すぐ投稿すると言いながら約5ヶ月投稿しなかったのはひとえに私の怠慢です。
というのもですね?別ジャンル⋯某かぐや姫に脳を焼かれていたため、そっちばかり書いてました⋯。
いや、ホントに。
推しの子アニメ1話見たときと同じくらい狂ってました。
やっと正気を取り戻して、推しの子の下書きボックスを漁ってみたら、この話はもう書き上がってたんですよね。
なら投稿しろよな⋯。
相変わらずの遅筆ですが続きは書いていきます。
最近推しの子三期まで見直して、ゴロさりてえてえ⋯って初心にも帰りモチベも上がっておりますゆえ。
もしまだ読んでいただける方、いらっしゃいましたら時間のあるときに読んでくれると嬉しいです。
頂いた感想は全部読んでます。
続きを待ってくれる方のコメント、本当に嬉しかったです。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
稲光と共に雷の音が鳴り響く。
「朝に見た予報では快晴だったのに・・・」
思わずため息と共に文句が出る。
スマホの時間を見ればもうだいぶ時間が経っている。
ルビーちゃん達が戻ってくるまでに宿に戻らなきゃいけない。
仮病を使って外出した言い訳はいくらでも思いつくが、それを心配してくれた相手に気軽に口にするほど私は開き直れない。
「ルビーちゃんとは末永い付き合いになるかもしれないし・・・なんて、ね」
・・・
・・・わ、私、何てことを口にしてるんだろう。
顔が熱くなるのを自覚しつつ、さらに早足になる。
再び稲光が走る。
そうだ、今はどこか雨宿りできる場所を探さないと。
宿で考察するだけじゃ納得のいく結論は出なかった。
少しでも判断材料を集めるために、今日やってるフランシュシュのイベントを調べて観に行ったけど・・・。
脳裏に浮かぶのは先ほど見た光景だ。
私が観に行ったイベントではフランシュシュの二人が出演していた。
フランシュシュ一号と四号。
・・・源さくら(仮)と紺野純子(仮)だ。
他の出演者と軽いトークをするだけだったが、その最中、信じられないようなアクシデントが複数あった。
ステージの上を移動していた一号が何もないところでつ躓き、腕が取れたのだ。
それも一度や二度じゃない。
時には足が取れ、時には頭が取れた。
・・・いや、流石に取れすぎじゃない?
その度に彼女たちはアンデッドパワーだのゾンビパワーだの言ってその場を乗り切る。
お客さん達も何故か笑顔でそれを受け入れていて、取れる度にどっと歓声が溢れた。
・・・あれ?もしかして私の感性がおかしいのかな?
私が観ていた場所からは、タネも仕掛けもわからなかった。
撮影した画像にもそれらしきものは写っていない。
それなりの歓声を受けながら彼女達の出番が終わる。
何だかアイドルとして、というよりかは手品師みたいな認識されてたけど・・・。
撮影した写真を見返しながら、ため息をつく。
怪しいところはあったけど、決定的な証拠は見つけられなかった。
・・・私、何してるんだろう。
かなちゃんやアクアくん達との旅行をふいにして、皆に嘘をついてまで別行動をして、特に意味もなく、深い関わりがあるわけでもないアイドルの写真を見返している・・・。
「はぁ・・・」
prrrrrrr!!
「わっ!?」
突然鳴ったスマホに電話口の相手の名前が表示される。
『アクアくん』
思わずドキッとする。
アクアくんは今、ルビーちゃん達と観光中のはず。
・・・けどこの天気だし、もしかしたら宿に引き返したり?
だとしたら療養のために宿に残る、て言って見送った私が宿にいないとバレるのはまずい。
けどこの電話に出ないのも怪しまれる?
宿にいる私にかけてるなら寝てたって言えば誤魔化せる?
・・・しばらく電話を取らずに待っていたが、コール音が止む気配はない。
・・・よし。
私は意を決して電話の画面をタップした。
「も、もしもし?」
「やっと出たか、仮病娘」
うっ、やっぱり気づかれてる・・・。
「な、何のことかなー?」
「・・・俺、今宿泊してる施設からかけてるんだけど」
「・・・ごめんなさい」
諦めて謝ると電話の向こうから大きなため息が聞こえた。
「あかねのことだから、何か理由があってこんなことしてるんだろうけど、何でも一人でやろうとするのは良くないな。・・・心配するだろ」
その言葉に、思わず胸が高鳴る。
「心配・・・したんだ」
「当たり前だろ」
頬が熱を帯びるのを自覚する。
どんな事情であれ、彼から大切に思われてるとわかって嬉しかった。
「俺一人で宿まで戻ってきたからルビー達はまだ知らない。今のうちに戻って一日寝込んでたことにでもしとけよ」
「・・・うん、わかった」
「今、どこにいるんだ?」
「えっと、待ってね・・・すぐ調べるから」
マップアプリで自分のいる場所を調べてアクアくんに伝える。
「ここか・・・、ずいぶん遠くまで行ったな・・・。なら地図を送るからチェックをつけた建物に向かってくれ。あそこなら目印としてわかりやすい。すぐ行くから待ってろ」
「え!?迎えに来てくれるの?わ、悪いよ!」
「この天気の中一人で帰らせるほうが心配だ。・・・今俺たちは彼氏彼女なんだろ?ならこれくらいはさせてくれ」
「か、かのっ・・・//」
「わかったら大人しく待っとけよ。・・・じゃあな」
そう言って電話が切られる。
まだ心臓はバクバクと激しく高鳴っていた。
「ううっ・・・〜〜〜〜〜〜〜///」
アクアくん・・・やっぱり優しいな〜〜〜〜///
まさか迎えに来てもらえるなんて・・・///
駄目だ、顔がにやけて止まらないよ〜〜///
「えへへ・・・」
握りしめていたスマホの画面をつける。
アクアくんに指示された場所・・・うん、ここならすぐ着きそう。
どんよりとした天気に対して幸せな気持ちになりながら、私はスキップでそこへと向かった。
・・・
「・・・ここ?」
地図と眼の前の建物を見比べる。
アクアくんが待ち合わせに指定した場所、そこはどうみても洋風の廃屋だった。
明かりは一切点いておらず、壁はところどころ朽ちていて、今にも何か出そうなくらい不気味だ。
「道・・・間違えたかな?」
何度検索してもこの場所にしか行き当たらない。
もしかして・・・アクアくんが間違えた?
昔は立派な家があったけど、しばらく時間が経ってこうなったとか?
いや、でもこの荒れようは数ヶ月とかそこらじゃないと思うけど・・・。
いろいろと考えていると、建物の入り口あたりから何かが動く物音が聞こえた。
「・・・わんっ」
聞き覚えのある鳴き声。
どうやら犬がいるらしい。
「こんな荒れ果てた家に犬・・・?どこかから迷い込んだのかな?」
思わず、身を乗り出して声の主を探す。
目的の犬はあっさりと見つかった。
建物に通じる扉の前、一匹の犬が雨の中、何かを探すように首を振っている。
「えっ・・・?」
その異質な姿に思わず声を漏らす。
青白い毛色に、飛び出した眼球、およそまともとは思えない恐ろしい形相。
パニック映画で見たような凶暴な犬がそこにいた。
「な、何あれ・・・?」
私の声に犬の耳がピクリと反応する。
次の瞬間、一目散に私の方へと飛び込んできた。
「バウッ、バウッ!!」
「きゃっ!?」
思わずその場から離れようとする。
だけど、すでに走り出していた犬の方が圧倒的に早い。
一瞬で近寄ってきた犬は大きく口を開け、その牙を突き立てようとして──
「──キャイン!?」
首元に繋がれていた鎖がピンと張り、勢いのまま、その場に倒れ伏せた。
た、助かった・・・。
犬は鎖のせいでそれ以上近寄れずに唸りつつも、その眼は諦めていないのか、こちらをじっと睨んでいる。
こ、怖い・・・大人しくここから離れよう・・・。
アクアくんにはあとで連絡して別の場所で落ち合えばいい。
そう思って逃げようとして・・・
「・・・?、あの子、どこか変なような・・・?」
ふと、こちらを睨む犬が気になった。
あれだけ激しい運動をしたのに呼吸を荒げている様子がない。
犬は人間と違って汗をかかない代わりに、口を開けて
真冬のこの時期に呼吸をすれば、どうしたって吐息は白くなる。
それが見えない以上、まるで呼吸そのものをしていないとしか思えない。
落ち着いて見れば更に違和感は出てくる。
青白い毛色なのも不思議だったけど、あの犬・・・顔に縫合したような痕がある。
しかも、よく見れば縫合痕を挟んだ先にある毛色が他の毛色と違う。
まるで別々の犬の肌を繋ぎ合わせたみたい。
──それこそ、まるで映画に出てくるゾンビ犬のような・・・。
「・・・ゾンビ」
脳裏に浮かぶのは今、最も私の気になっている女の子達。
───ありえないことだけど。
・・・もし、本当に、何かしらの方法で、彼女達が生き返っていたとしたら。
それこそ、ゾンビみたいに────
この見るからに不健康そうな犬が、実際は既に死んでいてゾンビとなり蘇っていたとしたら。
頭の中で、これまで調べたフランシュシュに関する記憶があふれ出す。
故人そっくりの容姿、声、立ちふるまい。
もはや生き写しと言っていい程の、合わせ鏡のような存在。
もしその理由が、ほんとうに同一人物だからだとしたら。
ありえないことだけど、死んだはずの人間が実は生きていたとしたら。
ゾンビのように、死体のまま蘇ったのだとしたら。
否定したいオカルトが、今眼の前にあるかもしれない。
いや、あの犬がゾンビだなんて証拠はまだない。
あくまで私の推察だ。
確かめるなら、手っ取り早くあの犬の心臓が動いているか、近づいて調べればいい。
だけど、流石にあんな凶暴な犬に何の準備もなしに手を出すのは無謀だ。
「・・・なら、あの犬が守っている洋館は?」
あれが番犬だとしたら、あの洋館はゾンビに関わる人間の住処である可能性は高い。
それこそ、フランシュシュに関わる何かがあるかもしれない。
少なくとも、あの犬を制圧するよりは幾分か現実味がある。
やってみる価値はある。
私は心の中でそう判断する。
気がつけば足の震えは止まっていた。
眼の前の犬は依然、私に向かって血走った眼と狂ったような唸り声を発している。
⋯この犬は邪魔だ。何とかして排除しないと。
私は慌てずにゆっくりと洋館の周りをぐるりと一周する。
ところどころ手入れはされてるみたいだけど、侵入できそうな隙はある。
あとは眼の前の番犬をどうにかするだけ。
手持ちで何かないか漁ってみる。
「これ・・・」
宿に置いてあったお着き菓子だ。
確か佐賀の伝統的なお菓子だってアクアくんが言ってたっけ。
「ちっちっちっ・・・」
犬に見えるようにお菓子を見せると唸り声をやめ、鼻を鳴らし始めた。
「君、見た目通り食いしん坊なんだね」
眼の前で揺らすと視線もお菓子を追って左右に揺れる。
「・・・それっ!」
折を見て、目星をつけた入り口から離れた位置へとお菓子を投げる。
犬はわんっと一声鳴くと、一目散にお菓子のもとへと走り出した。
目算通り、首輪の鎖ギリギリのところに犬が釘付けになる。
その間に私は門を越え、入り口へと小走りで向かう。
距離もなかったため、あっという間に辿り着いた。
犬はまだお菓子に夢中なのか、こちらには眼もくれていない。
私は冷静に、先ほど見つけた鍵がかかっていない窓へと向かうと屋内へと侵入した。
・・・
玄関に向かうとたくさんの靴がしまってある棚があった。
フランシュシュの外見年齢から、各メンバーのおおよその靴のサイズは調べられる。
・・・見事に置いてある靴のサイズと一致した。
続いて過去にフランシュシュがSNS上で投稿した活動履歴を漁る。
ご当地アイドルなら衣装や靴は私物の可能性が高い。
「・・・ビンゴ」
案の定、過去に投稿した写真に写っている靴が、複数あった。
まだ確証はないが、限りなく黒に近い。
そう言って差し支えないだろう。
「ここがフランシュシュの活動拠点なら・・・」
ゾンビに関する秘密が隠されているはず・・・!
私は逸る心を抑えつつ、奥へと進んだ。
・・・
泥で汚れた靴をしまい、小走りに歩く。
事前に調べておいたフランシュシュのスケジュールだと、今は全員仕事で不在のはず。
とはいえ、時間はあまりない。
アクアくんがいつ迎えに来るかもわからないし、物色できる場所は限られる。
「やっぱり・・・人が生活していた形跡がある」
外観に反して中は掃除が行き届いており、汚れや埃等は見当たらない。
電気やガス、水道は通ってるし、洗った後の食器や使いかけの洗剤もある。
ここで普段から誰かが生活してるのは明らかだ。
「地下室みたいな見るからに怪しいところがあれば探しやすいのに・・・」
昔見た映画では地下室にゾンビの研究施設があった。
時間があれば探してみたいけど・・・今は諦めるしかなさそう。
浴室、キッチン、リビング、テラス・・・。
生活で利用する場所は隠し事にはあまり向かない。
調べるならもっと雑多にものがあるところがいい。
木を隠すなら森、例えば・・・
「・・・書斎や私室」
直感で開けた扉の先、そこにはピアノやギターがあり、パソコンが鎮座する部屋だった。
本棚には音楽やメイク、ファッション誌等アイドル活動に関連しそうな本が並んでおり、そこがプロデューサーの仕事部屋だとすぐに理解した。
「パソコン・・・はセキュリティもあるだろうし諦めるしかないか・・・」
ここに私がいた証拠はできるだけ残したくない。
電子的なセキュリティに関する専門的な知識は無いし、ログを調べられたら
なら──
「──
・・・
本棚を、机を、引き出しを、怪しいところは片っ端から調べていく。
「お父さんに知られたら怒られるじゃすまないかも・・・」
自分のしていることが、社会的に良くないことであることを自覚しつつも、手は止めない。
今は何よりも探究心が勝る。
「これじゃない・・・、これは普通のファッション誌、こっちは佐賀の週刊誌?違う・・・」
探しているのは、フランシュシュがゾンビである、という証拠。
「っっ、これ・・・!」
作業用のデスクの引き出し、その一つが二重底になってる・・・!
逸る気持ちを抑えつつ、慎重に引き出しを取り出し、フタの部分を外す。
そこに隠されていたのは、一冊のノートだった。
端に誰かの名前が書かれた痕跡があるが上から黒で塗りつぶされており、詳細はわからない。
「このノート・・・裏返しにされてる」
私はノートを手に取るとくるりとひっくり返した。
「これ・・・日記帳?」
市販のどこにでも売っているデザインだ。
よく見れば表紙の端に、別の名前が記されている。
「巽、幸太郎・・・」
フランシュシュのプロデューサーの名前・・・!
アイ達をゾンビにし、アクアくんの探している人物・・・!!
間違いない。
この日記には重要な事実が記されている。
私はそう確信し、震える手でページをめくった。
「・・・えっ?」
思わず疑問の声が出る。
一ページ目から書き殴ったような文字と、塗り潰され読めないようにされている文でびっしりと埋めつくされていた。
「駄目だ・・・全然読めない・・・」
パラパラとめくるも、どのページも似たようなものだった。
時間をかければ解読できそうだけど・・・。
そう思ってスマホの時間を見ようとすると、急にスマホが鳴った。
画面にはアクアくんの名前。
私は慌てて電話を取った。
「も、もしもし!」
『あかねか?もうすぐ着くから、準備して待っててくれ』
「う、うん!わかった!」
通話が切れる。
やはり、時間はもうない。
フランシュシュのメンバーや巽幸太郎がいつ帰ってくるかもわからない。
ここは出直すしかないだろう。
私はスマホのカメラを起動すると、日記帳を一ページずつ撮影していく。
全てのページを撮り終えた後、急いで部屋を片付けると最後に指紋を拭き取って洋館を後にした。
・・・
「悪いな、待たせて。道が混んでてタクシーがなかなか捕まらなかったんだ」
「う、ううん!気にしないで!こっちこそごめんね、わざわざ迎えに来てもらっちゃって」
「構わないって言ったろ?⋯身体、冷やさなかったか?」
「だ、大丈夫!言われた通り屋根のあるとこにいたし・・・」
アクアくんが呼んでくれたタクシーに揺られつつ、遠ざかっていく洋館を窓から眺める。
ゾンビのような縫合痕のある番犬。
おばけでもでそうな程廃れた洋館。
そこで手に入れた一つの手がかり。
私は日記の写真が保存されたスマホを握りしめる。
東京に戻ったら早速この写真を解析しないと・・・!
「──で、結局なんで勝手に宿を抜け出したんだ?」
隣の席で反対の窓から外の景色を眺めながらアクアくんが尋ねてきた。
まあ当然聞かれるよね・・・。
「えっと・・・」
「まあ、言いたくないなら無理に言わなくてもいい。それに理由はなんとなく想像つくしな」
思わずドキッとする。
もしかして、私がフランシュシュのことを調べてるのがバレて・・・
「あかねなりに気を遣ってくれたんだろ?ルビー達が気兼ねしないようにって」
・・・ほっ。
どうやら気づかれてないみたい。
「誘ったのは俺なんだし、俺にくらい遠慮するなよな」
「ご、ごめんね。アクアくんにも気を遣わせちゃって・・・」
「別に。あかねと二人でいるの嫌いじゃないしな」
「えっ・・・?」
「・・・運転手さん、この辺で降ろしてもらっていいですか?」
・・・
私たちが泊まっている宿から少し離れた場所でタクシーから降りる。
まだ天気は曇っているものの、気がつけば雨はやんでいた。
「少し・・・あかねと話したいことがあったんだ」
「話って・・・なに?」
少し先を歩くアクアくんが、こちらを見ずにぽつりと呟いた。
私もその少し後ろをついていきながら聞き返す。
「俺たちの・・・関係のことだ」
思わず足を止めそうになる。
アクアくんも歩を緩めるも、こちらを振り向くことはしなかった。
「この前は結局、ちゃんと話せなかったからな。このまま中途半端なままじゃいけないと思ったんだ」
脳裏にあの歩道橋でのことが思い起こされる。
あの時は・・・最後の方は浮気だと私が勘違いしたこともあって有耶無耶になっていた。
「あの時、あかねをこのまま俺に縛りつけていることは良くないと言った。番組の形式上、はじまった関係で本物じゃないから、と」
「・・・うん」
「あかねに言われたように、あかねを・・・俺の復讐に利用するためにそばに置こうとした」
「・・・うん、知ってる」
君が結果的に、私のことを救ってくれた優しい人だってことも。
「俺はそんな最低な人間だ。己の目的のために、平気で他人の気持ちを蔑ろにする。・・・俺の復讐相手と何ら変わらない、人間の屑だ」
「・・・うん、それも知ってる」
君がそうやって、いつも自分自身を卑下してることも。
「そんなやつに、いつまでもあかねみたいな才能のある子が、未来のある人間が関わっていても時間の無駄だ」
「・・・」
ああ、この先の言葉を聞くのが怖い。
例え、君が私を利用するために近づいた最低の人間でも、私には・・・
「──そう、思っていた」
「・・・え?」
立ち止まり、こちらへと視線を向ける。
その顔は、泣いているのに笑っているような・・・そんな表情を浮かべていた。
「・・・この前、俺の父親を知る人間に会った。・・・俺の父親は既に死んでいた」
「っっ!」
「俺の復讐はもう終わっていたらしい。あれだけ時間をかけて、あれだけ他人を利用して。結局、すべて終わったあとにそれを知るなんて、・・・こんな最低の人間にはふさわしい末路だとも思ったよ」
自嘲するかのような、乾いた笑い。
復讐の結末を知った時、彼はきっと同じような顔を浮かべたのだろう。
・・・その時の気持ちを考えると、胸が張り裂けそうだった。
「──本当はもっと早く、言うべきだった」
だけど、彼はすぐにその笑みを消して、私へと視線を合わせた。
「こんな・・・何も成せない、意味のない人間だ。本来はこうやって君の前に立つことすら烏滸がましい」
深い蒼の瞳。
奇しくも、あの時と同じ───
「だけど──」
ああ、やっとわかった。
この気持ちが恋じゃないわけがない。
愛じゃないわけがない。
「──許されるなら、あかねの隣にいさせてほしい。今度は俺が・・・あかねを守りたい」
だって、こんなに嬉しかったのは───生まれて初めてだったのだから。
「・・・やっとわかった。私の気持ちを、やっと言語化できそう。・・・君は優しくて全部背負い込もうとするからその罪悪感ごと、私は隣で寄り添いたいって思ったんだ」
彼を抱きしめる。
無言で彼も抱きしめ返してきた。
そして─────
─────どちらからでもなく、いつしか互いに唇を重ねていた。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「───うん、そうだね。またこっちから連絡するよ。それじゃあ」
電話を切る。
男は小さく息を吐くとシャワーを浴びようと持っていたスマホを机に置こうとする。
だがその前に着信を知らせる音が鳴った。
もうだいぶ夜は深い。
本来なら電話をかけるには非常識とも言える時間。
だが男は少しも嫌な顔もせずにスマホの画面を一瞥し、電話の相手を知ってすぐにとった。
「やあ、ちょうどこっちからかけようと思ってたところだったよ」
気心が知れている仲なのか、男は楽しげに言葉を交わす。
だが、その一方で電話口の相手は無言のままだ。
「・・・今日は一段と無口だね、何かあったのかい?」
男が不審に思い、質問する。
電話口の相手はしばらく無言だったが、やがてしくしくと泣き出した。
突然の状況にも、男は特に驚く様子を見せずに質問を重ねる。
「・・・もしかして、佐賀に行ったのかい?」
その質問を皮切りに、嗚咽混じりにぽつぽつと話し始めた。
その内容は終始支離滅裂なものだったが、男は時折相槌を打ち、聞き役に徹している。
やがて彼女がすべてを話し終え、鼻をすする音だけが聞こえる段階になって、男はようやく口を開いた。
「確かに、ずっとアイのそばにいた君が言うなら彼女はアイそっくりの、・・・それこそ容姿だけでなくその才能まで受け継いだ本物なのかもしれないね」
男は朗らかに、彼女を落ち着かせる声色で話す。
しかし電話口の相手はその言葉を聞いて、自分のしでかしたことを思い出したのか、再び泣き出した。
「おっとごめんね、君を責めるつもりはないんだ。・・・これは僕の推測だけどその子、まだ死んでないんじゃないかな?」
疑問の声に対し、男はもう片方の手でタブレットの画面を操作する。
「だってニュースやSNSを漁ってみたけど、今日佐賀で女の子が刺された、みたいな内容は流れてこないし、人が死んだ、みたいなものもヒットしない」
電話口の相手は男の冷静な言葉を真剣に聞き入り、今日起きたことを必死になって思い出そうとする。
やがてすぐに刺した感触や怯える視線を震える声で伝え、男の言葉を否定した。
男は彼女の言葉に頷くも、その口元だけは笑みを浮かべる。
まるで全て上手くいったと言わんばかりに。
そして、電話口の彼女を嘲るように慰めの言葉を口にした。
「君は刺したと勘違いしただけで、本当は・・・そうだね、狙いを外して服とかに阻まれたんじゃない?だって普通は刺されたら──」
「───血が噴き出すだろう?白いバラを真っ赤に染め上げるような、綺麗な色が、さ?」
・・・
あかねちゃんは名探偵。
つまりプリキュア⋯?
幸太郎の日記の中身はゾンサガ公式サイトで一部が見れるぞ!まだ見てない人は要チェック!
ロメロってだいたいデフォルメされてるけどよく見たらしっかりゾンビ犬してる。
引き続き書いていきます!
是非コメント、感想、高評価くれるとありがたいです!
あと、別作品ですが超かぐや姫の小説もあげてます!
興味があれば読んでくれると嬉しいです!