ダンジョン・フラグメント   作:トラロック

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26 名の無き女神の遣い

 ほぼ一撃で吹き飛ばされて気絶したシル・シローヴァを気にしつつモンスターを討伐する。

 まさかすぐに吹き飛ばされるとは思わなかったのでベル・クラネルは加勢するのが遅れてしまった。

 幸い怪我は軽傷で済んだ。

 ランテは彼女に呆れつつ自分の分のモンスターと戦っていく。

 

「大丈夫ですか?」

 

 そう声をかけた時、シルは彼の胸に手を当て、そのまま突き飛ばす。

 モンスターごときに後れを取るとは、と苛立ちを見せるが今の自分はシルだった事に気付いて冷静さを取り戻す。

 

「大丈夫です。ちょっとびっくりしただけです」

「そうですか」

(……機嫌が悪いシルさんは怖い。けれど、闘志は冷めていない)

 

 深呼吸を繰り返しつつ攻撃を受けた場所を確認する。

 骨折は認められないが打撲が酷い。

 レベル2なのに、と愚痴が出る。

 

(それもこれもヘイズの所為です。どうして私がベル・クラネルと一緒にダンジョンに潜らなければならないのですか。……断らなかった私も悪いけれど)

 

 苛々したモンスターに再度向かう。先ほどより動きが悪くなった身体では牛頭人(ミノタウロス)に有効打を与えられない。

 勢いを増すモンスターに決して怯まないが実力が伴わない。それがとても悔しかった。

 任務とはいえ他人に()(へつら)ったり、気に食わないベルに毎朝挨拶したりしてきた。それもこれも敬愛する女神の為ならばこそ。

 シルは決して優しい女性ではない。その内面はドス黒く、殺意に満ちている。

 彼女のそんな一面を見破れるものは滅多に居ない。神を除けば勘の鋭いアリーゼ・ローヴェルくらい。

 

「シルさん!」

「……えっ?」

 

 意識が逸れたところにモンスターが持つ大剣が迫っていた。今からでは避けられそうにない。そんな事をぼんやりと思った。

 滅多にダンジョンに入らなかったばかりか、戦闘経験も未熟なシルは本来であれば勝てる相手に成すすべもなく――

 

【サンダー・ボルト】!」

 

 雷撃がシルの目の前を通り過ぎていく。

 (まばゆ)い光りの為に思わず目を(つむ)った。

 攻撃は来ない。今の魔法でモンスターを倒せたようだ、と気配で察した。

 いや、それよりもベルに助けられるとはなんたる失態、と歯噛みする。

 

「さすがクラネル君。援護は必要ないみたいだね」

「ランテさんが他を担当してくれているからですよ」

 

 視界が回復してくると目の前に魔石が落ち居ているのが見えた。

 もし、彼が居なければ落ちていたのは魔石ではなく自身の首だったかもしれない。

 他の女性冒険者であれば惚れている所だがシルは真逆だった。

 

 
 

 

 シルは戦力不足により荷物持ち(サポーター)になると言ってみたがベルは拒否した。

 ケガ人に荷物は持たせられません、と。

 優しい事は知っている。けれど、シルからすれば惨めで仕方がない。

 

「神様達が言う『吊り橋効果』ですか? ベルさんは天然ジゴロですね」

「そ、そういうわけじゃありませんよ」

(……ジゴロって何だろう)

 

 二人が見つめ合う、その間に矢が飛んできて壁に突き刺さる。

 思わず二人は跳び退った。

 

「いちゃいちゃしない。まだモンスターが居るんだから」

(……容赦ない!)

「でも、クラネル君の魔法は凄いね。ほぼ一発だ」

 

 レベル2に上がってから更に威力が増したように思える。

 かといて魔法ばかりに頼っては『力』が伸び悩む。

 自分が目指す強さは魔法なのか接近戦なのか決めておかないと【ステイタス】も思うように増えない。

 隊長(アンティリーネ)の言葉が響いてくる。

 

「シルさんはまだこの階層は難しいと思うので上に行きましょう」

「……足手まといでごめんなさい」

「足手まといだろうと強くなればいい。誰だってそういう時がある」

 

 ランテの言葉にシルは目を輝かせた。

 野性味溢れる姿のランテが言うと妙にかっこいいと思えてしまう。それに引き換え、冴えない男であるベルは童顔の所為かいまいち迫力に欠ける。

 表の顔であれば惚れている所なのかもしないが、シルには通用しない。敬愛する女神であれば可愛いわね、くらいは言いそうだ。

 あるいは――きゅるるん、と。

 

「!」

 

 憤怒の表情になるシルにベルはたじろいだ。

 突然の変貌だったがすぐにいつもの柔和な微笑をたたえる。

 その後、口数が少なくなったシルは上層にて鬱憤を晴らすようにモンスターを倒しまくった。

 ベル達は魔石やドロップアイテムの回収に奔走する。

 気が付けば全身傷だらけの血塗れ姿に変わったシルは凄くいい笑顔でベル達の下に戻ってきた。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「少し意識が遠退きがちですが……。結構すっきりしました」

「大丈夫じゃない!? ランテさん、回復薬(ポーション)を」

「分かった。遠慮なくぶっかけてあげて」

(無理に飲ませなくても効果があるんだった)

 

 無造作に投げられた回復薬(ポーション)を受け取り、栓を外す。

 試験管の様な形状のアイテムは通常であれば飲む。薬品である為か、傷口にかけても効果を表す。

 瓶の強度はそれほど高くないので結構割れやすい。なのでしっかりと荷物に入れておくことが大事と言われていた。

 

 
 

 

 回復したシルは無謀な戦いを続けた。

 当初、やる気に満ちていたランテも彼女のせいで戦いに身が入らなくなり、そろそろ帰ろうかと提案するに至る。

 大怪我する前に戻った方がいいと判断したベルは地上に戻ることに決めた。

 

「もう終わりですか。だいぶ身体が温まって来たのに」

「目がグルグル回った状態で言われても説得力ありませんよ。今日はもう休んだ方が良いです」

「一人で来ていたら確実に死んでいるよ」

「仕方ありません。……では、また明日も誘ってください。ちゃんと牛頭人(ミノタウロス)を倒して見せますから」

「やる気があるのはいい事だ。シル・フローヴァ、名前を覚えたぞ」

(……漢らしく言われても。ランテさんもちゃんとシルさんのカバーに入ってくれて良かった)

 

 戦闘を中断し、上層を目指すが現れたモンスターを見つけてはシルが勝手に向かっていく事が何度かあり、それを止めるのも結構大変だった。

 そして、地上に出ると全身血塗れのシルに冒険者達は驚きの目で彼女を見た。

 最初に冒険者になった時のベルも似たような事があったような無かったような、と苦笑を滲ませる。

 

「モンスターを殺すのって結構楽しいですね」

「言い方! 冒険者は楽しむためにモンスターを討伐しているわけではありませんよ」

「……フローヴァ。そんな事を言っていると油断して殺されるよ。調子に乗るのはダンジョンでは良くないからね」

 

 ランテの言葉に口を尖らせるシル。

 聞き訳がいい時と無い時があり、どう扱えばいいのかベルは分からなくなった。

 元々酒場で働いていた人を無理に誘ったのだから自分が悪いのだけど、と責任感に囚われる。

 次は彼女をちゃんと守れるように頑張ろう、と気を引き締める。その後、報酬はちゃんと三分割した。

 休養期間を設けて再度シルの下に訪れると良い笑顔でダンジョン探索を了承した。今回はリリルカとヴェルフを誘ってみた。

 ランテはシルの事があった為か、主神の下に行ってしまった。――一時間後に舞い戻ってきて探索に加わる。装備は前回と同じく毛皮仕様だった。

 

「今回は五人パーティですか。……それにしても酒場の店員も加わるとは……」

「よろしくお願いします」

 

 今回のシルは軽装備から少し重厚さに移行したようだ。それと武器は長剣。

 普段の姿からは想像できない本格的な格好にベルは驚いた。

 装備からお高い雰囲気が感じられた。

 

「今回は……」

牛頭人(ミノタウロス)の討伐です。やられっぱなしは面白くありませんもの」

「……シルさん。ちゃんと【ステイタス】を更新したんですか?」

(ヘイズさんの同僚なら【フレイヤ・ファミリア】になるかな?)

「乙女の秘密です」

 

 調子のよい事を言うシルにベルは苦笑する。

 お気楽そうだが戦闘時は割合本気で向き合っていた。決して冒険を軽んじていないはずだが性格の問題だろうか、と。

 今回は彼女の要望を叶えつつ一八階層を目標とした。行けそうなら、という条件で。

 にこやかで軽やかな足取りのシルもダンジョンに入れば動きが鈍くなる。

 装備が重いのか、戦闘経験が足りないのか。

 

「レベル2なのに動きが鈍いな」

「……ベル様。シル様は本当に冒険者なんですか?」

「その筈なんだけど……」

 

 ナイフのような取り回しが容易な武器では無く大振りな動きになりがちの大剣だから前回より動きが悪い。しかし、モンスターに向かっていく気概は本物だった。

 女性という事を考慮しても怪我をしても構わない、という姿勢は凄いと素直に感心した。

 ランテがそれとなく援護しているので今のところ問題なく進めている。

 十階層に到着し、一先ずシルを前面に立たせてみた。本人かどうしても戦いたいと申し出た為だ。

 

「今のところ問題なく討伐出来ているな。彼女、戦い方は下手だがやる気があるところは気に入った」

「……戦うたびに表情が無くなっているように見えるのですが……」

「笑っているより真剣さがあるから良し」

 

 リリルカは心配し、ランテは頷きつつ感心した。

 ベルから見ても討伐回数を重ねる度にシルから笑顔が無くなり、段々と怖くなっているような気がした。

 常に笑顔でいろとは言わない。けれども、どこか危うさを感じさせる。

 そして、一二階層目。シルは顔だけなら歴戦の猛者になっていた。

 

「シルさん、大丈夫ですか?」

「……次のモンスターはどこですか?」

「戦闘狂になってきてるぞ」

「いや、これでいい。戦いを(のぞ)む冒険者の顔ではありませんか」

「……ランテ様の方が戦闘狂ですよね」

「失敬な。アルテミス様に比べれば私などまだまだひよっこですよ」

(眷族より強いという女神アルテミス様。……そう言われれば納得しそうになりますけど)

 

 シルの事を置いておけばベル達は充分に戦えているパーティだった。

 大きな怪我も無くモンスターにも怯まない。

 回復役が居ないことを除けば安定していると言える。

 

(リリルカさん以外の四人が前衛だ)

 

 弓を背負っている事を忘れていたがベルも後衛に回れる事に思い至る。

 周りを気にしつつベルは前衛から後退し、援護に専念する事にした。今は魔法も使えるし、と。

 

 
 

 

 ついに一五階層に到達した。

 ベルは大層驚いた。安定したパーティであることに。

 シルの暴走が目立つかと思われたが思いのほか奮闘し、多少の怪我を負いつつも闘志を燃やし続けた。決して怯まない精神力に自分も見習わないといけない、と。

 だが、そこまでだった。

 早速現れた牛頭人(ミノタウロス)にシルはあっさりと吹き飛ばされる。

 武具が重い為か、疲労が溜まっていたのかは分からないが動きが鈍すぎる。

 

「やる気があっても身体がついていってないみたいだな」

「怪我を恐れず突き進む。立派な心掛けではありませんか」

(……ですが、【ステイタス】のお陰か、レベル1の冒険者に比べて身体はちゃんと動いていますね。決定打が足りないようですが……)

 

 鼻血を出しながらシルは立ち上がった。

 冒険者であるならばベルとて手を出すわけにはいかないと思った。もし、彼女が一般人であればまた違った対応になる。

 モンスターに相対するシルの様子が変わった。

 にこやかな笑顔は無くなり、表情が暗く冷徹さを帯びる。

 ランテは無言のままベルの前に出て彼に手出ししないように仕草で伝える。

 

「……殺す」

 

 ただ一言呟いてシルはモンスターに突っ込んだ。

 その一撃はベルから見ても強くはない。それでも構わず大剣を振るう。

 リリルカはランテと共に周りからくるモンスターに警戒し、戦闘を見守る。

 

(ベル・クラネルの前で私は惨めで弱い姿を晒している。なんたる失態。無様。この程度のモンスターも倒せないとは……)

 

 ほんの僅かな雑念が大振りを空ぶった。そこを牛頭人(ミノタウロス)が付く。

 モンスターの大剣がシルの首にまともに当たった。

 気が付いた時に死の気配を強く感じた。

 いかに『敏捷』が高いベルとて間に合わないこともある。

 彼らの耳に嫌な音が聞こえる。肉を断ち、骨を砕く音が。

 悲鳴は無い。ただシルが力なく沈むだけ。

 

「……全く。私が居ないとダメダメですね、シル・フローヴァ」

 

 呑気な声と共にシルの身体が淡い光を放つ。

 首筋から吹き出し始めた血は緩やかに治まり傷が即座に塞がっていく。ただし、痛みや出た血は戻らない。

 黄金の杖を携えたヘイズ・ベルベットがベル達に愛想笑いを向けながら歩いてきた。

 

「……ヘイズ」

「ここはヘイズさん、ですよ」

 

 もう少し見守りたかったがさすがに今の一撃はヘイズも不味いと思った。

 シルの【ステイタス】は牛頭人(ミノタウロス)を倒せるほどあるのだが、戦闘経験が圧倒的に足りなかった。それと普段から『魔力』を伸ばすような生活を続けていたので実力的には駆け出しと大差ない。

 

 
 

 

 追撃を試みようとした牛頭人(ミノタウロス)はベルが仕留めた。

 シルは完全に戦意を喪失し、ヘイズに介抱されている。

 闘志や殺意をむき出しにしていた女性冒険者はいつもの町娘に戻っていた。

 

「私としてはシル・フローヴァにも冒険者の気苦労を知ってほしかったのですけど……。少々無謀でしたかね」

「……そんなこと、無いです」

(……先ほどから他人行儀な呼び方ですね。……リリも人の事は言えませんが)

「魔法職の貴女が戦士のまねごとをしている時点で無茶なのは分かってましたよ。これが準備運動なしに全力疾走する悪い例というやつですね」

(……なるほど。シルさんの動きが悪かったのは日頃から鍛練していなかったからなんだ)

「……莫迦じゃねえか」

「……若手がよく陥る無謀な冒険ですね」

 

 仲間は誰もシルを擁護しなかった。ベルは何とか褒めようと思ったが言い分が納得できたので口を(つぐ)んだ。

 誰も擁護してくれなかった事にシルは口を尖らせて不満を表す。それだけ見るといつものシルだった。

 

「これからどうする?」

「帰りましょうか」

「このまま一八階層に行きましょう。シル・フローヴァは戦力外としても私がついていきますから」

 

 ヘイズが来てからシルはとても大人しくなった。

 今のパーティならば踏破は可能だがシルの事が気掛かりだ。一度、戻るべきか、それとも――

 残り三階層を突破すれば安全地帯(セーフティエリア)に入る。少々無茶だが現れるモンスターは階層主(モンスター・レックス)を除けば『ランガーファング』くらい。

 

(……シルさん以外は余裕がある。それに……ヘイズさんが面倒を見るなら……)

「行ってみましょう」

「ここは、行こう、だろ?」

「……そうだね。一八階層に行こう」

「了解しました」

「分かった」

「私も了解しました」

 

 シルを除く全員が賛同した。

 彼女は不満げな顔をしているが拒否はしないようだと判断し、ベルは下に向かって歩き出す。

 移動の際、一体でいいから牛頭人(ミノタウロス)と戦わせてください、と小声でシルが言ってきた。ついでに援護も頼みます、とも。

 

「素直に言えばいいのに。変に強がっちゃって」

「……勝てばいいんです、勝てば何でも正義なんです」

 

 ヘイズの言葉に口を尖らせながらシルは言った。

 何処かで聞いた標語のように聞こえた。脳裏に目元に黒い帯が張り付いた赤髪の女性冒険者の姿が浮かんだ。

 一体だけならいいか、と思い了承したものの戦い自体は酷いものだった。

 まず、皆でモンスターを足止めし、四肢を砕いたところでシルがお礼を述べた。

 そこまでしないと駄目だと彼女が言い張った為だ。

 後は何もできないモンスターを滅多打ち。ちゃんと戦ったとは言い難い結果に誰もが閉口した。

 

「ふう。勝てました」

「……でしょうね。ご苦労様でした」

(……何をもって勝ったというんだろう。討伐という意味では間違っていない?)

 

 何て言ったらいいかベルは分からなくなった。

 ランテを含め、誰も何も言わなかった。ただ、ヘイズが小声で謝罪し皆に頭を下げたのが印象的だった。

 

 
 

 

 一七階層に到達し、中を除けば何も居らず広々とした空間があるだけだった。

 事前に階層主ゴライアスが少し前に討伐されたことをアドバイザーのエイナ・チュールとリリルカから聞いていた。

 リリルカの場合は事前に様々な場所に赴き情報収集していた。小人族(パルゥム)としてではなく、冒険者にっなてから見に着いた習慣の様なものと答えていた。

 情報は大事ですよ、と。

 

「シル・フローヴァとゴライアスの戦いが見たかったな~」

「……もう、ヘイズさんったら」

 

 仮にそんな事があったら間違いなくシルは一撃で吹き飛ばされる。そんな予感がベル達の脳裏を過る。

 魔法職だが攻撃魔法を取得していないので戦闘の役に立たない、とヘイズが教えてくれた。

 五人は灰色の部屋を横断し、出口に向かう。

 安全と言われてもダンジョンは悪辣だ。何が起きるか分からない。だから、警戒は解かないようにとリリルカは皆に言った。

 

「モンスターも冒険者が通る時に出て来ます。このダンジョンは明らかに冒険者に対して明確な敵意を持っていると思われます」

「……どうしてそんなことに」

「昔から言われている事ですのでベル様が悩む必要はありませんよ」

 

 遥か古代から存在する地上に空いた穴。そこからモンスターが湧きだし、それを過去の人々は撃退してきた。

 いつからこのダンジョンがあったのか、実のところ誰にも分からない。

 真っ直ぐ進むところでベルは――いや、シルも横方向に飛び退った。それは音ではなく勘といえるもので判断した。

 

「どうした?」

 

 ヴェルフの声が酷く現実感が無い。

 ヘイズは髪の毛を逆立て、ランテは慌てた。

 

 リリルカが居ない。

 

 いや、消えたと言った方が正確か。

 先導する形で前を歩いていた人物が音もなく消失した。

 

「リリルカさん!」

「チビスケ!」

「上です」

 

 ヘイズが部屋の天井の角を指差す。そこに皆が目を向けると何かが居るのが見えた。

 相当な高さがある場所だが暗くて全体像が見えない。

 

「敵は一体。油断しました。というかあれは……異常というか別格ですね。気配が希薄です」

「ベルはどうして横に逃げたんだ?」

「身体が勝手に……」

「私も……」

 

 このパーティで一番の上位者はヘイズだ。彼女はリリルカが消える様子を辛うじて見る事が出来た。

 何かが上から降ってきて攫った。その速度は神速に匹敵する。しかも気配が希薄だから気付くのが遅れた。

 

「下!」

 

 ヘイズの言葉に顔を天井から地上に向ける。敵は既に地面に着地していた。

 ほんの一瞬の出来事だった。

 

「速過ぎる。うちのアレンよりも。逃げきれそうにないですね。幸い敵はまだこちらを窺っているだけのようです」

「逃げられないなら戦うしかない。出口までもう少しってところで……」

「逃走もありですが……。小人族(パルゥム)の方が掴まっているようなので、見殺しにします?」

「……それは出来ません」

「ですよね。ただの確認です」

 

 大きさは全高二から三(メドル)。距離感が掴めないが大きい個体だと思われる。

 下半身部分が大きく、ベルには覚えのないモンスターといったところ。

 ヘイズも見た事が出ない、と小さく答えた。

 

「壁を移動!」

「見えねえ」

「音も無いとは」

(……気持ち悪い。音も無く壁を滑るように移動しましたよ)

 

 シルが唐突にベルを押す。すると彼女の姿が掻き消えた。

 ベルの目から見てもそうとしか見えなかった。やはり音は聞こえない。

 

「見えました。武装したモンスター。おそらく蜘蛛女(アラクネ)です」

「はっ? 下層域のモンスターだぞ。なんでこんなところに居るんだよ。しかも武装しているって?」

「昇って来たんでしょう。……でも、ここまでの速度を持つ蜘蛛女(アラクネ)に覚えはありません。強化種だとしても……」

 

 壁に張り付くようにモンスターは停止した。その時になってベルは敵の全貌を見る事になった。

 騎士風の防具を纏い、槍と盾を持っていた。

 リリルカとシルは背中に括りつけられる形で掴まっていた。どうやら糸に絡め取られたようだ。――ほんの一瞬で。

 上半身は人間(ヒューマン)の女性に酷似している。金髪碧眼の美貌。ただし、表情は無くただベル達を睥睨していた。

 

(あんな格好で辺りを移動しているのか!? 蜘蛛の脚だとしても何らかの音が聞こえる筈なんだけど)

 

 仲間の為に戦うとしてもあれほどの速度を出されれば攻撃を当てる事は難しい。

 まずは足止め、と行きたいところだが実力差があまりにもあり過ぎる。

 壁に居たモンスターは地上に移動し、気が付けば別方向に待機している。その速度を追えているのがヘイズだけ。

 

「……一応、持続する回復魔法をかけておきますが……。意味がない気がします」

「すみません」

「いえいえ。こんなダンジョン探索は楽しくて仕方が無いですよ、畜生」

 

 笑顔で毒を吐くが理解は出来る、とベルは思った。

 警戒しているランテの方は敵の姿を追えなくて苛々し出した。だが、勝てないと理解し、既に武器は仕舞っている。

 逃げるとしても尋常ではない速度を出すモンスターだ。簡単に追いつかれるし、野放しにすれば他の冒険者が被害に遭う。ここで倒したいが――無理そうだ。

 ベルは腕に光を発生させ、アルテミスより借り受けた『タウロポロス』を構える。

 おそらく放った矢よりも早く移動する筈だ。だが、やらないよりましだ。

 ヘイズを含めて誰もベルを止めない。

 

「いっけ~!」

 

 充分なチャージの後に矢を放つ。

 それは光りの軌跡を描きながら真っ直ぐモンスターの下へ。そして、大声を出した事でモンスターの注意をひきつけ、ベル以外の者達は出口に向かって駆け出した。

 無理に戦うより仲間を逃がす事を彼は選んだ。

 対するモンスターは体勢を低くし、盾を構えて矢をしっかりと受け止める。

 カン、という乾いた音が広い部屋に僅かながら響いた。

 

【ファイア・ブリット】!」

 

 モンスターがヘイズ達に顔を向けた時にベルは魔法を放った。

 少しでも自分に注意を向けさせるために。しかし、相対距離が離れすぎて魔法が届くのに時間がかかる。

 モンスターは立ち止まり、先ほどと同じ体勢になって魔法を盾で受け止めた。ボスっと鈍い音と共に魔法は消えた。

 

(意外と律義! なら、もう一度……。やっぱり受け止めた。避けないのは何故なんだろう)

 

 人を攫ってみせたが攻撃を加えてきたわけではない。

 かといって油断できる相手でもない。

 上半身が人と変わらないから戦いにくいが下層域にはこのモンスターの様な存在がたくさん居ると聞いている。

 えてして皆凶暴で凶悪な面構えだとか。

 目の前のモンスターは無表情のせいか、今にも喋りそうな雰囲気がある。下半身は蜘蛛だが。

 

【ヒュゼレイド・ファラーリカ】

 

 出口付近から無数の光弾がモンスターに襲い掛かる。しかし、それらは盾で全て防がれる。しかも、一発も漏らさず。

 光りの所為で見にくかったけれど盾が分裂したように見えた。

 

「ぜ、全部防ぎます!?」

「加勢します」

 

 今度は金髪金目の少女冒険者が駆け出してきた。

 しばらく見かけなかったアイズ・ヴァレンシュタインその人だった。

 

「アイズさん。仲間が二人、捕まってしまいました……」

「了解」

「す、すみません。そうとは知らず魔法を使ってしまって……」

 

 律義に謝罪したのは山吹色の長い髪の森妖精(エルフ)のレフィーヤ・ウィリディス。

 駆けだしたアイズがモンスターを補足するも敵は驚異的な速度で壁を昇る。

 アイズをして速いと言わしめた。

 

魔法三重化(トリプレットマジック)()魔法の矢(マジック・アロー)

 

 総計六本の魔力で出来た矢がモンスターに向かって飛んでいく。

 威力は抑えられている()なので囚われた冒険者への被害は少ない筈、と。

 

「これはちゃんと捕虜に配慮した魔法ですよ」

「は……、はい」

(モンスターの方はアイズさんを余裕で振り切ってる……。というか動きが気持ち悪い)

 

 それとレフィーヤの魔法はまだ届いていなかった。

 それだけモンスターの速度が上回っていた。

 

 
 

 

 壁や天井を平然と駆け巡るモンスターに対し、アイズは後手に回ざるをえなかった。

 接近しようにも一定距離を維持して引き離される。

 下半身の足は動いているが音が全くしない。滑っているようにすら。

 更に加速を掛けた時、モンスターの姿が掻き消えた。

 

「えっ!?」

 

 天井に居たモンスターが気が付けばベルのすぐ目の前に居た。それも音も無く。

 目の前で見る蜘蛛女(アラクネ)はやはり大きかった。

 上半身だけじゃなく下半身も武装していた。それも雑な造りではなく本格的と言うか本職が作った防具に見える。

 ベルが慌てている内にモンスターは両手の武具を消し、背中に括りつけていた仲間達を地面に下ろす。

 立ち去ろうとして後ろを振り向いたモンスターの背にベルは飛び乗った。

 

「?」

 

 違和感に気付いたモンスターがその場で回るもベルは降り落ちない。

 モンスターに飛び乗ってからベルはどうしてこんな事をしたのか分からなかった。

 逃がすわけには行かないと思ったのかもしれないがやってしまったからには必死に食らいつくしかない。

 幸い飛び乗る時に消えなくて良かった、と思った次の瞬間にはモンスターが驚異的な速度で走り出す。

 壁も天井もお構いなしに駆けるので少しずつ気持ち悪くなってきた。所謂(いわゆる)、乗り物酔いの様な感じで。

 

(速すぎ!)

 

 視界の切り替わりも早い。天地の感覚が掴めなくなってきた。

 何よりこのモンスターは両手に武具を持ちながら複数の足だけで移動している。僅かに見えるアイズも追いつけない。それと未だにレフィーヤの魔法は追尾したまま。

 反撃されない今なら――

 

(……だけど、このモンスターは仲間に危害を加えなかった。ただ逃げ回って翻弄しているだけ……。モンスターが何を考えているかなんて……)

 

 今までのモンスターは冒険者を見かけたら襲ってくる。人類の敵。

 対話が可能かと言われればほぼ不可能。

 唯一の例外は調教師(テイマー)に使役されたモンスターくらい。それらも基本的に【ガネーシャ・ファミリア】で厳重に管理されている。

 雑念が過るが今は戦闘中だ。アイズ達が敵と認識して攻撃を仕掛けているならば、それはもう敵でしかない。

 高速移動するモンスターの身体から身動きするのは想像以上に難しく、物凄い風圧に驚いた。

 腰に装着したナイフをなんとか抜き出す。念のためにスキルによるチャージを敢行。

 この動きから腕を振り上げる事は無理と判断し、狙う場所を背中か脇、機会があれば首。

 

「……くっ」

 

 十秒ほどのチャージによる刺突を敢行。

 モンスターの鎧を避けて関節部分を狙ったが外皮が硬くて刺さらない。

 ベルを背中に乗せている為にモンスター側で捕まえる事が出来ないようで何度か腕を振り回していた。

 

(……なら)

【ファイア・ブリット】!」

(……これも駄目か。どれだけ硬いんだ、このモンスター)

「【リル・ラファーガ】!」

 

 ベルの攻撃で動きが鈍った隙を逃さずアイズの必殺が飛んできた。ちなみに必殺技名は主神ロキが命名した。あと、副次効果は無い。

 付与魔法を利用した細身の剣(デスペレート)による刺突により、モンスターの槍を持つ腕を断ち切った。

 低く唸るもののモンスターは冷静に移動を再開する。が、動きが鈍った隙をベルも逃さず、背後からモンスターの首を腕で締め上げて顔にナイフを突き立てる。

 驚き事にモンスターはあまり声を発しなかった。その代わりに低い唸り声だけが響く。

 首にナイフが刺さり、そこに魔法を叩き込む。

 

(……なんて頑強な身体なんだ)

「ベル、頭を下げて!」

「はい!」

 

 アイズの言葉に従い、素早くモンスターの腰まで頭を下げると彼女の斬撃が炸裂した。しかし、やはり切断には至らず、首を半分ほど切ったところで盾による反撃が来た。

 二人の攻撃が止んだところに今まで飛んでいたレフィーヤの魔法がぶつかる。だが、あまり効果は無かったようだ。

 

 
 

 

 傷口が出来た事で背後からベルが斬撃や魔法を叩き込む。それでも頑強な肉体の為か、時間がかかった。

 そして、このモンスターは自己治癒の能力を持っているらしく、見ている内に傷口が塞がっていく。その速度は決して早くは無いが今のベルでは間に合いそうにない。

 

(かといって切り札を切るわけには行かない。アイズさんの攻撃に合わせて最大チャージを叩き込むしか)

「あの人間(ヒューマン)だけなら……」

 

 レフィーヤは捕虜が居ないことを確認して素早く詠唱を開始した。ついでに白髪の人間(ヒューマン)も消し炭にしてやります、と息巻いたがアイズが居る手前、声には出さなかった。

 そんな事とは露知らず、ベルとアイズは攻撃を続けた。

 防御に徹する蜘蛛女(アラクネ)はとにかく速く硬い。防具を抜きにしても。

 

【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!」

(……僕が居るのに!?)

 

 あの森妖精(エルフ)怖い、とベルは感じた。

 容赦ない無数の光弾がベル達の下に殺到する。――アイズはレフィーヤに顔を向けると彼女は舌を出して照れたので何も言葉が出なかった。

 散弾が蜘蛛女(アラクネ)の身体を打つ。その衝撃は背中に隠れているベルにも伝わる。

 

「【リル・ラファーガ】!」

(やるなら今!)

「これでっ!」

 

 モンスターの腰と上半身の境目にナイフを思い切り突き刺し、そのまま背中目掛けて切り上げる。だが、鎧に阻まれてそれ以上はいかなかった。

 防具も優秀なのは想定内だ。

 次にアイズの攻撃は確実にモンスターの身体を削り取った。

 どうやらベルに当たらないように気を使ってくれたらしい。ただ、レフィーヤの魔法は容赦がなかった。

 

「ベル! 飛び降りて!」

「はい!」

 

 返事はしたが今時分はどのあたりに居るのか考えていなかった。

 縦横無尽に駆け巡った蜘蛛女(アラクネ)の現在位置は壁の上方付近だった。ベルは落下する形で落ちてしまった。そこにアイズが再度必殺技を敢行する。

 今度こそ確実にモンスターの胸部を刺し貫いた。

 落下のダメージに耐えつつモンスターに顔を向ければ満身創痍の様相を呈していた。

 身体の各所を斬り飛ばされたせいで鎧が無傷のまま落下。そこにアイズの必殺が入った形だ。

 

「灰にならない!?」

(魔石が無いの? 手応えからも心臓は確実に刺した筈……。剣が抜けない)

「レフィーヤ、背後の壁を壊して」

「了解しました」

 

 素早く魔法詠唱を始める。その間もモンスターの身体はどんどん治癒していく。まだ止めをさせていないらしい。

 仕方がないとアイズは剣を手放そうかと思った。そうしないとレフィーヤの魔法が飛んでくるので。

 ベルは詠唱するレフィーヤを見てスキルを発動。速攻魔法なら彼女より早いと判断した。

 

「レフィーヤさんはモンスターをお願いします」

「はっ? 私に命令しないでください、汚らわしい」

(……えぇ? 僕、何かしたかな)

 

 初対面の筈の森妖精(エルフ)に汚らわしいと言われたのは迷宮都市(オラリオ)に来てから初めてだった。

 今まで出会った森妖精(エルフ)達はベルを快く迎えてくれたので結構ショックだった。

 

「アイズさん。剣から手を離してください」

「……分かった」

 

 迷っていた彼女は少年の言葉に従う事にした。

 戦いにおいて素早い判断は何より優先される。もし、それが間違っていたとしても仕方がない。正しい選択を取れる者など団長のフィンでも難しいのだから。

 アイズが離れたのを確認してからベルは魔法を放つ。

 

【サンダー・ボルト】!」

【アルクス・レイ】!」

 

 一泊遅れてレフィーヤも魔法を放った。

 ベルの魔法がアイズの剣に当たりモンスターの体内を感電させ、間髪入れずにレフィーヤの魔法が後方の壁ごと撃ち抜く。

 剣を伝った魔法はモンスターの上半身を破裂させ、肉片が地面に落下して、最後に大きな下半身も落ちた。

 見た感じでは討伐出来た。ただし、灰に還らず魔石を落としたりしない。

 アイズは警戒を怠らずモンスターの肉片に変化が無いことを確認してから壁に刺さった愛剣(デスペレート)を回収する。

 戦闘の終了を予期した、その時に何者かの声が部屋に響いた。

 

生命祝福(ブレス・オブ・ライフ)

(……そ、その魔法は確か信仰系……第六、いえ、第五位階の一覧にあった……)

 

 術者の代償は無いが受けた者はレベル(いち)相当を失う。ただし、それは異邦人側の感覚であってオラリオの冒険者で言えば『能力値(アビリティ)』の数値を数百程下げる。

 対象が死亡して間もない内に使わなければならないが『死者蘇生(レイズ・デッド)』のような効果を発揮する。

 飛び散ったモンスターの肉片はその場で光りの粒子となり、元の身体に返っていく。そして、砕けた上半身が急速に修復されていく。

 元々自然治癒能力が高かっただけに修復は早かった。

 

「も、もう復活した……」

 

 初めて見る蘇生にレフィーヤはおろかアイズ達も見つめてしまった。

 今から追撃してもおそらく無駄だと悟る。

 落ちた武具は一度消えて、次の瞬間にはモンスターの身体に装着される。

 

大治癒(ヒール)

「ええっ! ず、ずるい!」

 

 聞き覚えのある魔法にレフィーヤは思わず叫ぶ。

 しかも今のはモンスターが唱えた。

 高位の治癒魔法である事は確かだ。この魔法はほぼ全快するほどの回復力を誇る。

 今まで使わなかったのは戦闘中だったからかもしれないが高位の治癒魔法を扱うとなれば――いや、そうではないとレフィーヤは気づく。

 

(……この魔法は位階魔法! じゃあ、このモンスターは……、このダンジョンから出てきたものじゃない!?)

「レフィーヤ?」

「……このモンスター、敵じゃないかもしれません」

「……どうして?」

「異邦人が持ち込んだテイムモンスターの可能性があるからです。理由は今の魔法が位階魔法だったから……」

 

 アイズにも聞き覚えがある単語に思わず呻く。

 だが、このモンスターについて何も知らされていなかった。戦った事自体は偶発的な事故だったとしても自分達に非は無い筈だ、と。

 

(……それにこちらに攻撃を加えたわけでは……。いえ、反撃らしき行動を見せてなかったような……。捕獲した冒険者にも怪我は無いようだし……)

 

 それよりも第一級冒険者であるアイズを翻弄する強敵だ。もし、反撃して来たら勝てたかどうか。

 身体の修復を終えた蜘蛛女(アラクネ)はその場から動かず大人しく佇んだ。表情のない顔をベル達に向けたまま。

 お互い出方を探るような形になったが数分後にはモンスターが動き出し、一八階層に繋がる出口方面へと歩き出した。

 ベルはこのまま見逃すか悩む。下手に手を出しても勝てる気がしない。というか先ほどのように復活される可能性がある為だ。

 レフィーヤも相手が高位の治癒魔法を扱うと分かった以上、戦闘を避けて異邦人の意見を聞くべきではないかとアイズにこっそりと伝えた。それに一般のモンスター特有の殺気が感じられない。

 

魔法最強化(マキシマイズマジック)()火球(ファイア・ボール)

「!?」

 

 突如、出口付近から巨大な火球が撃ち込まれた。

 モンスターは避けずに盾で防御を敢行したが爆発力に耐えきれず後方に吹き飛ばされる。

 

魔法三重最強化(トリプレットマキシマイズマジック)()雷撃(ライトニング)

 

 追撃とばかりに三条の雷撃がモンスターに襲い掛かる。それに対してモンスターは即座に体勢を立て直し、盾で防ごうとする。

 ベルはモンスターが避けずに対応する事に疑問を覚えた。それと魔法を敢行したのが緑色の長髪の魔導士(メイガス)である事を確認する。

 貫通力のある魔法に盾の防御は意味を為さず、容赦なくモンスターを貫いた。

 




付録:作中に登場した魔法 15

大治癒(ヒール)

系統:召喚術[治癒]
位階:信仰〈六〉、その他(森祭司(ドルイド))〈七〉
構成要素:音声、動作
距離:接触
目標:接触したクリーチャー
持続時間:瞬間
●備考●
 クリーチャー1体の身体を正のエネルギーで満たし、病気や傷を癒す。この魔法は対象に及ぼしている以下の状態の全てを一度に終わらせる。過労、幻惑、混乱、知能低下、聴覚喪失、毒、能力値ダメージ――ただし、一時的なものに限られる――、吐き気、朦朧。欠損した肉体を元の状態にまで再生させることも出来る。


火球(ファイア・ボール)

系統:力術[火]
位階:魔力〈三〉
構成要素:音声、動作、物質(乾いた蝙蝠の糞と硫黄)
距離:長距離(約120m+12m×術者レベル)
効果範囲:半径6mの拡散
持続時間:瞬間
●備考●
 術者は指を向けて標的を決定し、小さな火の玉を発射する。障害物などにぶつからない限り、目標地点で炸裂する。また、効果範囲内の物体にダメージを与え、金属も融かす事が出来る。


生命祝福(ブレス・オブ・ライフ)

系統:召喚術[治癒]
位階:信仰〈五〉
構成要素:音声、動作
距離:接触
目標:接触したクリーチャー
持続時間:瞬間
●備考●
 この魔法はダメージを回復させる。他の治癒魔法と異なり、死亡した直後のクリーチャーを蘇生させる事が出来る。この魔法によって息を吹き返したクリーチャーは1日の間一時的に1レベル分の『ステータス』が下がる。迷宮都市(オラリオ)の冒険者の場合は数百ほどの『能力値(アビリティ)』が下がる。『即死』効果にって殺されたクリーチャーはこの魔法で蘇生出来ない。


雷撃(ライトニング)

系統:力術[雷撃]
位階:魔力〈三〉、信仰〈二〉、その他(吟遊詩人(バード))〈二〉
構成要素:音声、動作、物質(毛皮とガラスの棒)
距離:36m
効果範囲:36mの直線状
持続時間:瞬間
●備考●
 効果範囲内の全てのクリーチャーに『雷撃』のダメージを与える。雷撃は術者の指先から放たれる。また、効果範囲内の物体にダメージを与え、金属も融かす事が出来る。
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