邪神はIS世界で嗤う 作:ラウラペロペロ部部長
俺のことを語るならどこから語るべきか。そう聞かれたら間違いなく俺はこう言う。
生まれから頼む……ってな?
と言う訳で、俺の生まれから語ろうじゃないか。
俺の生まれはアスガルド……アスガルドって言ってもお前ら地球人の知ってる
ちなみにアースガルズは俺達のアスガルドがモデルらしい。世間って狭いな。
さて、続けよう。俺はアスガルドで王族のロキって名前の奴の子供として生まれた。生憎母親は見た事が無いから分からねぇ。もしかしたら拾い子だったのかもしれん。
そんな無かったことにされそうな生まれの俺だが、以外にもマトモに育てられてな。叔父と遊んだり親父と遊んだり爺さんと遊んだり……まぁ、ミッドガルド――地球の人間の幼少期みたいに過ごした。
ちょっと、パワフルだったけどな。
そんで今から……大体1000年前かついさっきにちょっと戦争を起こしかけてな。そしたら爺ちゃんがブチギレちゃって俺と叔父がミッdじゃねぇ地球に追放されちゃってなぁ。
しかもその時に量子空間やらなんやらの異常で俺だけ過去に飛ばされちったの。そう、タイムスリップしたんだよ……ドラえもん? ……まぁ、そう言うことだな、うん。
そう、ついさっきなのさ。多分今頃俺は量子空間に入っちまっただろうな。そしてその俺が1000年間神様やって今の俺になる訳だ。面白いだろ?
んで、知っての通り俺が墜落したのが日本――列島だった。まだ日本って名前じゃなかったんだよなぁ、あの頃は。
そんでまぁ、幸いにもムジョルニア――ほら、本殿に奉られてるハンマーがあるだろ? あれがあったから何とかはなるかなぁって感じで人間を手助けしたり貶めたりしてたんだよ。ほら、俺ってトリックスターの息子だし?
そんな感じで好き勝手やってたら神としてお前の先祖に奉られちゃってな。祀られちゃったからには……もう、ね?
そこからは供物とか捧げられたら雨降らせてやったり、戦争の時に敵を吹き飛ばしてやったり……生贄を差し出された時は発案者を吹き飛ばしたりしたっけな。
てな感じで俺はこうやってお前ら一族に奉られて、ここら一帯を見守ってるってワケ。分かったか?
「ん~……わかんない!」
ははっ、そうだろうな。こんなガキに言ったって分かるはずがねぇか。
「箒ちゃ~ん! ごはんよ~!」
「あ! ママがよんでるからかえるね! ばいばいカミさまー!!」
おう、じゃあな。
トテトテと走り去っていく巫女を見ながら寝転がる。屋根の上でする昼寝ほど気持ちが良いものは無いな。
「はぁ……やっぱ脳内に語り掛けるのは疲れるな」
別にそんなことしなくたって良いが……雰囲気は大事だからな。神様が舐められちゃいけねえ。
いよっこらせと起き上がれば、先程まで居た屋根の上から何やらメカメカしい部屋の中だ。アスガルドの足元にも及ばないが、地球の中だと間違いなく数世代先を行く技術であふれている。
そんな部屋のさらに数世代先を行く技術の結晶であろう純白の人型を撫でながら、俺は呟く。
「……これから、世界はどうなるんだろうなぁ」
1000年間で垣間見た
まるで世界観が違う。例えるなら、俺の言うマルチバースとは根本から違う世界に無理矢理アスガルドを組み込んで、無理矢理マルチバースにぶち込んだかのように歪な世界。
そんな歪な世界であるが故に面白い。
「あぁ、本当に……本当に楽しみで仕方がない」
人類を待ち受ける数々の苦難を想像して愉悦する。北欧のトリックスターと呼ばれる親父の特性は生憎十分引き継いでいる。これから世界がどう面白おかしく転がり落ちていくのかを想像するだけで……堪らない。
「まずはこの万能機械を改悪するとしよう」
慣性を無効化し、圧倒的な防御性能を誇り、そのエネルギーから非常に暴力的な武装を装備する。そして、適正さえあれば
「そんなの、つまんねぇよなァ?」
人類という種を上に押し上げるのは平等で安定した技術ではなく、不平等で不安定で争いの火種となる技術だ。1000年もの間この土地から世界を見通した俺が言うのだから間違いはない。
適当にサイコロを創り出して空中に放る。くるりくるりと空中で回ったサイコロが、カツンという音を鳴らして床に落ちた。
サイコロで上面となった文字を見て、俺は作業を始めた。
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「あれ、なんだろうこれ」
自身のラボの中に落ちていた見知らぬサイコロを見て束は呟く。サイコロなんてアナログなものよりも乱数を使ったほうが良いと思っている彼女が自分のラボにサイコロを持ち込むはずがない。
故に、束は不思議に思ってサイコロを拾い上げる。
「”女”と”男”?」
本来のサイコロとは違い、女と男と書かれた面がそれぞれ3つずつあるソレ。逆に言えばそれ以外は何の変哲もない至って普通のサイコロだ。
「……いつの間にこんなところに?」
誰か侵入でもしたのだろうかと考えたところで、プツンと思考が一瞬途切れてこのサイコロはただのゴミだと束は認識してゴミ箱に放り投げる。
すでに、それが完全に自身の発明品とは言えなくなっていることにも気付かずに。
この星の森羅万象を手中に収め、全ての元凶となった邪神は嗤う。これからこの世界がどう転がり落ちるのかを考え、しかし知ろうとはせずにいつものように自身を祀る社の屋根で寝転がる。
「カミさま~! きょうもおはなしして~!」
『しゃあねぇなァ。今日は応仁の乱の話をしてやらァ!』
それはそうとして、気に入った者には優しくするのも邪神の嗜みである。