羽織る者、何に成る   作:かのん・まーれ

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はじまりはじまり
それじゃあ、物語を始めようか!


 

 

 

 

「ほーら!まだ諦めるわけにはいかないだろう!

僕達はヒーローになりたいと願いここに立っているのだから!!」

 

 

22XX年

個性と言われる力が新たに生まれ、これまでの人類史から在り方を変え超人社会となった。

個性による悪逆非道な犯罪は止まらず“敵”と言われるものたちが蔓延っていた。しかし、そんな彼らを個性を発揮し世界の秩序を守るために扱うヒーローが生まれ取り締まる事で世界はいつしか平和を取り戻し人々はヒーローを讃えていた。

 

そしてそんなヒーロー達の姿をみた子供達はこう思う。

「自分もいつかあんなヒーローになりたい」と!

 

ここは雄英高校、そんな少年少女達が集い

ヒーローとは何かを学び育つ場である

そして雄英高校では現在実戦形式での受験が行われていた。

戦闘街では各場からギミックとして『(ヴィラン)』が配置されておりそれを撃破等でポイントを取得することで合格を目指す仕組みとなっている。

しかし『敵』は各受験者達を確実に疲弊させ追い詰めその心を折りにかかる

不意打ちを行い、建物を壊し、地面を陥没させ、様々な角度から受験者達に猛攻を仕掛けていた

 

個性によっては『敵』を倒すことがそもそも困難なものもいる。そうしたものが集中したとある場所で

 

「僕らは確かに競争相手だが、目指すものはヒーローだろう?なら手を取り合っても間違いではないさ!」

 

一際異質な者がいた

第一印象は白く儚げな男性で、まるで童謡の中の王子様であるかのように見える

また背中に生えた蝶のような羽と相待ってまるで妖精のようだと彼を見た人なら誰しもが思うだろう

 

「大丈夫、僕がいて君たちがいるんだ

なーに、こんな奴困難でもなんでもないさ!」

 

彼の名はオベロン

 

「さて、ここからだ!!」

 

緑谷出久とは別の主人公である彼が

 

妖精王がヒーローになるまでの物語であり

真名封鎖”にとっての“星”を見つける物語である

 

 

 

時は遡り受験の前々日の話

 

「突然だけど僕雄英高校に入るよ」

 

ある一室で男性二人がお茶を飲みながら話を交わしていた。一人はオベロン、もう一人は細身で若干だが病弱な印象を持ってしまうような男性である

 

「え゛!?いつ決めたんだい…!?」

 

「ははは、オールマイトお茶をこぼしているよ。落ち着いて落ち着いて」

 

その男性はオールマイト、このヒーロー社会においてNo.1の称号を持ち、比肩するものなしの強さを持つヒーローである

 

あまりのオベロンの唐突な発言に動揺を隠せず口に含もうとしたお茶はコップから滝のように流れていた。

等のオベロンは笑いながら絶賛お茶びたしになったテーブルを吹いている

 

「君いきなり過ぎないかい?いや、私としては君がヒーローになるなら心強いことではあるのだが、なぜ…」

「相談しなかった、かい?」

「あぁ」

 

オールマイトから見たオベロンという少年は非常に誠実な人間であった。よく話を聞き、相手と向き合う子であり、また誰よりも前に立つリーダーのような子であった。

ヒーローに向いていると子供の頃から彼を知っているオールマイトはそう思っていた

 

だが、本人が望まないのであれば当然進めはしない。何度か将来について話した事はあったものの、オベロンの経験や事情によるものからか

「ヒーローにはならないかなぁ」

と意見を変えてこなかったのが続いていた

 

「…こういうのはなんて言うんだろうな。

本当にどうでも良いようなことなんだ。笑わないでくれるかい?」

「勿論だとも」

「優雅が西でヒーローを目指すって言うから、僕が置いてかれるのは癪だと思ったんだ」

「それが自分に合っていると考え直したからさ」

「…はっはっは!君らしいじゃないか!!」

「こら、オールマイト。笑わないって言っただろう?」

「ははは、これは嬉しくて笑ったのさ」

 

オールマイトは子供への喜びを抑えきれず大きく笑った。それに対しオベロンは複雑そうに見つめるが、嘲笑でないことも理解しているため、それ以上は何かを言う事はなかった

 

「(その本心と本音が隠れて聞こえないモノであろうと、君が何かを目指してくれるのが私は何よりも嬉しい)」

 

オールマイトは笑顔と共にオベロンの肩に手を置いてグッと握りしめる

それはまるで激励のようでオベロンも振り払うこともなく微笑を浮かべた

 

「なら、試験は頑張るしかないな?」

「勿論だとも」

 

 

 

「せっかく約束したんだ。どうせならTOPを取れるようやってやるさ!!」

 

そんなことを思い出しながらオベロンは自分の周囲に力を与えながら自分自身も『敵』を打倒し確実にその数を減らしていく

 

 

「ありがとう!」

 

突然オベロンの背後から感謝が伝えられる。

その声は確かにオベロンに響き、オベロンは確かにその見えない姿を見た

 

 

 

 

 

 

「なん、だ!?これ力が溢れて…!!」

「ほんとだ、これならいけそうかも!!」

「…貴方のお陰なの!?」

 

私達の周りを不思議な光が包み込む

 

「ははは、僕の力で元気になったのなら何よりさ、さあ皆で倒してしまおう!!」

 

まるで王子様のような彼が前線に立ち、みんなを鼓舞してから不思議と身体の中から力が湧き出てくるようだった

 

どうやらこれは彼の力であるらしく、他のみんなも同じ感覚を得ていたらしい。先の光に包まれていた全員がその力の上昇を実感しているようだった

そして彼は話しながらも『敵』を倒していた

それも私たちが苦戦しそうな相手、している相手を即座に判断して、だ。

 

 

「ありがとう!!え〜と」

そんな彼にお礼を告げようとするものの、名前がわからず私は言葉を詰まらせてしまう。

確かに競争相手ではあるもののみんなを励ましてくれて、ある意味助けてくれたのに名前もわからずお礼を言えないのは自分的に嫌だった

 

姿が見えない自分では姿でその気持ちを伝えることはできないからしっかりと伝えたいのだ

 

「…ああ、僕の名前は“オベロン”!

お礼ならいらない、そしてもう一踏ん張りだ!

美しい君、君が合格することを願っているよ!!」

 

だが、そういって彼は飛んでいってしまった

 

お礼を言えないままポカーンとしている暇もないがどこかもどかしい気分になってしまう

 

まあ、そんな気分は解消するに限るから

 

「ぜーーったいにお礼言うんだから!!」

 

私は彼の背中を追うように『敵』に戦いを仕掛けるのだった。

 

 

私とずーっと目があっていた事は、一旦置いておくけどね!!

 

 

 

 

 

 

「なんでこんなに数が多いのやら…」

オベロンはそんなに戦闘向きではない自分の個性に多少むかつきながら次へ次へと『敵』倒していくものの

 

「…!!」「…!…!!」

「シュウダンデ、ナグル」

 

「これだけ強力な相手だとやっぱりみんなを強化したのは正解だったなぁ。というかなんか、言葉が物騒じゃないかい???」

 

『敵』はそんなオベロンを危険視したのか複数体で行動し、距離を空けないというプログラムに変わったのか距離を凄まじい勢いで詰めてくる

 

「ちょっとーーーかわいそうかな?

 

フェアリーダスト!!」

 

オベロンの周囲に鮮やかな光の粒子が満ちる。オベロンは光を振り撒くように手を薙いだ。拡散された光の勢いはまるで津波。ともすれば災害に相対できるものなどなく、何もできないまま前方にいる『敵』は押し潰され、瞬きの合間に無力化された

 

「きゃあ!」

「なんだこいつ!!」

 

 

「おや」

 

背後では多少巨大になった『敵』が同じ受験生を徒党で襲いかかっている

 

「うーん、ちょっと面倒くさいけど。ほら、行って行って」

 

光で蝶を構成し、相手へと向かわせる

蝶は相手へとまとわりつくと徐々に光を増す。そして、輝きが限界を超えたのか、蝶は連鎖的に破裂して光を散らしていく。

その散った光一つ一つが『敵』と触れると細やかな爆発を起こし、受験者の周囲にいた『敵』達は僅かな間で物言わぬガラクタになった

 

「さんきゅー!妖精さん!!」

「助かった!!」

 

「君たちが助かったようで良かったよ!」

まあ、どうでも良かったんだけどね。ついでさ

はははとオベロンは笑い相手の掃討にかかる

 

「クラエ!」

「わぁ、危ないなぁ」

接近されれば飛んでくる拳を避け

 

「クタバレ!」

「甘い甘い」

建造物を破壊しできた落石は光の蝶で相殺し

 

「ウワアアアア」

「いやぁ、ほら…街だし」

建造物の瓦礫を即座に利用し、光の縄で一塊にまとめ上げる。タイミングを合わせ相手の上に落とし押し潰す、即席の罠を作り上げた。大量の瓦礫がそこら中に散らばっているためオベロンからしたらこの罠は作りたい放題である。一つ一つの行動の隙間に罠製作を挟むことで、瓦礫による行動範囲の減少や怪我を防ぎつつ、相手の視点を罠に固定化させる役割も果たす。

そうしてオベロンは自身の撃破ポイントを伸ばしつつも、周囲も助け士気をあげ今やオベロンのいるエリアは完全にオベロンが支配していた

 

そのオベロンといえば

 

急に動きを止めたかと思えばある一定の方向を凝視し動きを止めた

 

そうして、数分が経った頃

 

「終〜〜〜了〜〜〜!!!!!!」

 

受験は終わりを告げられた

 

「あ、オベロン君!!さっきはーー」

「ああ、ごめんね。用事は後で

先に彼のところに行かせてくれるかい?」

 

それと同時にオベロンは先ほど見続けていた方向

超巨大な仮想敵が出現し、それを吹き飛ばしてみせた少年の元まで急足で向かうのだった

 

 

 

 

仮想敵の巨大な残骸の中心にて、緑谷出久は地面に這いつくばっていた。先の試験、最後に現れた超巨大なギミックからとある少女を守らんと、まだ使い慣れてない自爆と変わらない個性をフルに使い動くことすらままならない怪我を負った

 

「(くそ…くそ…くそ…!!)」

 

激痛が意識を蝕み、脳が意識を保つことを拒否しているが、実技の結果を得れなかったその悔しさ一つで彼は意識を無くすことができなかった

そんな彼の前に少年が一人立つ。緑谷出久からしたら彼は実技試験最中でも姿は見たことがなかった。

 

「凄いね!君、いやぁ僕なんかじゃあんな敵は絶対に倒せない。もう一流のヒーローみたいな事ができる人がいるとは思わなかったなぁ!」

 

「(誰、なんだ…?)」

 

なによりも今の緑谷出久からはその姿が確認できない、断てない意識ではあるが常に朦朧であるため視界をぼやけさせているためである。

 

「だが今の君はあまりにも酷い怪我だ。だから僕から少しだけ…」

「…な…んだ?」

 

彼は緑谷出久の正面に膝をつき彼に手を添える

途端緑谷出久と彼の周りに光が満ちる

その光は穏やかで見る者全ての心に安らぎを与える。あまりの充足感にその光に包まれた者達は皆、一瞬森を幻視した。

 

「光…あた…たかぃ?」

 

「なんだこの光は…」

「凄い落ち着く、まるで森の中にいるみたい」

 

その中心で妖精のような彼は微笑を浮かべる

そうして彼から眩い光が放たれ、即座に世界の景色を塗り替えた

 

「僕にできることなんて……この程度さ。

童心の君、夏の夜の後、恋は触らず、懐かしむもの」

 

全ての人間が、暖かい森に包まれる

光が差し込むその森は周囲全てに安らぎを与えた

先ほど幻視した森が今度はそこに存在していることにすら気づけないほどに

 

そうして緑谷出久の意識はだんだんとなくなっていく

自然と痛みさえ引いて、リラックスして眠りにつくような感覚になる

そして次に目を閉じた瞬間には

 

「『彼方にかざす夢の噺(ライ・ライム・グッドフェロー)』」

 

緑谷出久は安らかに寝息を立てていた

 

 

 

 

 

「これならもう大丈夫かな!あとはーーー任せても良いかい?リカバリーガール」

「あぁ、ここまでリラクゼーション効果が高いならこの子もこれ以上痛みに苦しむ事はなく治療できるはずだね、ありがとう」

「これは自己犠牲を臆する事をなく行動した彼への労いだよ、僕も当然の事をしたまでさ。まさかもうヒーローのような事ができる人がいるとは思いもしなかったよ」

 

実際僕は驚いていた。

あの巨大さ、僕も頑張れば勝てる気がしなくもないのだが…少し躊躇う

相当な手数を踏むだろう

相当苦戦するだろう

相当めんどく…

まあ兎も角あれは0ポイント、どうせ何かしら加点があるにしろ事前にそんな情報が出てる中で迷いなく立ち向かえるのは正気の沙汰ではない

 

とんでもない自己犠牲の精神

それはヒーローに最も必要なモノ

 

「…その心は感服に値するよ」

 

ヒーローを目指す身としてはその勢い良すぎる心の在り方に関心を抱かずにはいられない

 

けれどーーー

 

普通、試験でそこまでする?そんなにボロボロになるまで犠牲にする必要、本当にある?自分を犠牲にしすぎて壊れたら意味ないでしょ。救ったヤツ、社会に消費されて終わるだけじゃないか

 

リカバリーガールへとボサボサでボロボロで寝息を立てている少年を預け

(試験終わってるし帰るか)

などと考えているとーーー

 

「今度こそ逃さないよ」

 

肩をガシッと掴まれる、ああそういえば先ほどからなんかやけに声をかけてくる女の子がいたね

世界の視点を変え、真実を見る目のせいか認識できてしまう透明で綺麗な女の子

 

「あーそうだった。やあやあ僕はオベロン、ってさっき名乗ったって?それは失礼。では美しい君、君はーーなんて名前かな?」

「葉隠透って言うんだ、好きに呼んでよ!」

「そうかい、名は体を表すというけどまさにだね。

それじゃあトオル。分からないけどなんの用事かな?」

 

「いや、さっきは助けてくれてありがとう!!

君がいなかったらきっとみんな今より辛くて痛くて厳しかったから!!」

 

「…」

 

嘘、偽り、そんなものは一つもない

曇りのない感謝

この眼がそう伝えてくる

だからこそ、滅多にないその経験になんと反応して良いのか僕自身分からなくなる。ああ、適当に話を逸らしてさっさとこの場を立ち去ろう

 

「そうかい、まあ僕としてはそんなに意識してないから気にしないでおくれよ。ライバルでもあり協力する仲間だったんだから当然のことさ!」

「でもありがとね!」

「ははは、良いってことさ。お互い受かっていると良いね!」

「うん!」

「あぁ…それじゃあ、また出会うことがあればよろしく頼むよ!」

 

「あ!待って!!連絡先交換しよ!!」

「」

 

あまりにも、透明だ。一旦の淀みもない心に何故か苦しく感じる

普段嘘にばっか晒されて汚いモノを見続けて、それに不快感を覚えている自分ですら“嘘憑き”として生きいるからか、曇りのない心による綺麗な言葉を断る術を僕は知らなかった

 

「……勿論だとも」

 

ああ厄介だ、本当に

 

まるで星のような君が苦手だ

 

 

そうして1週間後

 

 

「合格だよ。オベロン」

「あ、そうなのかい?」

 

 

僕は自宅にてオールマイトから合格を告げられた





初投稿でした。続けて書ければと思いますので、のんびりやっていきたいと思います。とりあえずライブ感で書く癖を無くせるかどうかの戦いです、ファイッ!!!
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