時系列としてはキャスター討伐直後くらいです。
最近蒸し暑くなってきたので皆様も体調に気を付けてください。
じゃないと、作者みたいに体調を崩しますよ(胃もたれ中)
冬木大橋の付近の河川にてキャスターによる巨大海魔襲撃事件が起こり慌ただしい中、言峰教会は外界の喧騒とは裏腹に静寂が支配する。
「…はい!…はい! ではその通りでお願いいたします!」
そんな静寂の中とある一室にて、響き渡るのは老年の男性の低い声。
「ふぅ…何とかキャスターの件については片がついたが…」
ため息を吐きながら冷や汗を拭うのは、この言峰教会の神父言峰璃正である。
「はぁ…此度の聖杯戦争はあまりにもイレギュラーが多すぎる…いや…今までマトモに聖杯戦争が行われた事自体が無かったな…」
目元を手で覆いながら、過去に行われた聖杯戦争の資料などから知り得た情報を思い出す。
聖杯とは名ばかりの、魔術師達による願望機紛いの遺物。
だが己の所属する聖堂教会としては無視も出来ない。
主に関わる聖遺物は教会が管理せねばならん。
まだ開催されて数日程度であるが、既に聖杯戦争による被害とその隠蔽に掛かった手間も費用も人員もたまったものでは無い。
そして璃正には悩みの種がまだあるのだ、
「まさか綺礼がな…」
自分にとって息子である綺礼は自慢であり、愚直なまでに信仰心を持ち、苛烈な鍛錬に身を置く求道者…だったと思っていた…否…思い込んでいたのだ。
英雄王によって暴かれた息子の内面…
私は息子を何も見ていなかったのだ…
出来の良い自慢の息子…だが綺礼は見えないところでずっと苦しんでいたのだ、感受性の違い、価値観の違い…そして…
あの日の夜、思い詰めた表情の綺礼が私に話があると言い…打ち明けてくれた内容は今も忘れる事など出来ない、いや忘れなどしない!
まるで親に叱られるのを恐れる子供の様にどこか怯えた表情を見せながら、綺礼は自分が他人との価値観や美醜についての感じ方の違い…
他人の苦痛や無様な姿に喜びを感じてしまう異常者であると打ち明けた。
だが、英雄王との対話によって一つの答えを得たというのが、まだ救いがあるな…
その後はお互いに酒を酌み交わしながら、一晩中語り合った。
無論あの子の性癖や物の価値観は確かに今の世に合うものではない、潔癖な者であれば顔を顰め、唾棄するやもしれん…だが…私はあの子の親だ…
可愛い我が子を見捨てる親などいてたまるか! ましてや本来であるならば私が気づいてやらねばならない事だったのにマヌケにも何一つとして気づいてやらなんだ…親失格ではないか…
だからこそ私は頭ごなしに否定はせず、受け入れる事を選んだ…幸いにも英雄王との対話にて、そのフラストレーションの矛先を異端者や人を害する死徒達へと向ける形になったのは望ましい結果であった。
「ふぅ…さて…とりあえずの問題は処理したが…」
今の私には最も対処せねばならない問題がある。
それは……オホッ! フォオオオオオオオッ!
突如聞こえる奇声…
「入ってくりゅぅぅうっ!」
巨大な十字架に磔にされた老人…ある意味聖杯戦争が起こる原因…
錬金術の大家…アインツベルンの当主だ。
元よりあのイカれた痴呆老人の正体は、人工知能の外部端末たるホムンクルスであり、英雄王が言うには今回の聖杯の担い手であったセイバー陣営の器から摘出した聖杯を本体である人工知能諸共あの老人に移植したらしい…
なにやらアインツベルンの本拠地で『色々』あった様で、その際に今の様な状態になったそうだ。
「百億の…鏡の欠片…小さな灯火…とらわれた…天使の歌声…ゼノギアス…」
何をやったのかは知らんが…
「大きな星が点いたり消えたりしている…あはは、大きい! 彗星かな? いや、違う……違うな…彗星はもっと、バァーって…」
意味不明で支離滅裂な言動を繰り返す…
「オホゥッ! ぐふぅっ!」
何が悲しゅうてこんな老耄の汚いオホ声なぞ聞かねばならんのだ!?
なおも聞こえてくる不快な声…
「神よ…これは私に対する罰ですか?」
そして突如身体をビクビクっと痙攣させたかと思えば…
一言漏らすと同時に突如大人しくなった…
何があったのだ? いや…知りたく無いが…
「頼むから早く! 早く終わってくれ! 聖杯戦争ーーーッ!!」
静かな教会の内部を震わせながら、言峰神父の叫び声がただ虚しく響き渡る。
「ゴフッ! ググググ…」
そしてそれを見て嗤っている外道がいるとかいないとか…
暗く澱んだ場所にて、1人の男が嗤う。
「フフフ…キャスターも討伐されたか…順調に事が進んでいる…」
ゴポっと何か泡の弾ける様な音が木霊する。
「案ずるな…無論わかっているさ…だが何事も準備期間と言うものがある…」
男の言葉に不気味な泡は嗤うかの様に再びその身を弾けさせる。
おや?時臣の様子が…
-
全力でBボタン連打ぁッ!
-
おめでとう!時臣は『 』に進化した!
-
神砂嵐