不遇=弱いって誰が決めた?   作:よく酔うエンジン

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今回は戦闘回です。急いで仕上げたため少しわかりにくかったら申し訳ない。


『今度はこっちが守る番だ』

「………………………」

 

「太刀川さん…あれって…」

 

「…ま、十中八九…だっけ?十中八九新型だな…」

 

 

 警戒区域の一角にて、本部との連絡手段を遮断された中、僕らは目の前にいる新型トリオン兵との睨み合いをしていた。

 本部に連絡も出来ず、助けも呼べず、初手に攻撃をもらってしまった今、下手にこちらから動くと状況が悪化しかねないので、向こうの様子を伺っているのだが、向こうも全く動かないため、ただお互いに睨み合うだけで何も状況が動いていなかった。

しかし、何も起きていないのは確かだが、この場に張り詰める空気は日常生活を送るだけならまず体験できないような濃密なものだった。

 なんでだろうか…体が重く感じてしまう…これもこの緊迫した空気の影響か…?

 

 本来なら、本部に連絡をとって適当に街に行かないように足止めしつつ、増援と共に倒す…もしくは、先に緊急脱出するのが定石だろうが、今回は状況が違う。通信障害が起きてしまって、本部とも連絡が取れず、増援が期待できないこの状況下、どうにかしてあのトリオン兵を倒さなくてはならない。

 

 あのトリオン兵…諏訪隊と戦った、例のトリオン兵と雰囲気が似ている…この状況、本来のトリオン兵なら堂々と突っ込んでくるのだが、向こうは全く動かずにこちらの様子を伺っている…こいつもやはり…

 

 

(知能が…高いな…)

 

 

 誰かに操作されているのか…もしくは…

 

 

(意思でも持っているのか…)

 

 

 そう考えた瞬間だった。相手が動き出したのは

 

 

「…………!」

 

 

 敵トリオン兵の銃口がこちらを向いた。紫色の光が再度目に入る。

 速い。普通のトリオン兵よりも稼働が良いようだ。シールドだけでは防げない可能性もあるため、慌てて伏せてエスクードを発動させようとする。

 だが、体がなんか重い…地面に手をつけようとするだけで何か感覚が変だ…!この空気に緊張してしまっているのだろうか…?いや、原因はこの際どうでも良い。このままだと壁を貼るのが間に合わない…!

 

 

「旋空…」

 

 

 だが、銃口が火を吹くよりも、僕達を守る壁が生えるよりも、攻撃手一位の男の斬撃の方が速かった。

 

 

「…弧月」

 

 

 神速。その言葉がまさに相応しいだろう。トリオン体で強化されているであろうはずの視力でも捉えられない速さで太刀川さんの弧月が抜刀され、まるで三日月のような大きな弧を描いてトリオン兵の銃が切り落とされる。

 

 

「……!?」

 

「へえ…やっぱりか」

 

 

 切り落とされた腕から、いくつか先ほどと同じ紫色の弾丸が射出されるが、射出直前に腕が切り落とされたことで、照準がブレてしまい、明後日の方向に全て飛んでいってしまう。僕が壁を出し終えた時には、納刀している太刀川さんが目に見えた。

 今の一瞬で…利き腕ではないだろうに…あまりにも速い斬撃…文字通り気がつく間もなく事が進んでいた。

 

 

「今の旋空の伸び方…成る程な…神立、攻めるぞ」

 

「っ…!はい!」

 

 

 慌ててレイガストを構え直して、腕を切られて隙を晒している新型に向けて駆け出す。二人がかりでかかればすぐに終わる…と思っていた時だった。一瞬、僕らの前方の空気が震え…そして歪んだ。

 

 

 

 

バチッ…バチッ…

 

 

 

 

 耳に不可解な音が聞こえた瞬間、大きな衝撃が体に走り、後方に大きく吹っ飛ばされる。

 

 

「っ…!?」

 

「っとお」

 

 

 吹っ飛ばされる中、視界にとらえたのは紫色のブラックホールのような穴…そう、(ゲート)だった。

 そして、また別の腕が門の奥に見えた…

 

 

「ッチ…良さげなところで開くなよ…」

 

「これは…!」

 

 

 門から出てくるのは、数体の人型…今さっき太刀川さんが腕を斬り落としたトリオン兵と、おそらく同型と思われるトリオン兵の軍団だった。

 軍団…と言っても、最初にいたやつを含めて数は6体。最初に太刀川さんが斬った奴らとはなんか色が違う…最初のが黒主体だとすれば、今度は白主体の色をしている…いや、それは今どうでも良い。最初に攻撃を貰ってしまった分ただでさえ不利だったと言うのに、これで人数差にも不利が生じてしまった。

 

 そして、奴らの腕が変形し、再度視界に紫色の光が目に入る。おそらく、あのビーム攻撃だな!

 

 

(エスクード…!)

 

 

 今度は体が追いついた。吹っ飛ばされて体勢を立て直そうと地面にたまたま手をついていたのも運が良かった。もう2回も守られたんだ、本来守るのはこっちの仕事だと言うのに…今度はこっちが守る番だ。

 

 

「うっ…し…!」

 

 

 大量の壁が、こちらへの射線を遮り、本来こちらに風穴を開けるはずだった弾丸が全て壁によって阻まれる。壁の損傷具合や、罅の入り方を見る限り、連中はどうやら威力の高い一発集中の弾と、1発1発の威力が低い拡散弾のようなものを撃てるらしい。どっちも大量の壁によって防がれている。おそらく、今の変形を見るに奴らは腕を武器に変化させて戦うんだな…銃撃もそのうちの一つだろう。

 だが、火力はバカにならない。壊されては生やしを繰り返しているが、これだとこっちのトリオンがなくなりかねないな…

 

 

「神立、ナイス防御だ。本当は俺があのまま斬りに行く予定だったがこうなれば予定変更だ。壁壊れる前に手短に話すからよく聞け」

 

「っ…!?」

 

「今の旋空や、さっき被弾する前の体の重さで気がついたが、あいつら多分こっちのトリガーをどうにかしていつも通り使うのを邪魔する手段を持っているみたいだ」

 

「えっ…!?それってどういう…」

 

「旋空の伸びるスピードや射程距離もいつもより遅く短かったし、さっきからやけにトリオン体の調子も悪い。お前もどこか悪いところあるだろう?さっき、それで俺も首を斬り損ねた」

 

 

 …まさか、さっきからなんか体が重く感じていたり、太刀川さんの斬撃がトリオン体の視力でも捉えられないのって…

 

 

「これだと緊急脱出(ベイルアウト)を使ったらなんかエローが起きてやばいことになるかもしれん、どうしても俺らはここで生きて、奴らを斬らないといけない訳だ」

 

 

 ふむ…トリガー全体に何かしらの妨害がかかっているとしたら、確かに太刀川さんの言う通り緊急脱出にもエラーが生じているかもしれないな…トリオン体だけ本部に戻って本来の肉体が脱出できなかったり、予定とは違う緊急脱出地点に飛ばされる可能性もある……そう考えると、太刀川さんの言う通り、ここでこいつらを倒さないといけなくなるな…なにせ、緊急脱出に文字通り頼れない訳だから。

 にしても“エロー”って何?ero?なんだ?もしかしてエラーのことか?聞き間違い?耳までなんか機能が妨害されてしまったって言うのか…?

 

 

「今、こっちに吹っ飛ばされた時に、体が若干軽くなった。これは推測だが、あいつらのどれかにそのトリガーを妨害できる機能を出している奴がいて、そいつから距離が遠くなれば成る程その妨害機能は弱くなる…んで、多分、あの色違いの黒いヤツがその機能持ちだ。あいつら、色違いを守るように陣形貼っているしな」

 

 

 …確かにそうだ。今見てみれば、僕らが斬りかかった際、あの黒いやつを守るかのように、さっき門が開いた…それだけ考えても、あの黒いやつ…最初に太刀川さんが斬ったのが一番重要なやつなのかもしれない。もし仮に、トリガーの機能制限となんら関係ない奴だったとしても、明らかに重要そうな個体だ…優先して狙って損はないだろう。

 オペレーターからの分析とかも何もない以上、確定したことは何も言えないが、きっとそうなのかもしれない。

 

 

「その推測が正しいと仮定すれば、あの色違いを優先してた狙えば…」

 

「そう言うことだ…俺が白いやつを受け持つ。お前があの黒いやつを打ち取れ」

 

「…え?いやいや!太刀川さん!それはいくらなんでも無茶ですよ!だって太刀川さん、その傷と腕じゃあ全力で戦えないでしょう!?」

 

「腕一本無いくらいで、トリオン兵にボコられたら忍田さんに怒られちまうっての…攻撃手一位を舐めるなよ」

 

 

 それに…と、太刀川さんが付け足す。

 

 

「新型との戦闘…スリルがあって面白い…!片手のハンデで4、5体相手くらいが丁度良い」

 

「………」

 

 

 なんだこの人。この状況でスリル…?どんだけ戦闘狂なんだよ…?今、そんなこと気にしている状況じゃ無いだろう…!?

 そう思っていた時だった。

 

 

「がっ!?」

 

「おっと…」

 

 

 エスクードの破片がこちらに向けて飛び散ってきた。どうやら大量に貼った壁が、もう殆どぶっ壊されて、余裕がなくなってきたようだ。

 

 

「じゃあ神立…()()()()

 

「っ…!」

 

「旋空弧月」

 

 

 瞬間、目の前にあった残りの壁が一刀両断され、6体の人型トリオン兵と完全に対面することになった。そして、目にも止まらぬ速さで太刀川さんがトリオン兵に向けて駆け出し、飛んでくる弾幕を全て掻い潜って、軍団に切り込む。

 トリオン兵は、腕を銃からブレードへと変形させて、太刀川さんへと斬りかかる。注意が太刀川さんにそれた。今がチャンスだ。

 

 にしても…“頼んだぞ”…か…頼られてしまった以上、その頼ってくれた“信頼”には応えなきゃいけないのが戦場の筋ってモンだ。こう言われてしまったからには、やることはただ一つ。

 

 

(全力で…任された仕事をこなす…!)

 

「スラスター起動!」

 

 

 太刀川さんが気を引いている分、僕は通常のブレード状態のレイガストを携えて、スラスターでただ一体だけ色の違う、片腕のないトリオン兵に斬りかかる。

 弾丸はほぼ全て太刀川さんに行っている…こちらを邪魔するものはない!

 

 

「…!!」

 

「くそっ!」

 

 

 向こうに切り込むことは成功したが、向こうは片腕をブレードに変形させて、こちらの斬撃を防いできた。クソ…多分性能が落ちているとはいえ、スラスターの斬撃を防ぐとか、こいつどれだけ硬いんだ…それに、トリオン兵に近づいたからだろう…体がさっきよりも重たい…だが、ここまで来ればこっちのもんだ!

 

 

「エスクード!」

 

「…!!」

 

 

 別にこっちの武器はレイガストだけじゃない。ブレード同士が触れ合うほど近づいている今、エスクードを使うチャンスだ…僕は、トリオン兵のブレードに左手を伸ばし、エスクードを起動。相手の足裏に壁を生やす。

 

 

「………!?」

 

 

 向こうは、足裏から急に壁…いや、板が出現したことで、バランスを崩したようだ。ブレードにこもっている力も弱まった…僕は、この隙を逃すまいと、トリオン兵のブレードを弾き、突き攻撃を行う。狙うはトリオン体の共通の弱点である、目の部分だ。この距離…この体勢…絶対に入る…!と思っていた。

 

 

「がぐっ!?」

 

「……」

 

 

 横から何かがぶつかってきやがった!おかげで、本来目の部分に届くはずだった刺突は、あらぬ方向へと伸びてしまった。慌てて横を見ると、そこにいたのは、白い人型トリオン兵…どうやら、黒い個体のピンチに気がついて、太刀川さんの陽動から離れてこちらに飛んできたようだ。おかしいだろ…太刀川さんが結構離してくれていたはず…この距離なら奴らの足なら間に合わないだろうとか考えていたのに…と思っていたが、相手の装備を見てなんとなく状況が掴めた。

 

 奴らの腕に武器はなく、拳のままだった。それは即ち、拳のままこっちをぶん殴って突き飛ばしてきたと言うことだろう…多分だが、武器を解除することで重量を減らして身軽になることで、こちらに本来の速度よりも速く飛んできたのだろうな…何せ、普通に考えれば今武装して油断したこっちをぶった斬れば良いものの、わざわざそうせずぶん殴ってきたのだから、そう考えられる。それなら、あの距離でも間に合っておかしくない。

 くそ…予測できていなかった。完全に太刀川さんが押さえているから大丈夫だろうと油断していた。

 

 

(うおっ…)

 

 

 向こうは腕を銃に変形させて、こちらに向けてビームを撃ってくる…こっちもシールドで防ぐが、この状況、結構まずい。何せ、お邪魔虫が一体増えてしまった訳だからだ。

 

 

(クソ…一体漏れたな…!)

 

 

 こちらに気がついた太刀川さんが漏れてこっちにきたトリオン兵に向けて旋空を放とうとする…が

 

 

(チッ、片腕だから使った後隙を狙われても防ぎようが無い…初手に腕を持ってかれたのが厄介だったな…このままじゃ神立の負担が増える…)

 

 

 本来なら、片手で旋空を撃って、もう片方の手で受けに回れば難なく僕の方に来たトリオン兵に攻撃を当てつつ、攻撃を耐えて向こうの注意を引きつけられるだろう…が、今の太刀川さんは初撃を貰ったせいで片腕がない状態だ。それに加えて、射程が制限されて、トリオン体の動きも異常が生じてしまっている…多分、ここから太刀川さんの援護をもらうってことはかなりしんどいだろう。

 

 

「なら…こっちが2体とも倒す!」

 

 

 僕は、ぶん殴ってきたトリオン兵に向けて駆け出す。本来なら黒い人型を狙うのが一番だろうが、またこいつの妨害にあうに違いない。黒い方はエスクードのおかげで体勢を立て直すのに苦労しているだろう…なら、先に邪魔なやつを倒して、体勢が戻らないうちに黒い方を斬る。

 

 

「はあっ!」

 

「…!」

 

 

 弾幕をシールドを展開しつつ突っ切ることで掻い潜り、思いっきりレイガストを振りかぶり、重さを活かした攻撃を行う…しかし、片手のブレードでレイガストが阻まれる。

 だが、これで良い。僕は左手を伸ばして相手にエスクードを生やすことで、さっき黒いやつにもやったことと同じことをしようとする。これでこいつを斬った後、黒の方にスラスターで行けばまだ間に合う…そう考えていた時だった。

 

 

「………!!」

 

「っ!?くそっ!」

 

 

 伸ばした左手が、トリオン兵に触れることはなかった。僕が左手をレイガストから離した瞬間、大きく後方にバックステップをとって、回避行動を始めた。そうはさせまいと、ブレード同士が離れた瞬間、横一文字にトリオン兵に向けて大きく刃を振るい、傷をつけることには成功したが、完全に距離を離されてしまった。

 

 

「させるかっ!!」

 

 

 僕は、慌ててレイガストをダガー状に変形させて、スラスターを起動。レイガストを人型に向けて投擲する。ここでスラスターを使うのはもったいないような気もするが、そんなこと言ってられない。こうなれば、一体ずつ各個撃破だ…と考えていたのだが

 

 

「うっ…!?シールドっ!」

 

 

 向こうは、こっちがレイガストを投擲した瞬間、こちらに銃口を向けていた。そして、紫の弾丸がこちらやレイガストに襲いかかる。本来、相手に向けて一直線に高速で進むはずのレイガストは、向こうが展開する弾幕に晒されることで、向きは変わらないものの勢いが削がれてしまい、そのままもう片方の腕のブレードで弾かれてしまう。

 

 

(うっそだろ…!)

 

 

 レイガスト投擲をこうやって防がれるとは…!コイツ…本当にトリオン兵かよ!?本来、ブレード一本でも弾くのが難しいレイガスト投擲をこんな方法で…!人間がやるにしても結構むずいと思うのに…!いや…まぐれか?だとしても…いや、今はそんなことどうでもいい。今はどうやって敵を倒すかだけを考えろ…レイガストを実装し直すことで、手元に戻し、再度シールドで突っ込もう…と思った瞬間だった。

 

 

「……………!!」

 

「謖溘∩謾サ謦」

 

「っ…!?」

 

 

 後ろに銃口をこちらに向けた黒い人型がいることに気がついた…この陣形…まずい!

 

 

両防御(フルガード)!」

 

 

 瞬間、トリオン兵達による十字砲火が行われる。こちらに向けて紫の弾丸が2方向から飛来してきた。慌ててシールドを2枚起動し、致命傷は免れるものの、シールドから幾らか弾丸が防ぎきれず漏れ出てしまい、幾らか体を掠める。

 

 

「がっは…」

 

(まずい…!ただでさえトリオンが削られているって言うのに…!)

 

「……!」

 

「ぐっ!?」

 

 

 銃撃が止んだかと思えば、今度は白い人型がこちらに向けてブレードを携えて襲いかかってくる。慌ててレイガストで受ける…が、これは悪手だった。

 

 

「がっ…!?」

 

「………!!」

 

 

 こっちはレイガスト一本だけなのに対して、向こうはブレードが腕2本分ある…一本のブレードは、レイガストで受けるも、もう一本の攻撃がこちらに向けて横から振われる。慌てて体を捻って避けるが、ギリギリ避けきることができずに体からトリオンが漏れ出す。

 

 

「うおおああっっ!!!」

 

「…!?」

 

 

 この状況…不味い。2体1でこのまま攻められたらこっちが負ける。僕はレイガストを盾モードに変形して、シールドバッシュの要領で白い方を弾き飛ばす。が、すかさず右から黒い方から紫色の弾丸が飛んでくる。

 

 

(コイツらっ…連携してやがる…!俺たちがやるみたいに…!)

 

 

 レイガストで慌てて弾丸を防ぎつつ、後方に下がる…この状況、かなり不味い。信頼に応える云々よりも、一体処理できるかどうかも怪しくなってきた。トリオンがさっきの攻撃でかなり漏れ出してしまった…エスクードを無理に大量に出したらトリオン漏出過多になってしまうかもしれないくらいに。

 もしそうなれば、どのようなエラーが発生しているかもわからない緊急脱出機能を使わざるを得なくなってしまうかもしれない…さっきも言ったと思うが、緊急脱出機能にエラーが起きて、もし帰れずに生身だけポンとこの場に放り出されるようなものなら、本当に文字通り死にかねない。

 トリオン兵は、生身の人間が勝てるほど弱い兵器ではない。そんな状況になったら、もう本当に詰みだ。

 

 

(状況は最悪だ…ここからどうやって相手を崩す…!?エスクードで相手を分断するか…?いや、トリオンが多分足りない…!)

 

 

 頭を必死に回転させるが、この状況を打開するいい策が思い浮かばない。最悪の場合、生き死にに直結するかもしれない…と言うのに、僕の頭は極限まで追い込まれても何も浮かばないようだ。

 何も思いつかないなら、何も思いつかないなりにとにかく距離を詰めるしかない。こっちのまともな武器はレイガストだけ…距離を詰めなければ何も始まらない…!と、考えていた時だった。

 

 

「……!」

 

「……………!!」

 

「なっ…!?」

 

 

 白い方が体勢を立て直して銃を構え始めた…どうする…!?この状況でまた挟まれたらトリオン体が破壊されてもおかしくない…!だが、ようやく僕の頭に良い案が思い浮かんだ。

 

 

「これだあああ!!!」

 

(エスクード!!)

 

「…………!!!?」

 

 

 僕がやったのは、エスクードを相手の足下に生やしてぶっ飛ばすと言うものだ。要は、エスクードのカタパルトを相手にもして、空中に吹き飛ばすことで、相手を強制的に分断させるのだ…白い方は、自分が何をされたのかわからないまま、空を飛ぶことになった。

 エスクード一枚分のトリオンの消費で分断…これはかなりデカい。あとはこのまま…!

 

 

(黒い方を潰すだけ…!)

 

 

 普通に突っ込むと、初撃をブレードで防がれかねないので、レイガスト投擲で一撃で仕留める。すぐに仕留めなければ、空から弾丸の雨が降り注いできかねないので、早急に行動に移す。そう考えて、再度レイガストをダガー状に変形させて、投球モーションに入る。

 向こうは片腕…さっきの白い方がやった防ぎ方は、片腕を銃に、片腕を剣にしないとできない芸当…でも向こうは太刀川さんのおかげで片腕…なのでできないはずだ…あとは僕が当てるだけ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 のはずだった。

 

 

「………!!」

 

「えっ…!?」

 

 

 投げたレイガストが、空中で巨大な弾丸に衝突した。

 向こうが、弾丸をピンポイントでこちらのレイガストに当ててきたのだ。さっき言ったと思うが、奴らは、拡散式で、手数重視の撃ち方と一発デカいのを撃つ一撃重視の撃ち方ができる…この黒いのは、一撃重視のタイプで、僕のレイガスト投擲を空中で相殺してきたのだ…

 

 

(コイツら…こんなに銃の腕良かったか…!?さっきの十字砲火も僕を削り斬れないレベルだったし…)

 

 

 瞬間、僕に向けて銃口が向く。不味い…僕は慌ててシールドを貼るが、ある一個のミスを犯した。

 

 

 ドドドドドド!!

 

 

「なっ…!?」

 

 

 上の突き飛ばした白いトリオン兵のことを忘れていたことだ、レイガスト投擲を防がれたことで完全に頭から抜けてしまっていた。数秒前に忘れないようにしていたことなのに…クッソ…まだまだ未熟だな…僕も…前方の攻撃は防げたものの、上からの弾丸の雨に対処出来ず、体がまた少し削られ、片腕に穴が空きまくって使い物にならなくなった。おそらく、腕のメインの伝達系に穴がどでかく開いてしまったのだろう。

 

 

 にしても…おかしい、あの銃…この対処の仕方…この連携…普通のトリオン兵じゃあ考えられない…しかも、あの銃…連携…今考えれば、エスクード生やしも2度目から対処された…まるで、戦いの中で成長しているみたいだ…なんだよそれ…まるで…

 

 

 

 “人”じゃないか…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ビキ…パキ……

 

 

『警告、トリオン漏出甚大』

 

 

 トリオン体に罅が入った。これは、もうトリオンが枯渇寸前であることを示すものだった。腕は実質片腕しかなく、エスクード数枚生やせばもうトリオンはなくなってしまうだろう…今思いついた策は潰された。何も代案が思い浮かぶことなく、完全に追い込まれてしまった。

 




2体(しかも一体片腕なし)でここまで主人公追い詰められているけど、これを4体分最初から自分が片手なのに抑え込めている太刀川さんって一体…しかも、トリガーいつも通りに使えないはずなのに…

エスクードカタパルトが出ましたけど、これ普通に原作でもやってるから、救済扱いにはしないことにします。


-エローって何?誤字?
-太刀川さん、デンジャーをダンガーって読むなら、こういう言い間違いもするかなっていう…



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