博麗大結界が壊れたあの日から~東京project~ 作:冬希
(予選=36話
8月28日。土曜日。
朝6時半。西行寺一家(秋姉妹とめーりん)は前回とほぼ同じように見送りを行う予定だったが、せっかくの全国大会である。
バイトをなんとかして休み、応援しにいくことに。
「さて、いきましょう」
と、ふわふわした雰囲気を保ちつつのんびり三鷹へ向かう。
試合開始はなんとも中途半端な9時から。のんびりしても問題はない。
~三鷹駅~
前回、教わった通りに新宿までの切符を買う
新宿までは乗り換えという、大変面倒なことをしなくて済むので、楽である
約20分、揺られてる。
幽々子はやったらしゃべらないので、美鈴はしゃべりかけてみた
「やはり緊張するんですか?」
と、肩を叩く
「すー すー」
幽々子はそう返事をした。
返事をした という自覚は全くないが。
「あちゃー、寝てますよ」
美鈴は秋姉妹にそう言った
「まあいいんじゃない?力を蓄えているように見えるし」
と、静葉は言った。
…決して美鈴は静葉を否定している訳ではないが、少なくとも美鈴はそうみえなかった。
新宿について、幽々子を叩き…はせずに起こして、案内させた。
到着したのは7時10分。時間はあり余りすぎてるが、とりあえず会場へ向かった
~トキワ新宿~
ここは会場である。
そこには、異様な静けさに包まれた会場と、本番の行われる場所だからか、テーブルと椅子が用意され、その周りには柵が張られている
さて、早く来たはいいのだが、何もやることはない。
当然、この後ドカ食いする幽々子がいるのでどこか食べにいくのも良くない。
試合開始は9時。受付は8:30からと、一時間ほど間違えた気がした一同であった。
近くに店こそはたくさんあるものの、時間が時間なため、どこもかしこやっていない。
「仕方ないわね。ここで待つしかないようね」
静葉は諦め、以前幽々子が寝ていた椅子へ座り、時を待つことにした
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「時間になりました!ただいまから受付を開始します!」
椅子で寝ていた4人は起こされた。
「あら、もうそんな時間?」
と、ゆったりと受付へ向かう。
「幽々子様!」
ふと、聞き慣れた声が聞こえた。
妖夢である
「あらよ~む~ こんなところでどうしたの?」
幽々子は相変わらずのゆったりとした口調で聞いた
「そりゃあ、幽々子様が出られるなら私も応援に来ます!頑張ってください!」
妖夢はそう言った
「ええ。わかったわ」
というと、妖夢の肩を叩いて受付へ
優しくも、気迫のある手である
「まるであのときのようだ…」
あのときとは、春雪異変のことである
「幽々子様!霊夢たちがここへ向かって来ます!」
あのときとは、幻想郷に春が来なかったあのときである
「妖夢。いきなさい。あなたの実力なら、きっと霊夢たちを止められるわ」
幽々子は妖夢に、警備にいくよう指示した。
「で、でも私だけの実力じゃ…」
「…あなたがあなたを信じないでどうするの?今、霊夢たちを止められるのはあなたしかいないわ。そう、心得なさい」
と、幽々子は妖夢の肩を叩いた
「…はい!」
「…懐かしいな」
ちょっと妖夢は涙していた
そんな妖夢をよそに、昨年の優勝者が姿を表す。
「幽々子様の敵をなす者は斬るだけだ」
と、その人を見た。
いつも使っている、ひとふりで妖怪10匹分を斬ることができる「楼観剣」を振りかざす真似をする
「この剣で切れない物は少ししかない…ってね」
その人は、「小中野 竜太」(こなかのりゅうた)といい、
「イケメン」 「最強」 「優しい」の三つを兼ね揃えた三銃士。
数年前、彗星のごとく現れて以来、無敗である
…と妖夢は聞こえた。
どうやら、テレビ放送もされるらしく、アナウンサーもいる。
試合開始5分前。先週はそれぞれの場所に座る。
そもそも、この柵自体が竜太の人気度が高すぎて、近づこうとする人が非常に多く、打開策として柵が設置された。
幽々子はいつもと変わらぬ表情でそこにいた。
その容姿に惚れたのか、幽々子を応援しにきた男性も少しはいるようである。
「試合開始3分前です!今回のお題は、博多から大量に取り寄せた『とんこつラーメン!』」
この言葉を聞いた幽々子は、誰にもバレない程度に嫌そうな顔をした
「幽々子様…?」
それに気づいたのは妖夢。ただひとりである。
「ようい、スタート!」
このかけ声で一斉に食べ始める。
7つの都市の代表とあってか、開始数分はほとんど並ぶ
「おかしい、おかしすぎる」
妖夢は気付いていた。
「幽々子様…なんで幽々子様は…
そんなに辛そうなんですか」
剣士を嗜んでいた妖夢は、人の表情の変化を読みとるのが得意であり、しかも君主である幽々子の微妙な表情の変化を読み取っていた。
開始15分。
チャンピオンが頭一つ抜けている。
幽々子は4番目につけている。
幽々子の強みはペースを落とさないことである。
現4位という順位こそ、すこしづつ上げてきた順位である。
が、その顔は変わらない。
時間は残り25分。
「幽々子様…無理をなさらずに…」
こういい残し、どこかへ立ち去った。
「残りは半分となりました!現在一位は無敗の新人、小中野竜太選手!」
この声とともに、女性からの歓声が聞こえる
まだ妖夢は帰って来ていなかった。
幽々子のペースは落ちないが、上位三名も決してペースを落とすことはない。
「残り10分~!現在の一位も、小中野竜太選手!独走態勢に入りました! 期待の新人、幽々子選手も3位をキープし、2位をじーっと狙っています!」
幽々子の顔色は決して悪くはなかったが、何かを我慢しているかのような顔である。
このとき、妖夢は帰ってきた。
「幽々子様…」
顔色に気付いているのは妖夢だけである。
「残り1分~、ここでついに、並びました~! 2位は、竜太選手が来る前の一位、陽介(ようすけ)選手です!」
残り1分、応援の声が熱く響きわたる。
運命のカウントダウンが始まる。一斉にペースを上げ始める。
いま、会場内は最高潮である
「試合終了~!」
と同時に、一同は箸を置く。
数分後…
「集計が終わりました!第3位からの発表です!第3位は…
西行寺幽々子選手!」
一斉に拍手が響き渡る。
幽々子は笑顔で手を振り、賞状、盾を貰う。
「第二位は…
中森 陽介選手!」
幽々子と同じように、賞状と盾を授与された。
「第一位は…」
このアナウンスと同時に、幽々子は会場を後にした。
「すみません、二人で帰らせて下さい」
と、美鈴や秋姉妹に頼んだ
「はい。構いませんよ」
「ありがとうございます!」
妖夢は、言い終わる前に真っ先に幽々子の元へ向かった
「よ、よ~む~!!」
と、今度は幽々子が妖夢に言った
「辛かったよお~」
「私は気付いてましたよ。徐々に顔色が悪くなることを」
どうやら、とんこつ類の胃に残る系統は苦手な様子であった
「幽々子様、放置すると胃がもたれますよ。はやく薬をお飲み下さい」
と、妖夢はさっと薬と水を出した
「ありがとう妖夢…」
と、二人で帰っていった。
本戦です。
もちろん、幽々子がこってりに苦手なのは独自解釈ですよ。
今回は冥界組が主人公ってとこですね。