感想全て読ませて貰ってます!
時代設定の矛盾については・・・純子、お前が直しておけ。
皆さんゾンサガも推しの子もとても詳しくてびびる・・・。
相変わらずの駄文ですが、少しでも楽しく読んでくれるともっと嬉しいです!
「いやー、やっぱり身体を動かすのは気持ちいいねー!久しぶりにファンの前でライブしたからはしゃいじゃった!」
「しかし今日一日でファン何人増えたかなー?動画撮ってる人もいたし、上手くいけばSNSでバズりも狙えるかも!」
洋館に戻ってきたみんなはアイちゃんを除いて暗かった。
それも当然だ。結果的にはファンも増えたし成功なのかもしれないけど、私達としては失敗ばかりで酷いものだった。
「あ、あのアイちゃん・・・」
機嫌が良さそうなアイちゃんに話しかける。
「今日はフォローありがとう。アイちゃんがいなかったら酷いライブになってたかもしれんけん・・・」
「気にしなくていいよー!私が勝手にやったことだし!」
「と、ところで、今日のあれは・・・」
「あーあれね。人て不思議でさ、自分に関心がある、て思ったらその相手のこと知りたくなっちゃう生き物なんだ。それを利用して指先や視線を向けて私に関心を持たせて、一瞬でいいから私を見てもらうの!」
「あとは見てもらうタイミングに合わせて、私が一番可愛く見える角度でポーズを取ったり、笑顔を見せれば大抵の相手は私の可愛さに堕ちるから!」
ピースしながらウインクして笑うアイちゃん。
確かにその顔は私から見ても魅力的に見えた。
「あ、今いくらちゃん、私の事可愛い、て思ったでしょ?いいよー。私の事推しても。今なら爆レスもあげちゃう⭐︎」
「え、ええ〜そんなこと言われても困るけん・・・。てか!私、さくら!いくらじゃなくてさくら!ずっと間違っとったでしょー!」
「あれ?そうだっけ?ごめんごめん。私昔から人の名前覚えるの苦手でさー。次から気をつけるね、あぐらちゃん!」
「だからさくらだってばー!」
「ま、とにかく、これからは私に任せてよ!あっという間にフランシュシュを有名にして、みんなで佐賀を盛り上げちゃおう!夢はドームライブ!全国ツアー!てね!」
「あ、先に水浴びしちゃうねー」
そういうとアイちゃんは部屋を出ていった。
・・・
部屋に静寂が訪れる。
その静寂を破ったのはサキちゃんだった。
「くそっ、何も出来んかったな・・・」
「アイはんがいってた技、昔わっちと同じ花魁にも使えるものがおりんした。ただアイはん程大勢の人にいっぺんに、は使えんでしたが」
「リリィ、練習でも間違えたところ、本番でも間違えちゃった・・・」
「ううん、私も歌詞が飛んじゃってしもうた。そっから何も出来ずにただ立ってただけやった・・・」
「ヴァアヴァゥ・・・」
思い思いの反省点を述べる。
結局私たちは自分の無力さを思い知らされただけやった。
こんなんじゃアイドル活動なんて・・・。
「別にあんた達のせい、てだけじゃないわよ」
今までずっと黙っていた愛ちゃんが声を掛けてきた。
「愛ちゃん・・・」
「今回のライブ、確かにあんた達には反省点がいくつもあった。そこはもちろん直していかなきゃ駄目」
「でも何よりも、あいつの、アイに喰われた事が問題。アイは明らかにあのタイミングを狙ってあのパフォーマンスを仕掛けてた」
「え?ど、どやんこと?」
「自分のファンを一気に作る為にあんた達は利用された、てこと」
「え、ええええええっ!!」
「な、なんやとおおっ!!」
サキちゃんと声が重なる。
「あ、あれは私達を助ける為にしてくれたんじゃないとよ!?」
「助けるだけだったら、曲の終わりまであのパフォーマンスを続けようとはしないでしょ」
「ちっくしょおお!許せんばい!舐められねえ為にもちょっくらお礼参りしに・・・」
「わああああっ、サキちゃん駄目駄目!仲間割れはいかんけん!」
「ああん!?先に向こうがふっかけてきた喧嘩ばってん!?」
「そ、それでも暴力は駄目だって!み、みんなも止めて〜!」
・・・
「で、あんた達はどうするの?」
なんとかサキちゃんを落ち着かせた後、愛ちゃんが尋ねてきた。
「ど、どう、て・・・?」
「あいつと一緒にアイドルを続けられるか、てこと」
「そ、そげんなことはもちろんっ」
「でもこのままだとあいつは今後もあのパフォーマンスを続けていくわ」
「・・・」
私が何も言えないでいると、純子ちゃんも加わってきた。
「今日のアイさんのパフォーマンス、どちらかというと私の時代にいたアイドルよりのものでした。グループで、というよりも一人の、・・・今はソロ、ていうんでしたっけ?そんな個人が輝く為のパフォーマンス、て感じがしました」
「アイドルもそうだけど芸能人てのはね、稀にそこにいるだけで存在感を放つ、スター性みたいなものを兼ね備えた奴が現れる。そいつはユニットで活動してもセンターより目立ってしまうし、お芝居をやっても主役より目立ってしまう。
常に一番目立つ位置に置かないとユニットが、お芝居が破綻する。
アイドル、アイはそういうやつよ」
「あんた達の取れる選択肢は二つ。このままアイと共にアイドルを続けて、一生あいつのバックダンサーで終わるか、アイを切り捨てて新しいユニットを作って活動するか」
・・・どうしよう。正直さっきの光景を見せられたからか、アイちゃんに全然敵う気がしない。
でもアイちゃんを切り捨てて新しいユニットを作る、ていうのも嫌だ。
やっと皆とアイドル活動が本格的に始められる、て思ったのに、いきなり解散なんて・・・。
「リリィはね、せっかく皆とこうして会えたのに、アイドルになってみんなとまだキラキラしてないのに、このまま終わるなんて嫌だよ・・・」
「リリィちゃん・・・」
「あたしはなぁ、ダチを大事にしねえ奴が嫌いだ」
「サキちゃん・・・」
「だがなぁ、一度負けたくらいで諦めるような軟弱な奴の方が嫌いやけん!」
「おい、さくら!このままアイの奴に負けっぱなしでいいのか!?佐賀城であたしの前で吠えたのは全部嘘っぱちか!?」
「!!・・・ううん!そんな事ない!・・・でもどやんすればいいんだろう・・・」
「「「うーん・・・」」」
リリィちゃんとサキちゃんと一緒に考える。
するとそれまで黙っていたたえちゃんが、急に暴れ出した。
「ヴァエ!ヴァア!」
「た、たえちゃん!急にどうしたとよ!?」
「ヴェヴェォ!ヴァアヴァア!」
たえちゃんが不思議な踊りを続ける。それはさっきまで私達が踊っていたダンスに、どことなく似ていた。
「そっか・・・そうだよ!たっくさん練習してアイちゃんに、上手くなったリリィ達の歌とダンスを見せて認めさせちゃえばいいんだよ!」
「・・・確かにそうやね!そうすればアイちゃんも、私達とアイドルやってくれるかもしれんけん!」
私達はゾンビやけん!多少無理しても怪我したりしないから、たくさん練習すればアイちゃんも認めるくらい上手くなるかも・・・!
「・・・無理ね、アイは歌もダンスもそんじゃそこらのアイドルより上手い。あんた達が今日から寝ずにずっと練習しても、アイレベルになるには数年はかかると思ったほうがいい」
そっか・・・そうだよね。アイちゃんも元アイドルだったらしいし、さっき見た限り私達とは比べるまでもなくダンスも歌も上手かった。
「ちっ、そううまくはいけんか・・・。ああー!ゾクだったら集会開いて殴って終いなのによー!」
「・・・でも、その考え方は悪くない」
「えっ?」
「要するにアイにアイドルとしてのパフォーマンスで勝てば良い。例えば同じステージの上で、アイよりも多くのファンを集める、とか」
「え、ええ!?」
そ、そんな・・・!?さっきアイちゃんに実力の差を見せつけられたばかりやのに・・・。
「そうすればアイもあんた達の事、認めざるをえなくなる。正直それくらいのことをしないと、アイはあんた達の事、気にも留めないでしょうね」
「う、うう・・・」
正直、アイちゃんにステージの上でなんて勝てる気がしない。
でも・・・
「・・・やる!私はアイちゃんに、私達がどれだけ本気でアイドルをやろうと思ってるか知って欲しい!」
リリィちゃんが目を輝かせ、サキちゃんがへっ、と笑った。
ゆうぎりさんもうなずいている。たえちゃんも雄叫びを上げていた。
・・・皆、考える事は同じやけんね!
「・・・もしあなた達が本気でアイに勝ちたい、ていうなら私も協力する」
「愛ちゃん!?」
「私もアイアンフリルでずっとセンターに立ってきた。その時に学んだノウハウをあなた達に教えれば、多少はアイに近づけるかもしれない」
「・・・でもやるからには徹底的にやる。妥協も甘えも許さない。それが私の知るアイドルだから」
「・・・私も歌唱力には自信があります」
「純子ちゃん!」
「声の出し方一つで、観客の方に届く音は変わります。きっと皆さんのお役に立てるはずです!」
「・・・先程は一緒にライブに参加できず、すみませんでした。私はグループでの活動に、心のどこかでまだ戸惑いがあったのかもしれません・・・」
「ですが、皆さんが本気で取り組むというなら、私にも協力させてください・・・!」
すごいっ、これならいけるかもしれんけん!今回は愛ちゃんも純子ちゃんもいる!
二人ともアイドル経験者やし、とっても心強いけん!
「そうだ、そうだよっ。皆で力を合わせればきっとアイちゃんに・・・!!」
ふと思った。
アイちゃんはどうしてこんなことをしたのだろう?
本当は私達とアイドルなんてやりたくなかった?
私達のレベルが低過ぎて、一緒にユニットを組みたくなくなった?
・・・わからない。でもアイちゃんがなんと思おうと私はアイちゃんと、皆と、アイドルをやりたい。
皆と同じステージに立って、一緒に曲を歌って、一緒にダンスをしたい。そこにはアイちゃんもいて欲しい。ううん、いなきゃ駄目やけん!
きっとアイちゃんにも何か理由があったはず。
まずは私達がアイちゃんの事、信じてあげなきゃいかん!
「ねえ、皆、やっぱりアイちゃんと話を・・・ぶへっ!」
突然顔に衝撃が走って私は吹っ飛ばされた。
「いたた・・・えっ?」
倒れた身体を起こすと目の前には私を引っぱたいたのか、平手をふりきったゆうぎりさんがいた。
「さくらはん、わっちらは全員揃ってフランシュシュでありんす!それはもちろん、アイはんも含めてでありんす!」
「えっ?・・・うん。だから今私が言おうと」
「たとえ一時は仲違え共、わっちらは同じゾンビという境遇同士の友!アイはんの事を信じてあげなんし!」
「えっ?・・・だからそれも私が言おうと」
「いや、ゆうぎり姉さんの言う通りだ、さくら」
「確かにアイの奴はダチを裏切った。それに関してはケジメつけさせなきゃならんばい。せど何か事情があったのかもしれんけん。そこを聞かんのは筋が通らんばい」
「えっ?・・・う、うん。サキちゃん、私、それも言おうと」
「皆、時間が惜しいから早速練習を始めよう!まずは基礎的なことだけど、誰かがステージで転んでも絶対に止めないこと。見てくれてるお客さんにも失礼だし──」
な、なんか納得いかんけど今は皆と同じ目標ができたことを喜ぼう!
あとはアイちゃんとお話をして、幸太郎さんにも説明して・・・よーし、頑張るぞ、おー!
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「うーん、声が大きいから丸聞こえなんだけどなー」
部屋の中ではいくらちゃん達が何やらダンスのレッスンを始めている。
水浴びから帰ってきたら何やらフランシュシュの皆が団結していた。
なんか入りづらい雰囲気だなー。
まあいっか。
私は私の目的を叶える為に、フランシュシュを有名にするだけだし。
待っててね、ルビー、アクア。
必ず会いにいくから。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「次のイベントはライブだ。場所はイオンモール佐賀大和の一階イベントホール。バンドのライブイベントがあるがそれの前座としてお前らをねじ込んだ」
洋館の地下にあるいつもの牢の前、椅子に座った私達は巽から次のイベントの説明を受けていた。
「曲は一曲だけ。もちろん前回ゲリラライブで歌った『目覚めRETURNER』をやる」
「日付は明日。しっかり練習して当日に備えろ。と・く・に!前回失態を見せた奴らは死ぬまで練習して仕上げてこんかーい!会場にいるのは時間にして五分も満たないとはいえ、観客共にしっかりと爪痕を残してくるんじゃーい!」
それだけ言うと巽は部屋から出ていった。
部屋には私達だけが残される。
「じゃ、私も用事があるから失礼しまーす」
椅子を立ち、私も部屋から出ようとする。
しかし、いくらちゃんが私を呼び止めた。
「ま、まって!アイちゃん!」
「ん?どうしたの?いくらちゃん?」
「私さくらね・・・。えっと、アイちゃんに聞きたい事があるけん!」
聞きたい事・・・。まあ予想はつくけど。
いくらちゃんの後ろから皆の視線も感じるし、ちゃっちゃと答えちゃおう。
「んー・・・なに?」
「・・・この前のゲリラライブ、アイちゃんが助けてくれたっちゃけど、あれ、本当はどうだったのかな、て思っとって・・・」
「・・・いくらちゃんはどう思う?」
「ど、どう、て・・・。それはもちろんアイちゃんが歌詞が飛んだ私を見かねて助けて・・・」
「あはは!うん、それもあるよ!でもね?それだけじゃない。本当は気づいてるんでしょ?」
「・・・! じゃ、じゃあやっぱり・・・!」
「うん、そう。私が目立つ為に、あの状況を利用しちゃいました!」
いくらちゃんが悲しそうな顔をする。
・・・別にそんなに悲しい顔をさせたかった訳じゃなかったんだけどな。
止まった心臓が一瞬だけズキリと痛んだ気がした。
「・・・なして、そげなことしよっと?」
「そりゃあ早く有名になりたいからでしょー。フランシュシュが有名になれば佐賀が救われる、て巽は言ってたし。有名になるにはもっとフランシュシュの事知ってもらって、もっと大きな会場でライブしないといけないからね!」
「た、確かに私達ももっともっと頑張って、大勢の人の前でアイドルをやりたか!けどそれは、皆一緒に、てことやけん!」
「・・・?だからそうでしょ?皆で一緒に大きなステージに立つ。例えそれは私一人が集めた観客だろうと、同じ事じゃない?」
「・・・!そ、それはッ!」
「あんたのやり方じゃ、結局アイだけのステージになる、ていってんのよ」
ずっと黙っていた愛ちゃんが話に割り込んできた。
「別に皆でステージに立てばフランシュシュのステージでしょ?少なくとも観客やスタッフはそう思うんじゃないかな?」
「違う。あんたのやり方だとそこに立つのはアイとその他で、決してフランシュシュじゃない」
愛ちゃんは明らかに敵意をこちらに向けている。
それは生前、私が良く同じユニットの子から向けられたものに似ていた。
「アイ、あんたに勝負を挑むわ」
「勝負?」
「ええ、次のライブでより多くのファンを集めた方が勝ち。勝敗はあの馬鹿に決めてもらう」
馬鹿・・・ああ、巽のことか。
「ふーん。私は別にいいけどそんなルールでいいの?前回駅前で集めたファンも来るだろうから私が有利だと思うけど」
「構わない。それはあなたのファンなんだから当然でしょ。ただ私達は七人が集めた合計でいかせてもらう」
「いーよー。それくらいのハンデ、楽勝だしねー。で、勝ったら何か貰えるの?」
「あんたが勝ったら、もう私達は何も言わない。フランシュシュはあんたの方針で活動を続けていく」
「へーいいね」
後ろを見ると皆何も言わない。
もう相談して決めてた、て事か。
「でも、私達が勝ったら、あんたにはこれから私達の方針に従ってフランシュシュで活動して貰う」
「ま、そうだよね。別にその条件でいいよ?私、負けないし」
愛ちゃんの視線にまっすぐ答える。
確かに最近、皆が遅くまで練習しているのは知っている。
けど正直に言って負ける気はしない。
この前のゲリラライブで集めたファンは全員とは言わずとも何人かは来るだろうし、いなくても現地でまた私に夢中にさせればいい。
この勝負に勝ってフランシュシュの方針を私が決められるようになれば、佐賀で有名になるっていう私の目的も達成しやすくなる。
その為なら私は、何度でも『アイドル』になろう。
「・・・アイちゃん!私達、絶対負けんばい!次のライブ、見とってよ!」
「・・・」
私はいくらちゃんのその言葉には答えずに部屋から出ていった。
・・・
「そこ!足の振りが早い!、リリィは移動でまだもたついてる!、サキは逆に急ぎすぎ!」
私達は今、洋館にあるレッスン室で練習をしている。
愛ちゃんと純子ちゃんが講師になってダンスと歌を教わる形だ。
「・・・よし、ちょっと休憩しよう!」
愛ちゃんの号令で皆がその場にへたり込む。ゾンビだから肉体的な疲れは感じないが、ずっと練習をしていると精神的に疲れてくる。
だからこまめに休憩は入れよう、という事になったのだ。
「ふー・・・。だいぶ良くなってきたんじゃなか?」
「リリィ、結構動けるようになったと思う!」
「はい、リリィはん、しっかりやっとらした。わっちもやっと現代の舞、にも慣れてきたでありんす」
「皆さん、歌も上達してます。あとは本番でも安定して同じ力が発揮できれば、最低限お客さんに見せられるものになるかと思います」
「は、はは・・・純子ちゃんて愛ちゃんに負けず劣らず厳しいやね・・・」
「うん、皆最初の頃と比べると格段に上手くなってる。・・・でもまだまだ足りない。アイに勝つならもっと練習しないと」
皆上手くなってきた、と思ってたけど愛ちゃんからするとまだまだらしい。
「・・・前から思ってたんけんよ・・・愛、お前昔のアイのこと知っとるんか?」
サキちゃんが休憩中にそんな質問を愛ちゃんに投げていた。
「・・・なんでそんな事聞くのよ?」
「んー・・・、何つーかやけに詳しいつーか、前から意識してるように見えた、つーか」
愛ちゃんは険しい顔をしていたけど、観念したのかポツポツと喋り出した。
「・・・昔の話よ。私も昔はアイドルに憧れた子供だった。その憧れたアイドル、ていうのがアイだった、てだけ」
「え、ええ!?あ、愛ちゃん、アイちゃんに憧れてアイドルになったとよ?!?」
な、なんか知らんけど妙にショックを感じるけん・・・。
「そんな驚く事じゃないでしょ。私だって何の理由も無しにアイドルになったわけじゃないし」
は、はぁ〜意外やけん。
「ふーん。で、アイはどんなアイドルだったんつか?」
「・・・すごいアイドルだった。歌もダンスも飛び抜けて上手い、てわけじゃないけど、容姿が整ってたのもあってとても目を引くアイドルだった」
「いま思えば、この前のゲリラライブみたいな技術も普段から使ってたのかも。B小町は実質アイドル『アイ』を輝かせる為のユニットだったから」
「そうですか?私から見たらアイさんは全体的に歌もダンスも高水準です。何度も練習して身体に染みついた滑らかな動き、歌声も力強くて、自分の実力に対する絶対的な自信を感じます」
「私だってアイの努力は認めてる。あの視線を集める技術だってステージに注がれる視線を全て把握して、そのほぼ全てに対応できる笑顔とポーズを咄嗟に作れるなんて、センスだけでどうこうなるものじゃない。アイは間違いなく実力でB小町のセンターをずっと務めあげてきた」
「それでも私は・・・彼女のやり方を認めない」
愛ちゃんは苦虫を噛み潰したかのような顔で最後の言葉を呟いた。
同じアイドルだった愛ちゃん、純子ちゃんがそこまで言う程なんて・・・。
私達はそんなアイちゃんに勝てるんだろうか?
「・・・今はぐだぐだ言っても何も変わらない。さ、休憩終わり!明日は本番なんだからもう時間はない!練習再開しよう!」
・・・
鏡の前で見本を見せながら皆に指示を出していく。
・・・だめだ、こんなんじゃまだまだアイには届かない。
私は昔、アイに憧れていた。
テレビに映る彼女はいつも綺麗で、私はそんな彼女が出るたびに元気を貰っていた。
アイは昔から周囲の目を引くアイドルだった。そこにいるだけで誰よりも輝く、一番星の生まれ変わりかのような存在。
私はそんなアイに憧れて、アイドルになったのだ。
でも、私がアイアンフリルのセンターになった頃、アイはファンに刺されて死んだ。
結局一度も共演できなかったし、一度も話すことはなかったけど、アイがいなければ私はアイドルになってなかった。
だからゾンビになって目を覚ました時、すぐに気づいた。
目の前にいる人は私が憧れたアイドル、『アイ』だ、て。
でもこの前のゲリラライブで、アイがその魅力を撒き散らしてファンを増やしていくのを見た時、私は憤りを感じた。
だってアイ、あんたは一度死んで、せっかく生き返ってまたアイドルをやることになったのに、また同じ道を選ぶの?
私だって同じくらい大きなステージに立ったこともあるからわかる。
ステージの上でセンターを務める事がどれだけプレッシャーがかかるものなのか、どれだけ大変なものか知っている。
例え事務所の方針であろうと、ずっとセンターを独占して特別扱いを受けていれば、周りのメンバーから疎まれていたであろうこともわかる。
そんな孤独で誰にも頼れないアイドルに、あんたはまたなろうとしている。
それが気に入らない。
まだ会って数日とはいえ、そんなに私達は信用ならないわけ?
確かにあんたの生きてた頃は、アイアンフリルはそこまで有名じゃなかった。
それでも、あんたが死んだ後、CDの売り上げは日本で一位を取ったし、あんたが辿り着こうとした場所まで後一歩、てところまで来ていた。
ここでにいるさくら達だって、まだまだ歌もダンスも未熟だけど、アイドルになろうと必死に頑張ってる。
なのにまた自分から茨の道を選ぶの?
私達の事、見向きもせずに一人で突っ走っていくの?
私はそれが許せない。
私達はあなたのおまけなんかじゃない。
あなたの引き立て役になんて・・・絶対になってやらないんだから!
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
夜、布団に入るも眠れなくてベランダに出る。
ベランダには先客がいた。
「あれ?リリィちゃんも眠れないとね?」
「さくらちゃん・・・」
リリィちゃんはいつもの少しサイズの大きいパジャマを着て、ベランダにある椅子に座っていた。
「どうしたと?何か怖い夢でもみたとね?」
「ううん・・・」
リリィちゃんは何か言いたそうにしている。
けど、言いにくい事なのか、視線を下げたままだ。
「・・・リリィちゃん。何か言いづらいことでもある?無理に言いたくなければ言わなくてもいいとよ?」
「・・・」
リリィちゃんは意を決したのか、顔を上げて私をまっすぐ見つめてきた。
「さくらちゃん。アイちゃんの事、あまり怒らないであげて欲しいの」
「え、ええ?急にどうしたとよ?」
「ここ数日、アイちゃんと皆、ピリピリしてるでしょ・・・?リリィはやっぱり、皆と仲良くしたいから・・・」
「リリィちゃん・・・」
確かにこのピリピリした空気は私も感じている。まだ小さいリリィちゃんには、不安だったのかもしれない。
「それにね、リリィ、アイちゃんの気持ちも少しわかるの」
「え?」
「リリィもね、生きてた頃、子役としてたっくさんのテレビに出てたの。みんながキラキラしたリリィの事、可愛い、て言ってくれてリリィはとっても嬉しかった」
「でもね、それと同じくらい。寂しい、て思ってたの。もちろんリリィのパ・・・家族は優しかったし、一緒に共演した子役の子とかスタッフの大人の人とも仲は良かったよ」
「でも、カメラの前のリリィはどこかそんな皆と一線を引いてたんだ。きっとこの人はリリィの見てるもの、わからないんだろうな、て」
「リリィ、アイドルのことはわからないけどね。きっと昔のアイちゃんは寂しかった、て思うんだ。誰よりも輝いて、誰よりも先にいるとね、誰からも理解されなくなっちゃうの。
同じユニットの子もきっと、アイちゃんが見てた景色はわからなかったんじゃないかな」
そう語るリリィちゃんの顔は、どことなく大人びてるように見えた。
「だからね、アイちゃんの事、怒らないで欲しい。嫌わないであげて欲しいの」
「・・・リリィちゃんは優しかね」
リリィちゃんは元天才子役、て言ってたから元天才アイドルのアイちゃんに何か感じるものがあるのかもしれない。
「リリィちゃん、安心してよかね。私、別にアイちゃんのこと怒ってるわけじゃないとよ?」
「・・・本当?」
「うん。だってこの前のゲリラライブはうちらのパフォーマンスが未熟だったのがいけなかったんやけん」
「それにアイちゃんが本当は優しくていい子、てのは会って間もないうちでもわかるけんね!きっとサキちゃんも愛ちゃん、純子ちゃん、たえちゃん、ゆうぎりさんもわかってるとよ!」
「・・・うん!ありがとうさくらちゃん!」
リリィちゃんがやっといつもの笑顔になってくれた。
うん、やっぱりリリィちゃんは笑顔が似合うけんね。
「さ、もう寝よう?明日は本番やけん。寝不足になったらあかんよ」
「うん!おやすみ、さくらちゃん!」
そういって部屋に戻るリリィちゃんを見送る。
しばらくするとリリィちゃんが戻ってきた。
「さくらちゃん、さっきはリリィ寂しかった、ていったけどね?今は違うよ!だって、今のリリィはリリィと同じゾンビで、一緒にアイドルを目指す仲間がいるから!」
「リリィちゃん・・・!」
「えへへ、これだけ言いたかったの!じゃあ改めておやすみ!さくらちゃん!」
リリィちゃんが笑顔で部屋に戻っていく。
・・・うん、明日は絶対に勝って、アイちゃんに私達を認めさせるけん!
私は夜空に浮かぶ月を見つつ、改めて覚悟を決めた。
さくらちゃんの憧れたアイドルである愛ちゃんの憧れたアイドルはアイ。
愛ちゃんのアイドルのルーツ、てアニメで何も明かされてなかったと思うので・・・せっかくのクロスオーバーだしね。
次の話は書き終わってるので明日にでも上げます。
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