羽織る者、何に成る   作:かのん・まーれ

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ヒーロー基礎学、戦闘訓練!!

 

「良いじゃないか、皆

かっこいいぜ!!」

 

現在グラウンドにはコスチュームに着替えた生徒達が集っている。無論私も含めて。

周りを見渡せば一人一人の個性が溢れたコスチュームで

あいつはすごいラフだなぁ

あの子は…カエルっぽい?

あの子は、オールマイトに似てる!!

と、その子がどんな要望を通したのか、どんな個性を持っているのかをコスチュームから分かるのが面白くて、まるでファッションショーみたいだなと思う

 

「先生!」

 

多分飯田だったかな?飯田はエンジンがついていて、まるでスポーツカーやバイクみたいなコスチュームに身を包んている

どうやらここは入試に使った場所で、またあの市街地演習を行うのか質問している。確かにあの試験の時にここ使ったなぁとぼんやりと思い返す

 

「いいや!もうニ歩先に踏み込む!

屋内での対人戦闘訓練さ!!」

 

私たちは普段、ヒーローの活躍を屋外でしか見ない。

しかし真に賢しい敵こそ、屋内に潜み、このヒーロー飽和社会で凶悪な犯罪を起こしているらしい。

ゆえに、今回はそれを模して私たちにも屋内の戦闘をやってもらうというわけだ。

 

2vs2で

 

「基礎訓練もなしに?」

「その基礎を知るための実践さ!」

 

正直訓練なしだと怖い部分がある。ここにいる生徒のほとんどがそうだと思うけど、個性によるけれど、自分の個性を人に向けて使うなんてことは人生において少ない。いや、ないと言ってもいい。

 

私の個性も、人に向けてはとてもじゃないけど使えない

『酸』はとても危険なものなんて小学生の教科書でも載っている。だから少し不安だなぁと思う

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ブッ飛ばしてもいいんスか」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

「水飲んでいいかい?」

 

「んんん〜〜〜聖徳太子ィィ!!」

 

生徒達からの多種の質問、その攻めの勢いにオールマイトは天を仰ぎ聖徳太子の名を叫ぶ。まあ聞き取れないよね、多いもん。

…というか1人授業に関係ないこと言ってなかった?

 

で、質問の答えとしては

この訓練の設定は敵が核兵器をアジトに隠していて

ヒーローはそれを処理しようとアジトに突入

だから、敵側は制限時間内にヒーローを捕まえるか、核兵器を守り抜く

ヒーローは、敵を捕まえるか、核兵器を回収することが勝敗の条件だそうだ。

ペアを決めるのはくじ引きで、現場だと急増チームアップも多いしそれが意図じゃない?と緑谷が付け加えていた。

 

「いいよ早くやろ!!」

 

とオールマイトがくじ引きの箱を手渡してきたのが早速引いていこうと思う。

…出来れば、強そうな人が相手は嫌だから一生に戦ってくれると嬉しいなぁと考えながら…

 

 

 

「おや、君と一緒か。よろしくね、ミナ」

「よろしく!!!!」

 

勝ち確定演出が私の前に立っていた。

Eグループを引いた私はオベロンと一緒のグループになった。

 

「一緒になること多いなぁ、もしかしたら僕たちは気が合うのかもしれないね」

「ね!がんばろう!!」

 

そういえばオベロンの衣装はさっき見てなかったなあと思い見てみれば、良い意味でこの空間に馴染んでいなくて異彩を放っている。オベロン自身が雪のような白さを持っているのに、真っ白なマントを羽織って、真っ白な衣装に身を包んでいるせいで童話の王子か?と錯覚してしまう。

靡いたマントの裏側はまるで星のように見えて目を奪われてしまう

 

「…オベロンのコスチュームなんか凄いね」

「そうかい?…まあ皆と比べると個性と合わせたものでもないから個性を強化する、なんて機能は付いていないけど

似合っているだろう?」

「うん、似合いすぎ。多分この世でオベロン以外に着こなせる人いないよ、それ」

「まあ、これ僕の個性で作ったものだし」

 

パチン、と指を鳴らすとオベロンのコスチュームが変わる

今度は青いマントを羽織って、古い王家のような衣装に身を包んだ。さっきよりも王子感が強く、蝶の羽も見えるから妖精の王子様、という印象に変わる

なんだコイツ…個性で作れるのずるいぞ…

オベロンはもう一度指を鳴らし、先ほどの白いコスチュームに戻った

 

「まあ、僕の衣装なんてどうでも良いさ

それより君さ。踊り…かな?

良い意味でラフで、すごく活発的な印象だ。ダンサーみたいで、とても似合っているよ」

「でしょ!!!ありがと!」

 

オベロンからコスチュームの激褒めをいただいたのでグッと親指を立てて感謝を伝えておいた。いつものようにオベロンは笑いながら、指で視線をオールマイトの方へ誘導してくれている。どうやら次はヒーローと敵のくじ引きを行うみたいだ。

 

「オベロン!」

「ん、なんだい?」

 

どんな奴が来ても

 

「勝とうね!」

「…勿論さ!」

 

負ける気はしない!!

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

いま、最初の試合が終了した。

結果はAコンビの緑谷と麗日の勝ちで、Dコンビの爆豪と飯田の負けだった。戦闘後のビルはひどく崩壊していて、それを見ればどれほどの戦闘が行われたのかを想像するのは容易い。勝利したAコンビは緑谷が重傷で麗日は個性の影響なのか、気持ち悪そうにその場に伏せている。勝者と敗者の状態がまるで逆、試合を見たものはそんな感想を抱かずにはいられなかった。

 

結果の総評としては

 

「今戦のベストは飯田少年だけどな!!!」

 

とオールマイトは語った。

理由は八百万、曰く。

・飯田が核の争奪を想定し、相手への対策をこなしたから

・爆豪は私怨丸出しの攻撃、そして屋内での大規模攻撃

・緑谷も同じ、大規模攻撃を行っていた

・麗日は気が緩んでいたり、最後の攻撃が乱暴であったこと

 

と、すれば唯一核の争奪に尽力していた飯田がMVPであることは当然であり、Aコンビの勝ちは「訓練」だという甘えから生じた反則だという。

オールマイトもそれに納得しているため、親指を立てて「正解」と呟いた

 

 

「さすが推薦入学者らしい、かったい意見だぁ!正解するのは嬉しいねー」

 

と、オベロンも拍手をしている。

パチパチ、パチパチと空っぽのように聞こえるその拍手がクラスメイトたちの耳に酷く残る

 

「でも勝ちは勝ちさ。僕は迷わず2人に賞賛を送るよ」

「その勝ちが、反則のようなものでも?」

「本当に反則だと思うかい?」

 

キッと見つめる八百万はオベロンを睨むも、オベロンは笑顔のまま

オールマイトはそんな2人への対応に戸惑いながらも

 

「では君の総評を聞きたい、少年」

 

とオベロンに問いかけた、一つため息を入れてオベロンは話を続ける

 

「敵の敗北は『甘え』ではなく、ヒーロー側が正しく連絡を取り合っていた事だ。簡単に言えば、情報戦を制したから勝てたのさ」

 

「君も情報がいかに大事かは分かるだろう?相手の個性は何かとかね」

「ええ、情報によっては盤面を大きく動かし、相手を追い詰めるのも容易になります」

 

オベロンは「そうだね」と頷いて肯定する

 

「彼らは絶え間なく情報を共有していた。イズクに至っては攻撃されてる最中にも、だ。共有していたのは、核の位置、自分達の立ち位置、攻撃のタイミング…これで間違いないかい?」

「う、うん。デク君から今どこにいるのかとか無線でもらって、何をすべきかを考えて共有してたよ」

 

麗日もオベロンからの問いかけに頷いて肯定する

本来は聞こえていない無線の内容を違わず当てるオベロンに、自分達の戦いの内容を把握し、評価されていたことに驚き、それを上回る嬉しさを覚えていた

 

「…聞くのは酷だけどエンジン君」

「俺のことか…!?」

「君、共有できた情報…なにかある?」

 

飯田からの肯定は、なかった。視線を落として首を振る

情報が正しく共有されたものと、されなかったもの

 

「分かるかい、これが勝利したものと敗北したものの差だ」

 

あまりにもその差はでかいと八百万も目を伏せるように、認める

話を聞いているだけの他の生徒、オールマイトでさえ、そこに付け加える意見も、ましてや反論もない

 

オベロンに笑みはない

ただ淡々と事を話しているだけで、そこに何の感情もありはしない

 

「核の争奪を想定してたから対応が遅れた?

違う。彼らが何をするかを悟れなかったから、対応が遅れたからだ

そこに反則も何もない。純然たる彼らの勝利だ」

 

「では何をすべきだったか」

 

まずは、と視線をオベロンの視線は飯田へと送られる

 

「エンジン君は、核を持って逃げるべきだったんだ。あの状況になったら迷わず引く、いや…逆に近づいて取り押さえる。身動きを取れなくするのも良いね。

ーーーただ、味方と連絡が取れないのは痛手だったね。それさえなければ君は判断を間違える事はなかったはずだ。『きっと、彼らの行動には意図がある』と至っただろうね」

 

「爆発君は私怨を抑えるべき…とも言えない。あの私怨丸出しの破壊力ある一撃でヒーローを倒していたらその時点でアドバンテージだ。奇襲としては倒せなかった事以外は非の打ち所がない。

やるべきは周囲を確認する事と無線に耳を傾ける事だった。多分だけど君、短気に見えて周囲への警戒も怠らないだろ、普段は。

なら、君が指示を出せば圧勝だったはずだ」

 

「オチャコは、確かに緊張感を持っていなかったね。一番『あくまでも訓練』という意識が強いのも君だった。勝ったから良かっただけで、乱暴な攻撃であったのは否定できない。しかし、イズクの指示をよく聞いて、行動に起こしたことは評価できる。もしかして、実技試験でもこういうことあったのかい?」

 

「イズクは最も脅威になりうる敵のヘイトを1人で受け続けた。そこに関係性が元からあったとはいえ、あの爆発を一人で受け続けるのは正気じゃないよ、良い意味で。

そして、その中で指示を怠らなかったのは自分と味方なら何ができるかと何をすべきかを把握していた事に他ならない

…ただ、自分の出来ることの限界値は知っておくべきだったね。本番なら倒れたイズクは核を回収した代わりの人質になる、倒れてはいけなかった」

 

「これが僕からの総評だ」

 

「ああ、それと勘違いしないでくれ。僕は賞賛を送ると言っているだけだ。君の意見は間違っていない。ガッチリと型にはめられたこの『訓練』では間違いなく彼がMVPだ。限られた行動制限の中でよくやったと思える。それはオールマイトも同意してるし、正しいよ」

 

「ただ」

 

「そもそも、僕はこの『訓練』が評価できるものか、公平性があるのかどうかに疑問がある。敵が制限された動きしか許されないこと以外にも、基礎を正しく知るための授業で力を抑えて戦わなければならないなんて馬鹿げた話さ。

だから、こんな中途半端な『訓練』って意味ある?って考えるけどね」

 

オベロンの視線の先で大男がビクッと肩を振るわせる

気まずくなったのか、視線を逸らされたのを確認して、オベロンは溜息をつく。

 

「それに、敵って最終的に見境なくなるだろ?

僕が本物の敵で捕まえられそうになったらその核、市街地だろうが何だろうが爆発させるけどね」

 

実際に存在する敵がそういう存在で、見境のない事が事実だったとしても、自分達では決して思い浮かばなかったその考えにあっさりと辿り着いて、「相手は当たり前にそうしてくるよ?」と当然のように笑顔で発言するオベロンに全員が冷やり、と暗さを感じた

 

 

「まあ、今回の授業でルールが敷かれてる以上、僕もそれには従うけどね」

 

そして改めてオベロンは拍手を八百万は送った。

パチパチ、パチパチと鳴るそのオベロンの拍手。賞賛には聞こえないその音が八百万の頭の中を反響していた。

それでもオベロンは普通に笑って、次へと促す

今までのことがなかったように何も気にせず当たり前のように

 

「さ、急がないと授業が間に合わなくなるよ!」

 

「(…怒ってる…!!今度から、授業するときは他の先生方にしっかり相談してから内容を組もう…!!!)」

 

息子からの鋭利すぎる棘が生えまくった発言にオールマイトは震えていた

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ねえ、オベロン」

「どうしたんだい…というのは聞かなくても分かるね。

なぜ、僕があんな発言をしたか、だろう?」

 

うん、と私は頷く。

私達は次に戦闘訓練を行うグループに選ばれて、現在建物の核爆弾が置いてある部屋へ向かっていた。

その途中で私はどうしてもオベロンの先程の発言がどうしても気になった。内容ではなく、なんで話したのか

そんな私を見て、オベロンは話を進める

 

「そもそもおかしいのさ、『訓練』が」

「…どういうこと?」

「…彼女、誰だっけ?

ま、良いか。彼女の発言聞いた時、確かに、と思っただろう?」

「う、うん」

 

爆豪が私怨を出して役割を放棄してたーーーなるほど

緑谷は被害が大きい攻撃を出していたーーーそれは

麗日は核爆弾がある状態ではしない方がいい攻撃をした

 

ーーー確かにそうだ

 

そう、全てに納得した。そして飯田がベストな行動を取っていたことに疑いもしなかった。

だって、『訓練』に一番忠実に励んで、役割を果たしたんだから

 

それに、オベロンは では と投げかける

 

「なんでそれがベストなんだ?」

「え?」

 

「敵は常に守ってばかりだ」

 

蝶がヒラリと舞う

 

「敵は建物に籠るだけだ」

 

また蝶が舞う

 

「ヒーローに恨みなんて敵は持たない」

 

また蝶が舞って

 

「それが現実にいる、敵の正体だと、君は納得するかい?」

「ニュースで見たことはないかい?あるヒーローが憎いからと事件をわざと起こす敵を。途端に動きを変えて人質を価値のないものに変える敵を」

 

…ある。そんなニュース沢山、本当に沢山見てきた。

 

オベロンは拳を握りしめる

 

「そう、そんな事はない。敵は自由だよ、どこまでも」

 

宙を舞う蝶のその全てが破裂して散った。

 

「では、なんで敵が『訓練』のルールに則った行動しかとっていないんだ?」

「それは…『訓練』だから」

「…そこなのさ、改めるべき認識は。

ルール無用が敵なんだ。仮に演習でも敵にルールを与える必要はない

敵が何をしてくるか分からない、それに対応しなければならないのがヒーローだ」

 

確かにと自然と頷く

 

 

「オールマイトも優しく教えたいと思ったから今回この形式を取ったんだろうけど、僕はこの形式を意味がないものと考えるよ」

 

「相澤も恐らくは僕と同じ考えを持つはずだ、彼ならこの訓練はしない。

もっと敵側に自由を与えられるように、ビルだけではなくて広いエリアで行うはずだ。それこそ、この市街地全域…とかね?」

 

ここは狭すぎるとオベロンはため息をついて首を振る

 

「今ヒーロー達が血を流して戦っている敵はもっと自由だ。

どこまでも、気持ち悪いくらいに。なら、訓練と称するからにはそこを重視するべきだったんだ。そうしないと、僕らはきっと立ち向かう力を得られない」

 

「(…そっか)」

 

オベロンがここまで話して納得したことがある。オベロンは実際事件が起きたらどうなるか、という現実を見ている。

敵がもっと凶悪で狡猾だから犯罪が起きてるって、ちゃんと重く見ているからわざとあんな言い方で話してたんだ。

おそらく、うん。そしたら、分かるもん。納得がいく

 

 

…八百万に対して、追い詰めるように一つ一つ丁寧に、相手の論を折るようにする言い方はすっごく捻くれてたかもしれないけれど一つ分かったことがある

 

「…こんな話は、彼女にもあんな言い方でするべきではなかった。悪いとは思っている、すまないね。」

「…それにまあ事実、彼女の言い分は正しい。核を爆破させたのがイズクやオチャコだった可能性だってあったさ。他にも慎重派の敵だったら…とかね?」

 

「うん…オベロンってさ」

 

「うん?」

 

「めちゃくちゃ真面目なんだね」

 

「…」

 

オベロンが固まった。笑みを崩さず、マイペースに掴みどころなく振る舞うオベロンが、ピタッと。そして表情は崩れ、目線はそれて頬がすこし赤くなる。

 

「…参ったなぁ、真面目キャラで売るつもりはないんだけど」

 

たった2日、まだそれぐらいしか一緒に過ごしていないのに。オベロンは普段そんな様子を見せないってことが分かってしまう。だから今の照れた様子がなんか可笑しくて

 

「あはははは!!オベロンそんな風になるんだね!」

「…そんなに可笑しいかい?僕が照れるの。まあ、笑ってくれるだけ良いけれど」

 

頬を掻いて目を逸らす姿も可笑しくて笑ってしまった

 

……

……………

……

 

そうしてようやく私たちは指定の部屋に着く

 

「さて、改めて確認だ。ミナ、君の個性は昨日話してもらった通り『酸』で溶解液を出すことが得意で間違いはないかい?」

「うん、合ってるよ。強さは調節できるけど…ちょっと危険かも」

「わかった、そこは配慮しよう。では、僕の個性だ。この前教えた通り、僕の個性は光に似たモノで物質を構成する、あるいは僕や周囲の人の身体能力を強化する魔術のような個性」

「そうだね」

「では、相手だ。僕らは彼らの個性をあまり知らないが

赤白の彼は個性把握テストの時は主に使用していたのは氷だが、火も扱う。

だから氷と火の両方を操る個性だと僕は考える、非常に強力だ」

「よく見てるね…強力だ…!」

「もう1人は手が沢山生えていたね、それ以外は不明だ。まるでタコさんだ。生やすことができるのが手だけ、だと思わない方がいいかもしれない」

「私たちはその2人から守りきらないといけないんだ…」

 

どういう感じになるのだろうか

オベロンが前衛で敵を抑え、私が核を守る…?

それともオベロンが核を守って私が前を…?

 

いや、それだとバランスが悪い

なら私とオベロン両者で前に出た方がーーー

 

「ちなみに僕は基本戦わない」

「なるほど」

 

ーーーん?戦わない?

TATAKWANAI=戦わない

彼は戦わないと言っている

つまり、Don't fight

なるほど…

 

「なんで!!?」

 

その言葉に困惑が隠せない。この部屋を守る必要があるのは理解している。ただ自分でも「敵は自由」って言ってなかっただろうか。それなのに自分は戦わないという発言。それつまり守らないってことじゃない????

オベロンの一転してまた一転する発言の真意を私の頭は読み取れず、ついていけそうになくてオーバーヒートしてしまいそうになる。

 

「さっきと言ってること違うじゃん!?制限がどーたらとかさ!!」

「それはそれ、これはこれだ。僕は今回はルールに従うと決めたけど、僕がメインで頑張るとね、僕だけで終わってしまう。

今の僕はA組全員でかかってきても僕の方が強い」

「うわ、すっごい自信」

「残念だけど事実だ。君は自分の実力を知らないままこの授業を終えるけど、それは嫌だろう?」

「あ、うん。やだ」

 

せっかくペア組んでの訓練が、私は要りませんでした。なんてことは冗談でも合って欲しくはない。無論オベロンがやろうと思えばそれが出来るのは想像できるけれど、役に立てるなら立ちたい、協力したいのだ。無力なのはごめんだ

 

「だから君がメインで動いてもらう。その間、僕は君へ指示や援護をする、君があのヒーロー2人を捕らえて、僕らは完全勝利するんだ」

 

やれるかい?とこちらを見つめる

轟、氷と炎を操るなんて凄いなぁと思うし、障子はすっごい握力で手が沢山あるのは厄介だ。どうにかなるかは分からない、でも真面目な彼が完全勝利と言っているなら

 

「やれるよ!!」

 

完全勝利以外の道はないんだろうね!!

 

「…まあ作戦は立ててないんだけど…意外と厄介だよね。あの2人」

「…ちゃんとしてよ?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

モニターにそれぞれのチームとビルの内部が映し出される。

ビルの前に立つ轟、障子のBチーム

核爆弾の前で並ぶオベロン、芦戸のEチーム

それぞれのチームに今クラスメイトが注目すべき生徒がいる、そのせいか現場だけでなく、このモニタールームでさえ緊迫感が走っている

 

 

「ついにあのオベロンの戦闘が見れんのか…」

「把握テストでも凄かったけど、実技の時どうだったの?」

「凄かったよ、あの日オベロン君の周囲にいた人で怪我をした人1人もいないし。そもそも、皆それぞれ色んなエリアに別れて試験受けたでしょ?オベロン君1人でエリア制圧してたよ」

「…マジかよ」

 

「それに対しては、推薦入学の轟か…」

「轟はどうだったの?八百万…さん?」

 

「え、ええ。轟さんは…そうですね。凄まじいの一言に尽きますわ。私たちの実技では恐らく皆さんと内容が違うのですが…それでも氷の出力が、とても学生で出せる力ではなくて…あのビル一つ飲み込んでしまえるほどです」

 

「やべえな!?」

「じゃあ轟か…?」

「いや、オベロンも何するか分かんねえぞ…」

 

それぞれの話で分かる、2人の強さ。

恐らくどちらも学生で収まる強さではなく、プロヒーローに匹敵する強さ。あまりに強大な個性のぶつかり合いを見ることになる彼らの興奮は止みそうにない

 

 

その最中、オールマイトは八百万に声をかける

オベロンの先程の発言、それを聞いてから何かをひたすらに考え、思い詰め、視線を落とす彼女を教師としてプロヒーローとして放ってはおけなかった。

 

「…八百万君、先ほどの彼の発言だが…」

「ええ、分かっています。私も考えが及んでいないところがあったのは事実です。彼の話を聞いて、確かにと思う部分も多くありました。だからしっかりと見ますわ。あのように語った彼が何が出来るか、その強さを」

「そうか、君は強いな」

「いいえ、当然の事です」

 

彼女は認識を改めて、オベロンの考えを認めていた

その彼女の心強さにオールマイトも笑みを浮かべる

心配はなかったのだと、安堵し再びモニターへと視線を戻した

 

「(というかどちらかというと…あれは私へのアドバイス…か)」

 

あと数秒で戦闘が始まる

 

本人達を超えて見ている者達の緊張感が頂点へと達する

誰かが喉を鳴らす、飲み込む

拳を握りしめる

 

そして

 

屋内対人戦闘訓練第二戦が

 

 

「(…さあ、見せてみろ、オベロン。今の君の強さを…!!)」

 

 

開始された

 

 

ーーーそして、わずか数秒、凄まじい冷気によって

ビルの全てが氷漬けにされる。今も尚、メキメキと軋む音を立てて、ビルを更に包み、ビルごと巨大な氷塊へと姿を変えていく

あまりにも早く、あまりにも強い。圧倒的な力によって変化を遂げた、市街地ではありえない光景に目を疑うことしかできない。

 

「な…!?」

「やばっ…!」

 

「これは…」

「轟さんの…?!」

 

勝ち…!!?

 

あまりにも強力な個性に「反則」だと心の中で一同は思う

 

全てを凍らせては、出来ることなどもうない

抵抗など出来るはずがない、オベロン達が体力を奪われていく中で、轟達はゆっくりとビルに入り核を回収、あるいは敵を捕えるだけでこの戦闘は終わる。轟の勝利を一同が確信した

 

だが、モニターに映る真っ白な妖精の口が

嘲笑するように三日月に歪む

まるで「そんなもの?」と告げているようだ

途端氷が内側から強烈な光放ち、爆散。凄まじい音を立てて巨大な氷塊は崩落していく。その爆発の振動はモニタールームにさえ伝わる程で、威力の凄まじさを視覚だけでなく肌で感じさせた

 

「っ!うおおおお!?」

「氷が全部割れた!!」

 

ビルを注視すれば淡い光に包まれている

それは外側だけではなく、内部含めて全て

オベロンの話を聞いていたものはここで理解した

 

「おい見ろ!?ビルの周りにやべえ量の光が集まってんぞ!?」

「いや、中もだ。床も全部光でコーティングされてやがる!!」

「あんな爆発が起きてビルが壊れてないなんてどんな力だよ…」

 

その光の全て、オベロンの力によってまとっていたものであると。だからこそ光を弾けさせ氷を砕く事も容易、そもそも氷をビルに触れさせないようにする事もすら出来る

 

再び一同は思う。「反則」だと

それを見てオールマイトはつい口角を上げた

 

「(…性格悪すぎるだろう、君)」

 

それは

 

「ビルを凍らせるなんて無駄な事やめたら?」

 

と今もモニターの向こうで笑うオベロンからの挑発に他ならない

氷は全て砕け散った、再び冷却が始まり氷が張られようとも再度、粉々に。学生らしからぬ、常識はずれの力は常識はずれの力によって無力へと捩じ伏せられた。

 

反則vs反則はオベロンの勝ち、なら次の勝者は誰になるだろうか

モニタールームの熱気も上昇していく

 

「…本当に学生同士の戦いかよ…将来安泰すぎるぜ…!!有精卵共!!」

 

 

 

ビルの入り口で2人は立ち止まる

ビルの最上階で2人は笑う

 

「ーーーやりやがったな」

「やっぱりやってきたね」

 

片や、悩み

片や、笑う

 

「どうする、轟」

「じゃ、行ってくるね!」

 

そしてお互い、前を向いて

 

「2人まとめて捕まえるしかねえだろ」

「ああ、僕らの勝利を始めよう!」

 

ここに戦いが始まった

 

B vs E Start!!!!

 

 




BGMは
邪竜百年戦争オルレアン

永久凍土帝国アナスタシア or 妖精たち

妖精たち 

永続狂気帝国セプテム
のイメージ…?

FGOのBGMとヒロアカ合わなすぎて笑ってます。ヒロアカはどちらかといえば現実に近いからファンタジー要素をBGMも強く持っているFGOとはマッチしにくい…のかな
まあ、もっと細かく話を区切れば合わせやすいんでしょうけどね。それこそFGOみたいに
…楽曲コードって載せるべきですかね、タイトルだけなんですけど


ちなみに
オベロンがキレたのは、訓練があまりにも中途半端かつ
イズクがめちゃくちゃな怪我を負ったため
実戦想定されてるとか言って、全く実戦に近いものじゃないことに追加して、そんなんだから生徒が大怪我してんだぞっていう2種類のポカでイライラしてました。

まあ怒ったといってもマジで怒ってるわけではなく
新米教師なんだからしっかりと他の教師と相談するべきだろ?
なんでしてないんだい?

っていうか軽ーいもの

あと白オベロンならきっと口挟んで余計なこと言いまくるんだろうなっていう自分の頭の中にいるオベロンエミュによるものです。解釈違いならすみません。ちなみに、黒オベロンは無視します。

八百万に対しては特に何も思っていないですね
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