不遇=弱いって誰が決めた?   作:よく酔うエンジン

3 / 21
お気に入り登録してくださった方。しおりを挟んでくれた方。本当にありがとうございます!

今回は、神立が別の不遇トリガーにお触りする回です、どうぞ。


”エスクード”という同類

 僕がレイガストを知って、使い始めるようになったのは確か入隊してすぐだったはずだ。

 

 

 ボーダーは、普通の民間企業のように、入社試験ならぬ入隊試験というものがある。

 入隊試験に受かった人間は、仮入隊扱いになって、個人の素質からボーダーが適正と判断した訓練用トリガーが一つ支給されるのだ。

 で、小さい頃数ヶ月とはいえ道場に通わされていたり、そこで真剣も握ったことあったりした僕に最初支給されたトリガーは我が相棒である“レイガスト”…!

 

 

 ではなく“弧月”だった。

 

 

 まあ、今考えれば、弧月をもらって当たり前だと思う。弧月というのは基本太刀型や直刀型といった、世間一般的な“刀”の形状をしており、そういう経験のあった僕にとって振るいやすいと思ったのだろう。

 事実、仮入隊期間の時に実施された訓練では、いっつも一位…ではなかったが、割と安定して上位に食い込んでいた。何せ、周りには弾トリガーの天才でもある出水がいたり、有段の剣道経験者がいたりとかして、ずっと一位を取るのは無理な話だった。

 

 で、まあそんな状況からレイガストにわざわざ鞍替えした理由はいろいろある。

 

 

 まず一つ目に、僕はその時から弧月…というか“弾トリガーに対して不満を持っていた”というのがある。

 前にも言ったと思うが、最初に中距離攻撃用の弾トリガーを渡されたやつと、僕ら近距離攻撃用の攻撃手用トリガーを渡された奴が戦った場合、高確率でこっち側が負けるのだ。

 弾トリガー使いと、攻撃手用トリガー使いが一対一で戦った場合、前にも言った通り攻撃手用トリガー側の人間の防御性能が低すぎてほぼワンサイドゲームになってしまうのだ。

 弾トリガーは、ノーガードの所に当たればどんなに猛者だろうと大ダメージを与えられ、距離さえ取ればポンポン撃つだけで一方的に攻撃が押し付けられるのに、こっちは訓練生って基本一つしかトリガーが使えないため、“シールド”さえも使えず、まともな防御ができない。つまりまともな対抗策(?)が回避しかない。その上で、弾になるべく被弾せずに弾幕を掻い潜って相手に近づくことが攻撃の最低条件だったので、まあとにかく辛いのだ。

 そう言うわけで、弾トリガーに対抗できる武装が欲しくなったのだ。

 

 

 二つ目に、“弧月が体に合っていなかった”というのがある。

戦闘体であるトリオン体にさえ換装すれば、ほとんどの身体能力は格段に向上するので、竹刀すら握ったことのないような人間でも軽々と武器を持てるようになる。それのおかげで弧月は真剣よりも遥かに軽いように感じ、簡単に振り回せるようになる…のだが。

 

(うーん…軽い…逆に振り回される…)

 

 僕が抱いた感想というのは、“軽すぎる”というものだった。当時、普通よりも遥かに重いバットをあえて使用して素振りして、フォームを確認するほど重い棒を振り回すのに慣れていたせいで、軽い棒…というか刀を振るうのに違和感を覚えていたのだ。振りやすいにはもちろん振りやすいのだが、なんというかしっくりこない感覚が僕の体に襲っていた。

 

 

 そして、三つ目。これが重要。

 

(みんな使っているじゃないか…!)

 

 そう、この武器攻撃手用トリガーじゃメチャクチャ人気があったのだ。

 やっぱり普通の人にとってシンプルイズベストがいいのはマジなのか…!

 別にこれしか武器がないのならしょうがないけど、やっぱり不遇な武器があるならそっちを極めたい!僕が憧れた“あの光景”を見るためには人気とか便利とか、そういう優遇武器じゃダメなんだ!

 

 そう普通に考えればよくわからないこと思って、入隊式が終わった後、僕はある場所に行った。

 

 

「失礼します…ここで所持しているトリガー変えられるって聞いたんですけど…」

 

 

 そこは、日夜トリガーに関する研究を行い、新たなトリガーを生み出したり、トリガーをメンテナンスする"開発室"だった。

 ここに来れば、正式に入隊した後なら、トリガーは変え放題だったからだ。で、僕はそこで、ある人と出会った。

 

 

「あれ、君って確か今季の新入りで結構優秀だった弧月使いの子だよね?入ったばっかなのにもうトリガー変えるの?」

 

「あ…はい…なんか体に合わなくて…」

 

 小太りした高校生くらいの気怠げな目をした青年が声をかけてくれた。この人が、僕の相棒である“レイガスト”をこの世に生み出した開発室のトリガーエンジニアである“寺島雷蔵”さんだった。

 え?“声に覇気がない”?うるさい。初対面なら普通少しは誰でも緊張するもんだろ。

 

 

◆◇◆◇

 

 

「寺島さん。レイガストのデータを元にシールドが強化されたってマジですか?」

 

「…残念だけど、マジなんだよな」

 

 ハァァ…レイガストがどんどん不遇になっていっている気がする…!ていうかなっている!

 

 僕は頭を抱えてしまった。

 

 今、僕はあの時と同じように開発室にお邪魔させてもらっている。

 寺島さんが、こちらの“トリガーホルダー”に先日強化された新型の“シールド”のトリガーチップをセットしてもらっている。出水に言われて、心の中でどこか冗談だと信じながら重い足取りで来てみれば、一番仲良くさせていただいてる寺島さんからこう言われたので、気分駄々下がりだ…

 

 この“トリガーホルダー”と言うのは、ボーダーが独自に作成した、戦闘に必要な武器やらトリオン体やら全てを収納している、各隊員に配給されている装備のことだ。

 

 そもそも、ボーダーのトリガーと言うのは、別に武器それぞれのことをトリガーと言うわけではなく、厳密には小さいチップみたいなものを指すのだ。このチップを“トリガーホルダー”と呼ばれるこの刃の無い柄状の物体に、合計8つまで搭載して戦う。

 

 トリオン体に換装すると、トリガーホルダー内に格納されたチップそれぞれが記憶しているレイガストやらシールドやらのデータを引き出して、現実に実装できるようになるのだ。

 

 ボーダー隊員は、基本的にトリガーを8つまで持つことができ、同時に二つ、利き手用の“メイントリガー”と反対の手用の“サブトリガー”を実装して戦う。

 これは、別に8つ実装して持ち歩くのが限界…と言うことではなく、一人の隊員につき、使用可能なトリガーの上限が8つと言うことだ。ただ、この世に出せる各々のトリガーの武装の数が二つまでと言うことだ。

 

 

 ちなみに、今の僕のトリガーセットはこんな感じだ。

 

 

 

 ▶︎メイントリガー

 

  レイガスト    

  スラスター

  シールド

  FREE TRIGGER

 

 

 ▶︎サブトリガー

 

  FREE TRIGGER

  FREE TRIGGER

  シールド

  バッグワーム

 

 

 

 とまあ、三つも空きがある。

 

 僕は、今のところレイガストしか使用していないが、やろうと思えば、レイガスト二刀流だったり、レイガストと同時に別のトリガーを使用すると言うことも可能なのだ。だが、その別のトリガーは今のところ全く何にするのか決めていない。

 

 本来、トリガーを一つ増やすだけである程度のトリオンを消費するし、過剰な装備は実際の戦闘に回せるトリオンの総量を削るハメになるので、枠が空いているからといって自分の戦法に必要なトリガー以外はセットしないのが基本になっている。

 

 だが、正直、レイガスト一本だけだと、流石に攻めの選択肢が無さすぎるので何かしら入れたいとは思っている。レイガスト…というか攻撃手用トリガーと言うのは、トリオン量が少ない人間でも扱えるように設計されている…と言うのも、一度トリオンを使って剣を実装してしまえば、あとはそれを振り回すだけだから、剣を実体化させるのにトリオンが必要になるだけで、それ以外は特に必要にならない。

 で、そのトリオン量の出費が少なくて済むレイガスト一本だけしか使っていない僕は、トリオン量にかなり余裕があると言うわけだ。

 

 ちなみに、僕が入れている“バックワーム”と言うのは、どの隊員も基本的に装備する兵装だ。これは、レーダーを無効化するマント型のトリガーであり、非常時に隠れたりできるように基本的にどの隊員も装備している。

 え?“お前、なんであんなにレイガスト信者だったのに、レイガストが流行らない原因で優遇トリガーのシールド使っているの?”だって?

 いやあのね、正隊員に上がった後に渡されたトリガーには、もうどの隊員も基本装備しているからっていう理由で、初めからシールド二つとバッグワームが入ってるのよ…で、僕も最初抜こうかなって思ったんだけどさ。

 

 

『シールドは一個でもいいから持っておいた方がいいぞ。レイガストの防御力にも限界はあるからな…それに、レイガストの盾モードを解除して戦う際は必然的にノーガードになるからな。手が埋まっていても使えるシールドはあったほうが便利だぞ?』

 

 

 と、寺島さんから言われたのだ。寺島さんに言われたからにはまあいいかってなって無理やり納得して入れている。寺島さんは、エンジニアをやる前は、結構有名な弧月使いの攻撃手だったらしいし、先輩の助言は素直に聞いておくのが徳だ。

 

 …また話が脱線しすぎた…いつもこうだ…話を戻そう。

 

 

「あーもう…シールドだけが強化されてしまえばレイガストの存在価値がどんどん下がっていくじゃないか…寺島さん…レイガストもシールドみたいにシールドのデータ使って強化できないんですか?」

 

「んー…できるっちゃできるかもしれないけど、正直結構難しいな…レイガストって、“スコーピオン”をメインに“シールド”の性質を加えて作った様なものだから。正直強化してもそんなに変わらないだろうな…スコーピオンが強くなったら話は別なんだけどな」

 

「うへえ…もうスコーピオンはスコーピオンでほとんど完成してるトリガーだから、それつまりこの先の強化は見込めないってことじゃないですかぁ…」

 

「まあ、そう言うことになるな。とはいえ、トリガー技術も日々改良が加えられて前進してるからな…他のトリガーと比べてまとめて質が高くなるってことはあると思うぞ?」

 

「それもうコイツの強化は望み薄じゃないですかぁ…」

 

 

 いやでも、強化が入るとそれはそれで今度はレイガストが大人気になるって可能性も…いやでもその未来も見てみたいな。

 

 

「にしても、神立君って、レイガスト以外って使わないの?」

 

「んー…何かしら考えてはいるんですけど、特に…」

 

「やっぱ、不遇な武器じゃないといけないのかい?それこそレイガストとかみたいに。あれも残念だけど不遇だからさ」

 

「いや…そう言うわけじゃないんですけど…て言うか、自虐ならぬレイガスト虐しないでくださいよ…!寺島さんのおかげでレイガストはいい武器だって知ってますから…!」

 

 

 僕は、不人気だからとかいう不純な人によっては同情に見られるかもしれない同期でレイガストを使い始めたのだが、彼はそんな僕に対しても、“使ってくれるだけでも嬉しい”と言って、めちゃくちゃ喜んでくれた。で、寧ろ、小一時間くらいレイガストについて忙しいだろうにも関わらず解説してくれた程優しい人なのだ。

 僕がレイガストについて開発室の人間よりも結構一丁前に話せる理由は、彼が開発した経緯や苦労話、あまり普及しない現状に対する嘆きとかを語ってくれたからに違いない。

彼の説明がなければ、僕はこのレイガストをそんなに気に入らずにただの不遇武器として扱っていたかもしれない。そう考えてしまうほどボーダーの僕にとっての彼の存在は大きい。

 僕が初めてあった日に“いい感じに不遇な武器ってないですか?”って真顔で聞いて、僕の黒歴史の一つになってしまったことを弄ろうとしてるだけかもしれないが、開発者からまでもそんな言葉は聞きたくない。

 

 

「ま、そう言ってもらえるとレイガストの生みの親として嬉しいことこの上ないね。でも、生みの親だからこそ言わせてもらうけど、やっぱりレイガスト単体だけだと、他のトリガーと比べて攻撃の選択肢が狭いから、他のトリガーを増やした方がいいと思うよ?」

 

「うーむ…そう言われても…」

 

 まあ、無理に入れろとは言わないけどね。寺島さんが付け足して、トリガー調整に意識を戻す。

 

 僕も別に、優遇トリガーを入れることに文句はない。

 “緊急脱出(ベイルアウト)”機能があるとは言え、命がかかった戦闘をしている身だから、そこまで強く不遇なトリガーにこだわるつもりはない…まあ、全部優遇トリガーにしろって言ってきたら駄々こねて拒否る自信あるけど。

 

 正直、レイガストは、スコーピオン程変幻自在に攻撃することによる手札の広さもなければ、弧月ほどシンプルながら突き抜けた安定性も攻撃力もない。レイガストは、正直攻めの択が、防御で敵の攻撃を耐えつつ隙を見てスラスター…くらいしかない。他にもやろうと思えば色々あるのだろうが、正直それが個人的に一番強いし、これくらい強い戦法もない。

 

 ちなみに、“緊急脱出(ベイルアウト)”とは、トリガーホルダーに常備されている隊員をガチな命の危険から守るトリガーだ。つまりどの隊員も基本的に装備している。このトリガーは、トリオン体が破壊されたり、戦闘不能なほどトリオンが枯渇したり、“ベイルアウト”と叫んだりすると、光の球に包まれて、あらかじめ設定した安全な帰投地点に自動で帰還する優秀なものだ。正直、堂々と学生から隊員を募集できるのも、この機能によって最低限の安全性を担保されているから…と言うのがでかい。

 

 まあ、それは置いといて…どうしたもんかなあ…

 

 

「て言うか、まず神立君って、トリガーって何があるのか全部把握してるのかい?」

 

「え?してたと思いますけど…」

 

「じゃあ、“エスクード”って知ってる?」

 

「え?」

 

「やっぱりだ。ほぼ全部のトリガーについてのそれぞれ質問よくしてきたのに、“エスクード”だけ一切質問なかったからね」

 

 

 …なんだそのトリガー…マジで見たことも聞いたこともないぞ?大方、正隊員が使っているトリガーは、一度見たら、寺島さんや鬼怒田さんが暇な時に質問するとかして絶対に調べる様にしているはずなのに…待てよ?正隊員が使っているところも見たことがないと言うこともしや…

 

 

「そのトリガー…もしかしてマジで誰も使われていない“不遇”トリガーなのでは?」

 

「正解だよ結構昔に作られたけど、玉狛支部の人以外基本使っていないまさしく“不遇”なトリガーさ」

 

 

 …玉狛支部…それって…いや違う違うそれは今はどうでもいい。

まさか、僕が把握漏れしていた不遇トリガーがあったとは…!

 

 

「寺島さん!それ、今開発室にある仮想戦闘空間でお試しでもいいので使えたりしませんか!?めちゃくちゃ興味あるんですけど!!」

 

 

 僕のトリガーにセットするかは置いておいて、不遇なトリガーとあらば聞いとかなくては…て言うか、触っておかなければ僕の生き様的に許せない。すると、寺島さんは二つ返事で了承してくれて、僕のトリガーにエスクードを装備して仮装戦闘空間に案内してくれた。この人、優しすぎんか?僕がいくらレイガスト使っているとは言えさ…!

 

 

◆◇◆◇

 

 

 お互いにトリガーを起動して、トリオン体に換装した後に、仮装戦闘空間に入る。

トリガーを起動した寺島さんを初めてみたが、正直めちゃくちゃ猛者感がすごい。なんと言うのだろうか、“オーラ”が強者にしか纏えない奴だ。見た目はそんなに変わらないのに、弧月を腰に下げただけで、なんでこんなにさっきと違う雰囲気が出せるんだ…

 

 

「にしても、すごい食らい付きだったね。シールド強化の話で明らかに沈んだ雰囲気だったのに、急に明るくなってたし」

 

「え…?あ、いやあ…まあ…ソウデスネ…」

 

「まあ、とりあえずお手本を見せるから、そこで見てて」

 

 

 話しかけられて、思考を元に戻す。エスクード…一体どんなトリガーなのだろうか。

 

 

「エスクード」

 

 

 寺島さんが、地面に手を置いて、そう唱えた瞬間だった。

 地面からトリオンの光の道が発生し、僕らの目の前に盾…いや()が勢い良く出現した。

 

 

「なんだこれ…!壁が…!」

 

「これが、結構昔によく使われていた、シールド以外唯一の防御トリガーの“エスクード”だよ。割と勢い良く地面から出てきてびっくりしたでしょ?」

 

「…まあ、そうですね…」

 

 

 これはもう完全にバリケードだ。強度にもよるけど、こんなのを作れるって結構強いトリガーなんじゃないのか…!?

 そんなことを考えていると、寺島さんが仮装戦闘空間に設けられたこの空間の制御パネルを操作する。なんらかの入力を済ませると、エスクードの目の前にトリオンキューブがデカデカと現れる。

 

 

「あのキューブは、平均的なトリオン量の隊員が、火力重視でセッティングしたアステロイド。今からエスクードにぶつけるからよく見ててみ」

 

「了解です」

 

 

 出水が出すキューブよりかは小さいが、あれくらいの大玉アステロイドを食らったら、僕のシールドならなんとか防げるだろうが、トリオン量が低い隊員のシールドなら簡単に割れてしまうだろう。普通でも(ひび)くらい入っておかしくないはずだ。

 基本的に、シールドも、弾トリガーも持ち手のトリオン量の多さで耐久力や威力が変動するからな…

 そう思っていると、威力重視なため、弾足が遅いアステロイドがふわふわと飛んでいく。一見ふわふわ飛んでいるため弱そうだが、弾トリガーは、速度は威力の大きさに関係ないという、普通の銃弾とは違う性質をしているので、あれでも結構大ダメージを喰らうだろう…エスクードは古いトリガーだって言っていたし、防げないんじゃ…と、思っていた矢先だった。

 

 

“ドン!”と派手な音を立てて着弾してしまったエスクードに、()()()()()()()()()()

 

 

「ええ!?めちゃくちゃ防御力高くないですか!?あれ威力重視なんですよね!?なのにダメージ全くないように見えるんですが…」

 

「正解だよ。このくらいじゃびくともしないのがエスクードさ。正直、普通のシールドの数倍の防御力はあるよ」

 

 

 ええ…?これが不遇…?本当に言ってる…?普通にこんなに硬い防御兵装なら人気でてもおかしくないはずなんだが…

 

 

「なんでこいつが不遇かって思っているでしょ?一回この計器を持って、自分で使ってみればわかると思うよ」

 

「え…?了解です…」

 

 

 僕は、変な計器を渡される。なんというか、握力測定器みたいな見た目をしていた。

 これが何か聞いてみると、これは使用者の現在のトリオン量と、トリオンをいくら使ったかをまるでRPGのHPバーの様に、棒ゲージに変換して見せてくれる機械だという。ゲージは緑一色で、これが総トリオン量を示すゲージらしい。

試しに、レイガストを実装してみると、棒ゲージの端の方の色が黒くなった。だが、本当に端の方だけ変わった。そんなにレイガストは実装するのにトリオンを使わないことをこれで示していた。

 

 

(もうこれ完全にRPGみたいだな…)

 

「エスクード」

 

 

 試しに唱えると、自分の数m前に壁が出現した。なるほど、こんな感じで生やすのか…頭で考えた任意の場所に生えてきてくれるんだな…って思って計器を見た瞬間だった。

 

 

「ええ!?トリオンコストえっぐ!?3倍以上は減ってないか!?レイガスト使う時よりも!」

 

「そうなんだよね…そのトリガー。めちゃくちゃトリオン食うんだよ」

 

 

 後ろで見ていた寺島さんがポツポツとエスクードについて語り始める。

 

 

「一枚貼るのに他のトリガーと比べてめちゃくちゃトリオン使うし、一度生やしたらもう動かせない。それで射程距離はトリオン量の多さにもよるけど、基本25m、シールドと変わらない。で、多分なんとなくわかってるだろうけど、シールドと使って、空中に出現させることはできない」

 

「うわぁ…」

 

 

要は、自由度を減らした代わりに強度を大きくしたシールドってことだろ?で、普通よりも使用トリオン量は多いと来た。

 

 

「シールドと違って、生成時以外トリガー枠を使わないから、一度生やしたら別のトリガーを二つとも使用可能なんだけど、シールドは半透明だからこっちから相手の状況も確認できるけど、エスクードはもう実体化しているせいで視界を塞いでしまうんだ。で、さっきも言った通り動かせないから…」

 

 

…敵にしても味方にしても、防御が終わったらただのでかい障害物にしかならないってことか…で、生成時には手をつくなりして止まらないといけないから隙も晒しちゃうし…これはみんな考えるわ。

 

 

“シールドで良くね?”って

 

 

「トリオン量的にも、シールドの方が圧倒的に使い勝手もいいからまず選択肢としても上がらないだろうし…なるほど、これは不遇だ」

 

「そう言うこと。レイガストに比べれば支部に使っている人はいたりするんだけど、やっぱり少ないから、活躍の機会は少ないね…で、どう?お気に召した?」

 

「そりゃ…もう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気に入ったに決まっているでしょう…!」

 

 こいつもレイガストと同じシールド流行の被害者…トリオン量さえ目を瞑れば、硬さや耐久性といったポテンシャルは十分にある…なのに、シールドという便利なトリガーのせいで出番を奪われた悲しき不遇トリガー。

 それに、こいつ、使ってみてわかったが、生成する壁はかなり自由に設定できそうだった。大きさとか細さとかもやろうと思えば自由に変えられそうだった。不遇なくせして自由度が高いとか、最高すぎんか?可能性は無限大って訳だ。

 

 

「ちょっともう一度…エスクード!」

 

 

 今度は、ある条件を脳内で加えて生やすようにトリガーに命令する。

僕が与えた命令は、“斜めに生やす”と言うものだ。

 

 

「クク…ククク…!すげえわこのトリガー…!」

 

 

実験は成功した。ものの見事に斜め45度の角度で生えてきた。しばらく放置したら重力の作用で根本から折れそうだが、全然良い。

 

 

「ねえ、寺島さん、これって、空中じゃ生やせないって言ってましたけど、要は()()()()()()()()()()()()()生やせるってことですよね…?」

 

「ん?まあ、そうだね。基本的にはどこにでも生えるよ。実際に触れるものなら基本なんでもいける感じかな…生物とか液体とかそう言うのを除けば」

 

 

…へえ…もうそれだけ聞けただけで満足ダワ…!

やばい、脳汁が溢れ出てくる。次の防衛任務で試そう…!このトリガー…使えるぞ…!

 




寺島さん、若干口調が原作と違う気がするが、まあ三年前で高校生だし…いいよな?


-エスクード生成はレイガストの四倍以上のトリオン必要とか言ってたっけ?
-言ってないですけど、ぼかせる様に“倍以上”と書いてぼかしました。独自設定です。原作で詳しい値が出たら変更します。

-今ってどう言う時期なの?夏休み前とかその辺り?
-いや、九月過ぎてます。前話でみかみかがまだ入隊してないとかこの主人公ほざいていましたが、全然そんなことはなく、もう入隊しています。睡眠不足で彼は、自分の口から言っていた“来季”と言う時期がもう過ぎていることに気がついていません。

ちなみに、主人公はエスクードを原作には(現時点で)ない使い方をする予定です。


感想、評価お待ちしております。

文字数今8000文字超えるくらいなのですが、序章が終わるあたりには少し減らすつもりです。大丈夫ですか?

  • 大丈夫!
  • いや、変えない方が良い。
  • 何言ってんだ、むしろ増やせよ
  • 俺に質問をするな(どうでもいい)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。