天に輝くは黄金の北極星   作:帝月

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大変長らくお待たせしてしまいました。

大遅刻ですが、皆様明けましておめでとうございます。

今年も頑張りますのでどうか応援よろしくお願いします!


『衛宮切嗣・オリジン』

山中に聳え立つ白亜の城。

 

それはアインツベルンがかつて移築した城であり、現在衛宮切嗣を始めとしたアインツベルン陣営の拠点として使われている古城。

 

元は壮麗な美しい城であったが、襲撃を受けた事による痛々しい傷が幾つも刻まれ…今は物悲しい雰囲気を漂わせる。

 

そんな白の中の一室にて、1人の男…衛宮切嗣がテレビの前に座り、ボゥッと流れる映像を空虚な死んだ様な目で見続けている。

 

目の前の机には灰皿が置かれ、その中身には大量の吸い殻が鎮座する事から相当数を吸っている事がわかる。

 

テレビに映るのは…所謂特撮と呼ばれるもの…

 

「…………」

 

どれだけの時間がたったのだろうか…

 

英雄王の不可解な言葉に従うのは癪ではあったが、信じていた理想、願い…希望に裏切られた僕はただボゥッと…特撮とやらを見続けている。

 

何て事は無いただの創作物(ツクリモノ)…それ以上の価値なんて無い…ハズなんだ…

 

ふと…タバコを吸おうと胸ポケットを弄り取り出すも、既に空であり…周りを見渡してもあるのは吸い殻と空箱のみ…まるで今の僕の様だ。

 

嗚呼…意味がわからない…僕に決定的に足りて無いもの? 僕は今まで正義の味方になるためだけに生きてきたんだ…それを今更…何が足りないって言うんだ…

 

下らない…

 

僕は映像を見続けた事で疲れた目頭を揉みほぐし、腰掛けていたソファーに身を沈めて目を瞑る…もう…何も見たく無い…

 

「…リィ…」

 

何処かで聞いた事のある声が聞こえる…

 

それはまだ年若い少女の声…

 

「ぅ…きな…リィ…」

 

それは少しづつ鮮明に聞こえる様になってくる。

 

「もぅ…起きなさいってば!」

 

ありえない…だって…その声は…

 

 

『ケリィッ!』

 

 

「えっ?」

 

もう…聞く事の出来ない筈の声なのだから…

 

「やっと起きた! もぅ! 相変わらず寝坊助なんだから…」

 

「シャー…レイ…?」

 

「? まだ寝ぼけているの?」

 

「なッ!…何で君が…」

 

あぁ…そうか…これは夢なんだ…

 

だって…僕はあの時…君を…

 

「?」

 

(解放)』してあげる事が出来なかったのだから…

 

これは罰なのか? 君を救えなかった僕への…

 

「リィ…」

 

随分と趣味の悪い…いや…何にもなれなかった僕には勿体無いくらいの罰だな…

 

「ケリィッ!」

 

突如響くシャーレイ(彼女)の声に驚き視線を向けると…

 

「えっ?」

 

この時僕の目に映った光景は…

 

「そんな…」

 

どこまでも続く青い空と海…あの時彼女と見たあの景色…そして小さく…いや…昔の子供だった僕の両手だった。

 

「ん? どうしたの? 怖い夢でもみたの?」

 

不思議そうな顔で僕を覗き込む彼女。

 

嗚呼…あの時の彼女のままだ…

 

「夢…ある意味そうなんだろうな…」

 

思い出すのはあの時の悪夢ばかり…

 

「あぁ…そうだね…凄く怖くて…泣きそうなくらいに酷い夢を見たよ…」

 

「ふ〜ん」

 

「酷いな、聞いたのはそっちなのに」

 

「ごめんごめん、でも…スっごく疲れた顔をしてるね。 そんなに酷い夢だったの?」

 

優し気な表情で彼女が聞き返してくる…その顔に僕は懐かしさと…かつて…いや…今も彼女に抱いている『』の感情を思い出す。

 

「聞いてくれるかい? シャーレイ…」

 

夢の中だからだろうか…それとも身体だけでは無く、心までも幼い時に戻っているのか…僕は彼女に打ち明ける…見た夢を…衛宮切嗣という男の人生を…

 

「そっか…」

 

「酷い夢だろ?」

 

嗚呼…本当に酷い夢だ…

 

まるで僕の心の中の様に、さっきまで空に昇っていた太陽がゆっくりと沈んで行き、どこか悲し気な雰囲気の黄昏時へと変わる。

 

「でもさ…」

 

突然シャーレイが僕の目の前に顔を近づける、

 

「わっ!? シャーレイ!?」

 

その動作にドキリとする…どうやら身体が若返った事で心も引っ張られている様だ。

 

「ケリィは頑張ったんでしょ?」

 

頑張った…嗚呼…頑張ったよ…何も出来なかった『あの日』から逃げる様にね!

 

「でも僕は何も成せていない…」

 

「ねぇ…ケリィはさ…」

 

シャーレイが僕から離れて、浅瀬へと歩いて行き…

 

僕に問う…

 

「どんな大人になりたいの?」

 

それはかつてあの時彼女からされた質問だった…

 

「僕は! 僕は!」

 

言葉が出ない…あの時の様な照れ臭さからじゃ無い…僕は彼女に胸を張って伝える事が出来ない…捨てたハズのあの時の思い出が蘇る…

 

他でも無い僕自身が…追憶が僕を否定する。

 

気がつけば涙が僕の両手を濡らしていた…今更涙? あの時…彼女の乗った飛行機を撃ち落とした時から枯れたハズの涙が今更…

 

「ケリィ…」

 

気がつけば僕はシャーレイに抱きしめられていた。

 

「ケリィはずっと頑張っていたね…『あの時』からずっと…」

 

抱きしめられた事による高揚感を感じていたのに…シャーレイの台詞で身体が硬直した。

 

「何で…まさか…君は…」

 

「やっとわかった? うん、ケリィが考えている通りだよ」

 

そうか…やっぱり彼女はホンモノのシャーレイだったんだ…これは彼女を救えなかった事の….彼女からの復讐なのかな…

 

「もぅ…何でそんなにマイナスな事を考えるかな?」

 

「シャーレイ? 何で? 君は僕を恨んでいるんじゃ無いのか?」

 

「恨む? 何を?」

 

キョトンとした表情で僕を見つめる彼女の表情はとても優しく、その姿に懐かしさを覚える。

 

「だって僕は…君を救えなかったんだよ!」

 

(解放)』してと願う彼女を前にして僕は…ただ無様に逃げるしか出来なかった。

 

「あれは…アタシが先生の言いつけを守らずに勝手な事をしたせいだよ…ケリィは悪く無い」

 

「でも! あの時君を救えていればあんなことには!」

 

「ごめんね…アタシのせいだよね? ケリィにずっと重いものを背負わせたのは…」

 

「違う! 何で君が謝るんだ!? 悪いのは父さんと救う事の出来なかった僕だ! 僕なんだよ!?」

 

気がつけば僕は今までの自分とは違い、子供の様に泣きじゃくりながら叫んでいた。

 

「僕は何も救えなかった! 護れなかった! 僕は…僕は!」

 

「ケリィはずっと頑張ってきたんだね」

 

頑張ってきたさ…でもね…それだけじゃダメなんだ。

 

「ケリィはさ…世界を変える力を手に入れて何がしたかったの?」

 

僕がしたかったのは…

 

「僕はなりたかったんだ…正義の味方に…」

 

「なりたかった…か… ねぇ? ケリィは…諦めちゃったの?」

 

わからない…わからないんだ…足掻けば足掻くほど深みにハマっていき…信じていた最後の希望は呪いの坩堝となり絶望の器となっていた。

 

「とある男に言われたんだ…僕は今まで犠牲にしてきた人の想いや願いを背負っていると信じていたのに…僕が背負っているのはただの呪いだって言われた…僕はそれをすぐに否定出来なかったんだ…」

 

「そうなんだ…でも…ケリィはずっと私の事を忘れないでいてくれてたでしょ?」

 

シャーレイの言葉が僕の心に響く…

 

「何で…君はそんなにも優しいんだ? 君をあんな姿に変えてしまったのは父で…僕は君を救えなかったのに…」

 

何で僕を恨んでくれないんだ!?

 

「何で僕を責めない!? 何でまだ…」

 

僕の側にいてくれるんだ?

 

「酷っいなぁ〜 あの時のアタシの言葉を忘れちゃったの?」

 

被害者である筈の彼女は僕を一切責める事なく、未だあの時の様に優しい微笑みを返してくれる。

 

「言ったでしょ? 『ケリィの側にいてあげる…アタシの人生をケリィに預けるよ』ってさ」

 

それは過去の約束…優しい契約…

 

「シャーレイ…君は…まだ僕の側にいてくれるんだね…」

 

「約束したもんね。 でも…ケリィの側にいたのは、アタシだけじゃないよ」

 

シャーレイの言葉に固まる…

 

「やれやれ…相変わらずだね…ボウヤ…」

 

この声…そして僕をそう呼ぶのは1人しかいない…

 

「ナ…タリア?」

 

それは…かつて…僕が殺した()

 

「やれやれ…久しぶりの再会だっていうのに酷い言い草だねぇ?」

 

「何で…」

 

「そう言えば言ってなかったか? どうやら私の先祖に夢魔がいた様でね、ボウヤといた時はそんなに大した力は使えなかったけど、死んでから夢魔の力に目覚めたってわけさ」

 

皮肉にもねっと苦笑混じりに彼女が答える。

 

「もしかして…この場所は…」

 

夢魔…サキュバス…人の夢に現れ生気を吸うとされている下級悪魔の呼び名…その名の通りだとすれば夢を操って今の光景を見せているのにも納得がいく。

 

「御名答、と言っても今回限定の裏技みたいなものさね」

 

シャーレイが一緒にいたのは自分だけじゃないって、言っていたのは彼女の事だったのか。

 

「やれやれ…相変わらずしけた面してるね」

 

もう2度と…会えないと思っていた相手が現れた事に、僕は驚きを欠かす事が出来ず硬直してしまう。

 

「いや…私がそうさせちまったんだね…」

 

「違うッ!」

 

悲しそうな表情を見せるナタリア()を前に僕は叫んでいた。

 

「選んだのは僕だ! アンタのせいじゃない!」

 

夢であろうとも、2度と会えないはずの彼女達に会えた事で気が緩んでいるのか、それとも仮初のこの身体に引っ張られているのかはわからない…それでも…

 

「僕が…アンタを…ナタリア(母さん)を殺したんだ! 僕が…僕が…」

 

「フッ…相変わらずボウヤはバカだねぇ…」

 

あの時に見せてくれた優しい笑みで…僕を見つめるナタリアの姿に懐かしさとあの時に感じていたハズの心地良さを思い出す。

 

「ボウヤをそうさせちまったのは私さ…いや…わかっていたハズさ…まぁ…ボウヤは結局『そっち』を選んじまったたわけだがね」

 

「僕は! ……」

 

それ以上口を開く事が出来ない…

 

僕は…ただもう一度ナタリアの顔が見たかった…

 

いつか面と向かって『母さん』と呼べる日を待っていた…

 

あんな結末を願ってたわけじゃない!

 

それでも…僕は…『選んだ』んだ…『選んでしまった』んだ!!

 

それでもこれが『正しい』んだと思い込んでいた!!

 

死ぬしか他にない者が殺されて…死ぬ理由のない人達が救われた…

 

これが『正義』でなくて何なんだ!

 

僕が殺し続けた人達の願いを奪ってきた人達の想いを無駄になんか…

 

その時僕の中に1人の男の声が聞こえた気がした…

 

『貴様はな…誰かの『想い』など背負ってなどおらん。 況してや『死者共』から貴様の謳う『想い』など何一つとして託されてなどおらん…貴様が背負っておるのはな…』

 

『想い』ではなくただの『呪い』だ…

 

ふざけるな…

 

何が正義の味方だ!

 

ふざけるなよ馬鹿野郎!!

 

僕が欲したのは…もう誰も傷付かずに済む優しい世界…

 

のはずなのに…

 

何で僕は今も人を殺し続けているんだ?

 

「良いんだよ…ボウヤ…」

 

凍てつき、ひび割れ、壊れかけた僕を優しい温もりが包む。

 

え? ナタリア?

 

「アンタは泣いて良いんだ…」

 

やめてくれ…アンタそんなキャラじゃなかっただろ?

 

「うぅぅ…あぁぁぁ…」

 

「男は確かに意地を張る生き物さ…でもね…泣きたい時には泣いて良いんだ…じゃなきゃ…泣き方を忘れちまう…」

 

「うあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

今まで押さえつけていた感情が、軛を切ったかの様に溢れ出す。

 

「僕は! 本当はずっとアンタを! ナタリアを『母さん』って呼びたかった! でも! 僕がナタリアを殺したんだ! そんな僕が呼ぶ資格なんて無いのに!」

 

「知ってるよ…ボウヤの側でずっと見ていたからね…頑張ったねボウヤ…」

 

「ケリィ…大丈夫だよ」

 

2人が優しく切嗣の身体を抱きしめ、その暖かさに、再び出会えた奇跡を噛み締めながら彼は今まで堰き止められていた感情が溢れ出しただひたすら泣き続けた。

 

どれほど時間が経ったのだろう…溜まりに溜まっていた感情は全て吐き出され、自らを押さえていた重圧の様なものが無くなった気さえする。

 

「落ち着いたようだね」

 

「ナタリア…」

 

「おや? もう母さんとは呼んでくれないのかい?」

 

どこかいたずらっ子の様に笑うナタリアに気恥ずかしさを感じながらも、何かが満たされていく…そんな気持ちを感じている。

 

「か…かあ…さん…」

 

いざ口に出すと恥ずかしいものだ…いい年した男が母を呼ぶのをこうまで恥ずかしがるとは…

 

気がつけばあれ程に闇に覆われていた自分の心は、晴れやかな気持ちすら感じていた…

 

そしてそれに連動する様に雲に覆われていた空が晴れ、太陽が顔を出す。

 

そして…

 

「おや? どうやら時間の様だ」

 

「え?」

 

周りを見れば風景がまるで蜃気楼の様に少しずつ霞んでいき、『終わり』を感じてしまう。

 

「そんな!」

 

このまま終わってしまえば、もうこの2人には二度と会えない…

 

「やれやれ…図体がデカくなってもボウヤだねぇ」

 

「ケリィ…大きくなったケリィとお話が出来て嬉しかったよ!」

 

気がつけば過去の姿をしていたはずの自分の身長は、元の大人の身長へと戻り…2人の身長を追い越していた…

 

「シャーレイ! 母さん!」

 

嫌だ! このまま別れてしまえばどうなるか何て分かり切っている! もう少しだけでも良い! 頼む!

 

「死者に引っ張られるんじゃないよ」

 

「え?」

 

「ボウヤはまだ生きているんだ。 だから私達(死者)とはここでお別れさ」

 

そんな…僕は…また…

 

「ケリィ…私達の事を忘れないでくれてありがとう…大好きだよ!」

 

「さよならだボウヤ…本当はいつか酒でも一緒に飲みたかったが…ボウヤが大きくなった姿が見れただけでも良い思い出になったよ」

 

「待ってくれ!」

 

これは夢なんだろ!? だったらまだ終わらないでくれ!

 

「夢はいつか終わるものさね…」

 

「ケリィ…君を待っている人達がいるんだから…行ってあげて」

 

切嗣!

 

アイリの声が聞こえた気がした…そうか…僕にはまだ帰る事の出来る場所があるんだ…

 

僕は2人に背を向けて声の聞こえる方へと歩く。

 

「ありがとう…シャーレイ…ナタリア…僕はまだ歩ける…これから頑張るよ…」

 

今2人の顔を見てしまえば、情けない泣きっ面を晒す事になるだろう…だから…

 

「ケリィ!」

 

「!?」

 

振り向かないでいたのに…シャーレイの呼びかけに反応して、つい振り向いてしまう…

 

「いってらっしゃい!」

 

「行ってきな…ボウヤ…」

 

2人の見送りに感謝を込めて…

 

「行って来ます!」

 

僕は歩き出す。

 

そして…

 

「やれやれ…いつまでも世話の焼けるボウヤだね…『アンタ』もそうは思わないかい?」

 

ナタリアが話しかけていた相手は…

 

「久しぶりだね! 先生!」

 

「あぁ…」

 

かつて息子に殺されてしまった父親であった。

 

「アンタは会わないで良かったのかい?」

 

「今更…私が会っても切嗣に重荷を背をわせるだけだから…これで良いんだ…」

 

「やれやれ…これだから男ってやつは…」

 

「まだ少しだけ時間がありますから、先生…ケリィの事で話しません?」

 

「そうだな…」

 

 

 

深い眠りから覚め…霞む目を開けると…

 

「切嗣…」

 

僕の名前を呼びながら眠るアイリの顔が見える。

 

この体勢から顔が見えるという事は、どうやら僕はアイリに膝枕をしてもらっている様だ。

 

「アイリ…」

 

「ん…あっ! 起きたのね切嗣!」

 

嬉しそうな表情を見せる妻の姿に少し心が温かくなる。

 

「ずっとこうしていてくれたのかい?」

 

「えへへ…実は前からこういうのやってみたかったの」

 

身体こそは大人として造られているが、実際の年齢は幼い彼女…時折り年齢相応の表情を見せる。

 

「ねぇ…切嗣…」

 

「何だい?」

 

「シャーレイやナタリアって人は切嗣が好きな人?」

 

少しドキリとする…アイリには僕の過去はあまり話していないのに彼女達の名前が出るという事は…

 

「寝言か何かで名前を呼んでいたのかな?」

 

「うん…凄く悲しそうな顔や、嬉しそうな顔をしながら言っていたの」

 

「そうだね…聞いてくれるかい…アイリ…」

 

僕は今まで語らなかった過去をアイリに話す。

 

「シャーレイは僕にとって初恋の人で…姉の様な人だったんだ…ナタリアは1人になった僕を拾って育ててくれた母の様な人だね」

 

「そうなんだ…」

 

「まだ僕を心配してくれていたんだ」

 

「素敵な人達ね…ねぇ切嗣」

 

「何だい?」

 

「切嗣は寝る前にテレビで何を見ていたの?」

 

しんみりとした雰囲気を変える為にアイリスフィールはわざと話題を変える。

 

「あぁ…英雄王に特撮でも見て学べって言われたから見ていただけさ…」

 

「私も見ても良い? 知識としては知っているけど見たことが無いから気になるの」

 

「良いよ、僕もちゃんと見れていなかったからもう一度見るよ」

 

2人はソファに座り、ビデオを再生させる。

 

その中には、身体を改造され、日常を奪われ戦い続ける仮面を付けたヒーロー達の姿が映る。

 

「ねぇ切嗣…この人達は何で戦うの? 身体を改造されたから?」

 

アイリスフィールが彼らの戦う理由を問う。

 

「何でだろうね…」

 

切嗣は最初とは変わり、真剣な眼差しで特撮を見つめる。

 

 

何も変えられない夜だとしても、それでもやがて明日が来る。未来を変える者達の明日だ。その度に俺は戦う事を誓ってきた。絶望の痛み、それが俺の力だ!

 

俺だって…何度そう思ったかも知れねえよ。だが…あいつらは…望んでなった体じゃねぇ……。それでも戦う生き方を選んだんだ。だから俺は言わねえ!!生身でもがくのが筋ってもんだ!!

 

ああ、確かにくだらなかったさ。復讐なんてな……。だが、今のオレの力は、ヒトを守るための力だ!先輩たちにもらった、この力で、おまえをとめてみせる!

 

正義を愛する心を変える事は出来んぞ!

 

例え何があろうと、子供たちの夢を守り、希望の光を照らし続ける――それがヒーローの務め、俺はそう思います。

 

俺達仮面ライダーが戦う理由は、正義なんかじゃない!『人類の尊厳と自由を護るためだ!』 大切な人達には笑っていて欲しい! だから俺達はたとえ辛くても仮面で顔を隠して戦うんだ!

 

 

彼らのセリフが自分に染み込んでくるのを感じる。

 

「そうか…そうだったんだ…はは…何だ…こんな簡単な事だったのか…」

 

僕は確かに『正義』の味方だったよ…独りよがりで都合の良い…僕の正義の…ね。

 

「切嗣?」

 

「彼らが戦う理由は、復讐でも…ましてや正義という肩書きでも無い…大切な人達を危険から遠ざけるために戦っていたんだ」

 

僕が守りたかったのは誰だ? 名も知らない誰かか?

 

僕は無意識にアイリを…自分の妻を見る。

 

「?」

 

そこには何も知らない少女の様な表情で僕を見るアイリの姿があった…

 

「あぁ…そうだ…僕が本当に守りたかったのは…」

 

ハハハハ…とんだお笑い草じゃ無いか…答えなんてすぐ側にあったんだ…

 

「切嗣っ!?」

 

気がつけば僕はアイリを抱きしめていた。

 

「アイリ…僕は…」

 

その時…『彼女』の声が聞こえた気がした…

 

ねぇ…ケリィはさ…どんな大人になりたいの?

 

そうだね…シャーレイ…僕がなりたいのは…

 

「僕は…『大切な人達を護れる』…正義の味方になりたい…」

 

全ては護れないかも知れない…でも…本当に護りたいものがわかったんだ…

 

「大丈夫…切嗣は最初から私のヒーローだよ」

 

情けなく涙を流す僕の頭をアイリは優しく抱きしめてくれる。

 

「あの時…大お爺様の命令で連れて行かれた森の奥で死にかけた私を貴方は迷う事無く助けてくれた」

 

「アイリ…」

 

「あの時から私の知らない事を教えてくれて、私に色んな初めてをくれた切嗣の事が大好き! それにね…切嗣の事が好きなのは私だけじゃないよ、ねぇ舞夜さん」

 

「マダム…」

 

扉が開き、どこかオドオドとした雰囲気の舞夜が現れる。

 

「舞夜…」

 

僕が変えてしまった彼女…僕はずっと彼女を都合の良い道具扱いをしていたのに…

 

「切嗣…私にとって貴方は地獄から救い出してくれたヒーローです…たとえ貴方がどう思おうとも…私は貴方の側にあり続けたい…」

 

本当に僕は何も見えて無かったんだ…僕を支えてくれている人達がすぐ側にいたのに…

 

「アイリ…僕は君を…舞夜…そしてイリヤを護りたい…だからごめん…君の…アインツベルンの夢を叶える事は出来ない…」

 

「うん…きっと初代も許してくれるわ」

 

「あの聖杯は壊す…でも…もう一つの聖杯に託す願いは決まった…僕は君達とずっと一緒に生きたい!」

 

「切嗣…」

 

「うん! 私も…ううん…私達も貴方と一緒に生きたい!」

 

「アイリ…舞夜…」

 

「だからね切嗣…ここから…ううん…ゼロから始めましょう!」

 

「あぁ…そうだねアイリ」

 

覚悟は決まった…後はやる事をやるだけだ!

 

「舞夜…すまないが英雄王陣営に使い魔を飛ばしてほしい…僕がやるべき事は決まった」

 

「わかりました切嗣」

 

僕の理想は潰えた…でも…本当にやりたい事がわかった!

 

僕は…聖杯を壊す!

 

そしてアイリとイリヤをアインツベルンから解放する!




個人的に切嗣や士郎の失敗は名も知らない人達も護ろうとしたのが失敗かなっと思っています。

本当に護りたい存在を助けられる様になって、そこから人と交流して手を取り合って徐々に手を広げていけば良かったのでは?とも思いました。

何もかも1人では出来ないのが人間だと思っています。

何でも出来る様に見える人はいますけど、それはそう見えているだけで苦労はしているはずです、ただそれを見せないか、隠すのが上手いだけだと思います。

ライダーは名言が多く切嗣には色々と当てはまっているのではと思いました。

おや?時臣の様子が…

  • 全力でBボタン連打ぁッ!
  • おめでとう!時臣は『 』に進化した!
  • 神砂嵐
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