天に輝くは黄金の北極星   作:帝月

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遅くなってしまい本当に申し訳ありませんでした!

仕事が物凄く忙しくなってきましたが、エタる事だけはしませんので、今後もこの作品をよろしくお願いします!

後今回長くなってしまいましたのでちょっと分けてます


『とある神父の苦悩』

僅かな光が差し照らす薄暗く、どこか厳かな雰囲気漂う教会内にて1人の男が祈りを捧げる。

 

その姿は堂に入っていると言ってもいいだろう、見も知らぬ他人が見てもそこに違和感は無く、自画自賛ではあるが、見せて恥じるような作法ではない。

 

祈りを捧げる男…言峰綺礼自身がそう言い切れる程度には、洗練されたものだ。

 

現に今まで誰一人として、綺礼に文句をつけた者はいない。つまりは、少なくとも、その程度には出来ているという事なのだろう。

 

片膝を突き、胸元で合掌し、頭を垂れてただ祈る…それは何に対してか…自分? あるいは…救世主や聖母を模したと信じられている石像? そんなモノの向こう側にいると信じられている唯一神にか?

 

くだらない…疑うべきでは無い…それは分かっている。少なくとも、信心深い者がする思考ではない。そして、綺礼(自分)は誰よりも信心深くなくてはならない。

 

しかし…と…否定するよりも早く、思考は続けられた。

 

聖杯戦争…サーヴァント、英霊、願い…どれもこれも、つまらない。

 

正確に言えば、興味を引かれるようなものは、何一つ無い…願う事もない。

 

そう…自分には何も無いのだ…ただ血と骨と肉で造られた人の偶像(カタチ)をしただけの何も無い空虚な人形…それが自分だ。

 

有り体に言えば己は歪で、壊れているのだろう。自覚しているが、自分は万民が感動する様なモノに共感出来ず…美しいと呼ばれるモノを理解出来ず…寧ろ…

 

頭を振り、浮かびあがろうとしたその考えを自身で否定する。

 

望みを持たぬ己に令呪が現れた事に多少驚きはしたが…それだけだ。

 

自身の血族と繋がりの深い遠坂時臣氏からの要請がなければ、すぐにでも破棄していたであろう程度のもの…つまり…やはり…いや…これも無い。

 

僅かな疑問を持ち始めたのは、実際にサーヴァントを召喚してからだった。

 

別に、アサシンというサーヴァントに特別な何かがあるわけではない。あえて言うならば、召喚できた事自体に驚きを隠せなかった、という点だが…

 

まあ…これは魔術関連に対する常識的な知識があれば、誰でも同じ道を辿るだろうが。

 

英霊という…伝説に謳われた者達を召喚できるなど…その様な与太話を誰が考えるだろうか…

 

はっきり言って、その瞬間を目の前にするまでは、話半分、実情はただの妄言だろう…などと失礼極まりない事を考えていた。

 

だが…実際に英霊という超常的な存在を目の前にして…口に出さずに…実の父にすらそれを打ち明けず…思う…彼らという存在は何なのかと。

 

無垢な少年少女の心を躍らせるのには、この上なく役立つだろうが…そういう意味では下手な神よりも御利益があるかもしれないと考え直す。

 

とりあえず、一番驚いたのは。英雄という者が…少なくとも民衆にそうであると信じられている者が実際に召喚できた…できてしまったという点だ。

 

偉人、有名人、怪異、果ては伝説、神話にて謳われる人物達…何故…そんなモノが呼び出されるのか。

 

いや…何故そんなモノが存在するのか…いないからこそ意味があり、人は己にとって都合の良い存在として観る事が出来るというのに…

 

本当に存在してしまっては…全くの無意味だ。実体として存在してしまっては…もはや盲目的に信じることができない。

 

神性というスキルが存在し、それらは神に等しい者、もしくは神の血を引く者が持つ稀有なスキルである。それこそ救世主が御降臨されたのならば理解も出来ようが…この聖杯戦争にて、英雄王と征服王という神の血を色濃く引く規格外の存在達が保有している。

 

このスキルに対して自分に限らず十字教徒には、我らが神『◾️◾️◾️◾️』こそが唯一神なのに、それと全く関係を持たず『神の血筋』を引く者が存在するなど信じたくも無い。ましてや他の宗教において神と信じられる者の血族も、英霊として存在するのだというのだからふざけた話だ。

 

神とは何だ。唯一無二にして、全知全能であり創造主。考え得るものから、想像も付かないものまで、全てを内包する超越事象。それが神だ…神の筈だ…神とはそうでなくてはならないのだ。

 

しかし、存在しないはずの伝説がいる。あり得ないはずの神話は、確たる存在として、現世に降臨していた。

 

馬鹿馬鹿しい…今更考えるような事では無いはずだ。

 

気がつけば手にいつの間にか力が入っており、何も無い虚空を握りしめていた。

 

それを緩めるのに注力して、また祈りに集中するよう努める。だが…それは無駄な努力でしか無く…またもや心には霧がかかった。

 

他の宗教とは言え、神と定義されている事には変わらない。それは、同じく超越した存在で無くてはならないのだ。

 

しかし……もし神という存在が証明されたならば…そこに神はいるのだと、証明されてしまったならば…

 

神は…唯人でも足下が見える位置にいる…そういう事では無いのだろうか? 影も形も見えぬ、超常的な存在でも何でも無く。

 

やめろ! 心の中で自分では無い誰かが叫びを上げる…

 

信仰とは…無形であり無償のものである。その根幹には…神とは理解しえず道のみを示す…という不文律があるからだ。

 

だからこそ人はその存在を疑わず、盲信できる。だからこそ…救われるのだ。

 

(そうだ…神は(ヒト)に手を差し伸べ無い…それは…森羅万象に対して等しく神であるからだ。何もかもを導く、無形の道しるべ)

 

しかし…神が存在してしまっては…そこに存在してしまっては純粋に信じる事は出来ない。

 

それは果たして、神と言えるのだろうか。信仰を、続けられるのだろうか。神の存在証明など、ただ残酷なだけで……そんなものは…ただの絶望ではないか。全てであり、何者でもないからこそ、無垢に祈る事ができたと言うのに。

 

目に見えて…ましてや…伸ばした手が届く(モノ)…そんなものを一体誰が喜ぶのだ? 影も形も無くどこまでも都合の良い夢の向こうの偶像…

 

だからこそ人はそこに救いを求め、満たされぬ事に嘆き呪う事ができ…他人の所為にし、それで自分を慰められるのではないのか。

 

神は道だけを示す。しかし…それすらも無かった自分…故に己だけは哀れむことができていたのに…神が思っているよりも遙かに人間に近いなどと知ってしまえば、何を信ずればいいと言うのだ。

 

「…(私には情動が無く他者との共感も持てなかった…唯人とは感性の構造が違う……全知全能を謳う神にある筈の無い明らかな欠陥品)」

 

下らない…感傷だ…心の中では気付いていた。

 

ただ…それを誤魔化し続けてきただけで…それに更気付いたところで、また今までと同じように…ただ同じ事を繰り返すだけの機械仕掛けの人形の様に祈りながら生きれば良い。今度は…神以外の何かに祈って。

 

「…(異世界の英雄王)」

 

アサシンの伝言によれば今日あの男が現れる…

 

それも『わざわざ私に会いに来る』とはな…

 

時臣氏が召喚した英雄王はまるで聖書にて語られる、かつて楽園に住う事を赦された原初の無垢なる人間…アダムとイヴを誑かし楽園から追放させた蛇の様であったが…

 

異世界の英雄王はどうも判断が難しい…こちらの英雄王の様に他者を見下している様子こそあれど、そのクセ外道たるキャスターに怒りを露にし、子供を護り、誰かを救う…

 

私の中をふと過ぎる、胸の中のわだかまり。一つだけ残った希望…であれば良いが…

 

今私が興味を抱いたのは衛宮切嗣…そして異世界の英雄王の2人である。

 

「奴らは…私に…答えをくれるのか?」

 

それを確認するまでは…どれだけ細やかだろうとまだ希望はある。そう…少なくとも己に救いは無い…と確信するギリギリ手前で…ぴたりと、祈りを止めた…ただの習慣に成り下がったそれを、続ける意義が得られなくなって。

 

果たして…私が最初に祈りを捧げた時…私は何を想い…どの様な表情(かお)をしていたのだろうか…

 




遅くなり申し訳ありません!

早くZero編を終わらせられる様に頑張ります!

遠坂時臣はどうする?

  • 顎髭を引っこ抜く
  • アッー!(笑)
  • 傀儡化
  • 時/臣になる
  • 賢い時臣は逆転の秘策を思いつく
  • 残念!だが現実は非情である
  • 処す?処す?
  • 英雄王に裏切られる
  • まぁ…そうなるな
  • 嫁の怒り炸裂!
  • 時臣離婚の危機!?
  • 雁夜と肉弾戦
  • からのキン肉バスター!
  • またもやうっかりをやらかす!
  • ヤローオブクラッシャー!
  • 優雅たれ(服が破ける)
  • 時臣アウト〜
  • タイキックッ!
  • それでも私は
  • 神砂嵐ッ!
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