「かんぱーいっ!」
「ウララちゃんおめでとう!」
「ウララさん、よく頑張りましたわ!」
「みんな、ありがとー!わたし、これからもいっぱい一着とれるようにがんばるね!」
現在、ウララの初優勝を記念して、祝勝会を開いていた。皆、心の底からウララの優勝を喜び、とても賑やかなものになっていた。
すると、ウララは友達との会話に一区切りついたのか、こちらへとやってきた。
「たーくん!わたし、やっと…やっと一着とれたよ!」
「うん、おめでとうウララ。俺も本当に嬉しいよ」
「これもたーくんとの約束のおかげなんだよ?ぜったいに何があってもたーくんとの約束は叶えるんだって思いながら、いつも練習を頑張ってたから!」
「そっか…。すごいなウララは」
「でも、約束はいーっぱい一着をとることだから、まだまだこれからだよ!」
ウララの言葉を聞いて俺は思った。「このままで本当にいいのか?」と。ウララは俺との約束のために必死に努力し続けて、今回、その約束に一歩近づいたのだ。ウララは絶対に諦めたりはしなかった…なのに俺は…
「ねえ、たーくん…」
頭が悩みでいっぱいになっていた時、再びウララに声を掛けられる。
「もし、たーくんに叶えたい夢が出来たら、わたしはたーくんの夢をぜんりょくで応援するね!」
「…!」
応援するね
その言葉が俺の心に深々と刺さった。それは、俺にとって一番欲していた言葉だからだ。
家族以外からは一度も言われたことがなかったため、こうやって俺の夢を応援してくれるのはとても嬉しかった。
(もう一度頑張ってみようかな…)
単純なのかもしれないが、ウララに応援されたことで、再び頑張ろう思えるようになった。
「たーくん、大丈夫…?」
「ああ、ごめん…その、嬉しかったから…」
「えへへ♪それなら良かった!でも、応援するのは当然だよ?だって、大切な友達だもん!」
「そっか…」
そういうことを平気で言うウララは本当にずるいと思う。
「ねえねえ、たーくんもみんなとおしゃべりしよ!」
「え、ちょっ…!」
俺の言葉を聞く前に勢いよく引っ張られ成すすべなく、女子の輪に混ぜられるのだった。
それからニ時間近く経った頃、そろそろ寮に戻らないといけない時間になったため、祝勝会はお開きとなった。
「…」
「ウララ大丈夫?」
「ふぇ?うん、大丈夫…だよ…」
どうやらウララは眠くなったみたいだ。無理もないだろう、今日は本当に頑張っていたのだから。
「ほらウララさん、帰ってちゃんとお風呂に入ってから寝ないとだめですよ」
「うん、わかったー…」
「あ、春谷君」
帰り支度をしていると、冬木さんに呼び止められる。
「今日は来てくれてありがとうね。おかげでウララもより頑張れたと思うから」
「それなら良かったです」
「次のレースも春谷君のこと招待するね」
「いいんですか?ありがとうございます」
ふと、ここで俺はあることを思いつく。
「あの、冬木さんにお願いしたことがあるんですが…」
「?」
―神社前―
祝勝会から数日がったったころ、俺はトレセン学園の近くにある神社に来ていた。なぜ俺はここにいるのかと言うと…
「たーくん、トレーナーになるの!?」
「うん、もう一度頑張ろうと思ってね。それもウララが俺の夢を応援するって言ってくれたからだよ」
「えへへ♪たーくんの夢はわたしが誰よりも応援するよ!」
祝勝会の日に冬木さんにお願いして、ウララのトレーニングを見学させてもらうこととなった。トレーナーを目指すにあたって現役のトレーナー、ましてや、G1で優勝に導いた敏腕トレーナーから学べるのはとても貴重であるため、こんな機会絶対に無駄には出来ない。
「それじゃあ、早速始めようか」
「うん!」
ウララは準備体操をした後、神社へ続く石段の前に立つ。
「ウララ、準備はいい?」
「もちろん!いつでもいいよ!」
「わかった。よーい…スタート!」
開始の合図とともにウララは石段を一気に上り始める。
「うおぉぉぉぉ!」
練習でもすごい気迫だ。さすがはG1を制したウマ娘と言うべきか。
「実はね、ウララを有馬記念に出すことにしたんだ」
「え?!」
俺は耳を疑った。正直、ウララが有馬記念でまともに走れるとは思えないからだ。
「やっぱりそんな反応になるよね」
「え、あ…」
「いいのいいの。それが普通だからね。…ウララってね、勇気をもらえるウマ娘って言われててね、ウララの走りを見たいっていう人たちが物凄くいるの。それでね、有馬記念の運営の人たちから、そんなウララにぜひ有馬記念に出走して欲しいって言われたの」
確かにウララのファンは前々から多くいたが、この前のG1で優勝したことを機に更に多くのファンを獲得したため、ウララの走る姿を見たいという声は相当なものだろう。そして、有馬記念の運営の人たちもその中の人たちだったといったところだろうか。
「最初はウララには適性がなさすぎるし、断ろうかなって思っていたんだけど、ウララにこの話をしたらね…」
『わたし、有馬記念に出たい!』
『え、でも、ウララにとってかなり厳しいレースになるけど、それでもいいの?』
『うん!だって、いろんなレースに出なきゃ、いっぱい一着をとる夢は叶わないもん!』
「ウララらしいですね」
「うん。でも、それを聞いて私もウララのために更に頑張らなきゃって思ったんだ。担当バの思いに応えてあげなきゃ、トレーナーとして失格だから」
この話を聞いて俺は、ウララはとても良いトレーナーに巡り合えたんだなと改めて実感した。こんなにも担当バを想ってくれる優しいトレーナーはそういないと思う。
「それにね、わたしもウララをスカウトしたときに、「いっぱい一着をとれるようにする!」って約束しちゃったから、破るわけにはいけないしね」
冬木さんはにこやかにそう話す。
「僕、ウララのトレーナーが冬木さんで本当に良かったなって思ってます」
「え~、嬉しいこと言ってくれるじゃん(笑)でも、ありがとね。それを言われてとても安心したよ。私はちゃんとウララのトレーナーとしていられてるんだって自信にも繫がったから」
大人の女性、しかも冬木さんは結構美人なので、微笑みながらお礼を言われるとめちゃくちゃ照れる。なので、急いで顔をそらして、照れてるのがばれないようにした。
「あれ、もしかして照れちゃった(笑)?もう、かわいいなあ(笑)」
しかし、あっけなくばれていじられてしまった。
「照れてないですよ…//ほ、ほら!もう少しでウララが上りきりますよ!」
「はいはい(笑)」
ウララが石段を上りきると、冬木さんはウララを褒めながら的確にアドバイスしていく。
(やっぱりすごいな…。俺としゃべりながらも、ウララの改善点をしっかりとらえてる)
俺はつくづく冬木さんの凄さに気付かされた。今日、教えてくれることに心の底から感謝しなくては。
その後、俺にウララになぜそういうアドバイスしたのかや、有馬記念を出走するにはどのようなところ改善しなくちゃいけないかなどこと細かく教えてくれた。ウララの性格も考えて走り方を考えているという話を聞いたときは目からうろこだった。
(すごい…めちゃくちゃ面白い!)
冬木さんの話を聞いて俺は感動していた。そして、ウマ娘の埋もれてしまっている能力を全て引き出すことのできる、冬木さんのようなトレーナーに俺もなりたいと強く思った。
「今日は本当にありがとうございました!」
「役に立てて良かったよ」
「えへへ♪たーくん本当にうれしそう♪良かったねトレーナー!」
「うん。また聞きたいことがあればいくらでも教えるからね」
「いいんですか?!」
「もちろん。ただ、学園の中はだめだから、外で練習するときは連絡するよ」
「ありがとうございます!」
本当にありがたい。冬木さんが優しい人で本当に良かった。
「それじゃあまたね」
「たーくんまたね!」
「はい!ウララもまたね」
こうして、最後まで充実した初めての特別授業は終了したのだった。
しかし、そんなときに悲劇は起こってしまうのだ。
本当に遅くなって申し訳ございません!
次回もお楽しみに!