減った後のラッキーナンバー   作:転亡

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サイナの好感度が限界突破したらこんなこともしそうだよね、ってことで。
(作者げろで萌え萌えきゅんをする可能性があるって言ってたしならこのくらいしそうでしょ。)


流れ弾喰らった人形スキー

「なぁ、 創世。」

 

「なによ?」

 

「お前、NPCが現実世界に興味を持ち始めるとかそういうプログラムを作ったか?」

 

「..........は?」

 

継久理創世、人生で二番目ぐらいの驚きであった。一番はクターニッドより先にウェザエモンが倒されたときである。

 

「あーOK。その反応からして何も知らないって感じだな、うん。ってことはシステムの予想外動作(イレギュラー)だな。悪かったな創世、ちょいとシステム点検してくるわ。」

 

「待ちなさい!どういうことよ、こっちは何もわからないんですけど?何が起きたのか説明しなさいよ!」

 

絶叫。それも仕方がないことだろう。創世からすれば自分の世界に何か異変が起きたらしいのにそれを詳しく教えてもらえないのだから。

ここからはいつも通り見るに堪えない戦争(子供の喧嘩)の始まりであった。ただし、周知のとおり互いに体力がゴミ以下なのでチンアナゴの喧嘩(睨みあいながらガンを飛ばすだけ)よりかは見ごたえがある程度のものでしかないのだが。

そしてこの二人の喧嘩でいつも割を食らう者がいる。それが、

 

「こんどはなんなんだ......?!」

 

木兎夜枝境。お供の相棒(胃薬)を侍らせての登場であった。

 

「おいお前たち、いったい何があった?」

 

「このアブラムシがっ、ワタシの世界なのに......!報告の一つもせずにぃ!!」

 

「うるせぇ!言ったら言ったで騒ぎ出すくせに!」

 

「黙れ寄生虫!!自分だけじゃあろくなものも作れないくせに!!」

 

「なんだとテメェ!!!それを言うならお前の『世界』とやらもお前が造ったわけじゃなくてお前のじぃさんが造ったもんだろうが!!人のこと言えねぇんだよ!」

 

「なんですってぇ!?」

 

「いい加減落ち着けお前たちーーーーっ!!!!!!!」

 

なお、この後叫んだことによって木兎夜枝の胃に尋常でないダメージが入ったことをここに追記しておく。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「で、天地。何があったんだ。」

 

そう聞く木兎夜枝の目の前にはぶすくれた顔をしながら正座をする二人の(運営のツートップ)の姿があった。

 

「そうよ、さっさと説明しなさい!」

 

「チッ、はぁ......昨日の夜中にとあるプレイヤーからメールが届いていた。そこにはNPCがこっち(現実世界)に興味を持っている的なことが書かれていてだな。」

 

「「はぁ!?」」

 

そういう反応になるから嫌だったんだ!と騒ぐ天地をよそに二人はとてつもなく混乱していた。

 

(どういうことだ?NPCが現実を認識する?なんの冗談だ一体?!)

 

(ありえないわ!私の、ワタシの世界(シャングリラ・フロンティア)にそんな不具合が起きていい訳がない!!)

 

「ちなみにこれがその証拠だ。信用がないなら今からでもサーバーに接続して確認してみたらどうだ?」

 

その言葉を聞き終える前に創世は自分のパソコンに飛びつき、七つあるサブサーバーを隅から隅まで素早く、それでいて丁寧に調べ上げた。

そして、

 

「嘘でしょ......」

 

見つけてしまった。

そのログを。

そこには確かに「とあるNPCがとあるプレイヤーとの会話と持っていた知識によってこちらの世界への興味を持った」という趣旨のログが表示されていた。

普通なら起こりえない、起こってはいけないものであり、しかしながらその前の行動のログをたどっても何ら不自然な点も異常もないという「正常に起きたイレギュラー」。

シャンフロシステムが高度すぎる故に起こった想定外の正常(異常)であった。

 

「明らかに起きてはいけないことだが筋は通っている、か。やれやれ厄介だ。」

 

「サイレントで修正を行ったとしても対象が対象だからなぁ。どう考えてもプレイヤーは違和感に気づくだろうしどうしたものか。」

 

そう、そこなのだ。対象が対象(征服人形)なだけに生半可な修正をすれば、プレイヤーからしてみると契約した征服人形が急に記憶をなくした、と映りかねないのである。世界観を重視する創世にとって何の前触れもなくそんな不自然なことが起こるというのは到底許せるものではなかった。

かといってこのままにしておけば新たなトラブルにつながりかねないのは明白なのもまた事実である。

どうしようかと頭を悩ませている一同。そのまま時間だけが過ぎていき..........。

不意に木兎夜枝の頭にとある名案が浮かんだ。

そしてその案が征服人形(サイナ)の運命をきめることとなるのだが、当の本人はまだ知らない。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

サイナの治療が始まって約一週間半後、ついにあいつの損傷が完全に治った。

これでやっとサイナがベヒーモスから退院できるようになったわけだ。

 

「まぁ、まずは退院おめでとう。」

 

感謝(ありがとうございます)契約者(マスター)。これからは二度とこのようなことにならないよう、細心の注意を払うようにしてーーー」

 

「長い長い。『これから気を付けます』でいいぞ。お前は、まぁポンコツなところもあるけど、無能じゃあないんだ。同じ失敗は繰り返さないだろ。」

 

だからそこまで大きな反省はしなくてもいい、と諭す。

するとサイナは微笑んで「了解(わかりりました)」と返事をした。

ちくしょう、本当にどうしちまったんだ俺は。普段の俺なら「かわいいな」で終わらせられるのにこの前からこいつにドキドキしっぱなしだ。

この俺がNPCにドキドキするとかありえないだろう。普通に考えてやばい奴だ。

 

「あっ、契約者(マスター)......」

 

「えっ、ごふぅぇあっ!?」

 

サイナに呼ばれて前を見ると目の前には街灯。後ろを向きながら歩いていたため事前によけることもできず、綺麗に正面から街頭に突っ込む形になってしまった。

 

「痛っ.....!!」

 

HPを確認したら20も削れてた。いや20て。紙装甲にはそこそこきついダメージだぞ。

 

「くっそ......」

 

契約者(マスター)。」

 

「ん?」

 

また名前を呼ばれたのでサイナの方を振り向くと、自分の手を俺の額に当ててきた。

 

「なにを......」

 

「……いたいのいたいの、飛んでいけっ」

 

......。

........。

..........。

............え?

 

「あ、え、......え?」

 

帰還(それでは):両脚とも歩行に関しての異常や不具合は特に検知されなかったため、インベントリアへ戻ります。」

 

「は?お、おい待てサイーーーーー」

 

想起(そういえば):一つメッセージを残しておきます。」

 

「え?」

 

「接客頑張ってください。」

 

そう言われて辺りを見回すと、ちょっとした人だかりができていた。それだけならば問題なかったのだが、

眼が、眼がやばすぎた。獲物を狙う肉食獣ってこんな眼してるんだろうな、と思えるほどには異常な光を宿しているプレイヤー達が俺たちを取り囲んでいるのだ。おかしいな、シャンフロはゴリライオンのMODでもインストールしたのか?

 

「やぁツチノコさん。なに、そんなに怯えんでくださいよ。別に暴行をくわえようってわけではないんですから。」

 

その獣の群れから、代表者なのかプレイヤーが一人前に出てきた。ははは、いい笑顔だなぁ。でももったいない、そんなにいい笑顔してるんなら目もにっこりさせようぜ。

 

「いやー、実はちょっと急いでまして。エイドルトまですぐ出向かなくちゃならなくて......」

 

と言った瞬間、

 

「エイドルトってことは水晶巣崖に行くんですよね!?」「あそこの攻略法教えてくださいよ!!」「うさぎちゃんどこ?モフモフしたい!!」「宝石匠について詳しく教えてください!!」「サイナさんと握手させてくれ!!俺はサイナさんに会うためにこのゲームを始めたんだ!!頼みますよ!!つーか俺もいたいの、いたいの飛んでいけーさせてくれよぉ!!!」「ヴォーパルバニーのユニークってどうやったら発生させられますか?!」

だーっ!!うるせぇーー!!ちくしょう、こんなに人がいたんじゃ「ウツロウミカガミ」も大した効果はなさそうだし、サイナは......やめておこう。余計に事態が悪化しかねん。かくなる上は......

 

「あ、あんなところにエルマ型(サイナのそっくりさん)が!!」

 

おっしゃ、結構な人数引っ掛けたぞ!!|兇嵐帝痕(イデア=ガトレオ)(スペリオル)装備、そしてその場でジャンプだけしてストップ!!こうすることで俺が真上に吹っ飛ばされると同時に、

 

「「「「「うわぁぁぁぁぁあぁあぁ?!!!?!」」」」」

 

周りの奴らはノックバックされる!!ちょっとばかし乱暴な手だが許せ、俺のほうがつらいんだ。これ三半規管が大ダメージ喰らうんだよ!!VRだから感覚だけだけど!!

 

「悪いな、時間がないからインタビューは今度にしてくれ!」

 

答えるとは言ってないがな!

 

「追いかけろー!!囲め囲めー!!」

 

わはははは、せいぜい頑張って追いついてみろ。追いつけるんならなぁ!

 

「アイ アム スピードホルダー!」

 

ちょこっとバフかければそこらへんの馬よりも早いぜ俺は!

エイドルトに行くってのもフェイク!本当はここ(セカンディル)でエムルと待ち合わせしてんだよ!

よっしゃ待ってろエムル、五分でそっちに向かってやるぜ!

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

十五分後

 

「遅れた理由を聞いてもいいですわ?」

 

「蛮族共にひたすら追いかけられました。」

 

「サンラクサンは自分のことがわかってなさすぎですわ!外に出たらいつも必ず話しかけられてるんだから気を付けるべきですわ!」

 

あの後急いでエムルのところに向かったのだが、待ち合わせの場所にまでプレイヤーが沸いていたのである。

あっちに行ってもプレイヤー、こっちに行ってもプレイヤー、瞬間の人口数なら首都(サーティード)超えてたんじゃないかってくらいの人数があそこいたぞ......。

 

「で、サイナサンは無事に帰ってきたのですわ?」

 

「あぁ。綺麗に治って帰ってきたぞ。」

 

そう言ってインベントリアからサイナを呼び出した。

 

「インテリジェンス」

 

「わぁ、なんだか久しぶりなのに全然そんな感じがしませんわぁ......」

 

いつもの鳴き声に関しては今回は突っ込まないでおこう。

 

「とりあえず歩けるのは確認できたから次はちゃんと戦えるのかどうかだな。」

 

了解(任せろ):復帰直後とは思えない成果を出して見せましょう。」

 

「へっ、頼んだぞ相棒。」

 

「あ、あたしもサポートするですわ!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そしてあっという間に一時間が過ぎた。

 

「やっぱりサイナサンがいると戦いやすいですわー。」

 

「まったくだ。」

 

感謝(ありがとうございます):しかし多少は鈍っていましたね。」

 

少しづつ感覚を取り戻さなければ、とつぶやいているサイナに向けて、俺が寝ているときには戦闘をしないように、と言い聞かせておく。放っておいたら暴走しそうだからなこいつ。

あ?誰が人のこと言えないだこの野郎。主従そろって似た者同士って言ったやつ出てこいシバき上げてやる。

 

「とりあえず、今日は疲れたからもう寝る。」

 

「え、もうですわ?」

 

「あぁ。体がきついんだよ。」

 

カフェインも切れてきたころだしな。

 

「あぁそうだサイナ。」

 

応答(はい):」

 

「俺が寝ている間にしっかり祈っておけよ。」

 

「......っ!......応答(はいっ)!!」

 

「え?なんの話ですわ?」

 

「んー?あのアンドリュー・ジッタードール(ドルオタ)が関わっている話。」

 

「げ......。よくわからないですけどあのお人形の人が関わってるのならろくなことじゃないですわ......。」

 

うん、NPCがこっちの世界に興味を持っているって話(ろくな話じゃない)な。

 

「想像通りなかなか厄介な話だ。あまり関わらないほうがいいぞ。」

 

「あのサンラクサンがそこまで言うならやめておきますわ。」

 

そう言ってエムルは俺とサイナを残して部屋を出た。賢明な判断だが「あの」ってなんだ、「あの」って。

 

提案(では):子守唄でも歌いましょうか?契約者(マスター)。」

 

子守唄......。

 

「子守唄......うっ、頭が......。」

 

「疑問:どうかしましたか?」

 

「いやなんでもない......」

 

子守唄......。孤島での思い出(黒歴史)が蘇ってくる......。ええい、消え去れ消え去れ!!

 

「それじゃあせっかくだし頼むわ」

 

了解(わかりました):」

 

一曲聞いたらねるか......って

 

「......何してんの?」

 

「解答:知らないのですか?膝枕というものですよ。」

 

「いやそれは知ってるんだけど......。誰からこれを教えてもらった?」

 

「解答:契約者(マスター)のお仲間のペンシルゴンという方から。こうすると契約者(マスター)が喜ぶと聞いて」

 

よーし、あの鉛筆〆てやる!!うちのサイナに変なこと教えてんじゃねーよあの野郎!!

つーかなんでこの状態でログアウトが可能なんでしょうかねぇ。ベッドに全身乗ってないけど大丈夫なのかこれ。

 

開始(では):おやすみなさい、契約者(マスター)

 

「あぁ、おやすみ......。」

 

こんな状態で寝れるか、という突っ込みは我慢した。

そして始まる子守唄。オルケストラの時とはまた違う、優しく、聞く者を安心させるような声。機械が出しているとは想像もつかないような優美で、それでいて甘く優しい声は聞く者すべてを心地よく包むだろうと思えた。

ていうかこれまた俺に合わせたオリジナルの歌詞だな?どこまでサービス心高いんだシャンフロ。

結局続けて三曲聞いてしまった。サイナファンの気持ちがなんとなくわかった気がする。

 

この日の俺はやけに学校で集中できた。サイナの歌にはライオットブラッド並みの効果があるのかもしれない。

 

 




なお、少し時間が経った後のインベントリア内でうめき声が響いたという戦術機獣たちの報告をここに追記する。

遅くなってすみません。
次回からサイナを現実に呼び出すための神様達の大騒動が始まります。硬梨菜先生!来鷹大学の設定作っててくれてありがとうございます!これのおかげでサイナifかけますよ!
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