推しの子キャラの出番です。
私の名前は星野ルビー!
陽東高校に通う十六歳の高校生!
苺プロダクションのB小町ていうユニットで新人アイドルやってます!
B小町のメンバーは全部で三人!
センターのロリ先輩こと有馬かな!
人気インフルエンサーのMEMちょ!
そして、ママ譲りの美貌を持つ私!
普段はB小町の公式アカウントで配信したり、歌ってみた動画を投稿したりして・・・最近はジャパンアイドルフェス、ていうおっきなイベントでライブもやりました!
そんなノリに乗ってる私達は今!
めちゃくちゃ暇でした。
・・・
「・・・ねえ、ロリ先輩。どうして私達、こんなにだらだらしてるのー?」
「ロリ先輩いうな、いびるぞ。・・・そりゃああんた、人気のないアイドルなんて仕事がなければこんなもんでしょ」
「ええっー!だって私達ジャパンアイドルフェスにも出たんだよ?結構ファンも増えたし、ライブとか握手会とかアイドルっぽい仕事が増えてもいいと思うんだけどー!」
「まあ、しょうがないよねー。確かにジャパンアイドルフェスでファンも増えたけど、結局あれ以外はレッスン除けば雑談動画や生配信しかしてないし、まだまだ私達はたくさんいる新人アイドルの一人でしかないんだよ」
うう・・・、ロリ先輩もMEMちょも冷たい・・・。
そりゃあ私もまだまだ自分達が世間に知られてない、ていうのはわかるけど。
それでも夢だったアイドルになって、おっきなステージで初ライブができたのが嬉しくて。
こう・・・アイドルとしてもっと活躍したい、ていう気持ちが抑えられないというか・・・。
「ううっ・・・こうなったら、、、ミヤえもーん!何かアイドルぽい仕事を出してよー!」
私は社長デスクでずっと書類と格闘している親代わりのミヤコさんに泣きついた。
「・・・無茶言わないでよ。私も方々に掛け合ってはいるけど、あなた達にはまだ何よりも知名度が足りないの」
「結局名前を知られてないと、仕事は貰えないのよ。B小町は確かに昔、世間に広く知られていたけど、解散した事も知られているからあまり売り込んでも仕事に繋がらないのよね」
「まあ、仕事を選ばないのならすぐにできるものはあるけど・・・」
ミヤコさんが言葉を濁す。
「なになに?どんなお仕事?」
「・・・昔、壱護が社長だった頃に親交のあった久中製薬、ていう会社が若い人向けに商品をアピールできる人材を募集してるんですって」
壱護さん・・・はママが生きてた頃の苺プロダクションの社長だ。
ママのことがあった後、今は行方知らずであり、苺プロダクションはミヤコさんが引き継ぐ形で取り仕切っている。
「イメージキャラクターをB小町でやる、てことか・・・うまくいけば私達のチャンネルまでの導線も引けそうだしいいんじゃない?」
「久中製薬は佐賀の有名な製薬会社よ。タイアップが上手くいけばあなたたちの名前を覚えて貰える機会も増えるだろうし、悪い話じゃないと思うわ。けど・・・」
「けど?」
「先方が佐賀の町おこしも兼ねて、佐賀県にある本社で撮影したい、て条件をつけてるのよ・・・」
「佐賀県・・・?て九州じゃない!遠っ!」
ロリ先輩が嫌そうな顔をする。
確かにここから佐賀県はかなり遠い。
「ええー、いいじゃん。先輩、役者の仕事も無くて暇でしょ?」
「イビるぞ、マジで」
「あはは・・・でも確かに最近、B小町で配信している動画も雑談ばっかりだから、たまには観光とかのアウトドア系のネタもありかもよ〜?」
「・・・!それっ、それだよ!生配信しながら街を歩いたり、地域のイベントに参加するのもありだし!マジグッドアイデアじゃん!さすが登録者数37万人のユーチューバー!」
「ふふん、それほどでも・・・あるけどね〜!」
ね〜、とMEMちょと笑い合ってると先輩は露骨に嫌そうな顔をしていた。
「なら、あんた達だけで行ってくればいいじゃない。ほら、私はこう編集で上手いこと、さもいたかのようにしてくれれば・・・」
「うわ・・・先輩、流石にそれはちょっと引くわ・・・」
「う〜ん、流石に一動画配信者としてあからさまなやらせはね〜・・・」
MEMちょと一緒に先輩にドン引きする。
やっぱり先輩、てこういうとこあるよね・・・。
流石に先輩もまずい事を言ったと思ったのか、すぐに謝罪してきた。
「ぐっ、・・・悪かったわね。今のは流石にちょっと言い過ぎたわ・・・。はぁ、わかったわよ。私も行けばいいんでしょ、行けば」
「やったー!じゃあ決定だね!」
イェーイとMEMちょとハイタッチする。
こうして、私達B小町の新しい仕事が決まった。
よーし、ジャパンアイドルフェス以来の本格的なアイドル活動だし、がんばるぞー!
・・・
「駄目だ」
私達の次のアイドル活動の内容を聞いた私の双子の兄、星野亜久亜海ことアクアはばっさりと言い切った。
「なんでよ!」
私が当然の如く反論する。
「俺がその日は仕事が入っていて行けないからだ」
それに対してさも当然のようにこのシスコン兄は返してきた。
「お兄ちゃん・・・流石にそれは引くわ」
「きも・・・」
「アクたん・・・」
私達が三者三様の引いた反応をする。
それを見たアクアはため息をつきながら反論した。
「・・・佐賀まで行くのなら宮崎の病院に俺も寄りたいからな」
「あ・・・」
アクアの言いたいことに気づいた私は思わず口を押さえる。
事務所内に微妙な空気が流れる。
「なに?宮崎に用があるの?」
空気の読めない先輩が空気の読めない質問をしてきた。
「・・・俺達が産まれた病院がそこにあるんだよ。せっかく佐賀まで行くのなら、久しぶりに行きたいだけだ」
アクアの言いたいことがわかってしまった。あそこはアイとの数少ない思い出の場所の一つだ。
私とアクアには誰にも言えない秘密が二つある。
一つは私達が夢半ばで亡くなった伝説のアイドル、アイが十六歳の時に産んだ隠し子であること。
そしてもう一つは私とアクアはいわゆる前世の記憶を持つ転生者であることだった。
アクアの前世が誰か私は知らないが、私が星野ルビーになる前、私は天童寺さりなという名前でずっと病室に繋がれていた。
難病を抱え、一人では生きていけない私は、奇しくもアイが星野ルビーを産んだ病院でその短い生涯を終えた。
だから私にとってあの宮崎の病院はさりなとルビー、両方の感慨深い思い出の場所だった。
それにあそこはせんせとも出会った場所だし──
「ふーん・・・ま、よくわからないけどアクアとルビー、二人共行きたいところだから予定を合わせたい、てことね」
「あーじゃあしょうがないわねー。二人の予定が合わないんじゃあ仕方ないわねー。本当に残念だけど今回は見送るてことでー」
先輩・・・やっぱりこの人性根が腐ってるな・・・。
わざとらしく残念そうな顔をする有馬かなを見て、私の中の先輩の評価が音を立てて崩れていった。
ジャパンアイドルフェスじゃいい笑顔してたのになあ・・・。やっぱり人の性根てのは10年ぽっちじゃ変わらないのか・・・。
私がそんなことを考えながら、先輩を哀れんでいるとミヤコママが助け舟を出してきた。
「あら?なら私がついて行きましょうか?ちょうど事務所でやらなきゃいけない仕事は落ち着いたところだし」
「社長が?大丈夫なんですか?」
「二、三日程度なら問題ないわ。宮崎の病院に行くのは別の機会にしてもらうしかないけど、私が着いていくならアクアも少しは安心するでしょ?」
ミヤコさんがアクアに悪戯っぽい微笑みを向けながら問いかける。
アクアは一瞬しかめっ面になったが、すぐにいつもの無愛想な顔になった。
「・・・まあ、なら問題ない」
「・・・やったー!ミヤコさん大好き!」
思わずミヤコさんを抱きしめる。ミヤコさんは困った顔をしながらも、手を止めて抱き返してくれた。
「なに?結局いつものシスコンだった、てこと?あんたもう高校生なんだからいい加減に卒業しなさいよ」
「違う、病院に行きたかったのは事実だ。ただルビー達だけで佐賀まで旅行に行くのも心配だっただけだ」
「そういうのがシスコン、ていうのよ。はぁー、やだやだ。こう言う男がいつまでも未練たらしく妹や姉を手元に置いておこうとするのよねー」
「は?俺がいつルビーを手元に置こうとした?」
「もー、いつまでもいちゃいちゃするのやめてよ。「「してない!」」・・・とにかく、これで全部条件はクリアだね!」
シスコンアクアの許可も出たし、図らずもミヤコさんと旅行もできる事になったし。
よーし、待っててね佐賀の人達!
私たちB小町の名前を忘れられないくらい、爪痕を残してやるんだからっ!
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
イオンモール佐賀大和でのライブの最中、フランシュシュの方針を決めるため、アイちゃんと私達はどちらがファンをたくさん集められるか勝負をした。
結果は私達の勝利、ライブは大盛況で終わった。
そして、あのライブから三日が経った今、私達は・・・。
まだアイちゃんと仲直りができていなかった。
「どやんすー!・・・どやんすー!」
「さくら落ち着け。ぶっコロすぞ?」
「これが落ち着いていられるとー?!だってあのライブからもう三日だよ?!あれからアイちゃんとずっと気まずいままだし!」
あのライブから帰ってきて、アイちゃんはすぐに洋館にある空き部屋の一室に閉じこもってしまった。
食事にも、寝室にも、レッスン室にもアイちゃんはあれから来ていない。
「うう・・・私達ゾンビやからご飯食べなくても生きていける、てのはわかるんやけど、それでも心配やけん・・・」
「まあ、私達そもそももう死んでますけどね」
「さくらはん、落ち着きなんし。アイはんも幸太郎はんのメイク無しじゃここから出れないことはわかっておりんす。となると、あの部屋にいるのは確かなんでありんすから」
「そーそー!姉さんの言う通りやけん、気にすんなって!」
「もー、なんでそんなに落ち着いていられるかなー!・・・愛ちゃんはどう思う?」
「・・・どうもこうもない、もしアイがあのライブでさくらに負けたのがショックで引きこもってるんだとしたら、所詮アイもその程度だった、てだけ」
「あのー愛ちゃん、あのライブは私達皆の勝利やけん・・・。私だけ、て訳じゃないとよ・・・?」
「謙遜しない。あれは誰がどう見てもさくらがいなければ勝てなかった勝負だった」
「・・・・・・ていうか私だけだと負けてたあの時のアイのパフォーマンスは全盛期と変わってなかったし私もあそこのステップが甘かったし立ち位置の入れ替えのタイミングで姿勢がぶれてたしそもそも──」
「ああー、また愛がぶっ壊れよった。おいさくら、責任とって直しとけよー」
「ええ!?あ、愛ちゃーん!ごめん、て!うちが悪かったやけん!戻ってきてー!」
「最近愛ちゃんもおかしくなったね」
「あれは素、なのではないのでしょうか・・・?愛さんの憧れがアイさんだったらしいですし・・・」
「それもあると思うけど多分、愛ちゃんはとっても負けず嫌いなんだよ。結局、芸能界に関わる人てだいたい負けず嫌いばかりだから」
「そうなのでしょうか・・・?私はあまり自覚はないのですが・・・」
「え?」
「・・・え?」
愛ちゃんの肩を掴んでぶんぶんと揺らしてみる。それでも愛ちゃんはぶつぶつと呟くのをやめない。
「愛ちゃーん!聞こえてますかー!もしもーし!」
更に力を入れて揺らす。するとそれを見ていたたえちゃんが、おもちゃと勘違いしたのか急に愛ちゃんの頭に噛みついてきた。
「ヴァイィィ!」
「たえちゃん!?」
噛みついたまま首をブンブン振る。すると愛ちゃんの頭が首からすっぽ抜けた。
その間も愛ちゃんはぶつぶつと呟くのをやめない。
「ヴァアヴァアァゥ!」
そのまま手を床につけたたえちゃんが四つ足になって、獣のように駆け出した。
「た、たえちゃん!ダメやって!待ってってー!」
「・・・はっ!」
たえちゃんを捕まえようと私も走り出す。その私を現実に戻ってきた愛ちゃんの身体が追いかけ始めた。
あっという間にドタドタと大騒ぎになる。
結局たえちゃんを捕まえて愛ちゃんの頭を取り戻しても、アイちゃんは部屋から出てこなかった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
翌日、幸太郎さんからいつもの地下室への招集がかかった。
並べられた椅子に座って、ホワイトボードの前で幸太郎さんが来るのを待つ。
しかし、今日は椅子に空席が二つあった。
「あれ?アイちゃんもだけど、サキちゃんもどうしたと?」
「なんか『朝ちょっと用事あるから遅れて行くばい!』て言ってたよ」
「ええ・・・大丈夫かな?いつも通りならもうそろそろ幸太郎さん来ちゃうとよ?」
「もしかして・・・アイさんを連れ出しに行ったのでしょうか・・・?」
「はっ!・・・た、確かにありえるけん・・・!いつまでも出てこないアイちゃんに業を煮やして・・・!さ、サキちゃんを止めなきゃ!暴力沙汰はまずいけんよ!」
「流石にサキもそこまでしないと思うけど・・・」
そんなことを言ってると、廊下を誰かが歩いてこちらに向かってくる靴音が聞こえた。
このカツカツと響く靴音は・・・。
「ま、まずい!幸太郎さんもう来ちゃったけん!」
私があわあわしているとドアが勢いよく開けられた。
「はいおはようございま〜す。お前ら今日も元気にゾンビィしとるか?ん?ん?」
いつものグラサンに胸からゲソを生やした男、幸太郎さんが入ってきた。
「・・・てゾンビが元気にゾンビしてる、てどういうことじゃーい!!」
ノリツッコミまでしてる。相変わらず元気な人やけん。
そこまで言った後、幸太郎さんはこちらを見て人数が少ないことに気付いたようだ。
「ん?サキとアイはどうした?」
「あ、えっと、二人はーそのー・・・」
私が言葉を濁してると幸太郎さんは気づいたのか、わなわなと震え出した。
「・・・ほう、俺の召集を無視するとはいい度胸じゃい・・・!」
「え、えっとー、あのー」
「・・・アイは確か二階の部屋に引き篭もっていたな。サキも連れ出す為と言った理由で一緒にいる可能性があるな・・・」
幸太郎さんが私達に向かって指を向け叫んだ。
「お前ら!俺は今からあのバカゾンビ共を連れてくる。全く・・・三日もあったのに仲直りすらできないとはとんだ仲良しグループだ!!仲直りしたいのならまずはお互いに謝る事だ!」
「いいか?!俺があいつらを呼びに行ってる間になんて言ってごめんなさいするか、考えながら待っていろ!」
そういうと幸太郎さんがたった今入ってきた扉まで向かう。
「足でド──」
扉を開けようとしたところで、外から蹴り開けられたドアに幸太郎さんは吹っ飛ばされた。
「幸太郎さん!?」
ドアを蹴り開けた人物が入ってくる。それは私たちのよく知る特攻隊長だった。
「さ、サキちゃん!?」
「・・・お、ちょうどいいもの持ってるやけん、・・・アイ!」
中に入ったサキちゃんは、吹っ飛ばした幸太郎さんのサングラスを摘むとそれを後ろに放り投げた。
サングラスはクルクルと回りながら、放物線を描いて扉の前にいた人の手に収まった。
その人がサングラスを顔にかけながら部屋に入ってくる。それはここ数日見なかった私達がずっと見たかった顔。
「アイちゃん!?」
星野アイだった。
・・・
部屋に入ったアイちゃんはそのままゆっくりとホワイトボードの前で止まった。
そのままくるりと私たちの方を向く。
椅子に座っている私達と向かい合う形になったアイちゃんは、今はいつもの私服に加えて、シンプルなロゴがついた帽子を被り、幸太郎さんから取ったサングラスをつけている。
これにマスクをつければ有名人がお忍びで来てるみたいやけん、なんて思ったりしてると、アイちゃんの左後ろにいたサキちゃんが左手に妙なものをもってることに気がついた。
あれ、て確かラジカセ・・・?
「皆、ちょっと私に時間を頂戴」
久しぶりに聞くアイちゃんの声。その格好に対してとても真剣な声色でアイちゃんは告げてきた。
状況を理解できていない私たちは、それに対して見ていることしかできなかった。
沈黙を肯定と受け取ったのか、アイちゃんが振り向いてサキちゃんに何やら合図を送る。
するとサキちゃんはラジカセを左肩に担ぎ出した。
「ミュージック・・・スタート」
アイちゃんの言葉と共にラジカセが曲を流し出す。
〜♪
あれ?これどっかで聞いたことあるけん・・・。確か・・・?
!
ラッパーがMCバトルする時によく流れるビート、だ!
「YO!YO!YO!お前ら!今日はよく来たな!」
サキちゃんがビートに合わせて喋り出した。
「今日はお前らに紹介する奴がいるけん!」
サキちゃんがホワイトボードの前にいるアイちゃんに手を向け、叫んだ。
「ディィィィィジェェェェェアイィィィィィィ!」
サングラスをかけたアイちゃんが手を挙げる。
「・・・」
・・・?
何も起こらないけど・・・。
「・・・拍手っ、拍手するけん!」
サキちゃんが小声で言ってきた。
遅れて拍手が地下室に鳴り響く。
満足したのかアイちゃんは手を下ろした。
拍手が治まるのを待って、アイちゃんが拳を握ってマイク代わりにする。
「・・・yeah yeah yeah、check、ワン、ツー」
サキちゃんがボイスパーカッションを刻みながら、リードする。
それに合わせて手をマイク代わりにしたアイちゃんが歌い出した。
「私の名前は星野アイ♪
昔はアイドルB小町♪
目を覚ましたら私ゾンビ♪」
ら、ラップ?なんかわからんけどアイちゃんがラップを歌い出した?!
「最初は困惑、意識混濁♪
ゾンビがアイドル?つまんねぇんだよその冗談♪」
ところどころでサキちゃんが合いの手を入れてくる。
二人の息はぴったりで、相当練習してきたのがわかった。
「唐津駅でのゲリラライブ♪
みんなを釘付けアイのスマイル♪
私だけ輝くオンリータイム♪
これがアイドル、アイのスタイル♪」
「私はアイドル、最強の才能♪
ファンで埋めるぜ、この会場♪
満を辞して開場、ファンを取り込む♪
光の破壊力に敗北♪
アイドルは孤独、嘘で隠す努力♪
ファンを虜にする魅力♪
それが私の知るアイドル♪
ステージの上で騙る愛を♪
いつか本当にすると願いを♪
例えそれが命失う代償♪
だとしても演じるよアイを♪」
「これが私、星野アイ♪
自分勝手な独りよがり♪
でもホントはみんなとライブしたい♪
一緒にトップを目指したい♪
これは絶対嘘じゃない・・・!」
「だからっ」
アイちゃんが言葉を切る。
それと同様にサキちゃんも音楽を止めていた。
アイちゃんがサングラスを取って放り投げる。それは放物線を描きながら倒れていた幸太郎さんの顔、元あった場所に戻った。
サングラスの下にはアイちゃんの、私達がよく知る星を宿した瞳が、今にも溢れそうなほど涙を溜めていた。
「・・・おねがいっ、私をフランシュシュの仲間に入れて欲しい・・・!皆と一緒にアイドルをやりたいからっ!」
そう言って頭を下げた。
・・・
パチ、パチパチパチ・・・。
一瞬の静寂を待って、拍手の音が遅れてやってくる。
「アイちゃん・・・!うん・・・!全然良いよ!一緒にアイドルやろう!皆で一緒にトップを目指そう!」
「リリィも賛成!皆一緒が一番良いよ!」
「ふふ、わっちも嬉しいでありんす」
「はいっ、私もアイさんと一緒がいいです!」
「ヴァイィ!」
皆椅子から立って嬉しそうにアイちゃんの元に駆け寄る。
ただ愛ちゃんだけが椅子に座ったままだった。
「あ、愛ちゃん・・・。その、アイちゃんも悪気があったわけじゃないと思うけん。だから・・・」
「何が?私は別に、さくらが良いならアイがフランシュシュに加入するのは良いと思う」
「私達と足並み揃えてやってくれるみたいだし、むしろアイの技術を学べればフランシュシュ全体のレベルアップも狙えるから」
「そ、そうなの?私はてっきり反対なのかと・・・」
「・・・アイの生ラップ・・・!B小町時代はアイはガーリーな曲がメインだったからかなり貴重・・・!くっ、録音しておきたかった・・・!」
・・・なんか愛ちゃんも嬉しそうだったからいいか・・・。
「皆、皆・・・ありがとうっ!私、頑張るよ!新生アイドル、アイ改めフランシュシュ七号として、宜しくね!」
やった!これでアイちゃんと、ちゃんと仲直りできた・・・!
私達はやっとスタートラインに立ったんだ!
新生フランシュシュはきっとこっから伸びる!
私達は必ず、トップアイドルになってやるけんね!
・・・
「そう言えばサキちゃん、いつの間にアイちゃんと仲良くなっとーと?」
「・・・実はよ、あのライブの晩に偶然、会っちまったんよ!で、仲直りするにはどうするつかー?て聞かれたからよ。そりゃあラップしかねえ、て事であたしが指導したんけんよ!」
「ええ!?だからあんなに落ち着いてたっちゃね・・・。うう、サキちゃんも人が悪いとよ・・・」
「へへ、わりーわりー!ま、でも結果的には良かったばい?これでアイも気兼ねなくフランシュシュに参加できるしな!」
「まあ確かに。でもなんでラップだったっとよ?」
「あ?そりゃあ、お前ホワイト竜さんのラジオ、『佐賀がサガであるために』で、言ってたからに決まってるやろが!」
「ホワ・・・誰?」
「さくら、お前・・・ぶっコロすぞ?」
相変わらずサキちゃんは口が悪かった。
まだルビーや重曹ちゃん、メッさんのキャラが掴めない・・・。
キャラに違和感あるかもしれませんが脳内で修正してくれると助かります!
ラップパートは作詞なんぞしたことないので、適当です。
一応韻は踏むようにしています。
あとサキちゃんは多分ラップ好き。さくらのラップにアドリブで対応してたしね。
アイがラップ歌う小説が読めるのは(おそらく)この小説だけ!
これでアイはフランシュシュの仲間入りです。
次回からはゾンサガに再び話が戻ります。
引き続き感想、指摘等お待ちしておりますのでよろしくお願いします!