生まれ変わったら後の死王子だった件   作:Another2

10 / 14
前話と前々話はまとめて一つの話として誠に勝手ながら纏めさせてもらいました、この場をお借りして謝罪申し上げます。
 以後こんな事が再発致しませんようにより一層励ませていただきます。


リエーニエ戦役〜黄金の発芽

 動く、躱す、防御も後退も考えない、最低限の動きで躱し、そして穿つ‼︎叩く‼︎切る‼︎唯々前へ……只管に前へ、愚直な程真っ直ぐに‼︎作戦も戦略もクソもない、己が力を持って相手の策を踏み潰す‼︎

 

 我が五体から伝わる感覚でかなりの数を屠ったのは体感している、優に20は超えていよう、だがそれでも尚尽きぬ敵の数‼︎押し寄せる傀儡‼︎巨人‼︎飛竜‼︎そのどれもが戦闘用に調整されているのか強力無比‼︎雑兵の人形兵とて一撃で砕けぬ、我が肉体にもはや数えきれぬ程の傷が刻まれている、出血量も無視出来ぬ者だろう、()()()()()()()()

 

 こんなにも傷を負い、ダメージを蓄積し、未だ尽きぬ敵の数、それらを目撃しても些か衰えることの知らぬ私の肉体の充足感‼︎収まるどころか今も尚溢れて止まらない戦いへの愉悦‼︎渇望‼︎敵が、私が、肉を叩きそして切る音の何て心地よい事か、父よ、私は……俺は今、最高に戦いを楽しんでいる‼︎

 トロルの巨剣が迫る、ゴッドウィンはそれを見て引くのではなく避けるのでもなく、ただ前へ、正面から突き進みトロルの懐に潜り込み撃ち破る。

 人形兵に囲まれる、ゴッドウィンは動じず正面の人形兵二体を即座に潰す、一撃で壊れぬのなら瞬きもない間に2、3撃撃ち込み破壊する。

 その時飛竜の火炎が迫り来る、それをゴッドウィンは物言わぬトロルの死体を使い大きく跳躍し回避する、火炎が大きく地面を焦がす、しかし目標のゴッドウィンは難を逃れている、否逃れている所じゃない、跳躍し回避を終えたゴッドウィンは着地と同時に再びの跳躍、目標は飛竜の顔、大砲も角やと言わんばかりの勢いで飛び出しゴッドウィンは飛竜の横顔を思いっきり蹴り飛ばした。

 

 幾ら飛竜と言えど凄まじい膂力に蹴り飛ばされては堪えようもなく体勢を崩し倒れ込んでしまう、そしてその隙を逃すほどゴッドウィンは間抜けではない、倒れ込んだ飛竜の顔に目掛けて武器を叩き込む、それも一度ではなく幾度も幾度も、そして遂には飛竜はその命を散らした、残りの敵の数は既に40を切っている、しかし依然敵の士気に変わりはない、しかしそれは此方も同じ、激闘に未だ終わりの時は見えない。

 

 此方は魔術学院の大橋前、ここで二つの勢力はぶつかった、カーリア軍は大砲や弩に輝石を用いている、大砲の砲弾に使用する事により着弾の爆発と同時に生じた輝石の筆跡が四方八方に飛び散り敵を攻撃する、そして弩の方から飛んでくる輝石は多少のホーミング機能が付いていた、つまり劣化こそしているもののこの弾には輝石魔術が一つ、輝石のつぶてが刻まれていた、そんな物を弩で放っているそれは速度だけなら輝石の速つぶてに匹敵する。

 

 さらにはそんな弾幕の中を潜り抜けてくるのは獣のように屈んで攻撃してくる猟犬騎士の部隊だ、よほど訓練されているのか猟犬騎士には一発たりとて当たっていない、だが兵士の質なら此方も負けておらず既に猟犬騎士には坩堝の騎士達が対処している。

 坩堝の騎士の鎧は頑丈でありさらにはそれを着込む本人達の体幹も相当な物だ、従って猟犬騎士の攻撃は坩堝の騎士にとっては致命打とは成り得なかった、だがそれは向こうも同じ、坩堝の騎士の攻撃は猟犬騎士からすれば鈍いのだ、一撃が強力であろうと当たらなければ意味はない、2種の騎士の攻防は膠着の一途を迎えていた。

 

 戦況が動く時、それはつまり最大戦力が動く事を意味する、膠着気味だったこの戦況を動かしたのは赤髪を携えた青年、ラダゴンであった、ラダゴンは手持ちの手鎚を振るう、思い切り叩きつけ土煙をあげたかと思いきや土煙を突っ切り敵を一閃していく、弓矢も魔弾もラダゴンの速度に追いつかず敵が撃ち倒されていく、天秤が黄金側に傾きつつある、このままいけば黄金軍の勝利に終わる──事はなかった。

 

 突如天から巨大な魔力の奔流がラダゴンを襲う、無論ラダゴンは退避するが着弾地点に目をやれば地面が抉れていた、これ程までの魔力攻撃を行えるのは己が知る中ではただ一人、ラダゴンは空に目をやるとそこには思い描いた通りの人物が上空に佇み己を見下ろしていた。

 

魔術女王レナラ 参戦

 

 レナラとしてもこの状況は予想外であった、敵の最大戦力であるゴッドウィンは遠くに飛ばした、故に後は多少手強い兵士しかいないとそう思っていた。

 しかしいざ蓋を開けてみればそこには単騎で自分の軍を屠りさっていく男の姿が一つ、レナラは確信したのだゴッドウィンよりもこの男の方が強いのだと、そしてそれこそが向こうの戦略でありゴッドウィンは目を欺く為の撒き餌でしかなかった、無論ゴッドウィンもかなりの実力であるのは既に遠見で確認済みだ、しかしこの目の前の男だけは己が対処しなくてはならない、そう判断し直々に出向いたのだ、これにより黄金側に傾きつつあった天秤は再び拮抗に戻る。

 

 先に仕掛けたのはレナラだ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、通常魔術は同時に併用する事は不可能である、複数の術式を刻むのは可能だが同時に複数の魔術を使用するのは不可能だ、何故なら基本魔術は皆例外なく詠唱する必要があり、どれだけ短縮しても0にはできない、それが常識であり摂理でもある。

 

 魔術を行使するにはいくつかの手順が必要である、先ずはスクロール等を読み解き魔術の理論を理解、この時点で才能のないものは篩に掛けられる、そして理解したとてその魔術を行使するのに必要な魔力に満たない者もいる、その者達は長い鍛錬をかけて習得するのだ、そして魔術行使に必要な触媒の存在、つまりは杖なのだがその杖がなければ魔術は使う事ができない、術式の理解と触媒がありそこに詠唱を加える事により初めて魔術を行使する事が可能なのだ。

 

 詠唱とは即ち魔術術式の起動を意味する、詠唱をする事により脳に刻まれた術式を起動させる事ができる、一つ起動させるだけでも脳に相当な負担が掛かる為に長い魔術の歴史の中で誰一人として複数の術式の同時使用を成した者はいない、出来たとしても詠唱を短縮し連射性を上げるのが限界だ、何故誰も同時使用をしなかったのか、理由は単純でたった一つの術式行使でも脳への負担は相当な物で二つ以上の同時使用は脳が焼き切れるのだ、更に単純に言うならば一つの術式の詠唱中にもう一つの術式の詠唱など不可能、人間には口が一つしか無いからだ二つの術式の詠唱をすると言う事は右を見ながら左を見ると言う事に等しい。

 

 そして今日、その大前提を真っ向から打ち破る大天才が現る、彼女は過去幾万人が成し遂げようとしその誰もが至れなかった複数の術式の同時使用を平然と成し遂げたのだ、何故レナラは複数の術式の同時使用を可能としたのか、それはレナラは詠唱を口に出すのではなく脳内に留めたのだ、脳内で詠唱を読み上げ術式の起動し魔力操作で魔術を行使する、言うは易し実行は難し、その行いは脳内で幾つもの処理を並行で行っていると言う事、詠唱を口に出すのはその脳内処理を軽くする意味合いもある、脳の処理を術式の起動と魔力操作にして負担を少なくする為だ。

 

 だがレナラは其れ厭わず脳内で詠唱と術式の起動及び魔力操作の処理を全て行った、こうすれば理論上は複数の魔術術式を同時に幾つでも使用可能だ、無論常人がそんな事をすれば脳は焼き切れ廃人と化す、しかしレナラはこの手法を取ることにより詠唱に掛かる時間を0にする事が出来た、つまり全魔術師が到達出来なかった魔術の即時使用が可能としたのだ、従ってレナラは前線に立ち魔術を行使する事が出来る。

 

 そんな彼女がいま全力で敵を屠る為に術式を起動する、その証拠に背後に魔術陣が現れる、其の数およそ20──更には杖の先に魔力を溜めているところを見るに杖からも魔術が行使される、合わせて21の魔術がラダゴン1人に浴びせられた。

 

 魔術の雨中をラダゴンは駆ける、たった一撃でも馬鹿にならない威力だ──故にラダゴンは回避に神経を費やしつつも反撃の暇を探していた、ラダゴンはレナラを甘く見ない、噂にまで聞いた幾年もの魔術史の特異点の存在たる女王の存在をラダゴンはマリカの姿であった頃から最大に警戒していた、己が王であるゴッドフレイをして容易に攻め込める場所では無いと言わしめた大部分が彼女の存在なのだ、ならばこそ最大の警戒をするのは必然である。

 別の場所で戦っている息子も気掛かりではあるのだが王と己の子なのだから必ず生きていると確信を持って心配などせず目の前の敵に集中し機を伺う。

 

 瞬間──刹那の時ではあるが魔術の雨が緩む、その一瞬を見逃さず赤髪が跳躍し女王の眼前に迫る、赤髪が女王の服を掴み取り地面に投げつけた、地面との激突を重力魔法で阻止した女王だが瞬間上から降ってくる赤髪の石鎚の投擲を躱し背後に飛び距離を稼ぐ、既に赤髪は着地し槌を手にし女王に突撃する、時間にしてわずか2秒にも満たない攻防、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 蒼く太い魔力の奔流がラダゴンを襲う、先ほど見た地面を抉った一撃だ、カウンター気味に出されたそれに今度は当たってしまう、あまりにも太い魔力流、通常の輝石魔術が流れ星だとするのなら此方は正しく彗星、この魔術はかつて深淵を見た魔術師の名を冠し源流魔術の一つとされているその名も──

彗星アズール

 

 この魔術の特徴は圧倒的な威力だけでは無い、その特性──()()()()()()()()()()()ということ、この魔術を扱えるのは今現在レナラ1人のみ、かつて扱えたアズールも、遠い未来で扱う百知卿も僅か1〜2秒、どれだけ長くても3秒を超える事はない、しかしレナラが今回放射した時間は驚異の10秒、しかもこの戦だけでも二発目にも関わらずだ、遠い未来に於いて定められた運命を破壊する者がとある手法を用いて同様の事を行うが、今回のレナラのそれは自前の魔力での行使である。

 

 放射が終わり土煙が晴れる、そこでレナラは驚愕の光景を目にした、完全に命中させた筈、念を込めて10秒の放射もしたのにも関わらず、ラダゴンは未だ健在であった。

 今までの敵は今の彗星で跡形もなく消し飛んでいる、レナラにはなぜ生きているのか不明でありそれはラダゴンとて同じだった、理由は単純なもので()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけなのだが、当時の2人が知る由も無い、兎も角仕切り直し2人は再び激突する、彗星が決定打にならない以上はこれ以上撃つのは下策だ、寧ろ彗星が効かないと分かったと見るべきだ、レナラにはまだまだ無数の魔術の術式があるその全てを使い目の前の男を屠る事を決意する。

 

 レナラの魔力残量はあと6割弱、まだまだ余裕があるがこの後に控えているゴッドウィンのことも考えると最低でも2割は残しておきたい、そう結論付けたレナラは切れる手札と術式の選択をとる、ラダゴンは先程の攻撃で死ぬ事はないにせよ決して少なくないダメージは受けている、今ので3割強程削られており目の前の脅威に事を構える。

 2人の実力は極めて拮抗している、黄金軍とカーリア軍の戦況は均衡を保っていた、もしその均衡が崩れるとしたならば()()()()()()()()()()()()

ズンッ‼︎

突如両軍に途轍もない重力波が襲い掛かった




歴史の歯車が壊れる音、不意打ち重力波は回避しようがないからね、仕方ないね。

因みに魔術術式云々は完全に捏造です、

Qレナラ強すぎでラダゴン弱くない?

Aラダゴンはまだ黄金律ではないので黄金祈祷を使えません、マリカの状態なら使えるんですけどね。もし使えたら飛んでくる魔術を黄金パリィで弾いてますし瞬間移動擬きでレナラの上から石槌叩き込ませてます、レナラの強さも本編で我々が戦ったのは廃人後且つラニ様の再現体の幻影だったので、本編より以前且つ自身で考えて動くならこのくらいかなと。

祈祷と魔術について
多分突っ込まれると思うのであらかじめ答えておきますが魔術と祈祷は基本的には同じ物として扱ってます、必要ステと触媒が違うだけで二つは術式を脳に刻んでいると言う点で同列にしていますラダゴン=マリカなのは周知の事実ですがこの際マリカは体の構造を全てラダゴンへと変貌させたので脳の作りが若干異なってます、魂はマリカそのものなのでマリカの意思で動かせますが黄金祈祷に関してはマリカの肉体の脳内に刻まれているのでラダゴン状態では使用できないと言う事です、つまり初期ゴンは完全に肉体スペックのみでレナラと戦う事に…
一応実力関係としては
最終ラダゴン≧ゴッドフレイ>マリカ>>初期ラダゴン=全盛期レナラ≧成りウィン
と言った感じ、初期ゴンと全盛レナラは完全に拮抗で成りウィンは2人よりやや劣る、でも十分勝ちの見込みはあるぐらいの差です。
本当にこの戦でゴッドフレイが出陣してたらそれだけで勝てるんですけど、裏方の意思君が余計な事するから…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。