学校忙しい。不定期本当にごめんなさい。
一つ問題を出そう。
自分が部屋(病室)に入ったら涙の痕で顔と枕をすごいことにしている女の子がいました。
さて、あなたはどうしますか?
「いやなにこれ?」
急にギャルゲー問題出されても困るんだけど。
目の前にいる女の子...もといサイナの様子を見て思わずつぶやいてしまった。
目元には涙の痕がついており、その頭を受け止めている枕にはこぼれた涙が乾いて染みになっていた。
「...おーい、サイナ、起きてるか?」
返答なし。手術後は寝ているっていうしそんなもんなのか?
「とりあえず...アンドリューにでも話を聞くか...」
そうして部屋を出ようとした、その瞬間
ガシッ
「ヒエッ」
腕をつかまれた。
え、なに?もしかして最初から起きてたの?いやじゃあなんで返事しなかったの……?
「お、おーい、サイナ?サイナさーん?どうしたんだよいったい……」
「………………」
だんまりである。いや本当になにがあったんだよいったい……。
「あー、とりあえず座ってもいいか?立ったままっていうのもあれだしさ。」
そう言ってベッドの近くに設えてある椅子に向かおうとした瞬間、
「うおっ……?!」
腕を引っ張られてベッドに尻もちをつく形になり、気づいたときには、いつの間にか起き上がったサイナが腕を俺の胴体に巻き付けていた。
「………………えぇ?」
全く持って意味がわからない。何だ?なにかフラグを踏んだのか?
相変わらず無言を貫くサイナに戸惑いつつもとりあえず
「おいサイナ、なにか訴えたいのはわかったけど俺は生憎とエスパーじゃないんだ。だから頼む、なにがあったのか話してくれ。」
だがしかしサイナは、少しの間を開けたあと首を横に振った。
OK、言質は取った。なにか言えない事があったんだな、首を振ったということは。
後ろで起きていることなのにわかるのはアイツが俺の背中に頭をくっつけているからだ。様子だけ見たら甘々なカップルだな。絶対に言わないけど。
というか、
「まぁいいや。サイナ、アンドリューのことを呼んでくれるか......あ?」
今露骨にビクッって反応したぞ。ってことは
少しの時間の後、サイナは片手を耳に当てて何かとしゃべっていた。つかんでいる腕が半分外れたので抜け出そうかと思ったがやめておいた。絶対に好感度が下がるだろうし最悪の場合泣かせてしまうかもしれないと思ったからだ。分の悪い賭けなんて俺はしたくないのである。
そして5分後。
「死ぬ覚悟はできているな?」
おのれ5分前の俺ェ!!!
「あーいや誤解だ。というか、こんなことになった原因があんたにもあるかもと思って呼んだんだぜ?」
「ほう。この期に及んで責任転換しようとするその度胸だけは評価してやろう。」
だーめだ、こいつ。話が通じねぇ。見るからに殺意マシマシのロボットがアンドリューの後ろに控えている。暴力がコミュニケーション手段として通用するのは幕末だけじゃなかったのか?
「いいから話を聞け。こいつがどうしてこんな状態になっているのかその説明だけをしろ。」
「はぁ?お前がその娘の契約者という立場を利用してこんなことをさせているのだろう。しらばっくれるな!!」
なるほど、自分は知らない、と。とりあえず、この頃トラブルがなかったかをアンドリューに聞いた。
ちなみに横目で何とか見えたのだが、アンドリューが急に黙ったので何事かと後ろを振り向いたらサイナが俺の方から頭を半分出してジト目でアンドリューを睨んでいた。それが猫みたいでかわいいと思ったのは秘密である。
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「あのさぁ......」
アンドリューが落ち着いたところで詳しい話をきいたのだが、まぁなんというか、頭が痛くなるような内容だった。
まずサイナがここまで不安になった原因はサイナが聞いてきた
これのせいでサイナは俺もいつか消えてしまうのではと考え、俺が話した
「いやまぁ、そういう風に思ってしまうのも仕方ないっちゃあ仕方ないんだろうけどさ......。半分俺のせいじゃ、あ?」
俺が「自分のせいでは?」といった瞬間にサイナが頭をぐりぐりと押し付けてきた。「お前のせいじゃない」ってか?自分はこのざまなのになだめてくれるのかお前......。情けないぞサンラク。お前がむしろしてやらなきゃいけないことだろ。
というかそっかー、サイナにとって俺はそこまで重要な奴だったのかー。というか他の征服人形もこんな感じなのか?契約者の責任大きすぎるだろ。
「というか象牙ェ......。またお前かぁ......」
話を聞いた限りじゃあ「象牙」の言っていることは間違いじゃあないんだがそれはあくまで「
だってそうだろう。今まで互いに助け合っていたのに「これから一人でやっていくわ。じゃあね。」とか急に言われても納得できる奴なんて少ないに決まっている。
そしてもう一つ。というか、サイナの不安の大半はこれだと思っている。
「おいサイナ。象牙はお前みたいな過保護な奴は妨げにしかならないとか抜かしたらしいが、」
そういうのが言えるほどあんたは俺とサイナのことが理解できているんですかね?知らないことをべらべらと言うのは無知を晒して恥をかいているのと同じだぜ、母上殿。
「そんなことはない、って断言してやるよ。お前は俺を助けたことはあっても俺を邪魔したことなんざ一度もなかっただろ?逆に聞くけど、お前は俺の邪魔をした記憶があるのか?」
後ろで首を横に振る動きを感じた。ならもう言うことは決まっている。
「サイナ。お前は俺の相棒だ。お前のおかげで俺はできることが増えたし助かったこともあった。そんなお前のことを不要だとか妨げだとか思うわけないだろ。」
これが俺の本心だ。というか、サイナがいなくなると一番困るのは俺だ。いろんなことができなくなるし、何より寂しくなるからな。サミーちゃんさんのようなことになるのだけは絶対にごめんだ。
「......
ん?
「
いやそんなことはない、と伝えようとしたが、サイナは止まらずまるで懺悔でもするかのような勢いで話を続けた。
「嫌なんです。貴方に対して何もできずに時間が過ぎて行って、そして消えてしまう。そんなことになってほしくない。
そしてサイナは、多分今回が初めてであろう
「お願いします
貴方の中で、終わらせないでください。
いつの間にか、手は離れていた。振り返るとそこにはこちらを見つめる蒼い眼。しかしその目にはまだ不安と恐れの色が見えた。
すぐに声をかけなければ。俺はこいつの
「サイナ。」
ベッドから離れ、近くに設えてあるいすに腰掛ける。そして俺をしっかりと捉えて離さない瞳を見つめ返しながら口を開く。
「俺は、俺がお前にとってそこまで大きな存在だったって知って驚いているしすげー嬉しい。けどな、一つだけ、お前の契約者としてどうしてもお前に言わなきゃいけないことがある。」
前に話した話と若干被るかもしれないがまぁいいだろう。
「お前の気持ちはよく分かった。ただな、俺は少し危惧してることがある。」
「疑問:それは一体、何でしょうか......?」
「自分を捧げすぎてるんじゃないか?ってことさ。」
そもそもだ、こいつが言ってることをわかりやすくまとめると、長年身を削って優秀に働いていた社員が「務めていた会社からいきなり解雇届や倒産の知らせを受けたりしたら怖いから永久雇用をするよう契約してください。なんでもしますので。」って言っているのとおなじなのだ。いや、そりゃ確かに頼まれた側にとってはありがたいし本人がそう望むのならしてもいいがいかんせん自分を犠牲にしすぎである。特に俺は誰かに縛られたりするのがあまり好きではないのでこんなことを言っているサイナがとても不安なのだ。
「自分を、捧げすぎている......」
「あぁそうだ。前にも言ったけど、別にお前は誰かに縛られなきゃいけないわけじゃないんだ。ああ、勘違いするなよ、別にお前が必要ないからうまく言って契約解消してやろうとかそういう意図があるわけじゃなくて本心からそう思っているんだ。いいか?サイナ。お前はもっと自分勝手に、我儘に生きていったほうがいい。そうじゃないとお前は本当に、それこそお前が嫌っていたアイデンティティのないただの道具と同じことになってしまうぞ。」
そっちのほうがよっぽど人間らしいしな。
兎にも角にも、まずこいつが抱いていた不安「自分は契約者の道の妨げになっているのでは?そんな妨げになるような奴なんていらないのでは?」という疑問に対しての答えは否。何を言われようが否だ。当の本人が違うって言ってんだ。言い返せるだけの何かがあるやつは今すぐ出てこいひねりつぶしてやる。
二つ目、「自分は契約者がいてこそ生きる意味があるのだからどうか見捨てないで。役に立たせて。不要って言わないで。捨てないで」長い。省略。
そして結論、「見捨てないし不要じゃないしそもそもそんな風に思っていたら契約解除かなにかできないか捜索してるわアホ。」以上。杞憂なんだからこれから同じ不安を抱くんじゃねーぞ。俺も抱かせないよう頑張るから。
そして最後、
「夢の世界に行きたい、だっけか。ぶっちゃけこれに関しては悪いが行けるとは言えない。」
目に見えて落ち込むサイナ。さっきまでの話でいくらか元気が取り戻せたかと思ったが今のでチャラになったかもしれん。
だが、
「そうがっかりするなよ。行けるとは言えないけど行けないとも言えないんだぜ。クソみてぇに低い確率だけど行くことができるかもしれねぇんだ。」
俺がそう言った瞬間、バッ!と顔を上げるサイナ。いや反応かわいいなおい。
「俺もできる限り努力してやる。だからさ、そんなくよくよすんなって。」
「......フ、フフフ。えぇ、そうですね。すみません
「いいことを教えてやるサイナ。『すみません』の代わりに『ありがとう』って言ったほうが言われた側も気分がいいし言った側も気分が晴れるんだぜ。」
「初耳ですよ、そんなこと......ありがとうございました、
そう言ってサイナは微笑んだ。その笑顔に思わずドキッとしたが抑えた。危ない危ない、NPCに惚れてどうするんだ俺。そもそも向こうは恋愛感情すら持っていないというのに......。
「あー、おう。どういたしまして、ハハ......。」
「質問:
近い近い近い!!話しにくいわ!
「ったく、まぁいいや。おいサイナ、早く治せよ。いろんな奴がお前の心配してるんだ、さっさと安心させてやれ。」
「
「言うじゃねーか。」
でも80点。さっきの話があったんだから自分のためってのも言ってほしかったな。
「それじゃ、俺はもう行くから。また明日来るぞ。」
「了解:お気を付けて。」
そうして俺はログアウトした。約束のためにも
やっべ、お見舞いの品渡しそびれたわ。ログインしてくる!
アンドリュー?推しの笑顔で倒れたよ。主に尊さと嫉妬で。