お気に入り登録が70も超えた…!嬉しい…!70人に気に入ってもらえたってことだもんな…!本当にありがとうございます…!
今回もエスクードが原作にない使い方(現時点で)をします!お楽しみに!
神立vs出水のランク戦、三戦目終了時にて…
(悪いな…神立…本当はなんか狡くてやるのは嫌だったんだがな…最初にこっちの知らん戦術出して来たのはお前だ。狡いとは言わせねえぜ?)
出水公平は、三戦目を終えて、自分の好敵手である神立武治のトリオン体の回復を待っている間に、今の試合を頭の中で振り返っていた。
自分が先程の2試合で放ったトリガーは、新型トリガーでも何でもない。少し前にノリ”と思いつきでやったらなんかできてしまった“合成弾”…と言う、トリガーの
きっかけは、ついこの前にやった神立とのランク戦だった。彼は、対弾トリガー様に開発されたトリガーである“レイガスト”を使用しているだけあって、他の攻撃手に比べて対弾トリガー相手での間合いの詰め方や、野球の盗塁などで鍛えられたタイミングの見極め方や観察眼、防御技術などによって、他の同期の隊員に比べて遥に崩しにくく、倒しにくい相手だった。
レイガストが彼にある以上、多少強引な手段で間合いを詰める手段を与えてしまっているので、彼に安定して勝つにはどうしようか考えたときに、“いつもより高い火力でレイガストぶち破ればいいんじゃね?”と言う何とも脳筋な理論が導き出された。
で、そのときに“通常弾をキューブ状にして合体とかできたら、威力二倍になって騙し打てるんじゃないか”と考え、訓練室で試しにやってみたら、まさかの成功。開発者すら想定していなかった“合成弾”を彼はこうもあっさり生み出してしまったのだ。
後にこれを聞いた神立が、“やっぱこいつ天才だ”とさらに思うようになるのも無理はなかった。そして、この後これを見た開発室の人員が文字通りひっくり返ったのも無理はなかった。
元々、彼は合成弾をこの勝負で使う気はさらさらなく、単純に今までの戦いの総決算かの如く、今までずっと使って来た技術で戦うつもりだった。しかし、神立は初戦から思いっきり知らないトリガーを導入して来たので、こっちも対抗する形で使わせてもらった形だ。
今回の新人王争いの最終決戦は、合成弾という切り札があって、確実に勝てると踏んだからわざわざ彼は勝負を挑んだわけではなかった。正直、彼にとって新人王と言う称号はオマケに近かった。彼の目的は一つ。
“こいつに…勝つ…!”
同性同年代で、自分と同じくらいの同期。ゲームの趣味とかが合って、実力が近かったこともあって仲良くなった友達。仲良くなったからこそ、彼に出水は勝ちたかった。そこに理屈なんてない。自分が自身のある分野で、肩を並べる人間が出てきたというのなら、そいつを越したいと思うようになるのは男の性だと彼は思っていた。
同期の訓練生の間でも、どっちの方が強いのか、たまに噂になっていたのだが、いつの日だったか、“新人王を先に取った方が強い”なんて言うことが言われ、どっちの方が上か決めるための指標にその噂を参考にさせてもらった。“新人王をとったほうが強い”…と決め、お互い切磋琢磨してポイントを稼いできた。
別にこの戦いに勝ったからなんだというわけではないし、何でわざわざ競うか側から見ればよくわからないと思う。それはそうだろう、ライバル同士の戦いなんていう、この“勝ち負け”は理屈で語れるものではなかった。ほとんど感情論である。ただ、“こいつには勝ちたい”という感情がそこにあるだけであった。
彼らにとって、“新人王”という称号、それが“ライバルに勝った”と言う分かりやすい称号になるから狙っているのに過ぎなかった。
この勝負を挑んだ意味は、新人王なんて称号ではなく“きっちりと勝負を決めたかった”という彼の想いによる理由の方が大きかった。ポイントで勝ち負けなんか知ったことはない。それで新人王を貰おうが、向こうに負け越して貰うのなら後味が悪いったらありゃしない。真正面から勝ってこそ初めて“勝った”というものだろうと彼は考えたからだ。
だが、開始早々一戦目から神立が知らないトリガーを使って来た時はびっくりした。
出水にとって、新技を使うというのは、かっこいいと思うと同時に、どこか卑怯だと思っていたのだ。なぜなら、初見殺しで一勝取ることが容易くなってしまうからだ。なので、今まで彼に見せてきた技術のみでこの勝負を決めようとしていたし、相手もそうだろうと思っていた…が、初手で見知らぬトリガーが飛んできて、その思考は変わった。
(相手の新技を下した上で、勝つ…いいな!それこそ完璧な“勝利”じゃねえか!)
ライバルだから、たとえ新技を使おうと、相手の強さに敬意を払って勝ちの執念にこだわった神立の心と、ライバルだから、新技をあえて封じ、今までの技術だけでの戦いで勝負を収めることで、自分の方が強いことを示そうとした出水の心は、見た通り“ライバルに敬意を払って、勝ちたいから”こそすれ違っていた。
最初、エスクードが飛んできたときに、思いっきり新技を使われてどこか残念に思ってしまったが、彼のバトルジャンキー気質がその思考をとっぱらった。
むしろ、その新技を使った相手を下してこそライバル対決の“完璧な勝利”と、彼の頭はすぐに切り替わり、こちらも負けじと言わんばかりに合成弾を使用した。向こうも自分が認めたライバルだ。二戦先にとってリーチになったものの、向こうはすぐに対応してひっくり返せるポテンシャルを持っている。油断はしない。
(だからこそ…あいつとの戦いはやめられねえ…!)
出水は、神立は自分のことをライバルと思っていないだろうなと思っていた。彼は、きっと神立が愛用しているレイガストの色んな意味で宿敵である弾トリガーを自分が使っているから張り合っているだけなのだろう。と考えていた。それでも、彼は神立武治と言う男を好敵手と見定め、ライバルとして勝ちたいと思っていた。
(新型トリガーとか新技術とか、さっきまでは今までの技術だけで勝負しあって勝つからこそ、この戦いに意味が出るって思ってたが…それは間違いだったな…!俺の今ある全部を使って…お前に勝つ…!)
◆◇◆◇
出水公平という男はやはり強い。あの弾トリガー…なんて言うのか知らないけど、おそらくあの光景的に、二つの弾を合体させて、性質を混ぜ合わせた弾トリガーを放ってくるので間違いなさそうだ。
あんな盤面で冷静にこっちを分析して、予想の上から叩いてくるとは、流石僕のライバルだ…まあ、向こうが僕をライバルとは思っていないかも知れないが……まあ、それはおいといて、もうこれ以上負けることはできない。後一勝で、ライバル対決勝利の証でもあり、僕の目的でもある“新人王”の称号は奪われてしまう。
いや、正直もうこの際言っちゃうけど、新人王はどうでも良くなってきた。新人王が欲しいっていう感情よりも先に“勝ちたい”気持ちの方が強くなって来てしまった。
新人王という称号が、僕が欲しい理由は主に二つ。多分もう知っているだろうけど、一つ目はみんなに知られやすくなると思うからだということ。もう一つは“ライバル対決に勝った”という証だからということだ。
今まで、何度も出水と競ってきた。出水が僕をライバルとみなしてくれているか知らないが、僕はライバルとみなして、勝ちたくて戦ってきた。同性同年代の同期、しかも実力は同じくらい。しかも、“戦闘”という自分に自信がある分野。勝ちたくなってあたりまえだろう?それが男という生き物だ。
で、新人王を取った方が、“勝ち”というルールにいつの間にかなっていて、それを競ってきた。正直、同期でどっちが優れているかを決めるのに、新人王なんて証はもってこいだって最初は思っていたが、新人王はポイントで決まるもの…本当の勝敗や、本当の強さが目に見えるわけではない。
そう考えると、この勝負は本当に意義のあるものだって思う。出水がそこまで考えているのか知らないが、この際どうでもいい。さっきは初見殺しで確実に勝てる手段を持ってるから勝負を仕掛けて来たんだ…とか言っていたけど、関係ない。その上からねじ伏せてこそ、完全なる勝利の証明だろうしな…!
(この勝負…絶対に勝ってやる…変な技を使ってこようと、勝負の世界じゃ初見殺しなんか当たり前…それを下して初めて勝ちってもんだろうが…!)
お互いに気づいていないが、お互いの気持ちが一致した瞬間だった
『四戦目、開始』
あの弾…言いにくいから合体弾とでもいうか…え?“合成弾にしろ”…だって?おけ、じゃあそれで。
合成弾はあの時間稼ぎの仕方から見て、撃つまでに時間がかかるし、そう簡単にバカスカ撃てるものじゃないと見た。ならどうするか…
(作る暇を与えず…!ひたすら…!)
「スラスター…」
(詰め続ける!)
「起動!」
あの状態なら、強制的にメイントリガーもサブトリガーも両方使って準備しなければならなくなるはずだ。つまり、合成弾準備中は、反撃も防御もできないということ。
なら話は簡単だ。攻めて攻めまくって、作る隙すら与えない…!僕がエスクードなしで対弾トリガー持ち相手にやっていたことと同じだ…!
「まあ!そうくるよな!」
「当然!」
向こうも横方向によける。僕は攻撃が飛んでくることを想定してシールドをいつでも展開できるようにしておく…が、
「
「っ!?」
出水が放ったのは、
仮想空間内は、市街地をイメージして作られたものがほとんどであり、民家を模したトリオンでできた建物がランク戦の時のMAPには存在する。その建物に向けて撃ったのだ…狙いはおそらく…
(視界を奪って…遮蔽物を奪う気だな…!)
炸裂弾による煙幕で、再度出水を見失い、民家が破壊される音が鳴り響く。足音を拾って位置を特定しようとするが、爆発音と建物の倒壊音で何も聞こえない…だが、さっきと同じことが通じると思うなよ…!
「エスクード…!」
僕は迷わず地面に手を置いて、周りにエスクードを次々と生やす。エスクードは簡易的なカタパルトのように使えるほど勢いよく発生するため、風を発生させることができる。これで煙幕を吹き飛ばせばいい。
しかも、エスクードなら不意にこの状況で弾が飛んできても防御に使えるからな…やっぱ不遇には勿体無いぜこのトリガー。
「っ…!やっぱりいないか!!」
煙幕を晴らした先にはもう出水の影はなかった。完全に距離をとってどこかの物陰に隠れたらしいな…この状況はまずい。ただでさえ射程で負けているのに、こちらは相手を見失っている。意識外からの不意打ちで弾が飛んできたらそれこそ
だが、付近の民家は今の爆撃で吹き飛ばされたわけなので、周囲は開けている。つまり、今の僕ならどこから弾トリガーが飛んで来ようともすぐに発見できるということだ…出水もミスったな…流石に飛んでくる方向さえ分かれば防げるぞ。
僕は壊されていない民家を確認し、どの民家の影から弾が飛んでくるかを確認する…が
(いや待てよ…?出水がそんな単純なことに気がつかないなんてあるか?)
不意打ちをするには、必然的に直前まで僕に捕捉されていない必要がある。なので、わざわざ隠れるために遠くの民家に行って、そこから撃つなんてすれば、僕に捕捉される可能性は跳ね上がる…
だとしたら、民家をぶち壊したりして視界を開けさせるのではなくに道路に炸裂弾を撃って煙幕を起こして、すぐ近くに隠れる方が効果的なはず…なのにそれをわざわざした理由…
(ただ単純に僕のいう通りミスしたのか…)
もしくは…
(この状況にあえてすることで、遠くに目を向けさせて仕留めるっつー罠か…!)
僕は、出水がこんな単純なミスをするやつではないと知っているので、両防御を自分を覆うように展開する。そして、僕の予想は当たっていたようだ。
その瞬間、近くの瓦礫の中から弾丸が飛び出してくる。
(“置き弾”だな…!)
一瞬防御が遅れていたらやられていたと思わせる弾幕が僕をとり囲うように襲う。
おそらく、煙幕を張った時に瞬時に瓦礫の山に向けて発動して隠していたんだろう…遠くの民家にのみ意識を向けていたら蜂の巣にされててもおかしくなかった。
これはおそらく、出水が煙幕と同時に“置き弾”をしたのだろう。それを今起動した形だ。“置き弾”とは、射手タイプの弾トリガーに許されたあるテクニックのことだ。置き弾は、まあ簡単に言えば時間差射撃のようなものだ。
弾トリガーを出現させた後すぐ放つのではなく、少し待ってから放つ技術のことであり、上手く使えば今のように不意打ちの罠にできるし、意識外からの追い討ちに使ったりもできるなど割とされたらウザイテクニックだ…両攻撃でバカスカ撃ちまくるのが好きな出水がこれやってくるとは…相手も本気だな…!
(アステロイド+アステロイド…)
「…!?横っ!?」
置き弾を耐えているうちに、自分の右の上空に出水がいた。近くの瓦礫の山に隠れていたのか、一番近い壊れていない民家に潜んでいたのか…それはわからないが、向こうがもうキューブを展開している…まずい、さっきのが飛んでくる…
(この距離なら…スラスターで飛んでくるのも間に合わねえし、レイガストをスラスター飛ばしてこようと、浮いている以上当てることは難しいだろ…上から徹甲弾でシールドごと削り倒してやる…!)
こうして、僕は何もできずに蜂の巣にされた…
なんて思ってるんじゃねえだろうな…?悪いな…うちの子らを舐めるなよ…!
「スラスター…」
レイガストを展開すると同時に、
この位置、この角度…捉えられないなんて思ったか…?悪いな…投げは予測外したらおしまいだしできねえけどな…こっちは飛べるんだよ…!
「起動!」
僕は、エスクードを自分の足裏に出現させると
スラスターの推進力とエスクードカタパルトの射出…組み合わせたら…
「なっ…!」
「お返しだぁぁ!!」
空だって飛べるんだよ!僕は、強引な姿勢のまま飛んだものの、レイガストをそのまま構えて大きく振るう。向こうは合成弾を構えているせいで、シールドを貼ることもできないし、空中なので回避することもできない。
方向は完璧、位置は少し遠い…だが、レイガストは変形機能がある…!それで届く!
悪いな…この距離ならお前が撃つよりも俺が斬る方が早い!
『戦闘体活動限界』
機械音が今度は僕の勝利を告げる。大きく袈裟斬りに出水を切り裂いてやった…だが、エスクードで使える戦術はもう使い尽くしたと同義…2本目にようやくなって、勝利に王手を掛けたが、それは向こうも同じ…ここからが正念場…大一番だ…!
◆◇◆◇
「これで2本目…熱くなってきたな…!出水」
「ったく…まだ切ってないカードがあったとはな…」
お互いにリーチ。もう勝利はお互いすぐそこ…切れるカードもほぼ斬り尽くした…お互いに軽口を叩くが、お互いの顔は笑顔ながらもひとつしか考えていることはなかった。
((この戦い…絶対勝ってやる…!))
『第5試合、開始』
「エスクード!」
「
最終戦が始まると同時に、僕はエスクードを展開し、向こうは通常弾を撃ってくる。今回の弾幕は速度もいつも通りのものだ。牽制目的で撃ってきたのだろう…まあ、エスクードで全て防ぐ。
このままだとさっきの二の舞だ…何かしらの対策をうたなくては…と考えている内に、展開されていた
(レイガスト!)
レイガストを盾モードにして防ぐ…
エスクードがもっとこう水平に出せて、ダッシュジャンプみたいな感じですげえ使いやすいカタパルトにできれば簡単に詰められるかと思ったが、エスクードは残念ながら、極端な角度で生やすことはできないのでそれは無理だ。
「逃さねえぜ!
「おっと!」
レイガストを構えつつ、ある程度を防ぎながら水平横方向に走る。幾つか僕を捉えられなかったメテオラが後方の民家に激突し、倒壊音が鳴り響く。また煙幕が貼られてしまうが、エスクードによる風で再度煙幕を晴らし、出水を見据える。
このままだとジリ貧だ、やはり詰めるしかないみたいだ…いや、待てよ?
「エスクード」
もう一度地面に手を当ててエスクードを使用する…出す数は三つ、用途は…
「飛んでいけ!」
「うお!?でっか!?」
今出水のメテオラで破壊された家の残骸をカタパルトでぶっ飛ばすのにだ。残骸って言ってもかなりでかいのもあれば小さいのもある。だが、普通に人一人は押しつぶせておかしくないレベルのものまである。三つも一気に出したのは、一個じゃまず浮くことすらないだろうなって思ったからだ。
これにより、瓦礫の即席弾幕が出水に襲いかかる。
「それはねえだろ…!
僕に向けて本来撃とうとしていたキューブを瓦礫の撤去に当てて、くる前に幾つか処理しようと試みるようだが…
「だめだ間に合わねえ!」
「よしっ!!」
出水は瓦礫を避けるべく大きく距離をとった。本来ならチャンスで詰めるべきなのだろうが、たった今瓦礫が目の前の道路に着弾して瓦礫の山を形成したため、正面の道がまともに歩行できる程の足場を奪われたので、進むうちに蜂の巣にされかねない…ので。
「エスクード」
こちらも
◆◇◆◇
「
巨大な瓦礫を爆発で撤去するも、見えたのは一面に貼られたエスクード…それもまた吹き飛ばすが、神立の姿を出水は確認できなかった。
(近くの民家に隠れたか…?)
「
付近の家を爆発させるが、彼が出てくる気配がない。どうやら完全に隠密行動に回って不意打ちを狙うようだ。さっきの自分が仕掛けた時と同じ状況に今度は自分が陥ることになった。だが、出水には引っ掛かる点がいくつもあった。
(どう不意打ちを狙うつもりだ…?あいつ…)
さっき自分が行った奇襲は、“置き弾”という罠があったからこそできた芸当であり、彼が不意打ちを行うには、弾トリガーが何もない以上どうしても近づかなければいけないはず。これ以上トリガーを追加してきているのなら、追い込まれた4回戦目で吐いていないとおかしいし、変に機を伺い過ぎればこちらに合成弾を生み出す隙を与えてしまうのだ…
明らかに彼にとって不利に思えた。さっきの自分がやった時とはまるで状況が違うのだ。レイガスト投擲を狙うにしても、こちらが距離をとっていればガードや回避は間に合う。民家を破壊し続けて、視界を開けさせれば、レイガスト投擲が視認できる可能性も高くなるため、ガードできる確率も高くなる…一体何をするつもりなのだろうか。
(常時サブに
そして、その後に
「どこだ!神立!このままだと時間の問題だぞ!」
爆発音が鳴り響き、民家が次々と倒壊していく中、
(この家も居ないな…瓦礫を飛ばしてから数秒しか立っていないから、そう遠くまで隠れられることはないはず…)
そう考えていた矢先だった。
「エスクードっ!!」
(…!後ろだな!)
声がした方向に向けて、あらかじめセットしていた
「壁が…!」
目の前数cmの距離に壁が出来ていた。
神立は、自分を守るために壁を放ったのではなく、自分の射線を切るために壁を作ったのだった。
(なんでだっ…!?確か、あのトリガー…神立の様子を見る限り、目に見える範囲20mか10mちょいにしかはやせなかったはず…!)
天才・出水公平はトリガーの性質を相手の様子を見ただけでほとんど看破していた。しかし、彼はエスクードは“トリオン量が高ければ高い程遠距離に生やせる”という事実を知らなかった。今まで神立は、自分が動ける範囲内にのみエスクードを生やしてきたので、正確なエスクードの射程圏内を知らないのだ…今回のエスクードは、神立によって放たれた射程限界ギリギリのエスクードで、反対の破壊しきっていない民家から生やしていたのだ。これでは
(あいつ…!ここからどうするつもりだ…!?)
射線を切るはいいものの、ここからどう攻撃するのか。それがわからずに彼の脳に混乱を呼んでいた。これだと、神立の進路上に壁があるのと同義なので、逆に自分が突っ込みづら状況を作っているとしか感じられなかった。ひとまず、壁を破壊するためにも大きくバックステップを取り、爆発に巻き込まれない距離で
「っ…!?」
ステップをとった瞬間、後ろに何かが当たる。振り向いて確認すれば、それは“エスクード”だった。
「あいつ…オレをエスクードで囲んだのか!?」
正面に出た壁の考察と、迎撃のことで頭がいっぱいだったので、周りが見えていなかった彼はようやく今状況を把握した。今、自分はエスクードで囲われている。一見、囲んだら彼は万事休すになるかのように見えるかもしれない。なにせ、メテオラを使って爆破して脱出しようとしたら、自分を爆発に巻き込まない限り壁を破壊できないからだ。
だがそれは違う。エスクードの高さは、トリオン体なら簡単によじ登れる高さなので、彼には下手な時間稼ぎにしか見えなかった…が、その思考は次の瞬間打ち消された。
「っ…!上だな!」
「なんでわかるんだよっ!」
上をすぐさま振り向けば、飛んでレイガストを構える青年が一人。好敵手である神立武治だ。おそらくエスクードのカタパルトで再度飛んだのだろう。なんでわかるのだ…と言っていたが、周りを囲まれていれば、必然的に開いている上に目が向くのは当然だった。
(この距離なら…視線誘導なら外さねえ!)
ハウンドは正確には二種類ある。一つは“追尾弾”という、勝手にトリオン反応に向かって飛んで探知するタイプ。もう一つが、自分の視線に沿った動きで正確に誘導させる“誘導弾”というタイプだ。彼がさっきからサブに入れているのは“誘導弾”であり、今度は正確に当てる自信があった。レイガスト投擲が飛んでこようと、このままスラスターで斬りかかってこようと今度は外さない…と、彼はキューブを分割する。
一戦目の時は追尾弾だったせいで、元来備えられている追尾機能がスラスターの加速に追いつけなかったが、今回は自分で操作するのだ。ここで当てなきゃ弾トリガー使いを恥ずかしくて名乗れない…そう思って彼は迎撃体制に入る。
「スラスター起動!」
「来たな!」
彼は垂直落下で壁に囲まれて動けない自分を斬るつもりのようだ…
(この高さなら当てられる…今まで何度お前のスラスターの加速を見てきたと思っている…!)
「っ…!」
彼の加速に今まで何度もやられてきたのだ…その加速についていくべく誘導弾を当てる練習を何度したと思っている…と。
レイガストのスラスターによる推進力で何度も斬られた彼にとって、スラスターで飛んでくる彼に弾丸を当てるなど、文字通りの“飛んで
彼の勝ちたい気持ちが、神立を打ち負かし、空から落ちる彼を蜂の巣にして、自分たちの気持ちに決着がつく。この勝負を制し、新人王を獲得するのは、彼となった…
はずだった。
だが、彼は一つミスを犯していた。
今回は、スラスターの推進力に加えて、
その速度は、彼が今まで見てきたスラスター斬りを超えているものだった。
「がっ…!?」
『戦闘体活動限界』
予想よりも、今まで見た加速よりも速い速度で落ちてきた神立の垂直落下斬りをまともに喰らい、誘導弾を放つ前に自分の体がぶった斬られてしまった…切り口からまるで敗者を表す黒星を表すかの如く、黒い煙のようなったトリオンがドバドバと漏れ出す。
「悪いな…出水…」
彼の誤算は一つだった。
「“今の”レイガストって、死ぬほど重いんだわ」
彼が今まで見てきたのは、あくまで水平状のスラスター…重さは、高さにより神立の斬撃に大きなエネルギーを与え、それを全てスピードに使った斬撃が、水平状に行われるスラスターと同じなわけがなかった。
『3本先取勝負終了。勝者、神立武治』
不遇を愛し、不遇故に相手に詳しく知られないことによって生かされた男が、勝った瞬間だった。
◆◇◆◇
「…くっそー!!負けたー!!」
「よっしゃああああ!!!勝ったぞおおおお!!!」
僕は個室内で雄叫びをあげる。隣の人に届いていたら申し訳ないが、叫ばずにはいられなかった。
「最後のなんだよ!お前、いくらレイガストが重いからって出せる速度じゃなかっただろ!?」
「ああ、あれ?あれさっき咄嗟に思いついたんだよね〜」
普通に考えて、いくらレイガストが重いからって、弾幕を形成する余裕もない速さを生み出せるわけがないだろうと思うはずだ。
説明すると、あれはレイガストの生来の重さに加えて、あるものがついていた。それは小型に生やした“エスクード”だ。
空中以外になら基本どこにでも生やせるエスクードの性質を利用させてもらった形だ…トリオン兵の装甲に生やせるのなら、自分の武装に生やせるよね〜ってことだ。
レイガスト自体に小型のエスクードをつぶつぶ生やすことで、エスクードの重さをレイガストに加えていたのだ。これによって、出水が撃ってくるより前にぶった斬ることができたのだ。エスクードは、前にも言った通り、ある程度サイズを変えることが出来る。
流石に大きければ大きいほど重さは変わるが、なるべく重く、小さいのをレイガストに生やしまくって重さを傘増しすれば、超重いレイガストの完成だ。
レイガストの重さ×エスクードの重さ×スラスター…
まあ、弱いわけないよね…!
無論、あれを避けられていたら重すぎて振り回せないので普通に撃ち抜かれて終わりだった。なので、今回は射程距離ギリギリでエスクードを生やして出水を囲うことで回避不能にしてやったのだ。
「クッソ〜…これで新人王は獲られたか…」
「ああ、この“ライバル”対決は僕の勝ちだな!」
僕は、そう調子に乗った風に大声で話す。ライバルとの戦いになんとか勝ったんだ。これくらい調子に乗らせてくれよ。
「え…?おまっ…今ライバルっつったか?」
「ん?当たり前だろ?ここまで戦いあってライバルじゃなきゃ何なんだよ…嫌だったら訂正するけど、ダメか?」
…そうはいうものの、向こうは僕をやはりライバルと認識してくれていなかったのか…なんか悲しい。こっちは新人王どうこうよりお前に勝ちたい一心で戦っていたというのに…
「んなわけねえだろ、寧ろお前がオレのことライバルじゃなくて、厄介な弾トリガー使い程度に認識してるんじゃねえかって思ってたんだが」
「は…?何だとお前…!いや…待てよ?」
-弾トリガーなんて使いやがって!お前みたいな強い弾使いがいるから近接武器は訓練生じゃ流行らねえんだよ!ただでさえ不遇なレイガストにどこまで追い討ちかける気だてめえ!
-白黒つけようじゃないか…!弾トリガーvsレイガスト…!どっちが強いか…!
-ああくそ!トリオンゲーじゃねえかもう!この優遇クソトリガーが!
(全部主人公のセリフです)
ああ…こんなこと、このランク戦の前から言っていればそう考えてもおかしくねえわ…
「なんか…すまん」
「何で謝ってるんだよ…」
出水が笑いながらが突っ込むが、なんか謝らないといけない気がしたんだ、悪いか優遇トリガー使いめ…はっ…!また口が…!
「ま、それはいいとして、これだけは言わせてくれよ」
「ん?」
「次は負けねえ…今回と一緒だって思うなよ?」
「………残念だけど、次も僕が勝つ、期待しないで待っとくよ」
「言ってろ!盾バカ!」
「んだと!?弾バカ!」
そうはいうも、僕らの声はどこか嬉しそうで、楽しそうだった。
こうして、本部も知らない僕らの“
というわけで、エスクードがまた原作には現時点でないと思う方法で使うことになりました…これで救済多少はできたでしょ…はい、武器にプチプチ生やして重さ増やすのと、スラスターとの同時使用で爆発的な加速力を生み出すという使い方です。オッサムとヒューストンがスラスターとエスクード同時使用みたいなのやるかもしれないけど、まあ現時点じゃこんな使い方無いし、ええよね?
本当は、撃ち合いとかもっとこう派手に描くべきなんでしょうけど、それだと単調になりかねないのでこんな形になりました…
-出水ってこんな性格なの?
-二次創作だし、3年前で14歳になったばかりの人間だし、オリキャラというイレギュラーがいるし…まあ、多めに見てください。出水もどこか戦闘好きなフシあるし…
-生みの親なのに合成弾作るの遅くね?
-開発した当初はこんなものなのでは…と勝手に思ったので…何せ、何年も使っているからこそ原作の速さになったんじゃないかとこの小説では設定しました。じゃないと今の神立じゃ出水対面つらすぎる
-エスクードって重さあるの?村上先輩とか背中にあっても曲芸旋空してたくね?てか、サイズそこまで変えられるもんなの?
-トリオンを実体化する以上、メチャクチャ軽くても流石に重さは発生するだろうと考えてこうしました。サイズに関しては、ヒュースが細いのだったり普通のだったり色々生やしていたので、小さくても生やせるということにしました。実践だと小さいの生やしても意味ないからこのサイズで生やせること自体知られてない…的な
-重さ増やしたとか言ってるけど、重さと落下速度って関係なくない?(略)(質問より)
-物理とかで出てくる自由落下運動の場合は、まさにおっしゃる通りなのですが、大気が存在する以上、重いものの方が先に落ちるのでこれで大丈夫だと思います。まず、仮想空間に大気って存在するのかと言う話になるのですが、もうそこはトリオンで擬似的に再現してあると言うことで…
-重さ増えてたらスラスターで加速しづらくない?(略)(質問より)
-力の向き的に、ただ単に重力での落下に加えて推進力が加わるだけなので大丈夫だと思います。
感想、評価、お待ちしております!
こんな使い方あったのか…とかなったらその感想書いてくれるだけでも飛び跳ねて喜びます。
シールドを貫通することで有名な鉛弾がありますが、あれってレイガストの盾モード貫通すると思います?描写がなくてどうも…
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するんじゃね?
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いやー…実体化してるししないのでは?