ピロン
「ん?」
家でゲームをやってると、側に置いてあったスマホの通知音がなった。
「あ、ウララか。」
メッセージの内容を確認するとこう書いてあった。
―次のレース観に来て欲しいんだけど、たーくん来てくれる?―
「おー、レースか…せっかくだし、久しぶりに観に行くか。」
俺は、ウララにレースを観に行く旨をメッセージで送った。すると、すぐさま喜びの返信が来たのだった。
―大井競馬場前―
レース当日、俺は指定された集合場所に来ていた。ウララは準備があるため代わりにウララのトレーナーさんが来てくれるらしい。
「あの人かな?」
集合時間になると、20代くらいの女性がこちらへやってくる。
「君が春谷拓人君?」
「あ、はい、そうです。ウララのトレーナーさんですか?」
「はい、ウララを担当している
「よろしくです。」
「それじゃあ、早速行こっか。ウララは控室でウキウキで待ってるから。」
「はい。」
俺は冬木さんのあとに付いて、ウララのいる控室に向かった。
「そういえば最近、ウララと遊んだんだってね。ウララ、私や友達に嬉しそうに話してくれたんだよ。」
「そうなんですか。」
「春谷君と久しぶり遊べたのがあの子にとって相当嬉しかったんだろうなあって話しを聞いてて思ったよ。」
「でも、ウララは他の友達と遊んだとしても、きっと凄く嬉しそうにしてますよ。」
そう、ウララはそういう人なのだ。誰と遊んでも嬉しそうにしているいい人なのである。しかし、冬木さんは首を振って答える。
「ううん。あの子、他のお友達と遊んだ時も話してくれるんだけど、春谷君の時はどの友達と遊んだ時よりもすっごく嬉しそうに話してくれるの。だから、ウララにとって春谷君は特別なんだと思うよ。」
「そ、そうですか…//」
冬木さんの言ってくれたことに少し照れながら返事をする。もし、本当にウララが俺のことを特別に思ってくれていたら、正直嬉しい。でも、ウララに限ってそんなことはないんだろうなとも思った。
「着いたよ。」
気付けばウララのいる控室に着いたらしい。冬木さんが先に入って俺が入っていいか確認してくれる。
「春谷君入って来ていいよ。」
呼ばれたので俺は控室へと入る。
「お邪魔します…。」
「たーくん!」
入った途端、聞き馴染みのある明るい声で俺を呼びながらこちらにやってくる幼馴染がいた。
「たーくん、来てくれてありがとー!」
「いや、ウララこそ誘ってくれてありがとう。実際にウララのレースを生で観てみたかったからさ。」
「ほんとに?!うれしー♪」
「…あ。」
ふと、ウララから視線を外すと、後ろにはもう一人のウマ娘がいることに気付いた。
「こんにちは…。」
「あ、こんにちは。」
「あっ、たーくん、紹介するね!私のお友だちのライスちゃんだよ♪」
「初めまして、ライスシャワーって言います。よろしくお願いします。」
「春谷拓人です。こちらこそよろしくです。」
ライスシャワーさんを見た印象は、ウララとは違って凄く落ち着いた雰囲気で、年上っぽいと感じた。
「いつもウララちゃんから春谷君のことは聞いてたから、どんな人なのか少し気になってたんだ。」
「そうなんですか。」
ウララは本当にいろんな友達に俺の話しをしているみたいだ。なんか、ありがたいようで恥ずかしい気もする…。
「ねえねえ!今度は私とたーくんとライスちゃんの三人で遊ぼーよ。そしたらきっと、もーっと楽しいと思うんだ♪」
「いいね。春谷くんはどう?」
「もちろん僕もいいですよ。」
「やったー♪じゃあ今度のお休みに遊びに行こー!」
その後、遊びに行く日の日程について細かく話し合っていると、あっという間にウララが控室から出ないといけない時間になっていた。
「あ、ウララ、そろそろ時間だって。」
「えー!まだ全然たーくんたちとお話しできてないよ―…。」
「じゃあ、レースが終わったらまた話そ?」
「…うん!その時はいーっぱい話そうね♪」
「ウララちゃん、頑張ってね!」
「ウララ、応援してるよ。」
「…!うん!私、今日こそ一着とるぞー!」
そして、ウララは気合い十分のまま会場の方へと向かい、俺と冬木さん、ライスシャワーさんは観客席の方へと向かった。
―観客席―
「あら、冬木さんにライスシャワーさん…それに春谷さん!」
「どうも。」
観客席に着くと、そこにはキングヘイローさんに…
「…あ!もしかして、ウララちゃんの幼馴染の人ですか?!」
「あー、あの話しの…!」
「こんにちは。まさかお会いできるなんて。」
「会えてうれしーデース!」
「あ、どうも…」
ウララの他の友達もいた。反応を見る限り、やはり俺の話はかなり出回ってるらしい…。それから簡単に自己紹介をして、手前から順番にスペシャルウィークさん、グラスワンダーさん、エルコンドルパサーさん、セイウンスカイさんだ。
「ウララちゃんからこの前、春谷くんと遊んだ話しを聞いたんだ。ウララちゃんすっごく嬉しそうだったよ。」
「相当仲が良いみたいですね。」
「まぁ…//」
今俺はかなり困ってた。理由は大勢の女性に挟まれているからだ。正直居づらい。でもそんなことを言ったら申し訳ないので、ここは我慢するしかない。
「いやー、でも君がそうかー…ほー…。」
セイウンスカイさんが興味津々といった感じに俺をじーっと見つめていた。というか、他の三人にも見られていた。そんなにみつめないでくださいよ…。
「あっ、そろそろ始まるみたいですわね」
と、丁度良いときにレース場にファンファーレが鳴り始める。
「うー、なんだか緊張してきたよ…。」
「あなたが出るわけではないでしょ?…まあでも、それは少し分かりますわ…。」
「キングのほうが緊張してるんじゃない?」
「そ、そんなことはありませんわ…!」
「そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。ほら、ウララを見てごらん。」
冬木さんはそう言い、俺たちはウララを見る。
「あっ…本当ですわね。」
「うん。ウララちゃんなら大丈夫だね。」
「そうですね。」
俺が見てもはっきりと分かった。ゲート前に立つウララから、勝利を確信できる程のオーラを感じたからだ。
次回もお楽しみに!
多分、遅くなります…すみません!