推しの子 in SAGA   作:片倉の推しの子Bです

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あけましておめでとうございます。
続きを昨年中に出せると言っておいて、遅れてしまいすみません。

皆さんは推し活できてますか?
私はコミケで推しの子本を買い漁り、ドンキで推し袋を購入したりしました。

誤字報告、それと感想ありがとうございます。
引き続き今年も書いていきますのでよろしくお願いします!


第十五話 だってゾンビメンタル SAGA 後編

 

「あ、ここです。この部屋です」

 

呼んだ男を部屋に入れ、俺も中に入って鍵を閉める。

 

「すみません、手狭な部屋で。変更点自体は大したものじゃないんですが、守秘義務もありますし他の方に聞かれるわけにもいかないので・・・」

 

「いえ、お構いなく」

 

 

「ありがとうございます。では手短に」

 

 

 

 

「───お前が巽幸太郎だな?」

 

 

 

確信を持ってその名前を告げる。

目の前の男はサングラスを掛けているため、表情はよくわからない。だがその口元が一瞬動いたように見えた。

やはり、こいつが巽幸太郎か。

 

「お前は誰だ?」

 

巽幸太郎が俺の質問に質問を返してくる。

こいつ、舌戦に慣れてるな。会話の主導権を俺に握らせないつもりか。・・・そうはさせるか。

 

「誰でもいい。俺の質問にだけ答えろ」

 

「答えなければどうする?」

 

「その時はお前達の秘密を世間に暴露する。フランシュシュのメンバーが全員ゾンビという事をだ」

 

ゾンビという単語を聞いても巽幸太郎の表情に変化は見えない。

だが俺はアイがゾンビである事を知っている。

 

「正直に答えろ。お前は彼女らをゾンビにして蘇らせ、一体何をしようとしている?」

 

「・・・この佐賀を救う。俺の目的はそれだけじゃい」

 

「ふざけるな。本当のことを言わないのなら秘密を暴露する。・・・俺は出版社に知り合いがいる。俺が止めなければ今夜には写真と一緒に記事が出回ることになるぞ」

 

「ふんっ、信じなければそれでもいい。だが俺の目的は佐賀を救うこと。それ以外の答えはない」

 

「正直に言え。でないと・・・」

 

「秘密を暴露する、か?・・・勝手にするがいい。所詮、彼女らがゾンビだと公表したところで誰も信じはしない。せいぜいお前の頭が正気か疑われるくらいだろう」

 

「・・・」

 

俺は無言でスマホを取り出すと画面を操作する。

そこに保存されている一つの動画ファイルを開くと、巽幸太郎に見えるように画面を向けた。

 

「そうか、ならこっちはどうだ?」

 

再生ボタンを押すと動画が流れ始める。

 

そこには一台の車が銀髪の少女を轢くシーンが流れていた。

 

「あ」

 

「この動画はお前達が住んでいる洋館の前で今日撮られたものだ。この車の運転手、お前の顔にそっくりのように見えるが・・・?」

 

巽幸太郎が滝のような汗を流している。ご丁寧に下手くそな口笛まで・・・。

動揺している・・・のか?だがこのあからさまな態度、鵜呑みにするのも危険か・・・。

 

 

「フランシュシュのマネージャー・・・プロデューサーだったか?お前自身の不祥事が明るみに出れば、フランシュシュの活動自体に影響が出る。それくらい、お前にもわかるはずだ」

 

「・・・」

 

「もう一度聞く。彼女らを・・・アイを蘇らせ、何をしようとしている?」

 

巽幸太郎はしばらく無言だったが、諦めたのか、口を開いた。

 

「・・・さっきも言ったはずだ。俺の目的はただ一つ。この佐賀を救うこと。それだけだ」

 

「ふざけるのも大概に・・・」

 

「ふざけてなどいない。佐賀は現在、滅びの一途を辿っている。もう既に目に見えないところで影響は出ている。頻発する電波障害。佐賀に関するインプレッションは増えづらく、SNSに投稿した佐賀関連の呟きはすぐに埋もれ、バズることはない・・・。今や佐賀はこの世界から忘れられつつあるんだよ」

 

巽幸太郎の口調からは嘘をついているとは思えない。

だが、言ってる事はとてもじゃないが理解し難いものだった。

 

「仮に・・・そうだとして、なぜアイドルなんだ?なぜアイドル活動が佐賀を救うことになる?」

 

「いずれアイドルとして、彼女らは世界中から注目される事になる。その時、佐賀もまた彼女らの発祥の地として、再び世界から注目される事になるだろう」

 

現実的じゃ無さすぎる。本気で言ってるのか?

こいつの言ってる事は荒唐無稽にしか思えない。

 

 

「そんなイかれた計画のためにアイを・・・、死人を蘇らせ利用しようとしているのか・・・?ふざけるな!彼女はお前のおもちゃじゃない!お前は神にでもなったつもりか!?」

 

「神でも悪魔でもない。俺は伝説のアイドルプロデューサー、巽幸太郎様じゃい。・・・だいたいそれを言うならふざけているのはお前だろう、星野アクアマリン」

 

「!?」

 

俺の名前・・・いつの間に!?

 

「・・・いや、この場合、ふざけているのはお前の名前の事ではない」

 

「・・・ああ」

 

「・・・」

「・・・」

 

なんだこれ。

仕切り直しと言わんばかりに巽幸太郎が咳払いをする。

 

「・・・俺はお前とアイの秘密を知っている」

 

俺とアイの秘密・・・まさかこいつ、俺とルビーがアイの子供である事を知っているのか・・・?

アイが話した?そこまでこいつを信用しているのか?

 

「その上で問おう。何故お前はアイのアイドル活動を否定する?」

 

「・・・ゾンビがアイドルになるなんて無理に決まっているからだ。何かの拍子でゾンビがバレたらどうする?アイドルの素顔が生気のない青白い色をしていたら百年の恋も冷めるだろうな」

 

「確かにあいつらのアイドル活動には障害が多い。だが、その為のフランシュシュ。その為のユニットだ。あいつらは一人ではただのゾンビに過ぎないがそれは一人の話。仲間と助け合う事でフランシュシュは互いを補い合い、成長していく」

 

「なら、彼女達の心情を考えた事はあるのか?・・・アイはファンに刺されて死んだ。そんなアイをファンの前にまた立たせるなんて、アイの心情を考えれば酷い話だとは思わないのか?」

 

「あいつらがゾンビである以上、自身の死因からは逃れられない。だがフランシュシュは、決して仲間を見捨てない。仲間が挫けそうな時は必ず手を差し伸べる。あいつらなら必ず乗り越えると俺は信じている」

 

巽幸太郎は俺の質問に一切の澱みなく答えていく。

サングラス越しに俺を見る瞳にも一切の迷いは感じられない。

フランシュシュへの揺るぎない自信と信頼。

それほどまでにこいつは、フランシュシュならば自分の目的を成し遂げられると信じているのか。

 

「何故お前はアイを信じられない?」

 

巽幸太郎が再び俺に質問を投げかける。

 

「お前はアイの子供だろう。血を分けた親子ならば、母親を信じてみようと思わないのか?」

 

「・・・お前にはわからない。彼女を、アイを失った時の俺の気持ちは」

 

脳裏に過ぎるアイの最期。

あの時、俺が推しの子供に転生した事に浮かれていなければ。

もっと冷静になって、俺を殺した相手について気にかけていれば。

アイの死を防げたかもしれない。アイを守れたかもしれない。

何度も何度も、あの時ああしていればと考えた。

その度に、結果的にそれをしなかった自分を責めてきた。

だから俺は・・・

 

ああ、そうだ。俺はアイがアイドルになったら、また刺されるんじゃないかと、また失ってしまうんじゃないかと思うと気が気じゃなかった。

そんな彼女を見るくらいならいっそ、アイの夢を否定してでも・・・。

 

「浅はかだな。星野アクア」

 

俺の葛藤をあっさりと巽幸太郎は否定した。

 

「なに・・・?」

 

「お前はアイを失うのが怖いんじゃない。アイを失って、また後悔する事になる自分に怯えているだけだ。そんなお前のエゴでアイを縛りつけようとするのはやめろ」

 

「ふざけるな・・・!お前になにが──」

 

「全てわかる・・・とはいわん。だが、大切な人を失う気持ちくらいは俺にもわかる」

 

声のトーンが変わる。実感の籠った言葉。仮にも役者をやっている俺には、今の言葉が嘘ではないと感じられた。

 

「そのうえで、お前のエゴにアイを巻き込むな。その葛藤はお前だけのものであり、お前自身が克服しなければならないものだ」

「アイはすでに、自分の死を乗り越えている。フランシュシュと共に己の決めたアイドルとしての夢を追いかけている」

「・・・お前はアイの家族なんだろう。なら難しい事は考えずにあいつの夢を応援してやれ。きっとそれこそが、あいつが本当に求めてやまないものだろうからな」

 

巽幸太郎が放つ言葉に俺は何も言えなかった。

頭の中で目の前の男への怒りを感じている自分と、冷静にやつの言ったことにどこか納得している自分がいた。

 

「そろそろフランシュシュの出番か」

 

時計を見た巽幸太郎が呟く。

 

「・・・その写真と動画はお前に預ける。ゾンビの事、事故の事を暴露しようとしても構わん」

 

ゆっくりとこちらに歩いてくる。

すれ違う寸前に奴が立ち止まった。

 

「・・・だが今日のフランシュシュのライブは見ろ。今のアイのアイドルとしての姿を見定めろ。・・・暴露するのはそれからでも遅くはないだろう」

 

そう言って巽幸太郎が鍵を開けて部屋を出る。

その間、俺は立ち尽くすことしかできなかった。

 

 

 

 

・・・・・・

・・・

 

 

 

巽幸太郎の言葉が頭から消えない。

話していてやっと気づいた。

アイのパフォーマンスがどうではなく、ただアイがまた俺の目の前からいなくなる事が怖かった。

アイが蘇ったのを知った今、もしまたアイを失う事があれば・・・きっと俺はもう立ち上がれない。

復讐すらできず、死ぬ事も選べず、ただ無気力に日々を過ごすだけの存在になっていただろう。

 

そしてきっとそんな姿が容易に想像できるからこそ、俺は『アイをまた失った時の自分』が恐ろしい。

一度アイの死を経験してるからこそ、また失う事になった時を考えると、吐きそうになる。

 

トイレに行き、顔を洗う。

鏡を見るとひどい顔をしていた。そういえばアイと別れた後、まともに寝れてなかったな・・・。

フランシュシュ四号の特訓で忙しかったし、撮影はスタイリストのメイクもあって全然気にしてなかった。

 

「まるでゾンビだな・・・」

 

自嘲気味に呟く。

そういえばあいつも、アイを刺したストーカーもこんな顔をしていた。

 

「はは・・・俺もあいつと同じか」

 

アイは既に自分の死を乗り越えたらしい。

けど俺は、未だにアイの死を引き摺っている。勝手なエゴで、アイを縛りつけようとしている。

──今の俺とあいつで、いったい何が違う?

 

最後に巽幸太郎が言ってた事を思い出す。

 

『・・・だが今日のフランシュシュのライブは見ろ。今のアイのアイドルとしての姿を見定めろ。・・・暴露するのはそれからでも遅くはないだろう』

 

フランシュシュのライブ。

確か今やってるバンドの次がフランシュシュの出番のはずだ。

 

だが俺はそれを見るつもりはなかった。

これ以上、アイの姿を見たら俺は・・・。

自分が何をするかわからない。

ただそれが怖かった。

 

トイレから出る。

ふと窓の外を見ると黒い雨雲が空を覆っているのが見えた。

 

 

 

「あれ?お兄ちゃん、こんなところにいたんだ。さっき、私達のライブ見てなかったでしょー!ちゃんと気づいてるからね!」

 

聞き馴染みのある声。

振り向くとそこにはルビーがいた。

・・・おかしい。アイに会わないようミヤコにライブが終わったら、ルビー達を連れて早めに撤収するよう伝えておいたはずなのに。

 

「・・・大丈夫?顔色悪いよ?」

 

「・・・何でもない。少し気圧が低いから気分が悪いだけだ。市販の薬も飲んだしすぐ良くなる。・・・そういうお前はどうしてここに?」

 

ルビーに心配を掛けたくなくて、見栄を張る。

・・・正直今の醜い自分を見せたくない。すぐにこの場を離れたいが、ルビーを置いていくわけにもいかない。

 

「んー、ちょっと他にもアイドルの子がいたからお話ししてた」

 

一瞬フランシュシュの存在が頭をよぎる。

まさか既にアイと接触を・・・。

 

「アイアンフリルっていうめっちゃ人気のグループ。お兄ちゃんも知ってる?」

 

「・・・まあ名前だけなら」

 

「センターのしおりんが私達のライブが終わった後にわざわざ会いに来てくれてね!もうめっちゃ可愛くて!」

 

どうやら違ったようだ。

アイアンフリルについて話すルビーはとても嬉しそうだった。

 

「なあルビー、アイドルは楽しいか?」

 

「何いきなり?・・・もちろん楽しいよ!もう最高!」

「今日のライブもね?お客さん、笑顔の人ばかりだったんだ!それにね?私達の、B小町の推し法被と団扇を持ってる人もいたんだよ!これって、私達の配信やこの前のライブを見てる人がここにもいるってことでしょ?まるで少しずつアイドルになる夢への階段を登ってるみたいで楽しいんだ!」

 

笑顔で嬉しそうに語るルビーを見て内心ほっとする。

相変わらず、こいつの真っ直ぐなところには救われる。

少しばかり、胸の内が楽になった気がした。

 

「・・・実際に登ってるんだから、楽しいんじゃないか?」

 

「えへへー、そうとも言うー。・・・きっとママもこんな気持ちだったんだろうな」

 

その言葉に思わず息を呑む。

そうだ。俺と同じく、アイを推しているこいつなら、俺の気持ちがわかるかもしれない。

 

「・・・なぁ、ルビー。もしも・・・もしもアイが俺たちの前にまた現れて、アイドルになりたいって言ってきたらどう思う?」

 

「・・・何それ?アクア、急にどうしたの?」

 

ルビーの声のトーンが暗くなる。

そういえばアイの死について、ルビーとまともに話したのはアイの葬式以来だったか。

なのに急にこんな話をすれば怪しまれるのも当然。・・・駄目だ。普段ならこんなミスはしない。どうやら相当さっきのやりとりが堪えているらしい。

 

「・・・別に。ただの世間話だと思ってくれ。言いたくなければそれでもいい」

 

「ふーん・・・」

 

ルビーは怪しむそぶりを見せながら俺を見る。

くそっ、俺はなんてことを聞いているんだ・・・。

ルビーの視線に耐えきれず、思わず視線を背ける。

しばらくの間、俺を見た後ルビーは口を開いた。

 

「そうだなー、私ならまた応援するかな?」

 

俺の願っていた返答とは全く別の答えに、思わずルビーを見つめ返す。

その目は嘘を言ってるようには見えない。

 

「・・・ルビーは怖くないのか?アイがまたアイドルになるのが。もしかしたらまた、心無いファンに逆恨みされて襲われるかもしれない。またアイを目の前で失うかもしれない・・・そんな事は考えないのか・・・?」

 

「・・・アクア、どうしちゃったの?本当に変だよ?」

 

「頼む・・・答えてくれ」

 

ルビーが心配そうに声を掛けてくる。

だが今の俺には気にかける余裕がなかった。

先を促すよう視線で問いかける。

 

「・・・アクアはさ、どうしてもなりたかった夢とかある?」

 

「今は特に無いな」

 

「私はあったんだ。・・・でもいろいろあってなれなかったの」

 

ルビーの言ってる事が、すぐに前世の話だと気づいた。

俺達はこれまで、前世の話は極力しないようにしていた。

きっとこいつも、せっかく推しの子に転生なんて奇跡が起きたのだから過去を忘れて新しい人生を謳歌したいのだと思っていた。

そんなルビーが、前世の話をしだした。

つまり、ルビーなりにしっかり考えた上でアイを応援したいと答えたと言う事・・・か。

 

 

「アイにとって、アイドルはそんな怖い思いをしてもまたなりたい、て思ったものなんでしょ?夢に向かって努力できるっていう事はそれだけで幸運な事って私は思ってる。だから応援したい」

「それで・・・私に勇気を与えて欲しい。死んでも夢を叶えられるんだって、証明して欲しい。きっとそれは私にとって、何よりも嬉しいエールになるから」

 

ルビーの意見はとても自分勝手なものだ。

俺と同じエゴに過ぎない。

でも・・・そうか。そんな考え方もあるのか。

同じアイの子供として転生し、同じく前世からアイを推していた。

そんな半身とも言えるルビーの言葉は、とても俺に響いた。

・・・さりなちゃんが生きていたら、同じような事を考えただろうか。

 

「まあでもぉ・・・」

 

ルビーは一瞬勿体ぶった後、いつもの笑顔に戻っていた。

 

「アイがアイドルをやらないのはありえないけど!そんなことしたら世界の損失っていうかぁ、もったいないにも程があるっていうかぁ・・・。アイは何年経っても色褪せない可愛さがあるし、もしおばさんになっても綺麗系の美魔女になるからマジ一生推せるし!そもそもアイに尽くせるなんて幸福でしかないんだから。むしろ全世界の人間が億払ってアイにアイドルをやるようお願いするのが筋ってもんじゃない?そうでしょ、そうだよね!」

 

「お、おう・・・」

 

こういうところもあの子に似てるな・・・。

いつもの調子のいい事を言い続けるルビーを見つつ、俺は胸のつかえがとれたような気がしていた。

 

いつからか、俺はルビーのこの明るさに救われていた。

この笑顔を曇らせたくないから、アイドルになる夢を邪魔したりもした。

でも、ルビーはどんな困難を前にしてもいつも前を向いて立ち上がる。

・・・情けない奴だな、俺は。

自分一人じゃまともに立ち上がる事すらできやしないなんて。

 

「変な事を聞いて悪かった。さっきの事は忘れてくれ」

 

「まあ私も兄がヘラッてるのを見るのはキツイからねー」

 

「調子に乗るな」

 

ルビーの頭に軽くチョップを入れつつ、心の中でルビーに感謝する。

覚悟は決まった。あとは、アイと・・・自分と向き合うだけだ。

 

「雨が降りそうだから早めに撤収しとけよ。いくら夏とはいえ、雨に濡れたら風邪ひくかもしれないからな」

 

「はーい。・・・あれ?お兄ちゃんはどこ行くの?」

 

「ああ・・・。撮影でお世話になった人が来てるらしいから挨拶だけしてくる」

 

 

まだアイに対して、どういう態度を取ればいいのか、どんな事を言えばいいのかわからない。

それでも・・・目の前の現実から、逃げてはいけない。

俺はフランシュシュが出る、次のステージを見る為に観客席へと歩き出した。

 

 

 

・・・

 

 

 

淀んだ空からやがて、ぽつぽつと雨が降ってきた。

雨はすぐに勢いを増していき、佐賀ロックに来ていた人達を濡らしていく。

目当てのバンドを見終えた観客は雨を避けて仮設テントへと次々と避難していた。

 

「やっば・・・雨強くなって来たばい・・・移動すんぞ!」

 

「次誰?」

 

「なんか知らんアイドル」

 

「おけおけ。なら見ないでええ」

 

 

 

・・・

 

 

 

「雨降ってきよったな」

 

「ああ。・・・ポンチョ持ってたやろ。羽織らんのけ?」

 

「いらんいらん。こんなもん佐賀ロックでは屁でもなか。それにあの子らもこれからこの雨の中歌うんやろ?」

 

「そやけんな。この雨で観る人減ってしんそうやし、俺らだけでも頑張って応援せやけんな!」

 

 

 

・・・

 

 

 

「店長〜、雨降ってきましたよ〜。俺らもテントの方に移動しましょうよー!」

 

「俺たちの目的でもあったB小町の出番は終わったし、他のは無理してみなくても・・・」

 

「まあ待て。せっかく佐賀まで来たんだ。あと出演するアイドルグループはこの『フランシュシュ』だけなんだし見ていこうじゃないか」

 

 

 

・・・

 

 

 

「雨足強くなって来ましたねー。あの子らは大丈夫ですかね?」

 

「このまま雨が強くなって雷雲にまでなったら最悪中止だろうな」

 

「ええー!それは流石に可哀想ですよお!あの子らもこの日の為に練習しとったでしょうし」

 

「馬鹿野郎。天気が相手じゃあ勝てねえよ・・・ちっ、んな事言ってったから早速鳴り出しやがった」

 

ゴロゴロゴロ・・・

 

 

 

 

・・・・・・

・・・

 

 

 

 

ステージに立つ。

隣にはフランシュシュの皆、目の前には先程見たアイアンフリルの時と違ってまばらな人。

雨の勢いは増すばかりで、雷が鳴る音も聞こえてきた。

 

雷は嫌い。

あの音を聞くと、否が応でも自分がもう死んでいる事を思い出すから。

自分が何で死んだのか、実感はないのにこの光を、この音を聞くと身体が勝手に硬直するのだ。

 

でもそんな事、ステージの上では関係ない。

私はアイドル。ファンの前では嘘でも笑顔を纏って楽しませるのが仕事。

この程度でステージに立たないなんて選択肢はない。

 

「チス!フランシュシュです!」

 

サキがメガホンを持って挨拶を始める。

流石にメンバー全員を紹介する時間はない。

だから今回はリーダーであるサキが代表して挨拶すると事前に決めていた。

 

「えーと・・・あたしは佐賀で生まれて死んで、ええと死んだつか死んだ気になって!こいつらと会って!その、そんな佐賀が好きです!以上です!」

 

「サキちゃんっ、曲!曲!」

 

「えあっ、・・・そ、そうだ!今回は新曲もやります!是非聞いてってください!」

 

 

サキの挨拶にまばらな拍手が返ってくる。

わかっていたことだけど、この大きさの会場でこの拍手の数は明らかに少ない。

 

けど私達は誰一人として暗い顔はしていなかった。

これまでも何回かミニライブはやってきたけど、今回は待ちに待った大きなステージでのライブだ。

練習だってたくさんした。

これくらいでへこたれる私達じゃない。

 

サキがスピーカーを投げ捨てる。それをステージ脇にいた巽が受け取った。

 

 

〜♪

 

 

曲が流れ始める。

『アツクナレ』

私と純子のソロパートがある、今回が初披露の新曲。

 

「・・・わかりあえずに・・・ッ」

 

私が歌い出すのと同時に、一際大きな稲光が一瞬鳴り響いた。

私の身体を、雷に打たれたわけでもないのに、恐怖が走り抜ける。

 

「・・・からまわりばかり・・・」

 

口がうまく動かない。身体がいう事を聞かない。

もっと大きく動いて、もっとはっきり大きな声で歌わなきゃいけないのに。

皆の心配そうな視線が突き刺さる。

駄目。ここはステージの上、私がこんなんじゃ、このライブは失敗に終わってしまう・・・ッ

大きなステージでの失敗は、ミニライブでの失敗とは訳が違う。

見てるお客さんの数も、私たちがここで歌う為に掛かった労力も、肩にかかっている期待も全てが大きく違う。

私の醜態で、フランシュシュ全員の未来を奪うなんてことは絶対に・・・ッ

 

再び稲光が走る。

私の想いとは別に身体は恐怖に怯えて思うように動かない。

 

 

 

 

「・・・なんかガチガチやん。よかと?あれ」

 

「みよるこっちがきつかと。勘弁やわ」

 

 

 

 

 

お客さんの興味が私たちから離れていくのを感じる。

それがわかるから更に身体が強張っていく。

悪魔のような連鎖反応。

まるで底なし沼に捕まってるかのよう。

 

「・・・なにもかも・・・」

 

落ち着け・・・。

いける・・・。

・・・行かなきゃ・・・ッ

 

「・・・ほうり・・・だしたい・・・」

 

目を塞ぎたくなる光景を、しゃがみこみたくなる衝動を無理矢理抑えつけて手足を動かし、声を出す。

・・・周りの音が光が遠くなっていく。

 

もう自分が何を言っているのかわからない。

 

誰か・・・誰か助け

 

 

 

 

「・・・た──」

 

「──耐えきれないの〜♪」

 

 

私の歌声を遮って、アイが目の前に飛び出した。

 

 

 

・・・

 

 

 

 

アイは私の前に立つと、私に背を向けて踊り始めた。

 

これ・・・私と純子のソロパートの・・・。

 

新曲『アツクナレ』で私が提案してソロパートに組み込んだ、身体を目一杯動かす激しいダンス。難易度が高い分、しっかりと踊りきれば会場をより盛り上げられる。

提案した私だって、集中しないと失敗する。そんなダンスを、アイは完璧にこなしていく。

 

練習の時は純子の代役をお願いしてたけど、この土壇場でここまで・・・。

 

思わずステージにいる事を忘れて、見惚れてしまう。

 

ダンスも佳境というところで急にアイがターンをした。

 

・・・え?

 

こんな振りはこのダンスには存在しない。アイが間違えた?いや、練習ではアイは振りを全て覚えていた。つまりこれは、アイのアドリブだ。

 

振り向いたアイと私の視線が交差する。

その刹那、

 

 

 

「・・・ニッ」

 

 

 

私に向かってとびっきりの笑顔を見せた。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

雷の音が鳴るたびに愛ちゃんのパフォーマンスが崩れていく。

私達の中で愛ちゃんは中心的存在だ。

皆のダンスレッスンやステージでの指示出し、構成、パート。私達のステージは愛ちゃんがリーダーになって作っていると言ってもいいくらいだ。

そんな愛ちゃんの不調は、同時に皆の調子を狂わせる。

練習ではできていたステップが抜けた、歌詞を間違えた、小さなミスは目立たなくても積もっていき、皆の心から余裕を奪っていく。

 

このままだとこのライブは失敗に終わる。

 

そんな結末は──

 

「・・・たえ「耐えきれないのーーーーー♪」」

 

──認められないでしょ!

 

愛ちゃんの前に立って、本来愛ちゃんがやるはずだったダンスを踊る。

『アツクナレ』の目玉の一つ。ダンスの得意な愛ちゃんが見せ場として用意した、身体を目一杯動かす激しいダンス。これを踊りきるには当然、求められるダンスの技術も高くなる。

私は頭の中で何度も観てきた愛ちゃんの動きをイメージしつつ、現実の手足をリズムに乗って動かしていく。更に合間に視線を集める技術も使って会場の視線を私に誘導する。

B小町はダンスを売りにしたアイドルグループじゃなかったけど、私だって──

 

「──!」

 

──曲がりなりにもずっとセンターをはってたんだから!

 

徐々に私に視線が集まっていくのが感覚でわかる。

会場に残っていた人達が私のダンスを観て、少しずつ熱を取り戻していく。

 

もっと、もっと盛り上がって!

まだまだライブは始まったばかり。こんなところで躓いていられない。

 

もうすぐここのダンスパートは終わり。

この後はサキちゃん達のパートで次がサビのコーラスだ。

 

このまま私が観客席の視線を集めてしまえば、ライブは何とかなるかな?

でもそれだと、愛ちゃんは失敗したままだし、純子ちゃん達の出番も無くなっちゃう。

何よりそれじゃあ、結局いつもの『アイ』のライブのままだ。

なら多少のリスク覚悟でも・・・私も踏み出さなきゃでしょ──!

 

私はあえて本来のダンスのフリにはないターンを挟む。

ほんの一瞬後ろを向いた私の視線が、項垂れていた愛ちゃんの視線と交差する。

時間にして一秒にも満たない。けどステージの上にいる私達には、この一瞬は何倍にも感じられる。

 

その一瞬で私は、愛ちゃんにとびっきりの笑顔を向けた。

 

 

 

・・・ねえ、そんなものじゃないでしょ?

私が見た動画の中の愛ちゃんはもっともっと輝いていたよ?

自分が誰よりも可愛いって信じて疑わない。

私こそが世界で一番のアイドルなんだって顔をしていたよ?

なのに今の愛ちゃんはステージの上で怯えてばかり。

そんなんじゃまた私に・・・

 

 

 

 

───全部喰べられちゃうよ?

 

 

 

 

 

すぐに視線を切って観客席に向き直り、本来のダンスに戻る。

 

言葉になんてしなくても、今の一瞬で十分。

だって私達はアイドル。ステージの上から歌と踊りと笑顔で魅了するのがお仕事。

愛ちゃんもアイドルなら、当然こんなところで諦めたりしないよね?

 

 

 

・・・

 

 

「て、店長、あの子すごいいいっすね!」

 

「名前はフランシュシュ七号ちゃん・・・か。ご当地アイドルにもこんな子がいるんだな・・・」

 

「アイにそっくりな子・・・、最初は見た目だけだと思っていたが・・・これほどのダンスの技術までもっているとは・・・」

 

「・・・店長もう推し変っすかー?」

 

「ばーか。アイはルックスとダンスだけじゃなく、歌やファンサもしっかりしてたんだ。ご当地アイドルとしちゃすごいがまだまだ本家には及ばないな」

 

「でもその理論だと、ルビーちゃん達もまだまだ新人アイドルなんだし店長のお眼鏡には適わないんじゃ?」

 

「いいんだよ、ルビーちゃん達は。あの子達はあれが初ライブ。まだまだ伸び代があるってこと。俺はその可能性に期待してだな・・・」

 

「あーもういいからライブに集中しましょうよー、ほら七号ちゃんのダンス終わりそうですよ!」

 

 

・・・

 

 

 

 

さっきのダンスで少しは会場の熱を取り戻せた。

・・・とはいえ、まだまだノッてくれてるお客さんの数は少ないなー。

歌いながらステージの上からお客さんの様子を観察する。

 

生前、何度もライブをして学んだ技術だ。

お客さんはそれぞれが熱を持っていて、私が熱を送ればさらに熱は強くなり、応えてくれる。

熱は隣の人にも伝わってよりステージは盛り上がる。

 

今はまだまだ全体的に熱が少なく、お客さんも乗り切れてない状況だ。

まあもともと私達のファンの人は少ないし、ほぼアウェーの状況に加えてこの雨での野外ステージだしなー。

今の盛り上がり具合は当然。でもそろそろどこかできっかけを作らないと、このまま私達のステージは終わってしまう。

・・・さて、どうしようかなー。

 

 

 

・・・

 

 

 

観客席から、ステージでライブしているアイを見る。

最初はトラブルがあったのか、フランシュシュ三号が不調を見せてライブは不穏な空気を孕んでいた。

だがアイが飛び出して、見せ場であるダンスを完璧にやりきったおかげで、残っていた人の心を掴み、完全に観客の興味が離れてしまうのを防いだ。

ぴえヨンのふりをしていた時に、フランシュシュ四号から聞いたダンスパート割りではあそこは三号のパートだったはず。

今の三号では難しいと判断して、アドリブでアイがやり切った・・・こんなところか。

相変わらずアイのこういうセンスには脱帽する。

あのままだとライブは失敗に終わっていただろう。

しかし・・・

 

 

「このままだとジリ貧か・・・」

 

 

少しばかりフランシュシュに興味を持った人は増えたみたいだが、未だに雨を避けて仮設テントにいた人たちは動いていない。

テントからだとステージはちゃんと見えないし、ステージからだと客席の空白はよりわかりやすく見えているだろう。

ステージの上にいるアイ達には、より残酷な光景が見えているはずだ。

 

だがアイは・・・いや、他のメンバーも皆諦めているようには見えなかった。

この状況で、懸命に、ファンに対してぶつかっていた。

 

 

「アツクナレ!LIVE!本気でぶつかって!〜♪」

 

 

明らかにフランシュシュが、アイが苦しんでいる状況なのに、俺は心の底から彼女を応援できていなかった。

 

何故諦めない?何故立ち向かえる?

何故・・・君はそこまでして夢に向かって進めるんだ・・・?

 

『皆死ぬ気でステージに立とうと頑張ってる。だからここでなら私、叶えられなかった夢も叶えられるんじゃないか、て思っちゃうんだ』

 

アイの夢。メンバー全員で心の底から笑って立つステージ。疎まれたり、嫌われたり、啀み合ったりせずに皆が輝くライブ。

 

『芸能界に夢を見るのはいいが、芸能界に夢を見るのは辞めておけ』

 

以前監督が言っていた言葉を思い出す。

アイだって生前はこの言葉を知らずとも、この言葉が指すことを身をもって知っていたはずだ。

それでもなお、アイは夢を語った。

再びアイドルになり、今度こそ叶えたいと目を輝かせていた。

 

四号から彼女らの、フランシュシュのメンバーの人となりは聞いている。

彼女らは本気でアイドルを目指し、そしてアイに対しても腐らずに同じアイドルとして対等に張り合おうとしている。

アイにとって彼女らは本当の意味でアイドルの仲間であり友達なんだと、今の俺は知っている。

 

 

 

いや・・・いい加減に認めよう。

本当はとっくに気づいていた。

 

フランシュシュはアイを見捨てない。

アイの夢を、アイと共に追い続ける。

アイを決して孤独にさせず、アイが心から笑ってアイドルをやれる仲間なのだと。

 

 

ああ・・・やっと和解した。

アイを今度こそ守りたいと願う家族としての俺と、アイの夢を応援したいファンの俺の意見が一致した。

 

・・・俺が君の夢を叶える。

君が安心して夢を追いかけられるように。

アイドルとしての夢を、今度こそ俺が守ってみせる。

 

君の幸せがそれだって言うなら従おう。

例えゾンビになったって君は、どうしようもないほどアイドルで。

俺はどうしようもないほど、君のファンなのだから。

 

 

俺は持ってきていたバックから、つい先日、フランシュシュのミニライブで買った(買わされた)Tシャツを出すとその場で服の上から着た。

瞬時に雨で濡れてしまうが、関係ない。

更に、以前ルビー達の初ライブで使ったサイリウムを取り出すと、全て赤色にしてその場で振り始めた。

 

 

 

・・・

 

 

 

 

ステージの上で私は、歌いながら会場を見下ろしていた。

この雨のせいもあって、仮設テントの下から私達のステージを見てる人も多い。

・・・でもあれだとほとんど見えてないよねー。

観客席に残った僅かな人達は、雨に濡れながらも私達の事を精一杯応援してくれてる。

それはとても嬉しいけど、このままだと盛り上がりきらずに私達のライブは失敗に終わってしまうだろう。

 

突如、観客席の真ん中から輝き出した、一際明るい光に私の視線は吸い寄せられた。

それはサイリウムの光。私のサイリウムカラーである赤い光。

会場にいた全ての視線が突然現れたその赤い光に吸い寄せられていく。

光の元には両手両指の間に四本、持てる最大本数のサイリウムを持って、ノリノリでオタ芸をする男がいた。

目立つ金髪に整った容姿。見るからにイケメンと評される顔立ちなのに、無表情のままサイリウムを振る姿はだいぶ異質だ。

しかもご丁寧に巽が作ったあのダサいTシャツも着ている。キレッキレの動きは周りをドン引きさせ、人を寄せ付けない結界みたい。

誰がどうみても厄介なアイドルファン。

だけど・・・その姿は私の止まったはずの心臓を大きく打った。

 

「おいおい誰やけんあいつは・・・?」

 

「わからんけん・・・。急に観客席の真ん中に来て、サイリウム振り回し始めおった・・・」

 

「しかしあのキレッキレの動き・・・あれは只者じゃなか!」

 

急に現れたノリノリの男に仮設テントに避難していた人や、観客席にいた他の人もざわざわと騒ぎながら注目する。

だけど彼は、そんな人達に目もくれずにリズムに乗ってサイリウムを振っている。両手いっぱいに持った八本の赤い光が振りまく残光を纏いつつ、一心にステージに視線を送っていた。

その視線が誰に向いているか、私は一瞬で確信する。

 

『『バブバブバブバブバブバブ・・・!!』』

 

その顔に、私の頭にまだ赤ん坊だった頃の姿が思い出される。

サイリウムを懸命に振る姿が、今のあの子に重なっていく。

 

そっか・・・、また助けられちゃったね。

前は私が笑顔の作り方に悩んでいた時、そして今は私達のライブが失敗しそうな時。

 

頬が緩む。嬉しくて涙が出そうになる。

思わずアイドルの顔が崩れそうになるのを気合いで我慢する。

あの子が応援してくれた、認めてくれた。

・・・誰よりも愛している人が私の夢を肯定してくれた!

叫びたくなる衝動を、はち切れそうな愛を、熱に変えて歌とダンスに乗せて観客席に届けていく。

 

ああ・・・今の私は無敵だ。こんな雨になんて負ける気がしない。

 

・・・アクア!やっぱり私、貴方の事、だーいすきだよ!

 

もう雨も会場の空気も関係なかった。

アクアから貰った愛が、胸を焦がしていく。

今ならなんでもできる気がする。

・・・手始めに、この会場にいる皆を私達のファンにしてあげる!

 

 

 

・・・

 

 

 

「な、なあ・・・あの子、めっちゃ可愛くない?」

 

「お、おお!なんか急にあの子達、動きが良くなりおったけん!」

 

「ていうかあの赤いの振り回してるやつは結局誰なんだよ!」

 

「わからん!でもあいつが現れてからあの子達のダンス、キレッキレになったけんな!」

 

「でもこれ新曲、て言ってたよね?あの人初見とは思えないくらいタイミング合ってたし、スタッフさんなんじゃない?やっぱりこれも演出なんじゃ・・・」

 

「んなことどうでもよか!・・・くそっ、ここからじゃうまく見えんけんな、場所移んぞ!」

 

仮設テントにいた人達が次々と飛び出して、フランシュシュのステージを見ようと観客席に戻っていく。

以前、雨は強いままなのに、皆こぞっていい席を取ろうと濡れるのも構わずに走り出す。

あっという間に観客席はいっぱいになった。

 

「おいおい・・・マジかよ」

 

その一部始終をカメラに収めながら大古場は思わず呟く。

先程までの暗い雰囲気から一転、会場の熱気は他のロックバンドの時と変わらないくらい盛り上がっていた。

 

「うおお!七号ちゃーん!」

 

隣にいる犬走(バカ)も撮影そっちのけでフランシュシュを応援していた。

その姿を見ながら大古場は考える。このまま七号が引っ張っていけば、このライブは成功で終わるだろう。だが、フランシュシュを長く見てきた大古場はそれに違和感を感じていた。

きっと彼女達はこのままでは終わらせない。そう思った大古場は、この先の展開を見逃すまいと再びカメラをステージに向けた。

 

 

 

「目の前の手を握って!時代なんて、飛び越えて〜♪」

 

 

 

 

七号が最後のパートを歌い終えるのと同時に、一番が終わる。間奏の間に後ろにいたメンバーと入れ替わるように下がった。

同時に、これまで七号の裏に隠れていた四号と先程までボソボソと歌っていた三号が前に出る。

 

「あれ?あの子、もうメインで歌わんの?」

 

「後ろに下がっちゃったけん。代わりにさっきまで調子悪そうな子が出てきたけど大丈夫やけんの?」

 

 

七号が後列に下がった事で会場の熱気が少しばかり落ちる。

先程の僅かな時間で、七号は会場にいる観客の心を完全に掴んでいた。

 

 

 

「チラつく不安をBANG!BANG!BANG!〜♪」

 

「あ〜あ悔やまぬように〜♪」

 

「楽しんでみればFun!Fun!Fun!〜♪」

 

「あ〜ああるがままに〜♪」

 

 

 

 

曲が二番に入る。

サビに入る前のパートを他のメンバーが歌っていく。前列に出た事で、観客の視線は先程まで調子の悪かった三号に集まっていた。そこにはまだ調子が悪いんじゃないかと心配で見る人や、七号と入れ替わった事で厳しい視線を向ける人もいた。

 

 

 

「──アツクナレ!LIVE!限界突き破って!〜♪」

 

 

 

それらの視線を真っ向から見据え、三号がマイクを強く握る。

その瞳は、歌声は先程と比べるまでもなく、自信と力に満ちたものだった。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

私が再びフランシュシュに合流してから、まだ愛さんとまともに喋れていない。

なかなか二人きりになる機会がなかったのもそうだが、どことなく気まずいのが本音だった。

巽さんから聞いた愛さんの死因。

アイドルとしてこれからだって時に、それもコンサートの最中にファンの前で亡くなるなんて・・・。

きっと愛さんはゾンビになって自分が亡くなった事を知った時、想像を絶する悔しさの中にあったはずだ。

だからこそ、今のこの状況は愛さんにとって許せないのだと思う。

きっと歯がゆい想いの中にいるはずだ。なにせ、自分を死に至らしめた元凶が、再び自分を苦しめているのだから。

 

 

 

・・・

 

『お願い、ですか?』

 

『そ!愛ちゃんがもしライブ中に歌えなくなったら、フォローしてあげて欲しいんだ。多分、私はその手の気の利いた事はできないから』

 

『そんな事は・・・』

 

・・・ない、とは言えないですね・・・。

まだ短い付き合いですがアイさんは人を振り回す事は得意でも、人を慰めたりとか励ましたりとかは苦手な人というのはわかりますし・・・。

 

『おおーい・・・純子ちゃーん・・・。何も言わないって返事は時に人を傷つける事もできるんだよー・・・』

 

『ああっ、すみませんすみません!』

 

『・・・まあともかく、愛ちゃんの事、よろしくねー!』

 

 

 

・・・

 

 

 

 

アイさんとのやりとりを思い出す。

あんなことを言っておいて、さっきはいの一番に愛さんを助けるために飛び出した。

お客さんの厳しい視線の中、難易度の高いダンスを一人で完璧にやり切った。

 

今だからわかる。

アイさんのアドリブがなければあそこで私達は終わっていた。

お客さんは興味を失って、私達はきっとステージの上で空虚にただ時間が過ぎるのを待つだけになっていたはずだ。

 

『アツクナレ』の一番が終わり、アイさんが後列へと下がっていく。

そこで私はアイさんが何をしようとしているのか気がついた。

本来は一番で私と愛さんが前列に立ち、二番でアイさんと入れ替わるはずだった。

けど今回はアイさんが一番で前列に立った為、私達は自然と後列にいた。

恐らくアイさんは交代の順番を逆にして、先程の事故をこのコンサートの演出にしようとしているんだ。

最初に明らかに何か不調を思わせる愛さんの姿を見せて、後半で元気な姿で歌って立ち直ったように演出する。

今の会場の温度なら十分通じる。

あとは・・・愛さんが雷を克服できるかにかかっている。

 

 

『覚えておけ。フランシュシュは時代を超えて互いの想いを支え合うために存在する。心を開けば必ずあいつらはお前を助けにきてくれる。その時お前があいつらにしてやれることを考えろ』

 

 

愛さん。

私は巽さんから、フランシュシュは時代を超えて互いの想いを支え合う仲間だと聞きました。

だから、貴方だけが背負わなくてもいいんです。

私達は同じゾンビの・・・フランシュシュのアイドル。

貴方が挫けそうな時は私が支えます。

だから・・・

 

私と愛さんの視線が交差する。

安心させるように、一人じゃないと貴方に伝わるように。

私は愛さんの隣に立った。

 

 

 

・・・

 

 

 

正直、私は頭にきていた。

あれだけ練習したのに、動きが固くなっているさくら達。

自分を変えたいと努力しているのに、昔のやり方に頼らざるを得ないアイ。

私に引きずられて小さな動きになってしまう純子。

 

そしてなにより、そんなパフォーマンスを皆に強いている私に。

 

雷が鳴るたびに、光るたびに身体が動かなくなる。

まるでお前は、一生私に怯えて過ごすのだと嘲笑ってるみたい。

 

・・・ふざけるな。

 

さっきのアイの笑顔。あれは私への激励だった。

怯える私に、手を差し伸べてくれた。

 

さっきの純子の視線。あれは私を鼓舞する為だった。

不安な私の、背中を押してくれた。

 

アイと純子だけじゃない。サキもさくらもリリィもゆうぎりもたえも。

皆が私のことを待ってくれている。私がこれで終わらないと信じてくれている。

 

そうだ、私は失敗を恐れない。失敗しても後悔してもその先にこそ、誰にも負けない自分があるのだから。

 

こんな雷なんかに・・・!

こんな震えなんかに・・・!

負けてなんて、やるもんか!!

 

「───アツクナレ!」

 

 

 

・・・

 

 

 

フランシュシュ三号は明らかにさっきまでと違っていた。

何かに怯えていたような姿はなく、ただ自分の歌とダンスへの圧倒的な自信が感じられる力強いパフォーマンスだった。

そこに追従するフランシュシュ四号もまた、負けていなかった。

誰よりも良く通る歌声に、俺とのレッスンで鍛えたダンスが合わさり、元からあった儚さなど感じさせない芯が通ったパフォーマンスだった。

 

二人ともアイに見劣りしない、アイドルとしての絶対的な存在感を放っていた。

 

アイは生前、アイドルとしては孤独だった。

その実力もルックスもずば抜けていて、同じ時代に並ぶものはいなかった。

 

だが今は、すぐそばに少なくとも二人も立っている。

──ああ、確かにこのグループならアイは友人を作って、夢を叶えられるかもしれない。

異なる時代に生まれ、死んだアイドルが今この場所に集っている。

俺は今この時、フランシュシュという奇跡の存在に感謝した。

 

先程まで不安そうな顔をしていた観客はもういなかった。

誰もがフランシュシュの熱にやられ、彼女達の歌に、ダンスに夢中になっている。

中には三号と四号の名前を叫んだり、熱い視線を送っている人もいた。

 

「キャー!四号ちゃーん!」

 

「三号さーん!こっち見てー!」

 

・・・まあ確かに、三号と四号は今の一瞬でだいぶ観客の心を掴んだようだ。

だがまだまだアイには及ばないな・・・。やはりアイこそ至高。アイしか勝たん。

 

サビが終わり、今度は全員が横並びで歌うパートになる。

よし、アイがまた前に来た・・・!

俺は再びサイリウムを振り回し始める。目の前の推しを全力で推すために、魂に刻み込んだオタ芸をフルで披露していた。

 

 

・・・

 

 

会場は最高潮の盛り上がりを見せる。

もはや、私達を遠巻きに見る人はいない。

全員が一体となって、巨大な熱を発している。

 

 

「転んでも立ち上がって!〜♪」

 

「死んでも這い上がって!〜♪」

 

「目の前の手を握って、時代なんて!〜♪」

 

「飛び越えて〜!〜♪」

 

最後のフレーズを言い、決めポーズを決める。

それと同時に、客席からの拍手と歓声が鳴り響く・・・筈だったのに。

 

実際に曲が終わると同時に鳴り響いたのは、先程まで私達を苦しめていた雷が落ちる音だった。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

うーん・・・。

あれ?何が起きたんだろう?

目の前がチカチカしてるし、耳もキーンてしてる。

ライブはどうなった?皆は?

周りを見渡すとさくらちゃん達も、私と同じで何が起こったのかよくわかってないみたい。

お客さんはどうだろう?

視線を向けると皆、口と目を見開いて驚いていた。

アクアなんてこっちが心配になるくらい顔が真っ青になって白目を剥いている。

 

よく周りを見てみると何か燃えてるのか、こげた臭いと白い煙が見える。

・・・ようやく音も戻ってきた。

耳をすませると、ステージの袖にいるスタッフさんが慌てているような声が聞こえてきた。

 

・・・急いで消化を!

・・・いや、まずは救急車だろ!

・・・観客にアナウンスだ!避難をして・・・

 

 

・・・。

あれ?これもしかして、雷落ちた?しかも私達に?

 

「へ?」

 

状況を把握すると同時に突然、私の身体が光始めた。指先から爪先まで、全身が光っていた。

 

よく見ると私だけじゃない。さくらちゃん達も皆光っていた。

・・・っていうか愛ちゃん!雷苦手なのに直撃したらまずいんじゃ・・・っ!!

 

「なんとも、ない・・・?」

 

「・・・私達、ゾンビですから」

 

愛ちゃんは光ってる身体に戸惑ってはいるものの、雷に打たれた事自体はそんなに気にしてるように見えなかった。

よかった。愛ちゃんもそこまで混乱してないみたい。でもこれってもしかして・・・。

 

この現象に思い当たる節がある。

記憶に新しいイオンモールでのライブ。あの時も確か・・・。

さくらちゃんの方を見る。一度経験しているさくらちゃんもこの現象にピンと来たようで、どこか落ち着いてるように見えた。

 

「これ・・・あの時と一緒やけん」

 

「でも今回は声もなんか変かも・・・?」

 

「何やら面妖な声でありんすなあ」

 

さっきから私達の声はエフェクトがかかったみたいに聞こえる。

うーん、何か喉に違和感を感じる・・・。

歌う分には問題なさそうだけど。

 

 

 

「あ、いーい事思いついちゃったー⭐︎」

 

 

この状況を利用できて、うまくやればお客さんをもっと盛り上げられるアイデアを思いついたかも!

私はニヤリと笑うと皆の顔を見る。

 

私の笑みを見た皆が、これから起こる事を察してそれぞれのリアクションを見せた。

 

さくらちゃんがあわあわと青い顔をし

サキちゃんが鼻の下を擦って笑い

愛ちゃんがやれやれとため息をつき

純子ちゃんが覚悟を決めた表情を見せ

リリィちゃんがキラキラと目を輝かせ

ゆうぎりが楽しそうに目を細め

たえちゃんが大きく口を開いて笑った。

 

・・・昔の私は思いもしないだろうな。

普通がわからなかった私に、今じゃ言葉にしなくても理解してくれる仲間がこんなにいるなんて。

 

チラッとステージの袖を見る。

まだスタッフは混乱してるみたいだけど、一人だけいつも通り腕を組んで落ち着いてるサングラスが見えた。

 

「・・・」

 

巽とサングラス越しに視線が交差する。

巽は私がこれからやることがわかったのか、周りであたふたしているスタッフに指示を出し始めた。

さっすが私たちのプロデューサー、そっちは任せるね。

さて、まずは・・・準備ができるまで時間を稼がないと!

私はざわざわしているお客さんの方をみると、一歩前に出て口を開いた。

 

「みんなー!さっきの雷はすごかったねー!私、びっくりして思わずおへそ取られてないか確認しちゃったよー!」

 

エフェクトが掛かった声のおかげで、マイクがなくても声が良く通る。

よし、これなら後ろの方のお客さんにも聞こえる。

さっきの雷でマイクが死んだ時はどうなるかと思ったけど、何とかなりそう。

 

「・・・でも、良かったー!雷がここじゃなくて近くの木に落ちてー!おかげでほら!私達も皆も怪我一つないし!きっと私の普段の行いが良いおかげだね!」

 

さりげなく、雷が私達に落ちた事を無かったことにする。

案外こうやって自信満々に嘘を言うと、皆信じちゃうんだよねー。

それにお客さんからは大きな音が鳴って急に光ったと思ったら、私達がピンピンしてるように見えただろうし。

雷がどこに落ちたか、ちゃんと見えた人がいないならいくらでも誤魔化せる。

私も、伊達に嘘つきを何年もやってるわけじゃないってね。

 

「さて、そんな幸運な私から皆に幸運をお裾分けしてあげる!なんとこれから披露する曲は、今日限りのスペシャルバージョン!今ここにいる皆しか聞けないからちゃーんとライブに集中してね!」

 

私がライブを続けると言うと、ざわついていたお客さんに再び熱が広がっていく。

落雷で散り散りになりつつあった、お客さんの意識を再び私達に向ける。

さーて、これで準備はオッケー!まだまだ私たちのライブは終わってないんだから!

 

続いてリリィちゃんが私の隣に来て同じようにお客さんに声をかけ始めた。

それに続いて、さくらちゃん達も並んでいく。

 

「六号達が、もっともっと素敵な時間をお届けするよ!」

 

「わっちらの歌と舞、見逃すのは厳禁でありんす」

 

「お前ら、最後まで目かっぽじって見ていきやがれ!」

 

「次の曲は、目覚めRETURNER です!」

 

「皆、しっかりついてきて!」

 

「よ、よろしくお願いしまーす!」

 

「ヴァアヴァヴァー!!」

 

たえちゃんの叫びと共に、私たちがそれぞれのポジションにつく。同時に『目覚めRETURNER』が流れ始めた。

よし、タイミングばっちり。

『目覚めRETURNER』が流れると、今の状況を受け入れ始めたのか徐々にお客さんが熱を取り戻していく。

 

「目覚めRETURNER〜♪願えば良いんだ〜♪───」

 

 

 

・・・

 

 

 

そこからはまるで夢のようなライブだった。

どう言う原理かはわからないがエレクトリック・・・としか言えないようなエフェクトがついた声で歌い、これまたどういうタネがあるかわからないが全身を発光させながらダンスを踊る。

彼女らが指を振れば、指先からレーザービーム演出を放ち、掌を空に翳せばオーロラのような光の幕が形成された。

冷静に考えてみれば、常識じゃあり得ない幻想的な光景。

 

けど、ああ、そうだ。まともでいられるわけがない。狂わずにはいられないんだ。

あまりに強い光は、一度知ってしまうともう焦がれる事しかできない。

まるで火に群がる蛾みたいに吸い寄せられて、羽が焼け、地に落ちても尚、火に向かって止まらずにはいられない。

俺だって例外じゃない。こうしてアイが楽しそうに笑ってる姿を見られるだけで嬉しい。

アイを自分勝手にゾンビにした奴に、感謝しちゃってるくらいなんだから。

本当は普通の人生を歩んで欲しかったけど。

不可抗力だ、ゾンビになるなんて超常現象には勝てない。

なら俺は俺で、もう少しだけ彼女の事を推していこう。

 

 

 

・・・

 

 

 

ライブが終わり、フランシュシュが退場した後もしばらくの間拍手とアンコールは鳴り響いていた。

やがて、佐賀ロックの運営から本日の佐賀ロックが今の出演者で最後というアナウンスが流れる。

なんでも落雷による機材トラブルの為、後半のプログラムは中止になるらしい。

まあ確かに、あれだけ近くに雷が落ちれば機材も駄目になるか。最後にフランシュシュがライブできたのは奇跡だな。

自分で言って、思わず笑みがでる。今日一日で奇跡なんて、何回起きたんだか。

やがて、スタッフに誘導されて観客も順次会場から出ていく。今日のライブの感想を話し合いながら、SNSに感想を投稿しながら、各々がフランシュシュについて語っている。

しばらくの間、俺はその様子を眺めていた。

 

 

さて、そろそろ俺も会場から出るか。

まずは着替えからだな。

後半は雨が止んで日が差していたとはいえ、濡れた服をずっと着ていたら風邪をひく。

俺は控え室へと向かった。

 

 

・・・

 

 

濡れた服をしまい、新しい服に着替えた俺は控え室から出る。

そこで走ってくる足音と共に、後ろから突然誰かが抱きついてきた。

 

「やっと・・・見つけた・・・!」

 

バランスを崩しそうになるが、なんとか耐え、声の元へと視線を向ける。

そこには、妹であるルビーがいた。

よほど急いで俺の元に来たらしく、荒い呼吸を繰り返している。

 

「ルビー?・・・まずは息を整えろ。ゆっくりと息を吸って吐くんだ」

 

ルビーが落ち着けるように背中を撫でつつ、支えてやる。

ルビーは最初、俺の指示に従って深呼吸を繰り返していたが我慢できなかったのか、途中で俺へと詰め寄った。

 

「教えて・・・!フランシュシュ七号はアイなんでしょ!?」

 

その言葉に、一瞬思考がフリーズする。

何故フランシュシュ七号が?ルビーに気づかれた?いや、そもそもアイが生きている事を何故?

 

 

 

 

「ねぇっ、アクア!・・・答えてよ!」

 

 

 

 




アクアの佐賀ロック当日のスケジュール

純子を西の浜海岸に呼びつける

近くにいたおじさんに用意してた純子宛の手紙を渡す

こっそりアイのいる洋館に行き、純子が来るまで待つ

純子を轢いた巽の写真を撮る

佐賀ロックの会場に行き、ミヤコにルビー達をライブ終了後、すぐ回収するよう指示

犬走から名札を借り、巽とレスバ

ライブ会場でアイを応援

アクア(やることが、やることが多い・・・!)

アクアと巽はどんな話をするんだろう?て考えながら書いてたら時間かかってしまいました。
キャラ的になるべす違和感なく見えるように書いてましたが、人によってはアクアは、巽はこんなこと言わない!になるかも・・・。

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