼を述べた後に、ランスロットは今まで放置気味であった雁夜へと向き直り、

 

「マスター…いえ…カリヤ、遅くなり申し訳ありません。 私ランスロットはこれより貴方の指揮下に入ります、存分にお使いください」

 

雁夜へ意志表明を行う。

 

「わかった、お前に俺の命を預ける。 だから力を貸してくれ」

 

雁夜は右手を差し出して握手を求める。

 

「はい。 我が剣を英雄王と貴方のために振います」

 

ランスロットもそれに応えて握手を返す。

 

主従の絆が深まったその時、ドンッ!という音が鳴った様な気がした。

 

「音…いや…魔力を使った信号か」

 

「この方角だと教会か…ちょっと使い魔を飛ばしてみるよ」

 

使い魔である蟲だが、どうやら我が燃やした間桐邸の蟲蔵だけでは無く、幾つか飼育場所を分散させて飼育をしていた様であり、そこから使える蟲を使い魔として使役した様だ。

 

「待て雁夜、その使い魔に少し細工をするぞ」

 

雁夜が飛ばそうとしていた蟲に少し手を加えて、我の所有する遠見の水晶の原典で映像と音を映し出す様に魔術的な改造を施す。

 

改造と言っても、そう大した作業では無いので直ぐに終わる。

 

「よし、じゃあ飛ばすぞ」

 

雁夜が使い魔を教会へと飛ばす。

 

 

冬木市教会

 

教会の中は電気が着いておらず、僅かな太陽光が差し込むだけであり、少々薄暗い。そのせいか荘厳な雰囲気よりも少々不気味な雰囲気が漂う。

 

教会の宣教台付近にはカソックを着た年配の老人ただ一人が居た。年齢の割には鍛えられており、ガッシリとした体格から何か格闘技などを会得しているのだろう。

 

「礼に適った挨拶を交わそうという御仁はおらぬ様子故ここは単刀直入に要件に入らせていただく。 諸君らの悲願へと至らしめるこの聖杯戦争を重大な危機に陥れる裏切り者が現れた」

 

一息置いて続きを話す神父。

 

「彼とそのサーヴァントは聖杯戦争の大義を忘れ貸し与えられた力を己の浅薄な欲望のために濫用し始めている。

 

そのキャスターのマスターは昨今の冬木市を騒がせている連続誘拐・殺人事件の下手人である事が判明した、

 

彼は反抗に及んでサーヴァントを使役し、しかもその痕跡を平然と放置している…この重大な違反行為がどの様な結果をもたらすか…諸君らには説明するまでもあるまい」

 

神父が右腕の服の袖をたくし上げると、大量の令呪があった。

 

「よって私は非常時における監督権限をここに発動し、聖杯戦争に暫定的ルール変更を設定する。

 

これは過去の聖杯戦争で脱落したマスター達の使い残した令呪である。 私はこれら予備令呪の一つ一つを私個人の判断によって任意の相手に委譲する権限を与えられている。

 

諸君らにとってこれらの刻印は貴重極まりない価値を持つはずだ。

 

全てのマスターは直ちに互いの戦闘行動を中断しキャスタ陣営の殲滅に尽力せよ。

 

彼の者らを討ち取った者には特例措置として追加の令呪を寄贈する。

 

もし単独で成し遂げたのであれば達成者に一つ、他者と協力しての成果であれば事に当たった全員に一つずつ、

 

そしてキャスターの消滅が確認された時点で改めて従来通りの聖杯戦争を再開するものとする。

 

さて…質問がある物は今この場で申し出るがいい…尤も、人語を発音できる者のみに限らせてもらうがね」

 

神父の言葉を最後に各々が使い魔を引き下がらせていく。

 

「ここ最近の児童誘拐事件と殺人事件はまさかのキャスター陣営の仕業だったのか…」

 

「随分とまぁ…我の庭たるこの世界で…愉快な事をしてくれるなぁ…下衆共が…」

 

全身から溢れ出す覇気とそれに呼応して湧き上がる黄金の魔力光が今の英雄王の心理状態を現わす。

 

「え…英雄王?」

 

その怒り様に吃りながらも英雄王を呼ぶと、

 

「雁夜! ゾォルケン!」

 

突然の怒号が飛ぶ!

 

「「はいぃぃぃぃっ!?」」

 

そのあまりの剣幕にゾォルケンですらも背筋を伸ばして反応する。

 

「貴様らの蟲どもを総動員し、キャスターを探り出せ! この様な外道共生かすに能わん! 我自ら滅ぼしてやるわッ!」

 

無限の可能性を持つ子供は須く我の財であり、可能な限り庇護すべき存在! 我の庭を荒らし、剰え我が財たる子供を攫う外道など生かす価値無しッ!

 

「「はいぃぃぃっ!! 了解です!」」

 

英雄王の怒号にあてられたのか2人揃ってキビキビと使い魔を放ち、街の様子や路地裏などの暗く常人の目の届かぬ場所へと使い魔達を奔らせる。

 

「英雄王…私は?」

 

ランスロットが英雄王に自分がどう動くかの確認を取る。

 

「お前は雁夜の魔力消費軽減の為霊体化しておけ、そして雁夜とゾォルケンが下衆共を発見するまではこの家の守りに入れ。 堂々と事件を起こす様なゴミ共だ、子供のいるこの家に攻めいる可能性は零では無い、故に暫くは霊体化しつつ警備にあたれ」

 

「御意!」

 

我の命を受けたランスロットは直様霊体化し、この間桐邸の警備に入る。

 

違う世界とは言え我が財に手を付けた罪、確と贖うが良い!

 

こうして運命の時間が過ぎていく。

 

齎されるのは希望か絶望か…




今回はゴージャス道場はお休みです。

次回のキーワードはブチギレる王さま、星の輝き、聖杯、姉妹、願いと呪い

次の投稿も頑張ります!

遠坂時臣はどうする?

  • 顎髭を引っこ抜く
  • アッー!(笑)
  • 傀儡化
  • 時/臣になる
  • 賢い時臣は逆転の秘策を思いつく
  • 残念!だが現実は非情である
  • 処す?処す?
  • 英雄王に裏切られる
  • まぁ…そうなるな
  • 嫁の怒り炸裂!
  • 時臣離婚の危機!?
  • 雁夜と肉弾戦
  • からのキン肉バスター!
  • またもやうっかりをやらかす!
  • ヤローオブクラッシャー!
  • 優雅たれ(服が破ける)
  • 時臣アウト〜
  • タイキックッ!
  • それでも私は
  • 神砂嵐ッ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。