長くなりそうでしたので分けました
キャスターの捜索を開始してから数時間程経ち、夕方になり日が落ちた頃。
「見つけましたぞ! 」
ゾォルケンが声を張り上げ、キャスターを発見した事を告げる。
「場所はアインツベルンの支城がある森付近です! どうやら城を目指しておるようです。 その…子供を複数人引き連れています」
ゾォルケンの報告によってギルガメッシュの眉間に皺が一つ増える。
「許さんぞ! 己よりも弱い存在にしか手を出せぬゴミが! 滅殺してやる! さっそくキャスターを征伐しに出かける! 後に続けランスロット!」
「はい」
髪を逆立てながら出ようとする、
「お待ちください! 闇雲に動くのは危険です! もっと情報を集めてからでも…」
ゾォルケンが待ったをかける。
「臆病者はついてこなくても良い!」
ギルガメッシュがそんなゾォルケンの忠告を無視して、ランスロットを引き連れ出ようとしたその時…
ジリリリリンッ!と古めかしい黒電話が鳴り響く。
「こんな時間に誰だ?」
雁夜が怪しみながら電話に出ると、
「あの…間桐さんのお宅でしょうか? 私遠坂葵と申します」
「葵さん!?」
電話の相手は何と、雁夜がいまだに恋心を抱く幼馴染の遠坂葵であった。
「雁夜君? あ、あのそちらに凛がお邪魔してない? さっき凛の部屋に行ったら、友達を探しに行くという書き置きだけを残して居なくなっていたの!」
「凛ちゃんが!? 今は聖杯戦争中で、キャスターが子供を誘拐している事件が発生しているのに!?」
どうやら桜の姉である凛という少女が抜け出し、行方不明となっている様だ。
「誘拐!? ここ最近凛の友達のコトネちゃんという子が、行方不明になっていたから…まさか!」
「葵さん! とりあえず落ち着いてくれ! 俺が凛ちゃんを探す! 葵さんはもしかすると凛ちゃんが帰って来るかもしれないから家を離れないでくれ!」
「え! でも…雁夜君…」
雁夜の申し出に安堵しつつも、娘の安否が気になるのか声のトーンは低い。
「子供の足でなら精々都心まで行けるかどうかだと思うから、俺が探す! 葵さんは行き違いになる可能性もあるし、何より今は聖杯戦争中だ…葵さんを危険に晒すわけにはいかない」
「雁夜君…どうか凛の捜索をお願いします!」
「任せてくれ!」
雁夜が凛とやらを探す事を決めた様だ…仕方ない。
その後雁夜は電話を切ってこちらへと歩いて来て、
「悪い英雄王! 俺は凛ちゃんを探す! アインツベルンの方は頼む!」
「待て、先ほど電話で話していたのは…」
我が話し相手について聞くと、
「葵さんは凛ちゃんと桜ちゃんの母親で、俺の幼馴染で初恋の人だったんだ…いや…情けない事に今でも横恋慕をしているよ…」
どこか自嘲染みた笑みで答える雁夜。
「遠坂時臣に嫁いで今は遠坂葵になっている」
「えっ つまりは人妻?」
そこでランスロットがポッっと顔を赤らめながら、人妻というワードに敏感に反応する。
コイツは本当に反省しているのだろうか?
「そこは萌えるトコじゃねーだろ! このヒトヅマニアッ!」
「ヘブッ! すいません!」
そこへすかさずギルガメッシュのエクスカリパーの鋭い一閃が入る!
「えぇい! 雁夜はこのアホスロットを連れてその凛とやらを探せ!」
「わ、わかった!」
二手に分かれて出陣しようとしたその時にまた黒電話が鳴り響く。
「えぇい! 今度は何だ!?」
雁夜が慌てて電話に出ると、
「教会? はぁ!? 直ぐに来いって! 今は手が離せな…英雄王に関してだと!?」
どうやら教会からの連絡が来ている様であり、内容はこちらのギルガメッシュについての説明を求められているらしい。
やはり言峰のアサシン達に監視されていた様だな。
「雁夜よ、教会へは私が行く故にお前は遠坂の子供を探せ」
そこへゾォルケンが代わりに行く事を決める。
「わかった、頼む」
「屋敷の守りが手薄になるが仕方がない」
我は直様アイと桜のいる部屋へと移動し、
「アイ、桜入るぞ」
「王さま? どうしたの?」
不思議そうな表情の2人を他所に、状況を説明する。
「姉さんが…」
告げられた内容に表情を曇らせる桜。
「この屋敷は我の宝具を用意て結界を敷いておる。屋敷の中にいるうちは安全故にお前達は我らが帰って来るまでは屋敷から出るな」
「うん、王さまが帰って来るまで桜ちゃんとお留守番をしてるね」
素直に留守番を引き受けるアイ。
「では時間が無い故に我は出る」
「うん、王さま…頑張ってね!」
アイの言葉を受け取り、我は直様間桐邸から出て、
そして同時刻のアインツベルン城では、
「状況はどうなっているアイリ?」
まだ包帯が巻かれ、傷口が完全に治っていない痛々しい姿の衛宮切嗣が妻のアイリスフィールへと尋ねる。
最初の開戦の際に、異世界の英雄王のパートナーもしくはマスターと思われる少女を狙撃しようとした時に英雄王に勘づかれ、報復を受けた際に負傷し、この三日間眠っていた。
これはとんでもないロスであり、痛手である。
何よりも予定していたロード・エルメロイの泊まる冬木ハイアットホテルの爆破が出来なかったのも痛い。
「もう動いて大丈夫なの? 切嗣?」
夫の身体を心配するアイリスフィールに衛宮切嗣は、
「まだ身体は痛むが、寝ている場合じゃない」
「今の所は各陣営共に動きは無いわ…たぶんだけど、異世界の英雄王の存在が大きいと思うわ」
「全く…忌々しい…あのイレギュラーのせいで計画が狂い放しだ」
忌々しげに顔を歪める衛宮切嗣。
「しかも戦いが目的では無い? なら大人しくしておけば良いものを…」
「切嗣…」
ある意味機械であろうとしている夫の心と身を案じるアイリスフィール。
「今後の方針だけど、他のマスターも全員がキャスターを狙うと見て良いのかしら?」
「まぁ…間違い無いだろうね、監督役が提示した褒賞は確かに旨味がある。だが僕らにはアドバンテージがある。キャスターの真名は現状では僕らしか知らないだろう…やれやれよりにもよってジル・ドレェ伯とはね」
ため息をつき、呆れた様な表情で吐き捨てる切嗣。
「おまけに何を血迷ったかセイバーをジャンヌ・ダルクと勘違いして付け狙っていると来たもんだ、こいつは好都合だよ僕らはただ待ち構えて網を張っていれば良い」
「マスター、それでは足りない…」
今まで黙っていたセイバーが口を挟む。
「あのキャスターの出方を、手をこまねいて見守っていたのでは無辜の人間の犠牲がいたずらに増えていくばかりです…奴の悪行は容認しがたい! これ以上被害が拡がる前にこちらから討って出るべきです!」
セイバーが進言するも、
「アイリ…この森の結界の術式はもう把握出来たかい?」
そんなセイバーをまるでいないものとして扱う切嗣。
「……ええ…大丈夫、結界の綻びも見当たらないし警鐘も走査もちゃんと機能するけど…」
2人の関係は正に最悪、決して交わらぬ水と油の様であり、マスターである衛宮切嗣が自ら拒絶している様に見える。
そんな2人のやり取り…いや夫のあまりの拒絶具合にこの先が心配になるアイリスフィールであった。
「ねぇ切t…ッ!?」
言葉を掛けようとしたその時、ビクンッ!と身体の中を奔る衝撃に驚き固まる。
「早速かい?」
「ええ…」
「アイリ…遠見の水晶玉を用意してくれ」
数分後、切嗣の指示に従い遠見の水晶玉を使って異変の原因を映すと…
「いたわ」
キャスターが十人程の子供を引き連れ、森の中を闊歩する。水晶球が映し出すその映像を、アインツベルン陣営が確認して話し合う。
「こいつが、例のキャスターかい?」
切嗣の質問に、水晶に映し出されたキャスター、ジル・ド・レェ伯から目を離さずにアイリスフィールが頷く。
「でも…なんのつもりかしら」
キャスターが連れている子供たちの年齢は、もっとも年長の子供でも十歳程度だった。
そんな幼子達は、明らかに正気ではなく、夢遊病患者のような足取りでキャスターに先導されている。魔術で操っているのは間違いないだろう。
「アイリ、奴の位置は?」
「城から北西に二キロと少し。まだ深入りしてくる気配は無いわ」
そこは城を中心として、森に張られた円陣の結界の境界線付近であった。あと結界の深部へ少し踏み込んでくれば、戦闘になった際に結界の機能でセイバーを援護できるようになる。キャスターはそんなギリギリの距離を、なぞる様にうろついている。
「アイリスフィール、敵は誘いをかけています」
連続殺人犯と思われるマスターと、魔術を隠そうともせずに、誘拐を繰り返しているサーヴァント。そんな常軌を逸したキャスターが、子供達を引き連れている。
それがどのような意味合いなのか、容易に想像できる。なんとしても子供達を助け出す必要があり、自分の足ならば数分で子供達の下へ向かうことが出来る。そんな意を込めて、焦りを含んだ固い声でセイバーが告げる。
「人質…でしょうね。きっと…」
セイバーの言いたい事を理解しつつも、暗鬱な表情で応えたアイリスフィールに、セイバーがさらに口を開く。
「罠や仕掛けを発動すれば、あの子供達まで巻き込みます。私が直に出向いてキャスターを倒し、救い出すしかありません」
それは理解していたが、アイリスフィールには即断できなかった。
ランサーの宝具で受けた傷は剣を振るう事は可能ではあるが真名解放はその威力故に現状封印せざるを得ない。
セイバーの直感スキルが当っているのであれば、キャスターは油断ならざる難敵なのだ。
そのキャスターを相手に、何の援護も無しに向かわせて良いものなのか。
もう少し様子を見れば、結界の効果範囲内に入ってくるかもしれない…そう思っていたその時、水晶に映っていたキャスターが顔を上げ、アイリスフィールと目が合ったかと思うと、目を細めた気持ちの悪い笑みを浮かべる。
「昨日の約定通り、ジル・ドレェ罷り越してございます」
驚くアイリスフィールを尻目に、キャスターは慇懃無礼とも取れる芝居染みた仕草で一礼をして続ける。
「我が麗しの聖処女ジャンヌに、今一度、お目通りを願いたい」
「……」
その言葉には反応せず、ただ重い沈黙が続く。
「まぁ…取り次はごゆるりと…私も気長に待たせていただくつもりで、それなりの準備をして参りましたからね」
キャスターはさも嬉しそうに顔を破顔させながら、
「なに…他愛のない遊戯なのですが…少々お庭の隅をお借りいたしますよ?」
指をパチンッ!と弾く。その次の瞬間虚な目をした子供達が一斉に目を覚ます。
「ここどこぉ?」
「お母さぁん!」
「おうちに帰りたい!」
目を覚ました子供達は口々に不安と恐怖の入り混じった声を上げる。
「さぁさぁ坊やたち、鬼ごっこを始めますよ。ルールは簡単。この私から逃げ切ればいいのです。さもなくば―――」
そこで一旦言葉を切り、キャスターは手近な子供の手を伸ばし、頭に載せる。
次の瞬間に何が起こるかなどわかりきっていた。無意味と知りながらも、セイバーは水晶に移るキャスターに向かって叫ぶ。
「やめ『ゴブェッ!!!』―――これは……」
セイバー達は一瞬何が起こったのか理解できなかった。血を撒き散らしていたのは、子供ではなく胸から刀身を生やしたキャスターだった。否、生えているのではない。何者かが背後からキャスターを串刺しにしていた。
そして恐怖と理解が及ばない出来事に、騒めく子供達の声が木霊する中を突如静かな、それでいて覇気を宿した力強い声が響き渡る。
「誰の許しを得て我が財に触れておる? この外道が!」
それは王者の声であった。
光刺さぬ
長くなりそうでしたので、分けました
次の更新も早めに投稿出来る様に頑張ります
年内にZero編を終わらせたいなぁ
遠坂時臣はどうする?
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顎髭を引っこ抜く
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アッー!(笑)
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傀儡化
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時/臣になる
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賢い時臣は逆転の秘策を思いつく
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残念!だが現実は非情である
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処す?処す?
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英雄王に裏切られる
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まぁ…そうなるな
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嫁の怒り炸裂!
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時臣離婚の危機!?
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雁夜と肉弾戦
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からのキン肉バスター!
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またもやうっかりをやらかす!
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ヤローオブクラッシャー!
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優雅たれ(服が破ける)
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時臣アウト〜
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タイキックッ!
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それでも私は
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神砂嵐ッ!