まだだまだエタらんよ!
冬の冷たい風を切り裂きながら我が自慢の一品たる『
「誰か助けてぇぇぇぇぇぇえっ!!」
喧しく喚く雁夜に少々苛立ちを感じつつも敢えて無視を決め込んでやり、
「フハハハハハハッ! 我のドライビングテクと自慢の『
さらに加速し、もっと速く! さらに先へと! スピードの果てを求める!
そして少々名残惜しいが、間桐邸へと到着しバイクから降りる。
雁夜を見やると、まるで魂が抜けたかの様に真っ白となっており、口元から少し霊体がはみ出しておる。
「いつまで無様な姿を晒すつもりだ? 早う出んか!」
「……(いや! 殺す気か!?)」
はみ出した霊体が喧しく叫ぶが敢えて無視をして、雁夜の首根っこを引っ掴み、引き摺りながら屋敷の中へと移動する。
「帰ったぞ」
「あ! 王さま!!」
「おかえりなさい」
「やっと帰って来た!」
アイ、桜、凛の幼女3人組が我を出迎える。 その姿に少々癒されながらも…
「これより我らは再びアインツベルンの城へと向かう、故に貴様らも来い」
「おでかけ?」
「そうだ…ところで葵は何処におる?」
「お母様ならお部屋にいるわよ?」
これより伝えるのは少々血生臭い話である故…子供らには準備をさせて離しておくか…
「そうか…ならば貴様らは出かける用意をしておけ」
未だ魂の抜けかけている雁夜の首根っこを、再び引っ掴み葵のいる部屋へと足を延ばす。
「入るぞ」
「あら? 王さま? どうなされたのですか? …雁夜君!?」
雁夜の惨状に驚く葵を無視して、遠坂邸にて起こっていた事を手短に説明してやると…
「そう…ですか…時臣が…」
あの顎髭に対し思う事はあれど、一度は愛した夫でもあるためか顔を伏せ、体を振るわせる…その胸中に抱く思いは驚愕か…哀愁かは我には理解出来ん。
だが…二児の母である故か、気丈にも顔をあげ一言…
「ありがとうございます…王さま…凛と桜には後ほど私から伝えます…」
「葵さん…」
「この後はアインツベルンの城へと向かう故、さっさと準備をしておけ」
部屋に2人を残し、足早に去る。
空気の読める良い男である我は居間のソファーに腰掛け、子供らがわちゃわちゃと楽しそうに準備している様をコーヒー片手に見やり時間を潰す。
暫く時間が経ち、漸く準備が整ったのか雁夜と葵の2人が現れる。
「さて時間が惜しい故にさっさと行くぞ」
宝物庫より最早お馴染みと化しておる『
白亜の城の庭に『
「本日はご足労いただきありがとうございます。 陛下…」
アイリスフィールとセイバー、そしてランスロットといった面々が出迎える。
「ふん…つまらぬ世辞は良い…さっさと案内せい」
「どうぞこちらへ」
アイリスフィールの先導にて、城の内部…応接間へと移動すると、
「よく来てくれた…英雄王…」
応接間には道化…衛宮切嗣が既に待ち構えており、それを牽制するかの様に直立不動にて壁に佇む言峰の姿も確認する。
「ふん…どうやら…何かしらの答えは見つけた様だな」
道化の表情は以前の余裕の無い追い詰められている様なものからどこか落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「あぁ…お前の言うとおりだったよ…だからこそ僕の願いは決まった…」
「ほぅ…」
一呼吸置き、道化が言葉を発する。
「僕は大切な人達を守れる正義の味方になる! だから! 頼む! 僕の宝を! イリヤを! 娘を助ける為に力を貸してくれ!」
両膝を地面に着け頭を下げる…所謂土下座の体制になりなが懇願する…
その姿に少しばかりの驚きを感じつつ、その変わり様に興味が湧いた故に…
「良かろう…して…その娘とやらは何処にいる?」
「アインツベルンの本拠地…ドイツのライン川付近の山岳地帯に存在する…そこは霊地を用いた強力な結界に守られ、大量の戦闘用ホムンクルスも存在する…並大抵の戦力では勝てない相手だ」
まぁ確かにレベルの低いサーヴァントでは荷が重いやもしれんが、我からすれば精々ダンボールで補強したベニヤ板程度の強度でしか無いな。
宝物庫から一つのコンパスを取り出す。 これは探知系宝具の原点…貴様らにもわかりやすく説明してやるならば、某カリブの海賊が使うアレと同じと思っておけ。
「ならば早速行くか」
壁の一部と化しておる言峰にアイコンタクトを送ると同時に指を鳴らす。
「え?」
完全に油断していたのだろう…呆気に取られたアホ面を晒しながらあっという間に言峰によって縄で簀巻きにされる。
尚その際に薄らと嘲笑を浮かべていた言峰の姿が見えるが、我はあえて見なかった事とする。
「すぐ帰ってくる故貴様らは呑気に茶でもしばいておれ!」
道化を俵抱き…所謂お米様抱っこの状態で肩に担ぎながら窓を開け放ち…
「フハハハハハハハハッ!! では行くぞ道化!」
勢い良く飛び降りる。
「アイリーーー!! マイヤーーーッ!!」
「「キリツグーーーーッ!?」」
道化の叫び声が喧しく鳴り響く中、既に宝物庫から出しておいた『
ドップラー効果を出しながら叫ぶ道化の叫び声をBGMに『
「フハハハッ! 流石は我が宝具! 見よ道化よ! もう到着であるぞ!」
グッタリとした道化に態々我自ら話しかけてやる事を光栄に思え!
「頼む…から…もう少し…だけ丁寧に扱ってくれ…」
「知るか、そんな事よりも…見えて来たぞ」
吹雪が吹き荒れ、その白亜の城をさらに白く覆い隠すアインツベルン城が視界に映る。
本来ならば道化曰く、広範囲の結界によって護られ、森には怨霊や狼が多数存在するとの事であるが、空を行く我には関係無い事よ!
そのまま森を突っ切って直接城へと移動すると、
「ほぅ…出迎えとは関心であるな」
各々が物々しい武具を構えた、表情の無いどれも同じ造形の
「衛宮切嗣様…当主様が此度の件の説明を求めおられますのでご同行を…」
その中の1人の女性型…何処と無くアイリスフィールを彷彿させる一体が歩み出て口を開く。
立ち並ぶ面々一人一人に生気はなく、量産品特有の無機質さを感じる。
「わかった、僕も当主殿には聞きたい事があったから案内を頼む…彼は僕の付き添いだが、本拠地を吹き飛ばされたく無いのなら最大限に配慮を頼む」
「畏まりました…」
「おい人形、この男の娘の下へと案内せい」
「よろしいので?」
「頼む…当主殿との会話は少し時間が掛かりそうだからね」
道化と話していた人形が不意に目線を立ち並ぶ人形の内の一体に送ると、
「では…私がご案内いたします」
一体の女性型が歩み寄って来る。
「ふん…道化よ、貴様もさっさと野暮用を済ませよ」
「ああ…そうさせてもらうよ」
此処で道化と別れ、人形の案内の下道化の娘のいる部屋へと足を運ぶ。
「失礼いたします…お嬢様…お客様です」
重厚なデザインの扉を丁寧にノックし、中の主へと確認を人形が行う。
「入って…」
人形によって開け放たれた扉を進み、中に入れば…
「だれ?」
中にいたのは美しい輝く様な銀髪に、無垢な幼い風貌から雪の妖精を彷彿とさせる少女の姿が見える。
ふむ…中々に造形は悪く無いな、将来に期待の持てる容姿である。 アイにも劣らぬ美貌よな。
側女としてなら侍らしても良い程の出来よ。
「ほぅ? 我の名を尋ねるか幼子よ…ならば! 我が御名を確と聞け! 我が名は英雄王『ギルガメッシュ』ッ! 此度は貴様の父親の懇願にて貴様を迎えに来てやった! 我が御前の前に立つという栄誉に与れる事を誇るが良い!」
「えっ? キリツグが来ているの!?」
幼子…イリヤがその幼くとも、整った顔を綻ばせ喜びを見せる。 その姿は年相応であり、幼さが感じられる。
「ふむ…ん? 成る程な…」
あらゆる物事を見抜く我が眼力はこの童の身体の異常性を理解する。
「おい女童よ、母親に会いたいか?」
「うん! お母様に会いたい! お祖父様は聖杯戦争が終わるまで『此処』から出る事を許してくれないの! …それに…最後に会った時のお母様…凄く寂しそうだったから会いたい!」
「良かろう! ならば我と共に来い! 貴様を親に会わせてやろう!」
「ホント!?」
「フハハハっ! 幼子は素直が一番よな! 我の事は王さまとでも呼ぶが良い!」
「ありがとう! 王さま!」
「だがまぁ…その前に…少しばかり『細工』を施しておくか…」
宝物庫より必要な物を手早く取り出し、この女童に少しばかりの『細工』を施し、
その『細工』を行う間、小娘の相手をしてやっていると何故か懐かれた。
やはり我から滲み出るカリスマは幼子すら魅了するものよな!
「では行くぞ!」
「わ〜い! 高〜い、 高〜い! キリツグより高〜い!」
肩車してやった事ではしゃぐ女童を連れて移動を開始する。
無論その際に少しばかりの『寄り道』と『小細工』を施しながらな…
夜勤明けで寝過ぎた!?
皆様も体調管理は大切に!
年取るとマジで徹夜はキツいッピ!
おや?時臣の様子が…
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全力でBボタン連打ぁッ!
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おめでとう!時臣は『 』に進化した!
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神砂嵐