ギリギリセーフッ!
今年も私の作品を、見ていただきありがとうございました!
来年もよろしくお願いします!
月照らす静かな屋上庭園にて、1人の男の叫び声が木霊する。
それはまさに絶望を体現したかの様な悲痛な叫び声である。
そのあまりの絶叫にうつらうつらと船を漕いでいた子供達も反応し、ビクリッ!と身体を震わせながら飛び起きる。
「キリツグ…落ち着いて…大丈夫…私がいるから」
最早このまま発狂し、壊れても可笑しく無い夫をアイリスフィールはその胸に抱き寄せ、母親の様にあやす。
「アイリ…僕は…僕は…」
壊れる寸前といった様子の切嗣を妻が押し留める。
「僕は…僕は…どうすれば良かったんだ…誰か…教えてくれ…」
「なぁ…英雄王…本当に平和に出来る方法って無いのか?」
流石に哀れになったのか雁夜が唐突に質問を行う。
「あるぞ」
「いやあるんかい!」
我の言葉に反応してツッコミをいれる雁夜である。
「阿呆、方法なぞ探せば存在はするわ。 それが己の意図に沿うかは別であるがな」
「ちなみにどういう方法何だ?」
「ふむ…まず争いを無くすという事であれば、争う意思を待つ者全てを殺せば良い」
「いや極端過ぎだろ!?」
「たわけ、だから最初に言うたであろう…己の意図に沿うかは別であると。 そもそも人の起こす戦争の規模の争いを無くすのであれば中途半端に終わらせれば禍根が残り、そして何時迄も人の憎悪という名の炎は燻り続け…いつかそれが火種となり再び争いが起きる。 ならばいっその事、争う意思を持つ者全てを皆殺しにすれば一時的に争いは無くなるぞ」
復讐を終わらせるには何処かで自ら止まるか、対象全てを根絶やしにする以外しか無い。
「いや…そりゃそうだけどさ…」
「もしくはギャグ漫画の様な世界にでもするかだな」
狂気的な世界ではあるが、ある意味平和な世界にはなるだろうな。
「ギャグ漫画?」
「死ぬ様な目に遭っても、死ぬかと思ったなどとふざけたセリフをはいて生存。 大怪我を負ってもあっという間に回復、ほれ…誰も死な無い世界の誕生だ」
「まぁ…最初の案よりかはマシだよな?」
まぁそんな世界に住みたいか?と言われれば首を横に張るがな。
それはそれとして、何時迄も鬱陶しい奴よ…見ていて不快故に喝を入れてやるか。
「道化よ貴様は何者だ? 人か? それともただ己の理想に操られる哀れな傀儡か?」
今の自分を成す土台が崩れ落ちかけ、道を見失いそうにある道化に対し我は助言をくれてやる。
「道化よ…貴様に我からのありがたい助言をくれてやろう。 貴様には決定的に足りぬものがある…だがそれを貴様に言葉で伝えても無駄であろう。 故にニチアサヒーローでも見て学べ、特にライダーでも見るが良い」
正義の味方になるなどとほざいておるクセに、肝心な所を理解しておらんこの道化には最高の教科書となろう。
「そんなつくられたものに何の意味がある!」
不遜にも我の言葉に激昂し怒鳴り返す道化。
「阿呆…創作物だからこそ誰にでもわかりやすく作られておるのだぞ。たわけ、贋作にすら成れておらん出来損ないの貴様には相応しい見本となろう。 文句は見てから言え」
未だ喚く道化を放って、騎士王の方を見ると…
「私が…王になどならなければ良かった…」
最早意気消沈を通り越して、今にでも消えてしまいそうなほどに憔悴していた。
「王…そんな…うぉッ!?」
項垂れる駄犬の尻を蹴り飛ばし、
「この阿呆、ここまで来て尻込みする様ならばそのまま項垂れておれ駄犬!…して騎士王よ…貴様も貴様だ、いつまでうじうじとしておる? 鬱陶しくてしょうがないわ!」
「英雄王…故国を救えず滅びを受け入れるしか無いのならば…私に存在意義がありません…私など王にn「そこまでにしておけよ阿呆」英雄王?」
「はぁ〜何故貴様らは揃いも揃ってこうも阿呆なのだ? 王になるべきではなかった? それで貴様はどうするつもりだ?」
何故に頭の硬い奴らはこうも極端な答えしか出せ無いのだ?
「私では無い…もっと…上手く国を導ける者に王になって…「ふざけるなよ」え?」
「騎士王…貴様自身が何を言おうとしているのか解っておるのか? 貴様の出そうとしている答えはな、アーサー王という王を頂点とした国の歴史を書き換え、無かった事にしようとしている…その意味を…」
「そ、それは…ですが王として国を護れず…あまつさえ私が原因で国が滅んだ…その責任を取るためにも私よりももっと優れた人間が王となれば、歴史」」
阿呆が…責任をとる? 貴様のそれは…ただの逃げだ。
「我は先程説明してやったハズだがな? 例えお前がその願いを叶えたとしても…結局は既に世界に刻まれた事象として存在している以上、貴様以外の者がアーサー王、もしくは代役として選ばれ…その重荷を背負わされてもなお…結末は変わらず国は滅ぶのだぞ」
哀れなものよな…ただ王となるためだけに育てられた事で、それ以外の生き方を知らず…常に強迫概念によって正しくあらねばならないと強制されるその生き方がな…
そして王としてあまりにも真っ直ぐ過ぎる…まるで前にしか進まん猪の様ではないか。
「それどころか…貴様を頂点として存在した国の歴史そのものを無に帰そうとしている…つまりは貴様を信じ付き従った者達を、他でも無い貴様自身がその存在を消そうとしておるのだぞ!」
「ならどうすれば良かったのですか!? 私が王となった事で妻となったギネビィアには辛い思いをさせ続け、彼女は…私が女性であることを知ってもそれを受け入れ私の助けになるように努めてくれました…でも私は…王は孤独であると定めた私にはそれは不要であると決めつけ、王妃という
「それは違います! 王よ!」
今まで項垂れ、口を挟まなかったランスロットが叫ぶ。
「裏切った私が言うのは間違いかも知れません…ですが! 私は! 私達円卓の騎士達はアーサー王だからじゃない、貴方が『王』だったからこそ我らは貴女に付き従ったのです!」
「ランスロット卿…」
「やれやれ…部下が奮起しておるというのに、何時迄もうじうじと無駄な事をしよって…騎士王よ、貴様の治める国はさぞ生きにくい国であったのだろうなぁ? 我がウルクとは大違いよな」
「なッ!? 英雄王ッ!」
「何を怒る小娘? 貴様がやり直したいなどと世迷言をほざく程にどうしようも無い国であったのであろう? 嫌々王をやる様な小者が治める国など比べ物にならんわ」
我の煽り言葉に激昂し、怒り心頭に発するといった様子を見せる騎士王。
怒鳴り声の一つでも上げるとでも思えば、
「お待ちください英雄王! 大恩ある貴方と言えど我が王を侮辱するのはやめていただきます!」
ランスロットが騎士王の前にまるで護るかの様に立ち塞がる。
「ほぅ? 主を裏切り情欲に走った貴様が、裏切った主を庇うか? 何ともまぁ嗤わせる話であるなぁ?」
「はい、英雄王のおっしゃる通り…私は主である王を裏切った愚か者です…ですが! 騎士失格の私であっても王への敬愛だけは失っておりません!」
先程までの項垂れていた情けない姿とは打って変わり、主を護るため巨悪に立ち向かう騎士としての姿を見せる。
「ランスロット卿…何故です? 貴方は私を…人の心がわからない私を見限ったのでは無いのですか?」
「あぁ…まったく…困ったお方だ」
苦笑しつつも騎士王を見るその表情は柔らかい。
「いつもの真面目で凛とした姿はどうなされたのですか? ですが…いつも真剣に国の事を想う…そんな貴方だからこそ私達『円卓の騎士』は貴方に付き従う事を選んだのです」
「ランスロット卿…貴方がこの聖杯戦争に参加されたのは…やり直す為…もしくは私に恨みがあってでは無いのですか?」
己の所業によって名を堕とし、不名誉の烙印を背負わせた事に恨まれていると思っていた騎士王は問わずにはいられない。
「王よ…私が聖杯戦争にバーサーカーのクラスで参加したのは…貴方に私を罰していただきたかったのです…」
「罰を…何故です? 貴方達に不名誉の烙印を押し付けたのは私なのですよ!?」
「違う…違うのです王よ…全ては私の弱さ故…確かに泣き続ける彼女を宥めていく内に彼女に絆されていたのは事実…そして流されるように身体を重ね…溺れ…貴方の信頼を裏切り…円卓の騎士の分離を招き…遂には国の崩壊への原因となっただけでは無く…貴方の窮地に駆けつける事も出来ず…
沈痛な面持ちで悔いる様にランスロットは語る。
「私は知っていたのです…王の重責と国の現状…民や臣下達の信頼に応えようと足掻けば足掻くほどにキャメロットで孤立する王が、あろうことか年端もいかぬ少女であったという事実を…私は知りながらも
無意識に握られた拳からはギチギチと金属の軋む音が鳴る。
「しかし…貴方はあの時…私を罰してはくれなかった…そんな王を尊敬すると同時に、私は…
在らん限りの力で握られた拳から血が流れ出し、地面に赤い水溜りを作る。 それはまるでランスロットの後悔を表すかの様に…
「ランスロット卿…ですが…」
「いえ…罪を犯しながらも…裁かれなかった事を逆恨みしている愚かな私こそが国の崩壊の原因なのです…王…どうかお願いいたします…私を裁いてください!」
遂には地面に両膝を付け、土下座の体勢になりながら懇願する。
「ランスロット卿…いえ…我が友よ…どうか頭を上げて下さい…」
「この愚かな私を…まだ友と呼んでいただけるのですか…王」
涙に濡れた顔を上げ、確と己が仕える王の顔を見つめながら問う。
「貴方は確かに私を裏切りました」
抑揚を感じさせない声で告げる。
「はい…」
「貴方の行いによって…騎士達は割れ…国の崩壊へと繋がりました…」
「はい…」
「ですが…決して貴方だけの責任ではありません…私が不甲斐無く…清廉潔白な王であろうとし続けたのもまた原因です」
「王ッ!」
「だからこそ…これをもって全てのケジメとします!」
そう言うやいなや、騎士王は大きく右手を振りかぶり…
「歯ぁ食いしばりなさいッ! 『
ヘビー級プロボクサーも真っ青になる様な、渾身の右ストレートが見事にランスロットの顔面ど真ん中を捉え炸裂する!
「あやちーッ!」
奇声を上げながら、さらに錐揉み回転を加えて吹っ飛んだランスロットが近くの壁に激突する。
そしてその凄まじい威力を物語るかの様に、壁にクレーターをつくり、多数の亀裂を刻みその威力に耐えきれ無かったのか崩落する。
「うわ〜…」
「ふむ…世界を取れそうなストレートであるな」
壁に激突しさらにその威力によって、崩落した瓦礫に押し潰されたランスロットがヨロヨロとまるで産まれたての子鹿の様に立ち上がる。
この耐久力…腐っても英霊なだけはある。
「
「ブワハハハハハッ!」
赦された事に礼を言うランスロットだが、今の奴を笑わずにいられる奴は少なかろう!
何故なら奴の顔は拳がめり込んだ事で陥没し、所謂前が見えねぇ状態になっておるのだからな!
「ランスロット…我が友よ…今この一撃をもって私は貴方の罰とします…」
「王…」
「そして英雄王…貴方にも感謝を…貴方がいなければ友の真意も知る事無く、互いに命を奪い合う事となっていたかも知れません」
「ほぅ…それで?」
「まだ答えは出ません…」
ふん…強情な女め…だがまぁ先ほどよりはマシな顔つきになりおったな。
「ふん…まぁ良い…夜も更けた故これにて解散だ…何ともまぁつまらん茶番であったな」
「お、おい英雄王…」
「その駄犬は貸してやる、好きにするが良い」
我はアイ達をさっさと『
なお、ランサー陣営も同時に撤退を始めており。金の香炉を大事そうに懐にしまった
「良かったのか?」
つまらん事を思い出しておると、突如雁夜が口を開く。 主語が抜けてはいるが、言いたい事は理解出来る。
「やかましいぞ雁夜…今宵の目的は果たした…故に…これで良い」
「………-」
「時間はくれてやった…それをどう使うかはヤツラ次第であろう」
それにまだ懸念材料はある故にな…
この後の動きをどうするか思案していると…
「すぅ…すぅ…おうしゃま〜私…頑張ったよ…」
「おね〜しゃま…」
「すぅ…すぅ…」
寝言と寝息をたてる子供らを見て、褒美により良い未来をくれてやるのも王の務めであるなと考えながら夜の闇を切り裂く黄金の艦『
運命の夜が更けていく…
その先にあるのは希望か…それとも絶望か…
今年もお世話になりました!
来年も私の作品をよろしくお願いします!
来年も頑張ります!
なおランスロットの前が見えねえがわからない方は、某嵐を呼ぶ5歳児、前が見えねえでググってネ!
おや?時臣の様子が…
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全力でBボタン連打ぁッ!
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おめでとう!時臣は『 』に進化した!
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神砂嵐