天に輝くは黄金の北極星   作:帝月

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何とか投稿できましたー!

ホントは2話続けるつもりでしたが、重い話をそろそろ終わらせて、王さまの活躍を書きたいので1話にまとめた為今回は少し長いですが、

どうかお楽しみいただけたら幸いです!

そしてまさかのあの人が登場!

感想や高評価をいただけますと励みになり、やる気が上がります!

あと感想で以前いただいた報告ですが、感想を消していると言われたのですが、私は皆様からいただいた大切な感想は消していません。

私の方では感想の返信だけをしていますが、いただいた感想を消すような操作はしておりません。

管理者の方にも報告しました。


『星の涙』

雑種との契約を終えて、帰宅した後アイの様子を見ると、

 

「・・・・・」

 

虚な表情でボーと視点の定まらない目で虚空を見ていた。

 

あの日からアイは眠り続ける事が多くなっただけでなく、

 

「またか・・・」

 

食事に殆ど手をつけず、少量を食べようとしても拒絶し、吐き出す始末だ。

 

どうやら拒食症になってしまった様で、小さな身体は更に痩せて皮膚の張りも弱々しくなっていた。

 

「王さま・・・」

 

光を失った瞳がまるで縋る様に我を見やる。

 

「阿呆、何だ? その無様な姿は?」

 

縋らせるのは簡単だ、しかしここで立ち上がらねば先は無い。

 

「ごめんなさい」

 

顔を俯かせ涙を流し謝る姿は哀れの一言に尽きるが、こんな所で終わってくれるなよ。

 

「悪いと思うのならば早う治せ、シドゥリ果物でも切ってやれ」

 

シドゥリに命じて果物とナイフを用意させる。そして簡易テーブルの上に用意した果物とナイフを置く。

 

「・・・・・」

 

しかしシドゥリが机に置かれたナイフを手に取ろうとしたその時、

 

「アイさん!?」

 

アイの細腕がシドゥリよりも早くナイフを奪い、己の瞳へと切先を向け躊躇う事無く突き立てる!

 

鋭いナイフは肉を貫き溢れ出た大量の鮮血が幼い顔を濡らす。

 

「あ・・・お、王さま?」

 

貫いたのは瞳では無く、我の右掌を貫通した為切先は届かず、代わりに我の大量の鮮血がアイの顔を濡らす。

 

「王ッ!?」

 

動揺するシドゥリを左腕で静止させ、アイを睨む。

 

「王さまッ!?」

 

自分のやらかした事に気がついたのか、怯えながらも心配そうに我を見上げるアイをただ無表情で睨む。

 

「何故この様な事をした?」

 

荒ぶるでも無く、まるで仮面でも付けているかの様に一切の感情を見せない、無機質な声色で告げる。

 

「王さま、手が・・・」

 

そんな我に怯えているのか、声を振るわせながら突き刺したナイフから手を離す。

 

「答えよ!」

 

だが今此処で引く訳にはいかないので、我は突き刺さったナイフを抜き、血に濡れた右手でアイの頬に手を添える。

 

「お、お母さんが私の目が気持ち悪いって言ったから。だからその、王さまにまで言われるかもって・・・」

 

大粒の涙を再び流しながら心境を語るアイの口に、親指を無理矢理入れ、そのまま引っ張り言葉を中断させる。

 

血が滴る右手の親指を小さな口に突っ込んでいる事で、我の血がそのままアイ体内へと入っていく。

 

身体は無意識に吐き出そうとするがそれを許さず、問答無用で飲ませる。

 

「たわけ! あの雑種の見る目が無いだけであろう! 我がキサマとあった時に何を言ったのか忘れたか!」

 

「王さまは・・・私の目をキレイって言ってくれた」

 

絞り出す様に答えるアイに対して、

 

「今更キサマを手放したあの雑種の妄言など何の意味も無い! キサマは天上天下に置いて絶対の存在たる我のモノとなったのだ! 我のモノたろうとするならいつ如何なる時も胸を張り前を見よ!」

 

我の財と認識してやった事実を突きつけてやる。

 

「辛気臭い顔など見るに耐えんわ!」

 

「私が王さまのもの? 王さまは私を必要としてくれるの?」

 

虚であった瞳に少しずつ光が戻り、自分が不要な存在では無い事に安堵した様だ。

 

「我の財に加えてやったのだ! その身に余る幸福を噛み締め感謝するが良い!」

 

「う、うぅ・・・」

 

今まで抑えていたであろう感情が遂に決壊し、先程とは違う表情を見せながら、声を振るわせ泣きじゃくる。

 

「我に偽るな、本当の自分を誤魔化し続ければいずれは本当の自分をも見失う事になる、泣きたければ泣けば良い、弱音も聞き流してやる。我が欲しいのはありのままのキサマだ、今は好きなだけ泣け。」

 

幼い心は限界だったのだろう、今まで溜め込んだ感情を解放するかの様にただひたすら泣き、泣き疲れたアイは再び眠るがその顔は穏やかであった。

 

「つくづく手間の掛かる奴め」

 

我は宝物庫から『万能たる霊薬(エリキサー)』を取り出し一気飲みして、傷を癒やし、水操の魔術を使って机の上と、布団に飛び散った我の血を集める。

 

「さて、後はコレだな」

 

『王の財宝(ゲートオブ・バビロン)』から取り出したのは人の手の木乃伊であった、その木乃伊には複雑な紋様がいくつも散りばめられていた。

 

「令呪システムの起源であるコレを使い、もしもの時の保険を掛けるとするか」

 

そこから一画を魔術で抜き出し、先程集めた我の血を使いアイの右手に擬似的な令呪を刻む。

 

「王、お身体は大丈夫なのですか?」

 

今まで黙っていたシドゥリが心配そうに尋ねる。

 

「当然だ我を誰だと思っておる」

 

ナイフで刺されたのはかなり痛いが、セイバーに袈裟斬りにされた時や、雑種に右腕を斬られた時に比べれば大したものでは無い。

 

我、斬られてばっかりではないか!?

 

「だが些か血を流しすぎた故にしばし我は寝る」

 

霊薬を飲んだ事で傷は癒えたが、血はまだ足りない故に暫く寝る事にする。

 

「飲ませておけ」

 

我は再び宝物庫から霊薬を取り出しシドゥリに投げ渡す。

 

「かしこまりました、どうかお身体をご自愛ください」

 

我はこの部屋に簡易的な結界を敷き、リビングのソファーに倒れ込む様にしてそのまま寝る事にする。

 

そしてしばらくして、

 

「王よ! 大変です! アイさんが!」

 

シドゥリが声を振るわせながら、我を起こす。

 

「どうした?」

 

目を擦りながら、何があったかを聞くと、

 

「アイさんの姿が消えました!」

 

どうやら只事では無い様だ。

 

急いでアイの寝ていた部屋へ行くと、簡易とは言え我が敷いた結界が壊されており、アイが眠っていたベッドにその姿は無かった。

 

「シドゥリ、気づいたか?」

 

この神秘の薄い時代ではあり得ないハズの気配、

 

「はい、僅かではありますがコレは」

 

神の気配、即ち『神気』の残り香が漂っていた。

 

やはりあの時の妙な気配は神であったか、あの駄女神に通ずる気配を感じたが、特異点や神代ならまだしもこの様な神秘の薄い時代に神が干渉するなど、普通ではありえん、やはりアイには何かがあった様だな。

 

「早速保険が役に立つとはな・・・」

 

我は一度ソファーに腰掛け、意識を集中し、念話を送る。

 

早う我を呼べ! アイッ!

 

 

 

アイside

 

まるで水の中にいるみたいなプカプカとした感覚の中私がいたのは暗い場所。

 

「怖いなぁ」

 

多分此処は夢の中だと思う、だって普通だったらこんな場所ないもん。

 

私は暫く何もせず、周りを見ていると、突然光が見えて、眩しさで目を覆った次の瞬間には、

 

「えっ!? 此処何処!?」

 

全部が石で作られた豪華な場所に私の姿はあった。

 

「あれは?」

 

そして少し歩いていると、あるものが見えた。

 

それは、

 

「王さま?」

 

豪華な椅子、玉座っていうのかな?に座るきれいな金髪の男の子。

 

何故かわからないけど、私はあの子が王さまに似ている気がした。

 

その子の周りには大人の人達が膝をついて頭を下げていて、あの子はそれをつまらなそうに見ていた。

 

凄く退屈そう、私にはあの子の姿がそう見えた。

 

また周りが光って場面が変わる。

 

「やっぱり王さまだ」

 

時間が経ったのか、さっき見た男の子は私が知っている王さまの姿へと変わっていた。

 

王さまは凄くエラそうに周りの大人の人に何かを言ってる、大人の人達はそれに従って作業を進めていた、

 

場面は次々と変わっていく、王さまは色んな仕事をして、大きな街を囲む様な壁を作らせたり、化け物を倒したり、兵隊?みたいな人達に命令したりしていた。

 

でもどの場面でも王さまはただつまらなそうに顔を顰めていた。

 

そっか・・・王さまも私と同じで孤独(ひとり)だったんだ。

 

でも突然場面が変わると、お姉ちゃんが翠の髪をした男の子と女の子のどちらにも見える不思議な人を王さまの所に案内していた。

 

とてもきれいだけど、私には何故か翠の人の顔がまるで作り物の様に見える、私には聞こえないけど、その人は王さまに何かを話してる。

 

王さまは退屈そうな顔から何か楽しい物を見つけたみたいに笑っていた。

 

そしてまた場面が変わる、

 

さっき居た場所からかなり離れた場所という事だけはわかる。

 

王さまと翠の人が向かいあって何かを言った後、王さまの後ろから前に見た金ピカの穴みたいなのが数えきれないくらい現れる。

 

翠の人も笑いながら地面に手をつくと、地面が金色に光る。

 

そして、二つの黄金から光り輝く、剣、槍、斧などの様々な武器が顔を出す。

 

二人が同時に手を下ろすと、全ての武器が全くの同時に射出される。

 

お互いの武器は激しく激突を繰り広げ、段々と更に数を増やしていく。

 

王さまは空を飛んで、背後からだけで無く頭上にも金色の渦みたいなものを出してそこからまた数えきれない武器を雨霰と射出していく。

 

翠の人も武器を増やすだけじゃなく、金色の鎖を地面から幾つも出して翠の人目掛けて飛んでくる武器を薙ぎ払ったり、鎖の先に鋭い刃が付いていて、それをすごい数で打ち出す。

 

どっちの武器も輝いていて、まるで流星群同士のぶつかり合いみたいに見える。

 

見た目こそキレイな数えきれない程のキラキラ光る流星達が落ちていく度に凄い光が生まれ続ける。

 

私の方には音も衝撃も来ないけど、辺りを舞う砕けた岩の破片や砂煙や周りに出来た窪みの大きさから凄い威力だと言う事だけはわかる。

 

此処まで現実離れした光景を見ていると、自分がまるで映画やゲームの世界か何かにいる様にさえ思える。

 

これが神話の戦いっていうものなのかな?テレビで見た事のある映画よりも凄い戦いだからコッチが映画なんじゃ無いかなと思えるよ。

 

王さまと翠の人の弾いた武器が二人のすぐ近くを通り過ぎても、二人はずっと楽しそうに笑いながら更に数を増やし続ける。

 

何でだろう・・・凄く楽しそう/羨ましい

 

心から楽しそうな二人を見るたびに私の胸がチクリと痛む。

 

それから長い事二人の戦いは続いて、武器の撃ち合いから、王さまは色んな武器を手に持って直接翠の人に叩きつけるけど、翠の人も手を変形させて王さまの攻撃を防ぐ。

 

どっちも楽しくてしょうがない、そんな顔をしながら二人は何度もぶつかり合う。

 

太陽が3回昇ったからたぶん三日間も戦ってたんだ。

 

最後に王さまはドリルみたいな武器を出して、それを空へ飛んでから回転させると、赤いエネルギーみたいなものが溢れ出して、王さまのいる場所に台風がおきたみたいに色んな物を吸い込んでいく、

 

翠の人も笑いながら地面に手をつくと、どんどん花が咲いていって翠の人に大きな木が集まって行く。

 

そして王さまはドリルを振り下ろし、翠の人は木と合体しながら光り輝いて、王さまのいる場所へ伸びて行く。

 

二人のソレがぶつかった瞬間今迄とは比べ物にならないくらいの光が世界を包む、私は耐えきれずに目を覆って自分を守る。

 

そして光が収まってから二人のいた場所を見ると。

 

「うそ・・・」

 

そこには王さまの居た街全部が入ってもまだ余裕のありそうな大穴が空いていた。

 

二人は遊び疲れたみたいに地面に座って楽しそうに笑っている。

 

また私の胸がチクリと痛む。

 

そしてまた場面が変わり、今度は豪華な食堂?みたいな所で王さまと翠の人が一緒にご飯を食べていた、翠の人は蜂蜜の掛かったパンを凄く美味しそうに食べて、王さまはそんな翠の人を見て笑っている。

 

その後も場面が次々と変わっていく、

 

王さまとお姉ちゃんがお仕事をしている時も、楽しそうに笑う翠の人がいつも王さまの側にいる。

 

私はそんな二人を見るたびに凄く羨ましく思う。

 

何で私はあそこにいないのかな?

 

王さまと翠の人はいつも一緒にいて、楽しそうに笑って色んな所へ行ったり、凄く怖い化け物を倒したり、お姉ちゃんに怒られている王さまを見て笑う翠の人に王さまが怒ったりと凄く楽しそうな毎日を過ごしていた。

 

やめてよ・・・凄く胸が痛いの・・・王さまの・・・あんな楽しそうな顔なんて見た事ない。

 

でもある日、王さまに一人のきれいな人が、王さまに言い寄ってるけど、王さまは凄く嫌がっていて、その人に何かを言ったら、急に怒り出して王さまから逃げちゃった。

 

それからまた場面が変わって急に暗くなって来たから、何かなと思って空を見上げると、

 

何アレッ! 怪獣!?

 

山よりも大きい金ピカの骨だけの牛の様な見た目の化け物の姿があった。

 

アイは知る由もないが、この化け物は神々がギルガメッシュとエルキドゥを罰する為に遣わした神獣、名を『天の牡牛(グガランナ)』という。

 

王さまと翠の人はすぐに高い崖に登って、あの化け物を睨み、翠の人が手を振ると地面から金色の鎖があの化け物目掛けて飛んで行く。

 

凄いッ! あんな大きな化け物を捕まえたッ!

 

伸びた鎖が神獣を拘束し、神獣は力任せに暴れるが鎖はビクともせず捕まえて離さない。

 

あッ! 王さまがまたあのドリルみたいなのを出した!

 

王さまはまたドリルの様なものを出して、回転が始まると、凄い勢いで回転していって、振り上げたソレから凄いエネルギーが化け物に飛んで行く。

 

化け物は何も出来ずに、消えちゃった。

 

私はあんな大きな化け物を簡単に倒しちゃう王さまと翠の人を凄いと見つめていたのだけど、

 

翠の人が突然倒れて、王さまが慌てて抱き上げる。

 

翠の人はいつも笑っていたのに今はとても苦しそうにしている。

 

それから時間が流れて、翠の人は王さまのお部屋に寝かされて、ずっと王さまが付きっきりで看病をしていた。

 

ホントはこんな事考えちゃダメ何だけど・・・私は・・・翠の人が羨ましい。

 

お仕事をする時も、食事をする時も王さまはずっと翠の人の傍に居て何かを話し続けていた。

 

翠の人は苦しそうにしながらも王さまのお話を楽しそうに笑って聞き続けていたけど、何回も日にちが変わって遂に・・・

 

翠の人がゆっくりと、王さまに何かを伝えると、王さまは翠の人の手を強く握って涙を流し続けている。

 

そして翠の人の身体を抱きしめながらたぶん大声で何かを叫んでいるんだと思う。

 

私はそんな翠の人を見つめていると、自分の目から涙が溢れている事に気づく、でもこれは悲しいんじゃない。

 

私は翠の人が羨ましいんだ! 何で!? ねぇ! 何でアナタは王さまに泣いてもらえるの!? 何で私はソコにイナイノ?

 

こんな事を思うのは悪い事かも知れないけど、考えずにはいられないよ!

 

ねぇ・・・王さま・・・王さまは・・・

 

私が・・・死んだ時は翠の人の時みたいに泣いてくれますか?

 

こんな事を考える私が嫌になるって思っていたその時に、私の肩を誰かがそっと優しく触ってくれる。

 

王さま? 私は王さまがいるのかと思って振り向くと。

 

「ダメだよ、せっかく生きてるのに壊れた(死んだ)僕(ワタシ)に憧れちゃ」

 

王さまに抱きしめられていたハズの翠の人がいた。

 

「やぁ はじめまして僕はエルキドゥ、壊れかけた神の武器。かつて、僕はそう呼ばれたことがある。間違っているとは思わない。確かに僕は一度壊れた(死んだ)からね」

 

笑顔で私に自己紹介をする翠の人。

 

「エレキド?」

 

うぅ・・・やっぱり人の名前って覚え辛い。

 

「エルキドゥだよ、呼び辛かったらエルでも良いよ」

 

翠の人もといエルはニッコリと笑いながら呼びやすい名前で呼んでいいと答え、

 

「君の名前は?」

 

私の名前を聞いてくる。

 

「アイ・・・星野アイです」

 

この人が悪い人じゃ無いのはわかっているけど私は、素直になれない。

 

「ホシノアイ・・・星の愛か良い名だね」

 

王さまも同じ事を言ってくれたなぁ。

 

「本当は僕が出る事はできなかったんだけど、『彼』が君に血を飲ませたから、先程の『記憶』と僕が出る事が出来たんだ」

 

「記憶・・・やっぱりアレって王さまの記憶だったんだ」

 

エルが私に説明をしてくれるけどあんまりわかんない。

 

「ふふふ 君はどうやら彼に気に入られている様だね」

 

エルは儚げな笑いを浮かべながら語る。

 

「そうなのかな?」

 

お気に入り・・・王さまは私の目をキレイって言ってくれた、もしかして私の目だけが欲しいのかな?

 

「いや それは無いね」

 

勝手に暗くなりかけていた私にエルがキッパリと違うという。もしかして考えている事がわかるの?

 

「君わかりやすいから、それと彼自身は何か混ざったみたいだけど本質とかは別に変わってないし、もし君の目だけが欲しいなら抉り出して奪ってたよ」

 

薄く笑いながらも中々に残酷な事をあっけらかんと言うエルの姿に、私はちょっと恐怖を感じる。

 

「それに彼の血が君の中に入った事で、外の駄女神っぽい奴の神威を防ぐのと、深く繋がる為に記憶を見たのさ」

 

駄女神? 何だろう?

 

「う〜ん もっと詳しく話してあげたいけど時間が無いからね、僕は彼の中に宿った僅かな残留思念だから、僕もホンモノじゃないのさ」

 

何処か寂しそうに言うエルに私は、何故か似ていると思った。

 

「そうだね、君と僕は少し似ているね、どちらも『鎖』として造られたのに役目を果たせなかったところとか」

 

あっそうか何か似ていると思ったのはソコだったんだ。

 

「アイ、君の右手の甲を見てごらん」

 

エルに言われて自分の手の甲を見ると、そこにあったのは。

 

「赤いドリルと鎖?」

 

王さまが使っていたドリルとエルの鎖に似た赤い模様だった。

 

「ドリルじゃないんだけどね、まぁ良いか それは令呪を模したものだね」

 

令呪? コレってただの模様じゃ無いの?

 

「うん 詳しい事は省くけど、ソレは君と彼を繋ぐものでこれだけのものならきっとこの隔絶された空間にも来れるよ」

 

隔絶? 何だろう?ここが普通じゃ無いのはわかるけど。

 

「とっても遠く離れた場所だと思えば良いよ、その令呪に強く彼に助けを求めれば必ず彼が君のもとに来て助けてくれるよ」

 

王さまがまた助けてくれる、そう言われた時の私の心臓が高鳴った気がした。

 

「あぁ、それとアイ 君に頼みたい事があるんだ」

 

私に? 何だろ? エルの言葉を不思議がっていると。

 

「外から感じる神気が何かあの駄女神に似ていて不快だから、彼に伝言をお願いしたいんだ」

 

何だろ、顔は笑っているのに凄く怖い。

 

「えぇ〜と王さまに何を言えば良いの?」

 

怖いけど王さまの友達だし、私の話を聞いてくれたからとりあえず聞こうと思う。

 

「大した事じゃないよ、ただあの駄女神に似た存在を全力で殴っておいてと伝えてくれたら良いよ」

 

そう言い放つエルの姿は、とても良い笑顔だけど凄く黒い何かを感じる様な表情だった。

 

その駄女神ってエルに何をしたんだろう?

 

「アッハイ わかりました」

 

私は深く聞く事をせずに答える。

 

「うん ありがとう。彼によろしくね」

 

少し寂しそうにエルは微笑んで少しずつ消えていく。それと同時にこの暗い世界も消えていくのを感じ、

 

「うぅ・・・此処どこ?」

 

重い瞼を開けると、そこは先程とあまり変わらない暗い世界だったけど、さっきの場所と違うのは凄く寒くて何かに見られている感じがする。

 

「あ、やっと起きたねお人形さん」

 

私くらいの女の子がニヤニヤと、私を見ながら笑っていた。

 

この子が駄女神?

 

「何でかわかんないけど、生意気にも私の神気を弾いて効かないからちょっと困ってたんだよね」

 

何だろう? エルの言っていた事がちょっとわかった気がする。

 

「ま、いっか さて感動のご対面だよ」

 

黒い女の子がそう言い放つと、突然私の後ろからズル、ズルっと何かを引き摺りながら近づいて来るのがわかった。

 

「ひぅッ!」

 

それは身体中から血を流して、長い髪が垂れその隙間から鈍く光る目が見える、化け物だ!

 

「お前・・・だけ・・・は」

 

でもその化け物の声は聞き覚えがあった。

 

「出来損ないの・・・クセにぃ」

 

うそ・・・お母さん? 何で? 何あの姿は?

 

私は声でお母さんだと理解してしまう。

 

「カワイソウだよねぇ、せっかく邪魔な君を捨てて、幸せになれると思ってたのに、まさかの事故で死ぬなんて」

 

え? 待って? 今死んだって言った? じゃあこの人はもぅ・・・

 

お母さんだった化け物がゆっくりゆっくりと私に近づいて来る。

 

「お・・・母さん」

 

私の声など聞こえてないとばかりに私へと近づいて来る。

 

「お前・・・さぇ・・・」

 

化け物の声に怯え、恐怖と悲しみが入り混じった事で頭の中が真っ白になる、もぅ何も考えられない、そう思った時。

 

早う我を呼べ! アイッ!

 

王さまの声が聞こえた!

 

「スケ・・・テ」

 

私は震える声で、

 

「タス・・・ケテ」

 

必死に、

 

「助けてッ! 王さまぁッ!!」

 

王さまに助けを求める。

 

その時右手の模様が紅く輝きを放った後に消え、私の前に光が、キレイな金色の光が溢れる。

 

「ふん、全く我をいつまで待たせれば気が済むのだ、このたわけ」

 

黄金の輝きを放つ鎧を身につけた王さまが私を助けに来てくれた!




次回は王さまガチギレ、怒りのバビロン

次回『王の財宝(ゲートオブ・バビロン)』

やっと戦闘シーンにいけます!

駄女神の運命は如何に!?

感想や高評価をいただけますと励みになりやる気が上がります!

次の投稿もお楽しみいただける様に頑張ります!
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