天に輝くは黄金の北極星   作:帝月

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お待たせ致しました、何とか投稿です!

今回は独自設定と展開、独自考察等が入っています。

そして明かされ『彼女』の正体とは!

今回は説明が多いのでボリュームが増えていますが、お楽しみいただけると幸いです。

感想や高評価をいただけると励みになります!


『王と祭祀長』

「さてどうしたものか」

 

我は先程アイと別れ後に予め取っておいた我の会社の系列のホテルのロイヤルスウィートルームのベットにて寛ぎながら、アイについて考える。

 

「現代社会というのは面倒だ」

 

我が王を務めるウルクであったなら我の一存で全て決めれるが、現代では国をこの手の中に納めぬ限りは法が邪魔をする。

 

「いくつか気になる事もあるが・・・あまり強引にすれば司法機関がうるさいからなぁ」

 

現在日本の経済の殆どを支配していると言っても過言ではないが、政財界や司法関連の掌握は未だ時間がかかるな。

 

そんな事を考えていると、

 

⦅王さま! 助けて!⦆

 

突如アイの声が聞こえた!

 

アイに渡した腕輪には魔術を幾らか仕込んであり、コレもその一つである。

 

本来マスターとサーヴァントには魔力のパスが通っておりそれを介して魔力の補給以外にも念話を行う事ができる。

 

アーチャークラスでは出来ぬがキャスタークラスの我ならば大概の魔術は使用可能故アイに渡した腕輪を介して今はまだ一方通行ではあるが念話もできる様にしている。

 

「懸念していた事が起こったか」

 

我はすぐ様ベットから飛び起きて部屋から出てそのままホテルの屋上への扉を魔術で開け、すぐ様乗り物である『天翔ける王の御座(ヴィマーナ)』を宝物庫から呼び出しアイのいる場所へと飛ぶ。

 

『天翔ける王の御座(ヴィマーナ)』の速度は凄まじく、まさに天を駆ける彗星の如き速さで突き進む。

 

普通ならばそれなりの時間の掛かるアイの住居へものの数分で着き、我は直様飛び降りると同時に『天翔ける王の御座(ヴィマーナ)』を宝物庫に仕舞う。

 

常人であればビル数階分にも及ぶ高さから飛び降りれば足がへし折れるが英霊たる我からすれば階段を2、3段飛ばしで降りるのと何ら変わらん。

 

スタイリッシュに膝から着地(所謂スーパーヒーロー着地)し、直様アイの住居の玄関を蹴り破り侵入する。

 

「無事か!アイッ!」

 

我が扉を蹴り破り侵入すると、

 

「王さまッ!」

 

アイが我に気づき直様抱きついて来る。

 

そして我がアイのいた部屋を見やると、そこには、

 

「何だ・・・このカオス?」

 

白目を向いて口から泡を出し、股間を押さえながら気絶している男の姿と、

 

頭から血を流して白目を向いている女の姿であった。

 

また男の方は右足の指がひしゃげており、何か硬いものにかなりの勢いでぶつかった事が伺え、

 

視線を少し上に上げると何やら股間から血と白い何かが漏れ出ているのを見てナニかが潰れている事を理解する。

 

恐らくは・・・もう2度と使い物にならんだろう。

 

同じ男として・・・同情してやるぞ雑種。

 

我は静かに両手を合わせて冥福を祈ってやる。

 

そして周りを見渡すと女の頭に当たったであろう引き出しから袋の中に入った白い粉のような物を見つけ、まさかと思い我は解析魔術を掛ける。

 

「やはり覚醒剤か・・・」

 

解析の結果わかったのはやはり覚醒剤であると言う事と、他にも葉っぱや錠剤が入った袋を見つけた事から、この男が麻薬の売人である事が伺える。

 

「まずは・・・」

 

我は直様スマホを取り出し、

 

「あ〜もしもし、ポリスメン?」

 

警察と救急車を呼ぶ事とする。

 

「アイ、とりあえず一度外に出るぞ」

 

流石にこの混沌とした場にアイを置いていく訳にもいかないのでアイを連れたって外へと出る。

 

「アイ、何があったか教えてくれるか?」

 

我はアイと別れた後に何があったのかをアイから確認する。

 

 

 

王さまに何があったのかを聞かれた私は思い出しながら、王さまに説明をする。

 

私はあの人が私の宝物を盗ろうとするから抵抗して守ったんだけど、あの人はそれがムカついたみたいで、

 

あの人が足を思いっきり振りかぶって私を蹴り付ける。

 

私は恐くて宝物の腕輪をギュッと握りながら目を瞑って耐えようとする。

 

でも・・・

 

「ぎゃァァァァァッ!」

 

痛みは襲って来ず、かわりにあの人が突然叫び出したので、何があったのかを見るために目を開くと、

 

「イデェェェェェッ!」

 

右足を手で押さえてゴロゴロと転がるあの人の姿と晩御飯の乗っていたテーブルがひっくり返っていた。

 

たぶん私に当たらずテーブルの太い足の部分に当たったんだと思う。

 

「うわ〜」

 

すごく痛そうだとは思うけど、テーブルに当たって無かったら私があのひっくり返ったテーブルみたいになってたんだと思うとゾッとする。

 

「アナタ!大丈夫!?、アイッ! アンタッ!」

 

お母さんは、私よりもあの人の事を心配して、叫びながら私を殴ろうと近づいて来る。

 

「ひぅッ!」

 

私の事を心配してくれないお母さんにはムカつくけど、それ以上にまた殴られる事に恐怖を感じて、私は顔を手で庇う。

 

「フンギャッ!」

 

でもお母さんが私を殴る事は出来ず、あの人が飲むはずだったビールの瓶を踏んでそのままの勢いよく倒れ込むと、

 

「プギャァァァァァッ!」

 

あの人が前にテレビでみた豚の悲鳴の様な叫びを上げて、白目を向きながら口からはカニみたいに泡を出して気絶していた。

 

お母さんが倒れた時に、あの人のお股に肘を思いっきり当てちゃったみたい。

 

「アナターッ!」

 

お母さんは立ち上がってあの人に駆け寄ろうとするけど、

 

「フンギャロッ!」

 

また転がっていたビール瓶を踏んじゃってスゴイ勢いで箪笥に背中からぶつかる。

 

「ガハッ!」

 

お母さんは痛そうに口から息を吐き出す。

 

すると、勢いよく箪笥にぶつかったせいか、箪笥の一番上の引き出しが出てきて、

 

「ヒギィィィッ!」

 

引き出しの角の部分から落ちてゴッ!ていうスゴイ音を出してぶつかった。

 

お母さんの頭からは血が流れて、気を失っちゃったみたい。

 

「え〜と・・・どうしよう」

 

助けて王さま〜!

 

私はどうすればいいかわからず王さまに助けを求める。

 

すると、

 

「無事か!アイッ!」

 

王さまが家の扉を蹴り破って助けに来てくれたの!

 

「王さまッ!」

 

私は嬉しくて我慢できずに王さまに飛びつく。

 

あぁ、王さまは私を助けてくれるんだ!

 

 

 

 

 

アイの説明を聞き我が思った事は、

 

「ド◯フのコントか?もしくは悪夢のピ◯ゴラスイッチ?」

 

あの雑種どもに『不運』が起こる事は予想出来ていたが、まさかこんなギャグの様な結果になるとはこの我の目を持ってしても予想出来き無かったぞ。

 

流石に今は笑えんな。

 

そんな事を考えているとサイレンの音がこちらへと近づいて来る事に気づく。

 

「やっと来たか」

 

先程呼んだ警察と救急車がやっと来たようだ。

 

「すいません!お待たせしました!巡査部長の山南と申します!」

 

パトカーからメガネを掛けた1人の男ともう1人女が出てきて我に話しかけて来る。

 

「あぁ、怪我人達はあの部屋の中にいる」

 

我は雑種どもが部屋にいる事を伝え、それと同時に部屋に怪しい薬の様なものが散らばっていた事も伝えてやる。

 

「怪我人の搬送が終わり次第にすぐに調査いたします!」

 

男の方はまだ若いが直ぐに行動に移せる事には好感を覚える。

 

「あぁ、それと電話で言っていたが婦警にあの子の身体を調べて欲しい、恐らく虐待の証拠があるはずだ」

 

我は予め電話をかけた時に、アイが虐待を受けている事を伝え、婦警を同伴させ、調べる様に伝えていたのだ。

 

「かしこまりました! 沖田くん!」

 

男・・・いや山南と名乗った男は部下である婦警の沖田という女を呼び寄せアイの身体検査を、行う様に言う。

 

「わかりました!」

 

沖田と呼ばれた女は、薄い金髪に整った顔立ちは何処かの騎士王を連想させるが他人の空似であろう・・・たぶん。

 

丈の短い所謂ミニスカートの警察の隊服に身を包んだ女はアイへと近づいて、

 

「ごめんねお嬢さん、あっちで少し身体を見させてね」

 

女・・・沖田は子供好きのする優しげな笑みを浮かべ、アイと目線の高さを合わせ言う。

 

「アイ、お前の身体に怪我がないかそやつに調べてもらえ」

 

不安気に我を見るアイを安心させる様に優しく言う

 

「うん・・・」

 

アイは少し不安気ではあるが、我の言葉に従って沖田とパトカーの中へ入っていき身体検査を受ける。

 

「申し訳ありませんが、アナタと彼女の関係を聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」

 

山南は我とアイの関係を聞いてくるので我は、アイと知人でありまた虐待を受けている様子があったので気にかけていた事と、

 

アイから助けてと連絡を受けて此処に来た事を伝える。

 

「そうですか」

 

山南と呼ばれた男は、どこか悲しそうな声色で答える。

 

「あぁ、それと我はこう言う者だ」

 

我は山南に名刺を渡す。

 

「バビロニアカンパニーッ!? 代表取締役!」

 

山南は我の正体を知った事で驚いたのか声を張り上げる。

 

「そうだ」

 

表情には出さぬが、山南の反応を内心面白がっていると、

 

「怪我人達の搬送準備が整いました」

 

救急隊員の歌の1人が此方へと進んで来て、山南に告げる。

 

「ご苦労様です、病院に搬送後、治療が終わり次第に連絡を下さい」

 

山南は隊員にこの後の指示を出す。

 

「山南さん、終わりました」

 

沖田がアイを連れ立って此方へと歩いて来る。

 

しかしその顔は悲しそうに表情を歪めていた。

 

「ご苦労様、どうだった?」

 

山南は沖田に検査結果を聞くと、

 

「はい・・・身体の見えにくい部分に打撲があり、また痩せている事とアイちゃんの証言から、日常的に虐待が行われていた様です」

 

沖田は子供好きなのだろう、端正な顔を辛そうに歪めながら山南に答えていた。

 

「そうか・・・ありがとう」

 

山南はどこかやりきれない表情を浮かべながら、我の方を向き口を開く。

 

「申し訳ないのですが、詳しい事情をお聞かせ願いたいので、これからご一緒に署の方に御足労願えますか?」

 

山南はどこか済まなそうに我に、警察署までの同行を依頼して来る。

 

「かまわん、だがその前に此方も秘書を呼びたいのでな、警察署の場所を教えてくれ」

 

我の秘書を呼ぶ為に警察署の場所を聞き出す。

 

「はい、場所ですが・・・」

 

山南が警察署の場所を我に伝える。

 

「わかった、しばし待て」

 

我はスマホを取り出し、我に仕える秘書の『シドゥリ』へと連絡を取る。

 

「『シドゥリ』よ、これから伝える場所へ来い」

 

我の秘書であるシドゥリに連絡を取り、警察署へと来る様に伝え、

 

「では、案内せよ」

 

そして我はアイと共にパトカーに乗り、警察署へと足を運ぶ。

 

なおその際にアイが我の膝の上に座り、胸にしがみ付くように引っ付いていた事をココに記す。

 

そして警察署についてから我とアイは、先程の山南と沖田に事情聴取を受け、その後はしばらくして。

 

「アイちゃんのお母さんは比較的軽傷でしたので、治療後に留置所へ搬送されます」

 

山南から母親の状態と処置を聞き。

 

「そうか、ところでアイの他の親族と連絡はついたのか?」

 

山南にアイの他の親族と連絡が着いたのかを聞く。

 

アイを預かるにしても、親族とのやり取りもしておかなければ面倒事に発展する可能性を考慮して連絡を取らせるが、

 

「すいません、調べたのですが、どうやら母親の方は実家から勘当されているようでして、同棲相手は血縁関係が無い上に親族達と死別しているようで、連絡がつきませんでした。」

 

苦虫を噛み潰したような表情で語る山南。

 

「また実家の方に連絡を入れたところ受け入れを拒否されました」

 

悲し気な表情で再び語る山南。そんな時に、

 

「失礼します!山南部長、ギルガメッシュ氏の秘書の方がお見えです」

 

別室にて待機して山南と話し合いをしている時に、1人の警官が現れ、来客を告げる。

 

漸く来たか。

 

「ご苦労様です、藤堂くん、お通してください」

 

入室を許可する山南の言葉に敬礼を返して、藤堂と呼ばれた男が1人の女性を連れて来る。

 

「到着が遅れて申し訳ありません、王よ」

 

翠の民族衣装に身を包み、頭には白い布を被り、耳には黄金の輪が連なった装飾を付け、口元を透けている黒いマスクで隠した褐色肌の妙齢の美女の姿がそこにあった。

 

そしてそんな彼女の姿に山南と藤堂は見惚れているのか、顔を赤くして惚けていた。

 

「うむ、来たか『シドゥリ』よ」

 

その美女の正体は古代ウルクの祭祀長にして賢王ギルガメッシュの側近、『シドゥリ』であった。

 

彼女の最期は我の記憶の中に強く残っている。

 

そして目の前にいる彼女は『シドゥリ』であっても『原作シドゥリ』ではない。

 

説明が長くなるが、本来特異点は人理にあまり影響を及ぼさない場合は過程だけ多少変更されて結果は反映される。

 

例えば第一特異点でジャンヌオルタに殺されたピエール・コーション神父は、経緯こそ変わっている筈だが、実際にあの年に死んだ事になった筈だ。

 

これは所謂世界の修正力と呼ばれるものだ、世界は矛盾を嫌う、そのために何らかの形で辻褄合わせが起きる、形が変われど結果は変わらないとでも言えば良いか?

 

しかし、何事にも例外は存在し、第七特異点はほぼ人類が死滅した上に、後世に多大な影響を与えた英雄王と呼ばれる『ギルガメッシュ王』が寿命の前に死んでしまっているので、

 

それを反映してしまうと人理に多大な影響を及ぼしてしまう、あまりにも大きな変革は世界の意思と言えど、修正出来ない矛盾が発生してしまう。

 

そういう場合、特異点での出来事は完全になかった事になるので、あの特異点の世界にて『シドゥリ』がラフムに作り替えられた事も無かった事になる。

 

つまり第七特異点を修復した時点でシドゥリはラフムにならなかった事になった訳だ。

 

そしてその世界線の彼女は、死の間際に『ある物』を残す。

 

それは死後も王に仕える為に、石板へ己の人格と記憶を転写し、宝物庫の中へ自らの意思で入ったのだ。

 

我が会社を起こした後、あまりの忙しさと人手不足解消の為、人手の確保に何か使えるものはないかと探していた時に石板を見つけた。

 

そして『王の財宝(ゲートオブ・バビロン)』の中から素体に使える物を取り出し、身体を与え、人格と記憶を再び転写する事でシドゥリを呼び戻したのだ。

 

実際にシドゥリの能力は凄まじく、我程では無いが瞬く間に仕事を覚え、熟し、部下達を上手く使い仕事を捌いていく姿には感動を覚えたものだ。

 

本体が石板の中に封印されているため、増やそうと思えば増やせるが、我は国が滅ぶ瀬戸際にでもならない限りは、増やす気はない。

 

それをやってしまえばこの者の価値を物に落としてしまう、そう思わずにはいられない、故に第七特異点のような状況でも無ければ考えもしないだろう。

 

ちなみにだか今のシドゥリの身体は、受肉したサーヴァントの様なものであり、三大欲求を満たす事も出来る上に、子を孕む事も可能である。

 

「山南よ、とりあえずアイは我らが預かると言う事で構わぬな?」

 

アイの親族に拒絶された以上後に残る選択肢は施設ぐらいしか無い、その様なところに放り込む事になるくらいならば我が預かるとしよう。

 

まぁ、返してはやらんがな。

 

後に精々嘆くが良い、お前達は途方もない宝物を得る機会をドブに捨てたのだからな!

 

「はい・・・申し訳ないです、本当ならば施設などに預ける方が良いのですが」

 

言葉を濁す山南の視線の先には、

 

「絶対にイヤッ!王さまと一緒が良いッ!」

 

まるでコアラの様に我に抱きつくアイの姿があった。

 

「本当はダメなんですけど、お2人は身元がしっかりしているのもありますので、お願いできますか?」

 

山南は此方を見て申し訳なさそうな表情で答える。

 

「構わん、もとよりそのつもりだ、仮に親族と連絡がついていたとしても、話しをするつもりであったからな」

 

まぁ、勘当しているとは言え孫娘を拒絶する様な輩だ、マトモであるハズが無いな。

 

「では書類の作成をしますので此方へ」

 

アイを預かる為の書類の作成の為について来る様に山南が言う。

 

「シドゥリ、任せるぞ」

 

我はシドゥリに書類の作成を命じる。

 

「畏まりました」

 

一礼してから山南と共に部屋を出る。

 

そして暫くし、2人が帰って来ると、

 

「お待たせ致しました王」

 

シドゥリが再び一礼をしながら答える。

 

「書類の作成と、記入が終わりました」

 

シドゥリに続いて山南が此方へと質問を投げかける。

 

「アイちゃんのお母さんの事ですが、後日に事情聴取を行います、その後もし希望されるのなら面会の日程も連絡致しますが、いかがなさいます?」

 

母親の面会について如何するかを聞かれる。

 

「ふむ、我が同伴者として同伴しても良いならば、後日シドゥリに連絡を寄越せ」

 

流石にアイ1人であの雑種と面会をさせる事に不安を覚えるので、我が同伴する事が出来るなら面会させてやると返事を返す。

 

「畏まりました、ではまた後日連絡させていただきます」

 

頭を下げる山南に、シドゥリが近づいて一枚の名刺を渡す。

 

「有事の際にはコチラの連絡先にご連絡ください」

 

シドゥリが頭を下げながら名刺を渡した時に、山南の顔が少しだけニヤけたのを我は見逃さなかった。

 

視線から察するに、シドゥリが頭を下げた時に胸の谷間でも見えたのであろう。

 

此奴ムッツリスケベだな。

 

そんな事を考えていると、どうやら話が終わった様で此方へと2人が歩いて来る。

 

「御協力ありがとうございました!」

 

敬礼をしながら感謝を述べる山南を背に我らは警察署を出る。

 

「王さま、私・・・どうすれば良いの?」

 

アイの手を引きながら歩いていると、これからの事に不安を感じているアイが質問をする。

 

「暫くは我らがお前を預かる、シドゥリよアイの世話を頼むぞ」

 

シドゥリにアイの世話を命じる、無論我も世話を焼いてやるが、やはり同性であるシドゥリに任せた方が良いだろう。

 

それにシドゥリがいない分の仕事をしなければな・・・これでは社畜王ではないか!?

 

「畏まりました王、アイさん、私の名前はシドゥリです。よろしくね」

 

シドゥリはしゃがみ込みアイと目線を合わせながら自己紹介をする。

 

「えっと・・・シドリさん?」

 

人の名前を覚えるのが苦手なアイは微妙に間違えて答える。

 

「呼び辛いならお姉ちゃんでも良いですよ」

 

そんなアイに対して怒らずにシドゥリは自分の事を姉と呼べと答える。

 

「お姉ちゃん?」

 

首をかしげながらシドゥリを姉と呼ぶと、

 

「ふふ、お姉ちゃんですよ」

 

シドゥリは嬉しそうに返事を返す。

 

ふむ・・・目の保養になる風景だな、しかし・・・お姉ちゃんか・・・アヤツの実年齢を考g「王?」・・・いやヤメテおこう、我も命は惜しい。

 

我が考えていた事に何か気づいたのかニッコリとコチラを見やるシドゥリ。

 

「何か変な事を考えておられませんでしたか?」

 

顔は笑ってはいるが、目が笑っていないとはこの事であろう。

 

「いや、なに・・・あの雑種共を如何すべきかと思案していたまでよ」

 

澄まし顔であの雑種共の処遇を考えていたと答える。

 

別にウソでは無いゾ?

 

「まぁ、男の方は色々と終わりであるからまぁ良いか」

 

アレに関しては最早同情せざるを得ないな、男として。

 

「まぁ、良い。まずはアイの私物を揃えてから腹ごしらえをするぞ」

 

時間も時間だ、いい加減腹も減ったであろう。

 

「畏まりました」

 

そして我はアイの手を引き、その後ろをシドゥリが付き従って警察署から出る。

 

その時に何やら不愉快な感覚を感じ、視線を向けると、

 

電線に一羽のカラスが止まってコチラを見ている様に見えた。

 

「王さま?」

 

アイの方を向き何でも無いと頭を撫で車を待たせている場所へと進む。

 

さていつもの店にでも連れて行ってやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで親子の様に歩く三人の姿を一羽のカラスが見つめる。

 

「あ〜あ、余計な事しないでよね、まぁ、あの子(人形)に心は必要ないよね」

 

不意に声だけが響く。

 

「こう言う時ってこう言えば良いんだっけ?」

 

響く声は幼さの残る声でありながら、何処か邪悪さも感じられる。

 

「いつから幸せになれるって錯覚していた?」

 

闇が動き出す。




明かされた『シドゥリ』さんの正体についてはこの作品独自のものとなっております。

なお、特異点の考察については那須きのこ先生のブログである竹箒日記でも詳しく説明されていますので興味のある方はどうぞそちらへ。

シドゥリさんが行った石板への封印は、名も無きファラオに永遠の忠誠を捧げる神官の話を参考にしています。

ちなみにアイが貰った腕輪には自分に害や悪意を与えようとするものに小さな不幸を与える、自動防御系の宝具となっております。

万能ではありませんが、コレを完全に防ぐのは幸運ランクB以上が無いと防げないです。

命には関わらない小さな不幸で相手の行動を妨害する程度の物ですが、場合によっては今回の様な事も起こり得ます。(尚、今回は2人の運の悪さも影響した模様である)

そして暗闇の中に響く声の主とは・・・

次の投稿も頑張ります!

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