不遇=弱いって誰が決めた?   作:よく酔うエンジン

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みなさん初めまして。よく酔うエンジンと申します。
不遇トリガーでの戦い方やオリジナルトリガーセットを考えたりするのが好きで、いつの間にか自分の脳内に色んなトリガーセットのオリキャラが出来上がっていたので、そのままにするのもなんか勿体無いなって思って小説を書き始めました。
初心者なので、暖かい目で見守ってもらえると幸いです。



序章 “神立武治”という男
”レイガスト”という武器


 FPSゲームとか、格ゲーをよくやっていると、“不遇”武器とか、“不遇”キャラとか、そういうワードを目にみかける。

 

“不遇”という言葉の意味は、調べてみれば、“才能を持ちながらも巡り合わせが悪くて世間に認められないこと。また、そのさま。”だと言う。ゲームとかだと、“条件が揃わないと強くない何か”とか、“性能が悪くてあまり活躍できない何か”とか、まあ一口に不遇って言っても色々あるものだと思う。

 基本、ゲームで不遇武器とか不遇キャラを使い続ける人って、側から見れば、何を考えているんだこいつって思われるかもしれない。不遇だから、他の優遇されているものと比べたら、活躍の度合いも少ないし難しくなるかもしれない。明らかに強い武器やキャラがいるのに使わないで自ら茨の道を進むその様は、そう思えてしまうかもしれない。

 だが、僕はそうとは思わない。むしろかっこいいって思う。

 

 世間一般には“不遇”の烙印を押され、そんなに強くないって思われているモノが、“優遇”的な扱いをされている強い武器とか強いキャラを下す瞬間。

 

 弱い武器やキャラでも諦めずに使い続けて血が滲むような努力をした結果、遥かに格上の相手を超えて優勝したりするあの瞬間。

 

 スポーツとかアニメとかでもそうだ。

 

 僕は、それがとても好きだった。とてもかっこいいって思った。文字通り心から始めて熱狂した瞬間だった。僕は、その瞬間に熱狂したあの日から、それに憧れるようになった。

 ゲームとかでは不遇と呼ばれるポジションの武器をよく使うようになった。あの瞬間を自分の手で再現したらどんだけ気持ちいいだろう、どんだけ燃えるだろうって思いながら。

 

 

 

 それはあくまで“不遇”な立場に対する同情だろって言われることもある。僕も、普通の人より“優遇”な人生を送ってきたかと言われればそれはNOだと答えるくらいには地味で代わり映えのない人生を送ってきたつもりだ。何もかも中途半端。勉強もスポーツも苦手ではないが、特別できるわけでもない。何かにハマってもすぐ飽きる中途半端な人生…ある意味、そういう人間だからこそ、日の目をあまり浴びない“不遇”な武器とかに同情の感情が湧いてしまった…というのもあるかもしれない。

 それでも、あの瞬間に僕は目を奪われた。それは確かだ。

 

 なにせ、不遇なのに強いとか、猛者感がすごくてめちゃくちゃかっこいいじゃないか。

 

 

 

 

 それは、僕の愛刀である“レイガスト”にも当てはまる。

 

 

 

 この世界…いや、正確に言えば()()()()には、“トリガー”と呼ばれる、僕らが普段使うような電気とかガスとかそういう現代技術とかけ離れたテクノロジーがある。一応、トリガー技術を応用して作られた武装も“トリガー”って呼ばれている。

 

 この技術は人間の心臓付近で生成されている生体エネルギー“トリオン”を原動力として動き、性能は基本使用者のトリオン量で大きく左右されるのだ。

 

 隣の世界…というのは、“近界(ネイバーフッド)”と呼ばれる地球があるこの世界とはまた違う世界…まあ、平たく言えば異世界だ。

その世界では、そのトリガー技術が物凄く発達している。

 

 一年前ほど前、地方都市である“三門市”に、異世界への門が開かれた。

近界民(ネイバー)”後にと呼ばれる

侵攻してきた近界民は前述した“トリガー”を応用した兵器(これらもなぜか名称は“トリガー”である。面倒臭い)を使用しており、僕ら地球上の兵器はまるで効果が無く、都市…果ては世界の壊滅は時間の問題かって思われた。

 

 人々が絶望していた時、まるで“ヒーローは遅れてやってくる”と言わんばかりにある集団が現れて、近界民を撃退したのだ。

 

 彼らもまた、“トリガー”を応用した兵装を扱っており、見事、「こちら側」の世界を守り切ったのだ。トリガーは、近界民にダメージを与えられる唯一の自衛手段だったのだ。

 

 

 その集団の名は、近界民の技術を同時に研究し、「こちら側」の世界を守るために戦う民間組織

 

 

                 “界境防衛機関ボーダー”

 

 

 後に“大規模侵攻”と呼ばれるその襲撃事件を収束まで導いた彼らは、わずかな期間で三門市に巨大な基地を建築し、防衛体制を整えることで、近界民に対抗し、日々闘い続けている。

 

 

『“(ゲート)”発生。誘導誤差5.94。出水(いずみ)隊員と神立(かんだち)隊員は現場に急行してください』

 

「出水、了解。」

 

「神立、了解。」

 

 

 まるでブラックホールにも見えるような、近界と「こちら側」の世界を繋ぐ“門”が開き、

「向こう側」の世界である近界民がゾロゾロと出てくる。2、3階建ての家くらいの大きさの白い怪獣のような奴もいれば。自動車くらいの大きさの虫みたいな奴など、側から見れば明らかに地球上の生物じゃないとわかるような奴らがゾロゾロと出てくる。

 

 

「おーおー…結構数いるな。ざっとバムスターが3体、モールモッドが2体だな」

 

『いや、多分反応的にもバムスターの集団の内、一体はバムスターじゃなくてバンダーだと思うよ?』

 

「あれ?マジ?」

 

「マジマジ、だってあいつバムスターより細いもん」

 

 

 小高い丘から近界民の様子を伺い、観察するのは僕と、同期の出水公平だ。

ボーダーの通常業務の一つである“防衛任務”を受けた僕ら二人は、割と数の多い侵攻してきた近界民達に驚きながらも状況を把握する。にしても、バンダーとバムスターって見分けにくいよね。わかるぞ出水君。

 

 僕らは、14歳という若造の身だがボーダー隊員として、最近訓練生から正隊員へ上がったいわゆるルーキーというやつだ。ボーダーは、ある事情から学生から多く隊員を雇用しており、僕らも無論その一人なのだが、その話は一旦おいておこう。

 

 ちなみに、さっきから言ってるバムスターとかバンダーっていうのは近界民の名称だ。2、3階建ての家くらいの大きさの白い怪獣のような奴が“バムスター”。自動車くらいの大きさの虫みたいな奴が“モールモッド”。で、バムスターが激ヤセしたような奴が“バンダー”だ。

 

…話が脱線しすぎたな。状況を整理しよう。

 

 

「にしても2対5か…数的にはこっちが不利だな」

 

「まあなんとかなるだろ。オレがバムスターとバンダーとも倒すから神立はモールモッドの足止め頼むわ。別に攻撃防ぐだけなら倒し切ることはできなくてもできるだろ?」

 

「勿論、じゃ、それで頼む。モールモッド一匹たりとも通さねえよ」

 

「おう、頼むな。仮にオレらが負けても付近に東隊がいるからなんとかなると思うしな」

 

 

 自信満々にそう答えた僕は相棒である“レイガスト”と呼ばれる武器を実装して相手に向けて駆け出す。モールモッドは、本来訓練生から上がりたての人間だと普通に負けかねない相手だ。なので、こっちは保険をかけて足止めに徹しようと思う。

 こっちは二人とも正隊員になってから日が浅いものの、前衛の僕と後衛の出水でちゃんと連携すればなんとかなる相手だ。

 

 僕の携えるレイガストは、さっきも言った通り不遇の烙印を押されている武装の一つだ。なぜ不遇って言われているかを説明するには、まずレイガスト以外のトリガーについてもある程度話さないといけない。

 

 まず、ボーダーのトリガー技術を応用して作った武装の中に、“攻撃手用トリガー”というものが存在する。レイガストもそのうちの一つだ。

 

 基本、ボーダー隊員は白兵戦で戦闘するのだが、“攻撃手用トリガー”というのは、近距離で戦う“攻撃手”と呼ばれるポジションの人間が使用するブレード型トリガーであり、現在のボーダーでは三種類の武装が使われている。別に攻撃手用トリガーが弱いとは言ってない。大事なのはここからだ。

で、その三種類というのが

 

 

-そこそこ重く、形状を変えることはできないが、高い耐久性と攻撃力を持つ“弧月”

 

 

-凄く軽く、形状を変幻自在に変えられるが、耐久性が貧弱な“スコーピオン”

 

 

-かなり重く、通常のブレード時とは別に変形させて盾にできる“(シールド)モード”を持つ“レイガスト”

 

 

 一見どれも個性があっていい武器だと思うだろう?ただ、このレイガストという武装、何故か人気がないのだ。理由は色々あるが、その一つに防御用オプショントリガー“シールド”の存在が大きい。

 

 このシールドというトリガーは、半径25m以内の任意の場所・形状に盾を作り出すトリガーで、よくシールドモードを持つレイガストと比較に挙げられる。

 

 レイガストは、盾モードにして運用するときは、手に持って運用しなければならないのだが、シールドは、手を使わなくてもどこにでも展開できる。要は、レイガストは防御する時、片手…ひどければ両手が塞がってしまうが、シールドは両手をずっとフリーで運用できる。つまり、防御しながら反撃もやりやすいのだ。でも、レイガストだと防御するだけで手一杯になってしまう。無論、レイガストにも強みはある。シールドと比較した場合、形状の自由度では劣るが、展開したまま移動させても耐久力を消費しないというメリットがある。シールドは、展開したまま移動すると耐久力を消費してしまうのだ。

 

 だが、みんなこう思う訳だ。

 

 

(あれ?レイガスト使わなくてもシールドで良くね?)

 

 

 おまけに、レイガストは弧月より重くて扱いづらく、スコーピオンに比べるとそんな変形もできない。そして、攻撃手というポジションは攻めが重視されるので、攻撃性能を下げ、防御に力を入れた“レイガスト”はポジション的に相応しくないのだ。

 

 で、みんなこう思う訳だ。

 

 

(レイガスト使わなくても、弧月かスコーピオン使いながらシールド使えば良くね?)

 

 

-レイガストは盾にもできるのでいい武器です!

-シールド使えば良くね?両手使わないで防御できるからそのうち反撃できるよ?

 

-レイガストって重くて使いづらい…!でも、スコーピオンだと武器の耐久性が不安…

-弧月使えばええやん。レイガストより遥かに軽いし。

 

-レイガストでこの変形したいけど、上手く変形できない…

-スコーピオンならもっと変幻自在に変形できるよ?

 

 

 

 まあ、そんなこんなでこの武器は弧月ほどの安定性もなければスコーピオンほどの尖った性能もない。色々中途半端で、強みの一つの防御性能も他のトリガーに奪われる…そんな不遇な扱いを受けているのだ。でも、僕はこの武器が好きだ。

 

 

『神立君!右からモールモッドが来ています!』

 

「おっと!神立、了解!」

 

 

 通信から入った情報を頼りに、 モールモッドが振り下ろしてくる鎌を盾モードにしたレイガストで受け止める。戦闘用とか言われているだけあって、なかなかにその鎌の一撃は重たいが、防げないほどではない…まあ、スコーピオンだったらヤバかったかもだけど。だってあれ脆いし。

 “トリオン兵”にしてはこいつの動きはなかなかに素早い。訓練生から昇級したばかりの正隊員がやられるとよく聞くのもおかしくない話だ。“トリオン兵”とは、近界民によって製造されている、地球上の生物とはまず思えない侵略生物だと一目見てわかるような兵器のことだ。

 

 で、このモールモッドは“捕獲用”とか“爆撃用”とか色々種類がある中で、“戦闘用”と呼ばれるトリオン兵だ。三対の硬いブレード付きの腕が格納されており、これを振り回して攻撃を行う。そのスピードは肉眼じゃ捉えるのは難しいスピードであり、初めて戦うなら割とやられかねない厄介なやつだ。ただ、正面の目のような部分が弱点であり、基本はそこを狙って戦う感じだ。

 しかし、今現在そのクソ速い鎌がブンブン振り回されており、中々懐に入り込んで弱点を狙いに行けない…正直、盾モードがあるレイガストがなきゃ防ぎきれず死んでいたかもしれない…と思うくらい中々にこいつの斬撃は速い。

いや一応、一匹倒すのは別にそんな難しいことじゃないのだが、問題なのはもう一匹モールモッドがいることだ。

 こいつさっきから僕が足止めしているモールモッドと連携して挟み撃ちにしようとする動きがちらほら見られる。なので、一匹倒した瞬間に隙を突かれて背後からやられてもおかしくないのだ。手練の隊員なら簡単に対応して二匹とも倒せるんだろうが、こっちはまだ入隊して日が浅い身だ。博打はなるべくしたくない。

 僕の仕事はあくまで“足止め”だ。無理に動いてやられるよりも出水を待った方が安全性も確実性も高い。

 

 どうするかなと思っていた時、いいタイミングで通信が入った

 

「(神立、そっちは大丈夫か?こっちあとバムスターだけだからそっちに一瞬なら加勢できるけど)」

 

「(出水!ナイスタイミング!今んとこ生きてるけど二体いるせいで攻めあぐねてるから援護射撃くれない?それで怯んだら僕がトドメを刺す)」

 

「(任せろ!しっかりやれよ!)」

 

 

 通信で出水とコンタクトを取った僕はレイガストで思いっきり鎌を弾いてバックステップで大きく距離を取る。距離を取ったのは援護射撃に巻き込まれるわけにはいかないからだ。

 

 

通常弾(アステロイド)!」

 

 

 通信と同時に大きく飛んだ彼がそう叫ぶと、彼の真横にそこそこ大きいキューブ状のトリオンの塊が出現する。そして、6×6×6に分割される。あのキューブ状のトリガーは中距離攻撃ができる“弾トリガー”の一種である“通常弾(アステロイド)”だ。射出すると直線上に飛ぶ威力に優れた最もオーソドックスな弾だ。

 出水は弾トリガーを扱うことに関しては、まさに天才と言ってもいいほどの実力とセンスを持っており、邪魔をしないように大きく離れた方があいつも撃ちやすいってもんだろう。

訓練生時代は、僕と出水のツートップだったからな。

 

 分割されたそれら全てのトリオンの塊が一直線に僕の前にいるモールモッドに雨の如く降り注ぐ。硬い外骨格やブレードによる防御によって直接的なダメージは少ないものの、足は止まった。

 

 

「スラスター!起動(オン)!」

 

 

 あとはこっちのものだ。僕は“スラスター”と呼ばれるオプショントリガーを起動して、瞬時に隙を晒したモールモッドの懐に潜り込み、大振りの横一文字斬りをお見舞いする。

 止まって隙を晒してるモールモッドなど、ただのでかい的でしかなく、弱点部分が切り裂かれ、まず一匹目のモールモッドか機能停止する。

 

 今使った、“スラスター”というトリガーは、トリオンを噴出して推進力を発生させるレイガスト専用のオプショントリガーだ。正直、これがなかったらレイガストはマジで目も当てられないほど使いづらい武装になっていたかもしれないくらい優秀なトリガーであり、防御重視のレイガストに火力をもたらす万能トリガーだ。

 

 これを併用することで、ただでさえ重いレイガストを振るうことにより発生する遠心力に、推進力が加わり、弧月やスコーピオンでは出せないような強烈な一撃を繰り出せる。その一撃は他の攻撃手用トリガーでも簡単には出せない威力だ。

 

 そして、機能停止したモールモッドの後ろにもう一体のモールモッドが控えている。まるでトリオン兵に自我はないはずなのに、仲間の仇だと言わんばかりに勢いよくこちらにまっすぐ突進してくる…だが、相手はもう奴一匹だ。一匹ならどうにでもなる。横槍の心配がないからな。

 

 

「ほらこいよ!レイガストの真骨頂見せてやる!」

 

 

 そう言って僕がレイガストを盾モードにして構え直すと。こちらに近づいてきたモールモッドが鎌を振り回してくる。相手の一挙手一投足に合わせて盾を構えてこちらは的確に防御する。

 正直、モールモッドはスラスターを使えば簡単に倒せる。というのも、普通に弱点を狙うべく懐に差し込むのなら、相当早くない限り鎌の振り下ろしで迎撃されてしまうが、スラスターは重いレイガストを持ってしても有り余る推進力を生み出すトリガーなので、鎌の攻撃の心配なしに突っ込めるのだ。しかし、今の僕にそれはできない。

 

 

(スラスター…なんで連発できないんだよ…)

 

 

 スラスターのクールタイムがあるからだ。スラスターは連発ができず、一回使うとしばらく時間を置く必要がある、さっきの別のモールモッドに差し込む際に使ってしまったので、クールタイムが終了するまで待たないといけない。だが、敵も指を咥えて待っているわけもなく、こっちに攻撃を仕掛けてくるので耐える必要がある。

 

 

(右、左、右ときて今度は上から…)

 

 

 トリオン兵というのは格ゲーのNPCみたいに単調な攻撃しかできないと思うかもしれないが、実際は違う。今だって、左右の攻撃を繰り返して横に意識を割かせた後に上から斬撃を振り下ろしてきたりした。割とこいつら頭いいのだ。

 

 

「…!!」

 

「危ないな…!」

 

 

 何度も防いで時間を稼ぐ。レイガストを使う僕をそんじょそこらの隊員と一緒にするなって話だ。防御力には自信がある。そうこうしているうちにスラスターが使用可能になった。

 

 

「…!」

 

「よっ…!」

 

 

 鋭い斬撃が横から飛ぶので、しゃがんで回避する。そして、そのまま次の斬撃が来る前に盾モードを解除して、正面にレイガストを構える。体勢が若干危ういが、どうにでもなる。

 

 

「スラスター…起動(オン)…!」

 

 

 真正面に構えたレイガストは、僕の踏み込みと共に莫大な推進力を生み出して相手の弱点目指して一直線に突き進む。この距離と、敵の体のデカさなら、まず躱すことはできないレイガストにのみ許された神速の一撃だ。

 

 そのままモールモッドは弱点を刺し貫かれ、機能停止した

 

 

「ふう…決まった…いやあ、スラスターってマジ便利」

 

 

 雑な体勢からでもどうにかなった。やっぱスラスターは汎用性が高い。ただ単純に推進力生み出すトリガーだから、逃げにも攻めにも使える。

 

 

「(出水、そっちは終わったか?)」

 

「(ん、もうとっくに終わってるぜ?そっちが今スラスター使ったタイミングには終わったぞ)」

 

「(ほとんど変わらねえじゃねえか…)」

 

 

 向こうも終わったらしい。まあ、バムスターとバンダーはモールモッドに比べると弱いし妥当か。

 

 

「オペレーターさん、他にまだいる?」

 

『えーと…今のところ、今のモールモッドで最後みたいだね…これ以上反応はないかな?…お疲れ様、二人とも!しばらく楽にしていいよ!』

 

 

 念の為、オペレーターに確認するが、敵影はないらしい。これにて防衛任務は終いだ。

後で防衛任務の給料でスポドリ買おう。一仕事した後のスポドリほど美味いものはない。

 

 

「(お疲れさん…にしても、お前ぐらいだよなー…同期でそこまで意地張ってレイガスト使ってる奴)」

 

「(ああ、お疲れ様…って意地張ってるってなんだ意地張ってるって、こちとら好きで使ってるんだよ…なんか文句あるか?)」

 

「(いやねえけどさ…それ、弧月よりも重くて、ガンガン攻めたい攻撃手の奴らにとっちゃ使いにくいって思ってたんだがな…訓練生の時レイガスト使ってたやつらどんどん変えていくし)」

 

「(まあな〜…でも慣れよ慣れ。俺の場合、弧月の方が軽すぎるんだよ…だからレイガストくらいがちょうどいいんだよ)」

 

「(なんだそりゃ)」

 

 

 これはマジだ。僕は小さい頃、近所のある古武術道場に通わされており、そこで歳のわりに重たい武器を振るわされたりしたので、重い武器を振るうことに慣れているのだ。あと、こっちの方がある程度重いお陰で野球のバットを持つ感覚で何も考えずに振るうことができるのでやりやすいってのもある。例えトリオン体で肉体が強化されていようと、僕に取ってはレイガストくらいの重さが丁度よかったりするのだ。そういう意味だと僕とレイガストは相性が良い。

 

 だが、他の訓練生の奴らがレイガストから別のトリガーに鞍替えするのはマジであるあるだった。訓練生は、トリガーを一つしか使えない都合上、シールドも装備できないので弾トリガーを使えば射程の暴力により簡単に一対一で勝てるのが大きい。だって回避する以外何もできなくなるから。

しかも最近弾トリガーの強化も入ったことで、弾トリガーが大流行していた。弧月とかスコーピオンとか使っていると、弾トリガーの激しい弾幕をくぐり抜けて相手の懐に潜り込まなければ勝てないので、とにかく勝つのが難しいのだ。

 

 

 本来、盾モードの存在によりその弾トリガーに強く出れるのが、このレイガストのはずだったのだが、弾トリガー相手だと、訓練生じゃスラスターも使えないせいで、みんな防御一辺倒になってしまって攻めに行くことができず、ジリ貧になって負けてしまうことが多かったのだ。しかも対他のトリガーでの戦闘はというと、弧月の攻撃力に押し負けるわ、スコーピオンの変幻自在の戦術に翻弄されるわで、ただの重い剣であるレイガストじゃ、上手く盾モードを駆使しないと全く勝てなかったのだ。訓練生の時代からレイガストはすでに不遇なのである…

 

 まあそれでも、僕はレイガストを使い続ける。

攻撃性能も中途半端、他のトリガーから見ても中途半端、ポジションの性質から考えても中途半端、ボーダー内じゃ不遇のレイガスト。どこか中途半端で地味な僕に似たお気に入りの武器。あの時見た瞬間を、僕はこいつで再現したい。

 

 こいつ自体にポテンシャルはあるのだ。例を挙げればスラスターによる爆発力や機動力、そして素の耐久性…他にももっとある。

 不遇って言われるこの武器で強くなるのはやっぱりロマンがあっていい。

 中途半端な僕と、中途半端って言われてしまっているレイガスト。別に特別強い出世欲とか大した野望があるわけでもない。でも、そんな僕がこいつと一緒に強くなったら、やっぱりかっこいいと思う。

 それに使い手が少ない不遇な武器を使用しているにも関わらず強いとか、猛者感あって最高じゃないか…

 だからこそ、僕は強くならないといけない。こいつを真の意味で使いこなせるようになるためにも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(そういえば神立、レイガストと言えば、最近シールドが強化されたって聞いたか?レイガストのデータを応用して強化されたらしいぞ?今度開発室に行って最新版の装備してきた方がいいぜ)」

 

 

…レイガストくん。君、どこまで不遇なの?

 

 




ワートリって個々人に個性があってどのキャラもちゃんと立ってるからいいですよね…


感想、評価お待ちしております。

文字数今8000文字超えるくらいなのですが、序章が終わるあたりには少し減らすつもりです。大丈夫ですか?

  • 大丈夫!
  • いや、変えない方が良い。
  • 何言ってんだ、むしろ増やせよ
  • 俺に質問をするな(どうでもいい)
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