一応、原作のB級ランク戦終了時くらいまでの構想は頭の中でなんとなく立っているんですけど、何せ投稿ペースがなあ…まあ、気長に待っていただけるとありがたいです。
頑張ってペース上げていかなきゃなあ…!
えっと…ちょっと不味いな…いや、ちょっとどころかかなり不味い。
朝宮さんのトリガーに対するまともな対抗策が全く思いつかない…
いや、一個あるとすれば、あのトリガーよりも回転率の高い、射程があの釣り竿と同等…もしくは、それより長い攻撃を絶え間なく行うことだ。
あの釣り竿は、中距離攻撃を行う際に、一回一回竿を振るって、釣り針をこちらに向けてキャストしなければならないため、1発1発は確かに強力だが、高回転率で放てると言うわけではない。
普通の弾トリガーと比較すれば、銃を抜いて撃つだけの銃手用トリガーに比べれば隙が大きく、分割する工程で隙を晒してしまう射手用トリガーに比べれば、攻撃の密度が違う。弾トリガー一つでも装備さえしていれば、状況は変わってくると思うのだが、あいにくだがセットしていない。
僕が持っている中距離攻撃手段といえば、レイガストをダガー状にして、スラスターを併用して放つレイガスト投擲だが、あれは威力は確かに高いが、一回こっきりの攻撃だし、基本まっすぐ飛ぶだけなので、距離が多少離れていれば、簡単に避けられたり、シールドを貼られたりしてしまう…そうすれば、隙を晒したこっちに釣り針が飛んできてゲームセットなので、この案は無理だ。
もう一つは、さっきの戦闘でもやろうとした、飛んでくるスコーピオンに付属しているスパイダーを斬って、釣り竿を無力化することだ。
だが、ヒットアンドアウェイを徹底しているのだろう…こっちが攻撃を防ぐか、回避した後には、もうレイガストでは届かない距離にまで針と糸が逃げているので、レイガストが届かない。それに、向こうは糸がずっと張っているわけではなく、ほとんど弛んだ状態で、鞭のようにしなって襲いかかってきているため、糸を空中で切断するには、おそらく相当な速度でブレードを振らないと無理だ。普通に振るだけなら、糸が横に押し出されて減速させることができるくらいで、多分切断まですることはできないだろう。
やるとすれば、第二戦でやった“あえてスラスターで近づく”と言うのが現状最も有効的な手段だろう。
第二戦でやられた背後からの
なので…!
『第三戦、開始』
「スラスター起動!」
こっちはひたすらに詰め続けるだけだ。
戦闘開始の合図とともに、スラスターを起動。釣り針が飛んでくる前に間合いを詰めて、インファイトに持ち込む。
「まあ、そう来ますよねっ…!」
向こうも、竿状の弧月を取り出して受け太刀を行う。こっちのレイガストによるスラスター斬撃が受け止められてしまうが、ここまで詰めればもうあとは関係ない。
あとはひたすら攻撃を繰り返すだけだ。
「ふん!」
「くっ…映像でも見ましたけど、やはり早いですね…」
「そりゃまあ!伊達に新人王じゃないので!」
僕が得意とするカウンタースタイルを捨てて、とにかくひたすらに詰める。
向こうもA級隊員なだけあってか、受けが異常に上手い。きっと、今まで僕と同じ思考になって攻める人がいたのだろう…向こうにとっての攻めは回転式拳銃でどうにかなるから、防御主体の剣術をそれ対策に収めているようだ。
まあ、それは置いておいて…狙うは相手の腕だ。
理由は、腕さえ奪えば回転式拳銃や釣り竿の脅威がなくなるからだ…何せ、どちらの武器も腕がなければ使用できないからな…射手トリガーならそんなことはないが、腕が一本なくなるだけで、向こうは相当やりにくくなるだろう。腕さえ奪えばこっちのもんだ…!まあ、トリオン供給器官とか体を狙えるのなら狙いたいんだけど…多分、向こうが警戒していて、捨て身の攻撃じゃないと届かない。
(…多分、僕に触られて、エスクードを生やしてバランスを崩されるのを警戒しているんだろうな…)
向こうは、腕を伸ばしても届かないくらいの位置を保ちつつ、こちらの攻撃を受けてくる。おそらく、向こうは前の影浦先輩との戦いにて見せた、エスクードを大量に相手の体に生やしてバランスを崩させる戦術を警戒しているのだろう。
あれ、正直触れられれば勝ちだからな…まともな行動ができなくなるわけだし、生やした壁も死ぬほど硬いから、壁斬って脱出することもできない…一応、こっちもそれを密かに狙っているのだが、向こうはそれの警戒と、間合いを広げて、回転式拳銃を抜く隙を作り出そうとしているため、思った通りに間合いが詰めれない。
間合いを詰めようとする僕と、離そうとする彼女の間でなかなか勝負が動かない…
「ふっ…!」
「おっと!?」
あと、勝負が全く動かない理由の一つに、彼女の剣術能力の高さが挙げられる。
さっきも言ったと思うが、さすがA級と言わんばかりに受けがかなり上手い…こっちが無闇に攻めすぎると、鋭い弧月の攻撃が飛んでくるので、攻めようにも攻めきれない…釣り竿戦術だけが取り柄じゃないってか…
「後ろかっ!」
(惜しい…)
「エスクード!」
後ろから飛んできた炸裂弾を、レイガストでなんとかして防ぐ。
黒煙が上がるが、エスクードを勢いよく生やすことで煙幕を晴らして、再度彼女に向き合う…
忘れたタイミングで炸裂弾が飛んできることも、勝負が動かない…いや、こっちが攻めて勝負を決めにいけない理由の一つだ。マジで彼女の言う通り、視界を広くしないと第二戦みたいに無防備な背後を取られて負けかねない。
「ぐっ!?」
(やはり“幻踊”を使っても崩せませんか…向こうも向こうで防御能力が高いですね…ここからどう崩したものか…)
もう一つ理由を挙げるとすれば、弧月専用のオプショントリガー“幻踊”による意識外からの攻撃や、ガン詰めの間合いで有利を取られやすいと言う点によって、こちらが迂闊に仕掛けられないからと言うのもある。
“幻踊”と言うトリガーは、“旋空”と並ぶ弧月専用のオプショントリガーだ。旋空が、弧月のブレード部分の“拡張”を目的に、間合いを伸ばして攻撃できるトリガーであるのに対し、弧月のブレード部分を“変形”させて、不意をついたり、防御をかわして攻撃したりするなど接近戦で絶大な力を発揮するのが“幻踊”だ。
弧月は、スコーピオンやレイガストと違って、一ミリもブレード部分が単独で変形できないのだが、この“幻踊”のお陰で、スコーピオンのような変形が、弧月の強度を残したまま可能となる。接近戦の有利不利より、間合いの拡張の方が攻撃手に取ってありがたいことなので、“旋空”の方が人気であり、結構不人気な不遇トリガーなのだが、やはり玄人が使えばその力は強い。
「はっ!」
「クッソ…!」
弧月による攻撃が、僕のレイガストの攻撃を変形してすり抜けてくるので、さっきからじわじわ体を削られる…こっちも削ってはいるのだが、正直、このままじゃジリ貧だ…こう言う時にどうするか…色々手段はあるが、僕にはこの状況を打破できるある強みがある。
そう、僕の得意技である初見殺しだ。
このまま攻撃し続けても削り切られて負ける可能性がある…レイガストによるカウンタースタイルに回ると、向こうは幻踊によって、盾を無視してショーテルのような攻撃をしてきたりするので、こっちが逆に不利になりかねない…向こうは、こっちが今までに見せたエスクード戦術を警戒しているようだが、なら知らない戦術をぶつけるだけだ!
「ふっ…!」
「よっ…と」
だが、今やるには間合いが遠すぎる…もう少し…もう少し詰めてからが仕掛けるタイミング…!だが、こっちから間合いを詰める動きを激しくすると、何かあるって思われて警戒される可能性がある…ならどうするか…
(隙を…あえて晒す…!)
レイガストを盾モードに変形して、相手の攻撃を防ぐのに専念するような体勢に見せかける。
(っ!?このタイミングでそうするとは…焦りましたね神立さん…!)
(来たな…)
幻踊持ちの弧月相手にレイガストの盾モードで挑むのは、正直自殺行為に近い。何せ、盾をショーテルの如く無視して向こうは攻撃できるので、こっちは防御が元から難しいのに、盾モードにすることで反撃ができなくなるからだ…と言うのも、盾モードで受けに回ろうものなら、盾モードからブレードモードに変形する隙を毎度反撃時に晒すことになるので、本当ならブレードモードで受けに回ってすぐ反撃できるようにしておくのが本来ならいいのだ。ていうか、さっきまでそうしていた。
だが、今急にその例の問題の盾モードにして隙を晒して向こうを誘い込むと言う狙いだ。いや…待ってこれ逆にあからさますぎて向こうに警戒心与えることにならないか?大丈夫かな?
「はっ!」
(いや…大丈夫そうだな…)
向こうは遠慮なく攻撃してきている…間合いを話して回転式拳銃を叩き込むのではなく、弧月で削ることを優先したようだ…まあ、抜こうと自分から離れようとするものなら、こっちから近づくだけだ…向こうもそれをわかっているのだろう。
あとは…ひたすら耐えて隙を窺う…近すぎなくてもいいが、狙いは今できる範囲で極限まで近づいてきた時…!
「せやっ!」
(…ぐっ!)
弧月で時たまにショーテルの如く盾を回避して飛んでくる幻踊の突き攻撃がなかなかにうざい。威力は低いものの、こちらに的確に穴を開けてくる…このままだと、できた穴から漏れ出すトリオンによってトリオン漏出過多判定が下されて負けかねない…だが、今は耐えるしかない…!
そう辛抱して攻撃を耐え続けていた時だった。
相手が勝負を決めにきたのか、こちら弧月を振りかぶりつつ間合いを一歩詰めてきた!
(やっときたな…!)
僕は、レイガストを正面に向けて構える。襲いかかる弧月に対して垂直に、正面方向に盾を構える…普通なら、幻踊で盾を回避されて、体に刃が届いて終わり…なのだが…
別に僕の武器はレイガストだけではない。
(エスクード!)
刃が届く前に、エスクードを起動させる…生やす場所は、朝宮さんの体や、地面ではない…
「がっ!?」
「っしゃあ!どうだ!」
真正面に構えた盾モードのレイガストに、細長いエスクードが勢いよく生えてくる。
勢いよく生えたエスクードは、正面方向で弧月を振りかぶっていた朝宮さんに直撃…振りかぶって無警戒だった鳩尾に思いっきり勢いよくエスクードが当たって、後方へ…僕から見て前方へと押し出されてた…!
(まずい…!体勢が…!)
予想外の場所からの攻撃に、向こうは思いっきり体勢が崩れて、攻撃どころではないようだ…この一瞬でできた隙…見逃すはずがない!
(スラスター…起動!)
悪いな、レイガストなら間に合う。
一瞬の隙だろうと、スラスターならあまりの速さで一瞬でものにできる…弧月やスコーピオンではできない突発的な爆発力が、彼女に襲いかかる。
「ぐっ…はうぅん!?」
「やっと返せましたね…朝宮さん…!」
『戦闘体活動限界』
向こうもなんとかして弧月で受けようとするが、崩れた体勢からは間に合わず、僕の攻撃を受けてようやくこちらに一勝の判定が下った…さあ、反撃開始だ。
っていうか、声…なんか色々な意味で興奮しそうになるからやめてぇ…!(何様)
◆◇◆◇
「全く…ほんとうに変幻自在なトリガーの使い方をしてきますね…一体何をすればそこまで発想力が豊かになるんですか?」
「さあ…特撮見ながら青春捨てて鍛錬していればなるんじゃないですか?」
「なんですかそれ…神立さん、その言い方だと青春投げ売って時間をほぼ全て戦闘に当てているんですか…?太刀川さんみたいだからやめた方がいいですよ?」
「いやいや…世の中にはですね…」
『第四戦、開始』
「青春を送りたくても送れない負け組が存在するんですよっ!!スラスター…起動!」
涙を流しながら、スラスターで一気に距離を詰める…やることは変わらない。回転式拳銃を出させないように詰め続ける…!
「させませんよ!
今度は、初戦と同じように炸裂弾を地面に向けて瞬時に放って煙幕を形成する…どうやら、また距離をおいて不意打ちを狙うみたいだが…
「させるかっ!」
こうなると、スラスター斬撃を彼女に当てるのは難しくなるので、スラスターの勢いを、攻撃に使うのではなく、煙幕を晴らすための風を発生させる巨大な団扇のようにして使う。
レイガストの変形機能で、ブレード部分の表面積を増やして、スラスターの勢いで風を団扇のようにして発生させて、煙幕を吹き飛ばす…
「ちょっ!?早くないですかっ!?」
「ま、不遇トリガーも使い道次第じゃ超強いんですよ!」
そう軽くおしゃべりをするが、状況は不味い。
彼女は、あの一瞬で市街地の屋根の上に避難していた。
おそらく、あの釣り竿状トリガーをフックショットのように利用して、屋根の上に自分を引き寄せて無理矢理したのだろう…これだと、回転式拳銃がどうこうとかよりも、普通に釣り竿や炸裂弾で撃ち下ろされかねない…これだとこっちが不利だな…こう言う時は…
「エスクード!」
こっちもエスクードカタパルトで屋根の上に登る…そう思って、エスクードを自分の足元の地面に起動して、宙を舞うが、向こうがその隙を見逃すはずがない。
「ふっ!」
「ヤッベ…!」
釣り針がこちらに向けて飛んでくるが、レイガストを振って弾くことでどうにか回避する…そして、そのまま屋根の上に着地するが、やはりそう簡単に距離は詰めれない。
「
「あークッソ!邪魔!」
しっかり嫌なタイミングでこちらに炸裂弾が飛んでくる。盾モードのレイガストを構えることで耐えるが、再度煙幕が目の前に現れる…
「ヒット!」
「エスクー…おっちょっ!?」
煙幕をエスクードで晴らそうとすると、釣り針が煙幕の中から飛んできて、レイガストに引っかかる…
今回は、武器に引っかかったからいいものの、最初の時のように、体に引っ掛かったら目も当てられない…炸裂弾を彼女が入れているのは、きっと煙幕を貼って距離を離したり、こう言う煙幕を利用した不意打ちをやりやすくするためだろう…正直、戦闘面だけでなく、トリオン面でもうざい。
何せ、壁を生やして風を発生させているわけだが、壁一枚につきトリオンをかなり持っていかれるので、トリオンのコストパフォーマンスがかなりひどいことになっている…いやまあ、他にも対処法はあるんだろうけど…まあ、とにかく今は置いておこう。
「マジュィ!」
「そうなりますよね…!」
レイガストから手を離して、後方に一旦下がる。流石にあの状況だと武器を釣り竿による引き寄せで没収されて、隙を晒しかねないので、早期に武器を放棄して離脱する。
武器自体はすぐ実装し直せば戻るからな…あのまま綱引きの如く引っ張り合いをしても良かったのだが、向こうは引き寄せ機能の補正によって、引っ張り合いに負けてもおかしくないし、これが多分最善だと思う…まあ、距離を離してしまって多少不利になったけど。
「はっ!」
「来たな…」
そして、案の定第二戦で見せてきた、釣り針の全方位攻撃が襲いかかってくる。
レイガストで受けに入り、飛んでくる攻撃を全て捌いていく。
視界を外しすぎると、第二戦のように炸裂弾の奇襲でやられかねないので、最低限の動きで釣り針を弾きながら、朝宮さんから視界をなるべく外さないようにして立ち回る…
「流石に硬いですね…」
…攻撃が止んだ。どうやら、向こうが手元に釣り針を戻したらしい。何を企んでいるのだろうか…?
そう思って、改めて朝宮さんの方を見ると、釣り針の形状が変わっている…なんだろう…あれ、釣り針じゃないよな…?
形が、釣り針とは打って変わって、今度はキューブみたいになっている…あれで殺傷能力が出るのだろうか?あの見た目…まるで…
「これならどうですかっ!」
釣り針がキャストされる…が、今度は糸のしなりを使った予測が難しい全方位攻撃ではなく、まっすぐこちらに向けてのストレートな攻撃…
トゲトゲなボールが飛んでくるならまだしも、飛んでくる釣り針…いや、釣り針ともいえないな…飛んでくるのはキューブ…引っ掛けて引っ張り寄せる気さえ感じない…しかも直線上にまっすぐ来ている…
まあ…これなら簡単に防げる…
と思っていた。
ドオオオォォォン!!
「がっ…!?」
レイガストで余裕を持って受け止めるが、目の前で強烈な爆発が起きて、あたりに黒煙が立ち込める…予想していなかった強大な衝撃に、腕に痺れを感じ、思わずのけぞってしまう…!この威力…この爆発…まさか…!
(
クッソ…よく見ておくべきだったな…あのキューブ状の釣り針はスコーピオンを変形させたんじゃない…!メテオラを新しくくっつけたんだ…!
おそらく、スパイダーを、スコーピオンではなくメテオラのキューブにぶっ刺して、モーニングスターのようにしてこちらに振るってきたのだろう…
メテオラを弾丸として放つのではなく、あくまでスパイダーを応用したモーニングスターの鉄球のようにして振り回して扱えばいいので、本来なら弾丸として放つために必要な弾速や射程に割かなくてはならないトリオンを、ほぼ全て威力に当てられる。そのため、今までの炸裂弾に比べてものすごく威力が高い…!
こういう、僕みたいな受けに回った防御力が高くて、中々引き寄せられないやつにはうってつけってことか…!何せ、威力が釣り針スコーピオンの時と比べてはるかに大きい…これがメテオラ入れてた真の理由か…!
腕に伝わった衝撃は、自分が油断していたこともあって中々に大きく感じた…あたりを見回せば、また炸裂弾による黒煙によって視界が奪われてしまっている…待って!?これってまた…!
「もう一度!」
「やっばい…!」
予測通り、煙幕の中から再度釣り竿…いや、ここはモーニングスターに掛けて“鉄球”と呼ぼう。メテオラ鉄球が煙幕を突き破って飛んでくる!
軌道がさっきより読みやすい分、まっすぐ力一杯振ってくるため、速度が釣り針に比べて速い…!なんとかレイガストで防ぐが…
(ぐっ…!?やっば…罅が…!)
目の前で再度強烈な爆発が起きるが、かろうじて耐える。
だが、新たな問題が生じてしまった。
まずい。さっきから釣り針を喰らい続けたり、威力の高いメテオラを2発受けたことで、盾モードのレイガストに罅が入ってしまった…慌ててレイガストを実装し直そうとするが…
「言いましたよね?」
え?
「視界が狭いと痛い目見ますよって…」
…慌ててレイガストから顔を上げると。いつの間にか、回転式拳銃を構えた朝宮さんが目の前に立っていた…
鈍い金属音に似た、トリオン同士が軋む音が聞こえた。
ドドドドドド!!
(しまった…今の炸裂弾の煙幕で…!)
『戦闘体活動限界』
どうやら、僕がレイガストに気を取られている間に、炸裂弾によって発生した煙幕を利用して近づいてきたらしい…完全に気がつかなかった…普通なら煙幕があろうと正面からなら接近に気がつけるだろうに…マジで気配の“け”の字も感じなかった…
第一戦目と同じように、風穴を6個開けられて、敗北の判定が下された…これにて、3対1…僕の敗北が確定した瞬間だった。
◆◇◆◇
「ふう…これを使う羽目になるとは…やはり一筋縄ではいかなかったですね、神立さん」
「それ…嫌味ですか?」
「まさか…普通に賛辞の言葉ですよ…初見の私相手に、普通の人なら一方的に釣り竿の中距離攻撃を受けて基本的にストレート負けするのですが、神立さんは見事に一勝もぎ取ったわけですから…普通に見たことない戦術にインファイトの時なんかそうですけど、動きも制限されてしまいましたし…」
ランク戦ブースの個室に戻されて、朝宮さんと通話を繋げると、そんなことを言われた。めちゃくちゃ安心したような落ち着いた声だが、その言い方凄い煽りに聞こえる。
…いやさあ…A級という精鋭と、B級なりたてという新人じゃあ、もう色々最初から違いがあるんだろうけどさあ…負けは負けだ…やっぱり悔しいし、その言い方だと手加減された相手に負けたみたいに聞こえてすげえ悔しい…
いや、逆に言えば最後の一戦でA級相手に本気を出させたってことで、誇るべきなのか?いやでもなあ…
「いくら新人王とはいえ、B級なって比較的日の浅い新人さんにA級隊員として負け越すわけにはいきませんから…言っておきますけど、ちゃんと本気で私も戦ってあの結果ですからね?」
「…そうなんですか?じゃあなんであのメテオラ使ったモーニングスターを最初から使わなかったんですか?」
「それは…まあ、あなたのやり方に乗ったから最初から使わなかっただけですよ…情報が公平でない中で初見殺しが来ようと、そのまま予測を立てつつ戦うのが神立さんの模擬戦のやり方なんでしょう?なら、それに乗っかって、初見殺しも戦術に使わせてもらっただけですよ」
…なんだそりゃ…なんというか…全部において負けたような感覚がする…
要は、僕が情報断って、公平性とか関係なしに初見殺しとかそういうのはあって当たり前な戦いをしようって言ったから、最後の方まで手札を隠して戦ったってことだろ…?なんだろう…こっちの土俵に乗っかった上で負けたってことか…
「いや…その…すみません…ちょっと格好つけちゃいました…本当ならあれ使うつもりは無かったんです…幻踊があれば第三戦は勝てるだろうなって思っていたのですが、想像以上に神立さん硬かったので…そしてそのまま一本取られたので、あのままだと盛り返されて負けかねなかったので、使わせてもらった次第です…A級隊員に本気を出させたんです。これこそ嫌味に聞こえてしまうかもしれませんが、誇りに思ってくれていいですよ?」
うーん…まあ、普通はそう言うことだよな…A級に本気を出させたってだけでも、B級の新人隊員としては上出来…いや、それどころか偉業なのかもしれない。でも、あのモーニングスターを知っていようと負け越していただろうし…それに、やっぱり悔しいものは悔しい。
「冗談や、お世辞とか嫌味抜きで、神立さんは本当に強いです。新人王の称号を持っていることも納得の強さでした…悔しく思うのも大切ですけど、悲観しすぎると、体に色々な意味で毒ですよ?」
「…まあ、そうですよね」
それはそうなんですけど…“情報なんていらねえから!僕予測して勝ちますんで!”みたいな大口叩いて結果がこれって言うわけなので、めちゃくちゃ恥ずかしい。正直、いくら初見とはいえ、今考えればもう少しやりようはあったと思う…
「にしても…最後とか、なんで気がつかなかったんだ…いくら煙幕が貼られているとはいえ、足音とかで気づけただろうに…」
「ああ…それは、私の“サイドエフェクト”が関係していますね…」
…やっぱりなのか…なんか、普通の気配消しのサイドエフェクトにしては、色々引っ掛かる点もある…さっきはああ言ったけど、めちゃくちゃ詳細を聞きたい。
「ふふ…もう少しお時間をいただけるのなら、この後お話ししますよ?」
「…ええ?いいんですか?でも、この後影浦先輩と一回戦うんじゃ…それに、僕、あんなこと戦闘前に言い放ってしまったし…」
「ああ…まあ、彼少し怒ってしまうかもしれないですけど、これくらい大丈夫ですよきっと…カゲさんはああ見えてすごく優しい人なんです。それに、サイドエフェクトに関しては、またいつか戦ってくれるのならこっちとしては全然構わないですよ?神立さんがあの時言ったこともごもっともですし…もう見せる手札もそうないですから、話してもそんなに変わらないでしょうし…なにせ、神立さんとの戦いは、想像を越す一手が何度も飛んできて面白いですからね。ちゃんと情報を知った後、どんな戦い方を組み立てくるのか楽しみですから」
「ありがとうございます…むしろ、こっちからいつか戦いをまた申し込みたいくらいです」
「なるほど…リベンジマッチというわけですか…まあ、それは置いておいて、一旦ロビーに戻りましょう?」
こうして、僕と朝宮さんとのランク戦は、僕の敗北という結果で幕を閉じた。
というわけで、新しい戦術がいくつか出ましたね…!
“盾にエスクードを生やして無理矢理相手を押し出すことで体勢を崩させる”
“レイガストを団扇のようにして、スラスター付きで振るうことで煙幕を晴らす”
“メテオラのキューブにスパイダーをさして、射程と弾速に性能を振り分けず、火力重視のキューブに設定。モーニングロッドのように振り回して頑丈な敵を崩す…”
の3つですかね?まあ、あとは“釣り竿トリガーフックショット化”とかも入るかな?
メテオラモーニングスターを使えば、多分弱点だろう防御が硬くて、引き寄せようと関係ない相手とかにも強く出ることができる…この釣り竿含めたスパイダー武器化の戦術は、僕が考えていた救済方法の中でもお気に入りのモノです。
ちなみに、この使い方は、朝宮のサイドエフェクトも相待って個人戦より複数人での戦いの方が活躍しやすいんですよね…
ランク戦…かけるのはいつになるんだろうか…
あと、今回はあまり活躍していませんが、“幻踊”が新たに登場しました!ただ、このトリガーを本格的に救済するキャラが登場するのはまだ先になるだろうな…
-あれ?多分シールド2枚持ちで、朝宮さん使ったのって、弧月に幻踊、メテオラ、スパイダーに回転式拳銃…そしてスコーピオン…これ、バッグワームも入れたらトリガー枠8個分をオーバーするくない?
-実は彼女、サイドエフェクトの影響で入れてないんですよ…バッグワームを!(詳細は次のお話で!)
-釣り竿トリガーの名前結局何になったん?
-今の所、感想にて頂いた“クリル”を第一候補としています。他に案があれば書いてくれるとありがたいです!次のお話で決めようと思います!(モーニングスターの方でもOKです。そっちも募集しちゃいますw)
感想、評価お待ちしております。
釣り竿トリガーとか、モーニングスタートリガーについての感想もらえるだけですごい嬉しくなって、励みになります。
旋空と幻踊って、一度に同時使用できると思う?
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できる!忍田さんもきっとしてる!
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んー…出来なさそうやな…
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感想で意見言うわ