推しの子 in SAGA   作:片倉の推しの子Bです

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素敵な感想たくさんありがとうございます!

いろいろとツッコミどころ満載ではあると思いますが、こう言う解釈もある、程度で見て貰えると助かります!


第二話 パーフェクトアイドル in SAGA

佐賀城でのコンサートが終わった次の日、巽から次のイベントの告知があった。

 

唐津駅前でのゲリラライブ。ちなみに決行は明日。

うん、また見事な無茶振りだね!

 

 

ゾンビじゃから寝なくてもええじゃろがーい!、てことでダンスと歌詞はこの後夜通しの練習で覚えることに。

 

振り付け見る限り、結構立ち位置を入れ替えたりするから初心者には難しそうだけど、みんな真面目に練習してて感心、感心。

 

愛ちゃんと純子ちゃんも練習には参加してるけど、あまり積極的にはやる気はないみたい。

 

まあ私も熱心に参加してないから、あまり人のこと言えないけど。

 

 

でもゾンビの身体てすごいなー。結構身体動かしたけど全然疲れを感じないし。

 

生きてる時もこの身体だったらもっと便利だったのかな?

ご飯も食べなくてもいいし、夜も寝なくていい。

アイドル活動する時はメイクすればいいし、案外便利かも・・・?

 

 

 

あ、でもゾンビだとたぶん赤ちゃん産めないか。

 

 

 

やっぱりなし!ルビーとアクアに出会えないなら私の人生何回やり直しても良かった、とは思えないしね。

 

・・・・・・

 

この後、なんやかんやあってリーダーがサキちゃん、ユニット名がフランシュシュに決まったのでした!

 

いやー、正直グリーンフェイスとデス娘に比べれば全然マシだからユニット名に文句はなし!

リーダーもやる気のない人よりモチベが高い人の方がいいだろうしね。

ちなみに最初はアイドル経験者で、と私と愛ちゃん、純子ちゃんが指名されたけど、愛ちゃんはやるわけないでしょ!と一喝。

純子ちゃんはユニットでの活動経験がないので、とNG。

私?私はほら、センターなら自信はあるけどリーダーとしてはからっきしというか・・・。

まあとにかく、向いてないから私もパス!

てことで、ヤンキーアイドルのサキちゃんに決まり!

 

ユニット名とリーダーが決まった私達は初のゲリラライブに備え、徹夜で練習を続けていくのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

昨日の佐賀城でのコンサート。そこで私は観客のお爺さんが読んでいた新聞紙から、今が私が死んでから十二年後である事を知った。

 

十二年。ルビーもアクアも小学校どころか中学校も卒業している年齢になってるだろう。

二人のこと愛してる、て伝えたのに私は二人の入学式も卒業式も見てあげられなかった。

母親としては失格だ。二人には嫌われてるかもしれない。

それでも・・・私は二人に会いたい。どんな理由があろうとも、私にとってあの二人は一番の大切な宝物なのだ。

 

 

・・・

 

「ね、巽。お願いがあるんだけど」

 

深夜、みんなが練習してる間にこっそり抜け出した私は巽の部屋を訪ねていた。

 

声をかけて扉の前で少し待っても反応はない。扉の取手を捻ると、鍵はかかっていないようでするりと開いた。

 

「なーんだ、いるなら返事してよ」

 

 

巽は椅子に座り、私に背を向けてギターを弾いていた。

傍らには譜面があるから、作曲しているのかな?

 

 

「もしかしてそれ、新曲?邪魔してごめんね。ていうか作曲もできるんだ。本当になんでもできるんだね」

 

「ふん、俺はお前ら伝説のゾンビのアイドルプロデューサーだからな。これくらいできて当たり前だ」

 

巽はこっちを見るどころか、ギターを弾くのもやめない。

早く帰れ、て暗に言ってるみたい。

 

「早く戻れ、まだ練習中だろう」

 

何なら口にも出してた。

私はあえてそれを無視して話を続ける。

 

「ふーん?確かに、皆すごいよね。私自分が才能ないな、て思った人の名前覚えるの苦手なんだけど、あまり意識しなくても皆の名前覚えられてびっくりしたな〜」

 

「・・・」

 

巽は私を無視することにしたのか、ギターの音で答えてきた。

ま、そっちがその気なら、聞かざるを得ない話をするだけだけど。

 

「あ、でも一個だけわからないことがあって」

 

巽の向かいの椅子に座る。

 

「あのリボンの子、いくらちゃんだっけ?あの子だけはどうしてもわからないんだ。こう、なんていうかあまり才能が感じられない、ていうかなんでいるんだろう?みたいな」

 

ギターを弾く手が止まる。ゆっくりと彼が顔を上げて私の方を見た。夜中でもサングラスをつけている為、その表情はわからない。

 

「・・・そうだな。確かに、彼女、源さくらは他のゾンビィと比べると輝いていない。見劣りする、と言ってもいい」

 

「厳しいね。実際そうなんだけど」

 

「だが、その代わりに奴は誰よりも諦めない心を持っている。そして土壇場でこそ輝く、火事場の馬鹿力のようなものも」

 

「・・・なにそれ?そんな曖昧な理由であの子も加えたの?あははっ、あなた意外とロマンチストなんだね」

 

「ではお前ならば、昨日の佐賀城ふれあいコンサート、うまくできたか?」

 

「余裕だね。むしろ私ならあの場にいた全員をファンにできたと思うけど?」

 

「では、ファンにしつつ、アイドル活動に消極的だった仲間の説得は?」

 

「・・・」

 

たぶん、難しい。もちろんあの程度のハコ、私なら全ての観客を魅了できる自信がある。でも、一緒にアイドルをやろうとみんなを説得できるかは・・・。

 

「結果的にあのライブはサキ、リリィ、ゆうぎりの心を動かした。それはさくらだからこそできた事だと俺は考えている」

 

「・・・確かに私じゃ皆を説得はできなかったかもね。でもそれがどうしたの?ステージの上で信用できるのは自分だけ。何人いようと関係ないでしょ?」

 

 

 

 

「・・・星野アイ、お前の現役の時の売り出し方を俺は知っている。そのやり方は正しかった。当時のお前のマネージャーは間違いなくお前という商品価値を見抜いていた」

 

「だが、それでは駄目なのだ。この佐賀を救う為には、星は一つだけでは駄目だ。お前たち全員が輝く星でなければ」

 

「そしてその為には、あいつが。さくらのような奴が必要だ。どんなに絶望的な状況でも諦めずに挑戦し、土壇場でこそ力を発揮する奴が」

 

 

巽の声には確信めいたものがあった。

私にはわからないけど、この人には何か別のものが見えてる・・・なかな?

 

「・・・ふーん。あなたの言いたいことはわかったよ」

「でも納得はできない。だから私と取引しようよ」

 

「取引だと?」

 

「そう、私がこのユニット、フランシュシュを有名にしてあげる。具体的には・・・そうだな〜、じゃあドームまで連れてってあげる。もちろん東京の方ね」

 

 

何回も作り上げてきた、アイドルの笑みで巽を見る。

 

「・・・随分と簡単に言うのだな。単独ドームライブ直前に死んだアイドルの言うこととは思えん」

 

「まあねー。でもあれは私のファンが私を刺したせいだし。あれがなければドームライブはできたしね」

「で、代わりに私の願いを一つだけ叶えてほしい」

 

「・・・ゾンビが生者に関わるのはアイドルでいる時だけだ。お前がなんと言おうと俺はこのスタンスを崩す気はない」

 

「おおー、察しがいいね。やっぱり私の秘密も知ってるんだ。・・・確かに、私の願いは生者に関わることだよ。でもね、たぶんあなたが今考えたことじゃない」

 

「・・・まさか、お前の願いは」

 

「そう、私の願いはね───」

 

・・・

 

 

私の願いを聞いた巽はしばらく考えた後、静かに椅子に座り直した。

 

「・・・いいだろう。フランシュシュが有名になったらお前の願いを叶えてやってもいい」

 

「ありがと。ま、大船に乗った気で待っててよ?」

 

「だが、こちらからも一つ条件がある」

 

「・・・なに?みんなで仲良くーていうのは今更無しだよ?」

 

「ふん、お前のやり方は知っていると言っただろう。そんなもん微塵も期待していない」

「お前のやり方でやるのなら、他のメンバーを納得させろ」

 

「えー、私、説得とか苦手なんだけど」

 

「嘘をつけ。力づくで納得させるのは得意だろうが」

 

「・・・ふふん。そういうことね。巽もやっとわかってくれた、てこと?・・・いいよ。まずは明日のゲリラライブ、楽しみにしておいてね⭐︎」

 

そういうと私は巽の部屋から出ていった。

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

「ふん、とりあえず焚きつけてみたが・・・」

 

どっと疲れて椅子に座り直す。

正直予想はしていた。あの伝説のアイドルを使うという事がどういうことをもたらすのか。

元々このゾンビーランドサガプロジェクトは、七人の伝説のゾンビで行うプロジェクトだった。

そこに急遽、八人目のゾンビをぶち込んだ。

あれは劇薬だ。うまく使えなければこのプロジェクトをめちゃくちゃにする猛毒にもなる。

 

「・・・それがどうした。お前は伝説のアイドルプロデューサー、巽幸太郎だろう」

 

自分を鼓舞する為にも、己のもう一つの名前を呼ぶ。

そう、このプロジェクトに失敗は許されない。

もう賽は投げられているのだ。一度回り出した歯車は止められない。

 

「どんな猛毒だろうと、うまく御してやるさ」

 

俺はギターを取り出し、作曲の続きに入った。

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

翌日、唐津駅前に一台のバンが止まっている。

中にはメイクをしてアイドルになったゾンビが八人と、伝説のアイドルプロデューサーが一人。

 

「さあ、お前ら!練習の成果を見せてやれ!GOGOGO!」

 

プロデューサー、巽幸太郎がそういうとバンの扉が開き、六人のアイドルが飛び出した。

二人のアイドル、ゾンビィ三号こと水野愛とゾンビィ四号こと紺野純子はバンから出てこない。

 

「愛ちゃん、純子ちゃん・・・」

 

ゾンビィ一号こと源さくらが二人を見て不安そうな声を上げる。

 

「さくら、いくぞ」

 

しかし、ゾンビィ二号こと二階堂サキに連れられて、今日のステージである唐津駅北口広場へと向かっていった。

 

・・・

 

簡単な音響機器を広場の端に置く。これでステージは完成だ。

 

結局、愛と純子は来なかった。六人のアイドルが広場から駅を見るように整列する。

変な服を着た女子が並んだのが不思議だったのか、そこそこ見物客が集まっていた。

 

「・・・アイちゃん、今日は一緒に参加してくれてありがとね」

 

さくらがゾンビィ七号こと星野アイにこっそりお礼を言った。

 

「ん?どうして?私達、同じユニットでしょ?協力するのは当たり前だって!」

 

「本当はね、元アイドルのみんなが全然練習に参加してくれなくて不安だったんだ」

 

「・・・」

 

「でも、今日アイちゃんが一緒にステージに立ってくれる。一緒に歌って踊ってくれる、て言ってくれて本当に嬉しかった」

 

サキが拡声器でこれからゲリラライブを行う事を説明し始める。

 

「だから見とってね!私達、頑張って練習の成果を出すけん!アイちゃんだけじゃない、今も車の中で待ってる愛ちゃんも純子ちゃんも認めてくれる・・・そんなライブにして見せるけん!」

 

「そっか・・・うん、わかった」

 

そういうと事前に取り決めた開始のポーズを取る。

その一瞬、さくらは違和感に気がついた。

 

(あれ?アイちゃんの目、いつもは綺麗な星のように光ってたのに、今日は黒かったような・・・)

 

 

 

サキの挨拶が終わり、事前に決めた立ち位置で待機する。

元々八人で踊る曲のため、愛と純子が本来立つ場所だけぽっかりと空いていた。

 

〜♪

 

まもなく曲が流れ始める。佐賀城ふれあいコンサートでもやろうとした曲、【目覚めRETURNER】だ。

 

「〜♪」

 

・・・

 

立ち上がりは上々、一夜漬けにしては歌詞もしっかり覚えていて、ダンスも大きなミスもなく踊れていた。

 

しかし、曲の途中、メンバーの位置が入れ替わるタイミング。

 

「きゃっ」

 

ゾンビィ六号こと星川リリィがゾンビィ五号ことゆうぎりにぶつかってしまった。

 

「だ、大丈夫!?リリィちゃん!」

 

それを見たさくらがダンスをやめてリリィの元に駆け寄る。

ゆうぎりとサキは何とかダンスを継続しているが、リリィとさくらを気にしているのか動きが硬くなっていた。

 

・・・

 

「ッ馬鹿!止めちゃ駄目!」

 

車の中でライブを聞いていた愛が思わず窓に張りつく。純子もまた心配そうに窓から見ていた。

 

・・・

 

物珍しさに集まっていた人々が興味を失ったのか、離れていく。

それをみたさくらは焦りのあまり、次のパートで歌う歌詞を忘れてしまった。

 

(どどどどうしよう・・・か、歌詞飛んじゃった!ど、どやんすどやんすー?!)

 

パニックのあまり、泣きそうになる。その隣でずっと静かに歌い踊っていたアイが前に出た。

 

さくらにだけ聞こえる声で彼女が呟く。

 

「ごめんね」

 

・・・

 

見かねた愛と純子が車のドアを開けた途端、それは起こった。

 

「〜♪」

 

アイがダンスの振りのように、指先を今まさに離れようとしていた一人の男に向ける。その男は一瞬だけ、自分に向けられた指先に気づき、反射的にそのアイドルの顔を見た。

 

 

 

 

 

その瞬間、男は一瞬で脳を灼かれた。

 

 

 

 

 

自分を見る星の瞳。そこに吸い込まれるかのように魅了され、目が離せなくなる。その一挙手一投足が動くたびにそれを目で追い、彼女が視線を向けるたびに心臓が高鳴った。

 

「〜♪」

 

アイがダンスの振りと共に、視線を、指先を、次々とその場にいた人々に向けていく。

すると男も女も、老人も子供も関係なく、皆彼女の虜になっていった。

騒ぎを見て興味本位で見に来た人も、一様に心を奪われていく。

もう誰も、その場から離れようとする人はいなかった。

誰もが皆ただ一秒でも長く、そこにいる最強で無敵のアイドルを見ていたいと思っていた。

 

 

・・・

 

 

さくらには何が起こっているのかわからなかった。

サキも、ゆうぎりも、リリィもいつしか踊るのをやめてそれを見ていた。

 

 

愛と純子はその異様な光景を少し離れた、車の中から見ていた。

まるで街灯に集る蛾のように、唐津駅広場を通った人が足を止めていく。

 

 

曲が終わったとき、唐津駅北口広場を埋め尽くさんばかりの大勢の人が一斉に歓声を上げていた。

 

・・・

 

「ちょっと、ちょっと〜!困るんだよねぇ、届出も無しにこんなところでライブされちゃうと〜!」

「てか人多っ!何があったんだこれ・・・。と、とにかく、解散!解散しなさい!通行の邪魔になるので解散しなさーい!」

 

騒ぎを聞いた警官が現れて、集まった人々に解散するよう声をかけている。

 

それを見たアイは最後に、たった今、ファンにした人に向けて手を振った。

 

「あ、やばっ。じゃあ今日はこれで終了でーす!本日は私達、フランシュシュのゲリラライブに来てくれてありがとうございました!みんなー!愛してるよー!また来てねー!」

 

音響機器をぱっぱと片づけ、車に運んで行く。

 

「ほらっ早く行こ!いくらちゃん!」

 

「えっ?えっ?」

 

「みんなも早くー!」

 

アイはさくらの手を引いて車に乗せる。他のメンバーも慌てて車に乗った。

 

「・・・」

 

巽が無言でアクセルを踏む。

全員が乗った車は、あっという間にその場から離脱した。

 




アイはとにかくチート設定。

後半もほぼできてるので後日あげます。

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