生まれ変わったら後の死王子だった件   作:Another2

13 / 14
後処理と日常を分けたら凄く短くなると気づいたので一話に纏めます、やや駆け足気味。

今回の話はエルデンリング先史に於けるかなりの独自解釈多めです、原作と違う点がかなりあると思いますが、この世界ではそうなったと思いください


戦後のこれからと増えた弟妹

 戦は終わった、時間にして1日も戦っていない筈なのだがこの身を襲う疲労感は如何ともし難い物だ。

 

 結局あの後アステールの死骸はレナラが丁重に魔術処置を施した後に研究サンプルとして引き取った、あれは神秘そのものと言っても過言では無いからな……如何な様に使うのか尋ねたら、如何様にも使えるとの事だ、曰くこれが有れば停滞気味だった魔術の歴史に更なる発展が見出せるとかなんとか、魔術に関してはさっぱりな私からすれば今も尚進んでると思えるのだが真の天才の視点ではそうでは無いらしい。

 

 それにしても疑問点は幾つかある、何故あの場にアステールが出現したのか?私の記憶では遥か地下深くにて鎮座していた筈、それが如何して態々地上にまで顔を出しに来たのだろうか?悪意の塊であるのは戦って理解したがそれだけが解せない。

 解せぬ事はもう一つ、あの時の赤雷……あれは紛れもなく古竜の雷だった、それが証拠にそれを放ったであろう本人……でいいのかあれは、本竜の姿をこの目で目撃し、目が合っている、何故あの場に古竜が居たのか?気まぐれか?それともアステールが目障りだった故の始末?

 

 どちらにせよ碌な理由ではあるまい、リエーニエ戦役にアステールと古竜が乱入したと言う記載はなかった筈だ、変わった部分があるのなら其れはやはり──。

 

「私の存在の有無…と言った所か」

 

「ん?如何かしたかゴッドウィン、直に王都に到着する。此度の戦、此方の被害は壊滅的ではあるが…戦とはそう言う物だ、割り切るしかあるまいよ、軍の頭であるお前がそんな浮かない顔では彼等も報われんだろう」

 

「む…そうか…そうだな、今はあの戦を生き延び勝利した事を喜ばねばな」

 

 口に出てしまっていたか……然して案外馬鹿に出来ぬ状況なのも事実だ。

 

──ゴッドウィン…その存在となってから早い物で8年もの歳月が過ぎようとしている、前世で垣間見た記録ではエルデの王ゴッドフレイとその女王マリカとの間に生まれ落ちた存在、そして古竜戦役に於いては獅子奮迅の活躍を致しファルサクスと友誼を結んだ…とされている。

 そしてその後に待ち受ける陰謀の夜に於ける精神の死と言う不完全な死によって死王子となる存在。

 

 正直な所この結末を回避するのは容易い、陰謀の夜を企てたラニの誕生を阻止、或いは始末して終えばそれで事は済む、引き起こす者が居なければそもそも私が死ぬ道理もない、それだけで私は第二の生を謳歌できる、然しそれは──

 

──()()()()

 

 だが私はそんな事をしてまで生き延びたくなど無い、そもそも大前提として私は一度死んだ身で、更にはこの世界に生まれ落ちる本来のゴッドウィンの肉体に偶々乗り掛かっただけの矮小な存在だ。

 それにそんな方法で生き延びたとてその後の人生に色々ケチが付きそうだしな、仮にもレナラの娘なのだから呪いの類でも掛けられたらたまった物じゃない。

 

 だからその方法は却下だ、本史ではそうなったと言うだけで私と言う異分子が紛れたこの世界ではそうならない可能性もある、現に先の戦ではアステールと古竜の乱入もあったし、それにより2度起こる筈だったリエーニエ戦役が一度で落ち着いた。

 だから歴史や運命は変えられるのだ、如何な手段があるかは未だ分からぬがあの結末を回避できる手段はある筈……それに──。

 

「着いたぞ、此処が王都ローデイルだ、敵方の頭が此処に来たのは初の事だぞ女王よ」

「それはそうでしょうね、己の本拠地に敵を招き入れる者はそう居ませんから」

 

──それに、もし回避できない運命なのだとしても態々無抵抗で受け入れてやる道理もない、どうせ死ぬなら未来の不確定要素を取り除いてやるまで、精々足掻いてやるさ。

 

 軍の帰還により歓声が王都を包んだ、戦の結果は黄金軍の勝利だけではなく魔術の総本山のカーリア王家を迎え入れる結果に終わったからだ、これにより黄金の勢力は狭間の地の最大勢力を誇り狭間の地を統一するのもそう遠くないと民衆に予感させた、ただ三人を除いて。

 

「よくぞ帰還した、我が息子ゴッドウィン、そしてラダゴン、貴公も大層な活躍だったと既に聞き及んでいる」

「我が身に余る名誉でございます、王よ」

「そしてようこそいらっしゃった、カーリアを治める女王よ、既に存じているとは思うが一応形式なのでな、我が名はゴッドフレイ、この王都を治めている者だ、ともに王に座する者同士として友好的に有りたいものだな」

「えぇ、お初にお目に掛かります、偉大なる黄金の王よ。其方も既に存じているでしょうが……私はカーリアを治める者、名をレナラと申します。御身とは永く友好的に有りたいものです」

(なんとも言えぬ腹の探り合いだな、友好的に…とは宣うが本心は共に隙を見せたら上位に立つ腹積りだろうに)

 

──国を治める者同士の会談が平穏で終わる事はないと誰かは言う、事実その通りな物で2人の王は一瞥しただけで互いの実力を分析している。

 

((此奴…強い‼︎))

 

 力こそ王の謂れとされるこの地において国を治める程の実力を持つ2人がそう結論付けるのにそう時間は掛からない、このままいけば一触即発ともなるその状況に待ったを掛ける者がこの場にいる。

 

「御二方、睨み合うのは結構だが此度我等は戦の後始末と今後について話し合いに来たのだ、そこを理解していただきたい」

「む、それもそうだな、いや何魔術のみで王の座に着いた人物と聞いたのでな‼︎そして実際に目にしてみれば想像通りの想像以上‼︎今まで生きた中でも感じたことの無い魔力の質と量‼︎ついつい昂ってしまったのだ‼︎」

「はぁ…どうせそんなことだろうと思った…我が父の無礼を詫びよう女王よ、この通り父は根っからの戦闘中毒者でな、強き者と断ずるや否やこうなってしまうのだ」

「まぁ、貴方の父である以上ある程度想像はついていましたが聞きしに勝るとは正にこの事です」

「んん…済まぬな、会議の場所はこっちにある、そこで改めて話し合おうでは無いか、そしてゴッドウィン、お前が戦場で何を見たのかもな」

 

 玉座の間*1から移動しゴッドウィン達は会議室*2に向かった、そこには戦場の功績者であるラダゴン含めた三名とゴッドフレイ王が座していた。

 

「さて始めるとしよう、先に説明しておくと我が妻マリカは此度の会議には参加せん、彼女は神託を授かる巫女の役目を一身に担っている、余程の疲労がある故就寝に就くのもまた早いのだ、どうか許されよ」

「お気になさらず、女王マリカの役目は誰にも変えられぬ事、その身を大事にするのは必然といえます」

 

 無論方便だ、然しラダゴン=マリカであると知らないし思いもしないレナラはその事を言葉通りに受け取る、ゴッドウィンはやや神妙な顔をしていたが、事実確かにこの場にマリカはいない為何も間違っていない。

 

この事(同一人物である)も墓まで持って行かねばならないのか…余計な心労を掛けさせよって…この事まで見据えていたのではあるまいな)

 

「では早速だが…戦場に現れたあの異形については其方で処理すると言う事で構わないな?」

「はい、今この地に於いてアレの存在価値を十全に扱えるのは我々のみと断言できます」

「うむ、ではその異形の屠った赤雷についてだが…ゴッドウィン、お前が見た物を全て語るといい、その為に態々私を呼んだのだろう?」

 

 ゴッドウィンに視線が集中する、仮にこの視線に物理的攻撃力があるとするなら並の者では瞬く間に蜂の巣になっていただろう。

 そんな視線を浴びながらゴッドウィンは口を開く。

 

「その通りだ父よ、あの異形…仮称をアステールとさせてもらうが、そのアステールを屠った雷…兵士達は突如降り注いだと宣っているが、実際は違う、アレは確かに放たれ飛来した物だったのだ、何者かがその雷を放ったのだ‼︎」

「馬鹿な…‼︎人の身に雷を扱う事など不可能です‼︎そんな魔術を扱えた者は誰1人存在せず、またその様な術式も存在致しません‼︎」

 

 ゴッドウィンの放った言葉にレナラが否定する、並大抵の魔術師の言葉なら聞くに値しないだろう、だがレナラの魔術の腕や知識は既に知っている、()()()()()()()、それこそ我が身に刻まれた程に、そんな彼女が“その様な術式は存在しない”と言ってのけたのだ、その言葉の重みを理解できぬ者はこの部屋に居ない。

 

「落ち着け女王よ、然しゴッドウィン、女王の言う事もまた事実だ、この地伝わる祈祷にも雷を扱う物は何一つない、おまえを疑うわけでは無いが…見間違いという線は?」

 

 レナラを諌め続け様に発言するラダゴン、彼は魔術に詳しいわけでは無いが祈祷に関してはマリカであった時期が長い為にレナラと同等の知識を有している、つまりラダゴンの発言=マリカの物と断じていいのだ。

 

「否‼︎それだけはない、私はその雷が飛来した方向を見た‼︎そこには四肢を生やし翼を携えた竜の様な存在が、遥か遠くではあるが確かに存在していた‼︎」

「「──ッ‼︎」」

「更に言うならば、自然に発生した雷と言うなら赤雷はあまりにも不自然だ、故に私はその竜が雷を放ったのだと推測したが…父よ?」

 

 己の考えを纏め、父に問いを投げるゴッドウィン

 

「ふむ…念の為に聞いておくがゴッドウィン…確かにそいつは四肢を生やし翼を携えていたのだな?」

「間違いなく」

「そうか…結論から言おう、その存在は古竜と呼ばれる生物だ」

「古竜…飛竜とはまた違うのですか?」

「全くの別種とは言えん、飛竜は古竜の末裔だ、この地に多く見るトロル族が過去に巨人と呼ばれる種族の末裔であるのと同じ様にな、だが古竜が飛竜と大きく異なる点が二つ。一つは奴らは強い、飛竜などとは比べ物にならぬほどに、そしてもう一つ…これが最大の違いと言ってもいい、奴らは確かな知性を持っている、我々人間と同じ、あるいはそれ以上の思考能力を有しているのだ」

 

 ゴッドフレイはその存在が古竜と呼ばれる生物であると告げる、そしてそれは既存の飛龍の強さを大きく上回り、さらには知性を持ち合わせているのだと言う、衝撃の発言に会議室に静寂が訪れていた、無理も無い、己より圧倒的な上位生物の存在を知ったのだ。

 

「なぜ貴方がその様な事を存じ上げているのでしょうか」

「尤もな疑問だ、それは単純な事だ、私は既に奴等と戦っているのだ、そして勝利を収めた、それだけの事だ」

「成程…既に戦っていたのなら知っているのも無理もない、なら何故奴らがいた痕跡が全くないのだ?各地の記録を漁ったが古竜の存在は皆無であった」

「それはな、奴等の王が己達がいた記録、痕跡、その全てを抹消したからよ、奴等はかなり誇り高い種族だ、己達の敗北した記録など残したくはなかったのだろう、仮にも奴等はかつてこの地を支配していた種族である事だしな」

「奴等の王…古竜にも王がいたと?」

「然り、そうだな…少し昔の話になるが──。

 

──昔のこの地は支配者を決めるための群雄割拠の時代があったと言う、獣に人間と様々だがその中でも類を抜いて強力な力を誇った種族がいる、巨人族、そして女王も知り得る存在である夜の民、そして竜族だ。

 その中で王の座を勝ち取ったのが古竜の種族を率いた者よ、勝ち取った者の名をプラキドサクスと言う、奴は遍く竜の王であり、またそれに相応しい実力を持っていた、王の座を巡る戦を見事勝ち取ったプラキドサクスはこの地を支配する“エルデの王”となったのだ。

 その時の治世はなんと言えば良いのか…嵐は吹き溢れ雷が迸る、竜達にとっては楽園なのだろうがその他の生物にとってはたまったものではないだろう。

 

──エルデの王と言うことはそれの妃もいるのが道理だ、プラキドサクスは宵眼の女王と呼ばれる者と結ばれたらしい、その宵眼の女王はかつて指が見出した神人であったと言う、そう、その指だ。

 かつての生命は混ざり合っていた…そう、黄金律も混沌も、昔は一つだったのだ、プラキドサクスが信奉する神が立ち去った時それも分たれてしまった、黄金律を唱える二本指と、混沌を唱える三本指という風にな。

 

──そこからは早い、当時一介の戦士であった私はプラキドサクスと相打ちこれを勝ち取り王の座を勝ち取ったのだ、その時にその時の宵眼の女王を討ち取り唯一の神人になったのが今の私の妻、マリカだ。

 ん?その時の、とはどういう事か?ふむ、宵眼の女王は1人の事を表す者ではない、宵眼を持ち女王になった者がそう呼ばれるらしく、宵眼は遺伝的に継承されていくらしい、もしやすると新たな宵眼の女王となりうる人物が生まれ落ちてるやもしれんな。

 

──その後プラキドサクスは遥か大空に位置する嵐の中に逃げ延びた後にその場所を居城を構えているらしい、つまりは奴等は今も虎視眈々狙っているのだよ、エルデの王の座をな、先の戦の古竜は斥候、つまるところは戦力調査の類だろう、雷を扱える所から相当な実力者であることに違いはないだろう。

 

──その際にそのアステールとやらに雷が当たったのは文字通り竜の逆鱗に触れたのだろうな、奴等は大空全域を縄張りとしている、それを侵されたとあっては怒り心頭物だったのだろう、つまりその雷は偶然ではなく必然的な出来事だったという事だ」

 

 なんとも壮大な話だ、恐らくだが巨人戦争の部分は無関係故に省いたのだろうが…それにしても前世の私が知り得なかった情報がこうも容易く手に入るとは…やはりその身を持って経験した者の語る言葉は重い物だ…

 

「つまり父よ…いつの日か古竜達の襲撃が起こりうると?」

「うむ、それも近い将来、確実にな」

「とすれば狙いは王の身と、この王都と見るべきか」

「確かに…己が仇とその住む居城ともなれば狙わぬ道理もありませんから」

 

 確かにそうだ、恨みというのは簡単に断ち切れる物ではない、もしそうならば世の中に復讐者なんて存在しないだろう、そう割り切れないから復讐に走るのだ、そして伝え聞くにプラキドサクスは父と母に大切な者を奪われている、ともなれば奴らの狙いは──。

 

「恐らくだが狙いは父と母の家族…になるのではないだろうか?」

「ふむ、何か思うところがある様だな、申してみろ」

「恨みや怨念はそう簡単には晴れない、そのプラキドサクスとやらが父と母から大事なものを奪われたのならば今度は己達が父と母の大事なものを奪いに来るはず、それこそ子息だとか…な」

「何故そう思った?ゴッドウィン」

「単純な事だ、人間と同等、或いは上回る知性があるのならそれによる悪意も同じ事を言える、大事なものを奪われた者が走る凶行として復讐相手の大事なものを奪うというのはありふれた事だからだ、何より…()()()()()()()

「成程な、理に適っている…つまりこの場で一番狙われるのは…」

「──ハァ…私だろうな、面倒な事この上ないが…」

 

 思わず溜め息が漏れてしまう、だって仕方ないだろう、狙い定められてるんだし、なんなら目が合ってるんだもんな、無関係な事に私を巻き込まないでほしい、頑なにそう思う。

 でもしょうがないよな、本来でも古竜と殺し合うんだし、今更狼狽える事もないだろう、この肉体に生まれ変わった瞬間からあらゆる不幸は覚悟してた筈だ、ただ少し…なぁ?手心ってもんがあってもいいだろう?

 

「ならば今後のお前の方針は決まったな、更に強くなれ、古竜の強さは生半可な物ではないからな、今まで以上に厳しく扱いてやろう、何心配はない、この戦で大きく飛躍したお前の強さはこの私に限りなく近づいていると言っても過言ではない、安心して受けるといい」

 

 何をどう安心しろというのだ父よ

 

「でしたら私も対魔術の戦闘訓練を施しましょう、手厳しくいくつもりですので、準備が整い次第お声を掛けてくださいね」

 

 マジか、貴方そっち側なのか女王よ、どうにかならんかラダゴン

 

「諦めろゴッドウィン、お前の負けだ」

 

 クソッタレめ、やってやる、やってやるぞ‼︎悉くを乗り越えてやろうじゃないか‼︎唸れ我が五体‼︎これを乗り越えた先の未来は明るいぞ‼︎多分‼︎

 

 尚その後普通に叩きのめされた事を記しておく。*3

 

 そんなこんなありつつ見事?今後の事を話し合えた私達は世論的には黄金軍とカーリア軍は同盟条約を結ぶことで一旦の幕を閉じる、その際にラダゴンとレナラが結ばれるという事があったのだが事の顛末を知る私としては凄く…その…複雑な気分だった。

 いや、機能は問題ないとは言え精神上はラダゴンは女性であって…私をあてがわれなかったのかだって?年齢差を考えろ、背丈こそ成人のそれだが私まだ8歳だぞ、いやまぁ私も機能的には問題ないとは言えこの歳の差は如何ともし難い、レナラにその気がなくてよかった、いや本当に。

 とは言え感慨深い物もある、あの2人の間に赤髪のデミゴッド達が誕生するのかと思うと…実質私の弟妹達なのでは?という気持ちが湧き上がってくる、だってラダゴンって実質マリカみたいな所あるし…そして私はそのマリカの息子な訳で……モーゴットとモーグも早い物でお兄ちゃんかぁ…年月の流れを感じるね*4長男として頑張らねばなるまい。

 

「兄よ、話とはなんだ、結構思い詰めている様だが」

 

 さてそんな事もあり本日のフルコースを終えた私は己が身に秘める悩みを相談する為に身内の中で(比較的)常識のある弟のモーゴットに話を張りにきた、序でにモーグも居る、というかこの2人はいつでもニコイチだ、可愛過ぎて仕方ない、この二人がいれば私はどんなキツイ鍛錬にも耐えられる。

 

「兄者よ、その…休んだほうがいいのでは?父の鍛錬だけじゃなく魔術女王の鍛錬も加わったんだから、疲労とかさ」

「全く問題ないが?」

「…そっか、なら俺は何も言わないよ兄者、でも俺を抱き抱えながら言うセリフではないと思うんだ」

「これが正常だが?」

「モーゴット、お前見てないで助けろよ、兄者を解くのを手伝え」

「不可能だ、そうなった兄を止めれる人間等この世におらん、諦めて受け入れろ、…後で私もそうなるんだし

「フフフ…心ゆくまで私の精神安定剤になってくれたまえ、正直な所こうでもしないとやってられんのでな…「じゃあ寝ろよ」そう言うな…安眠よりも大事な話題なのだ、特に我ら兄弟にとってはな」

「──ッ‼︎そうか、そこまで思い詰めるとは余程な事態、真剣に聞かねばなるまい」

(あー…モーゴットの悪い所だよなぁこれ…兄者がこうなって真剣な話なんてしたの殆どないのに…何処までも生真面目なんだから)

 

「なぁ2人共…もし、もしもだぞ?確定事項ではない話だからそう固くなる必要はないんだが…」

「構わん、話してくれ」

「うむ、もしAという女がBという男と結ばれて子供が出来る、数は三人程だ、ならばこれは正当な三兄弟と言えよう」

「ふむ、確かに、それで?」

「そしてそのAがCと結ばれて子供を成したとしよう…これは兄弟と言えるか?」

「…種違いの兄弟という事か?まぁあるんじゃないのか、そんな事例なぞ聞いた事ないから深くは言えないが」

「むぅ、ならそのAという女がDという男に変形し「ちょっと待て」なんだ、本題はここからだぞ」

「前提からズレてないか?何故女が男になるんだ」

「だからもしかしたらの話だって。続けるぞ?そのDがEと言う女と結ばれて子供を成した、だが男Dは女Aでもある…つまりは遺伝子上同じと言う事だ、その女Aが男Dになってその種から産まれた子供達は女Aの子である三兄弟達の兄弟と言えるのだろうか?」

「意味がわからない…何を言っているんだ…アンタは」

「つまり女Aが男Dになって女Eとの間に生まれた子供に最初の三兄弟は血縁があるかって聞きたいわけ?」

「その通り」

「うーん、あるんじゃないのか?だってその男Dと女Aは同じなんだからその遺伝子を継いだ子供がいるのならそれはたぶん兄弟になると思うよ。…そんな事例聞いた事も見た事もないからはっきりとした答えは言えないけどさ」

「成程…柔軟な思考なモーグらしい答えだ…」

「聞きたかった答えは得られたか?ならそろそろ休んだらどうだ兄よ、相当疲れてる様だしな」

「ふむ…なら最後にもう一つだけ聞かせてくれ」

「…本当に最後だぞ」

 

「さっき挙げた女Aと男Dの間に子供ができたらその子は最初の三兄弟とどう言った関係があると思う?」

「「頼むから寝てくれゴッドウィン」」

「なんだとぉ‼︎かなり重要な質問なんだぞぅ‼︎」

「あり得ないだろう⁉︎何故同一人物と仮定したAとDで子供を成しているんだ‼︎単為生殖も甚だしいだろう⁉︎」

「それはほら…男の時に出して女の時に入れて…こう…生命の神秘的なそれで」

「無理があるって兄者」

「そんなー」

「余程疲れているのだな…そんな支離滅裂な事を宣う程には…不肖我等兄弟が疲れを癒してやろう…だからもう寝ろ」

「うぅ…激しい鍛錬の後の優しさが身に染みる…」

 

 なんて事も話したっけなぁ…結局最後の質問には答えてくれなかった、残念(残当)、それはそうとしてまぁ赤髪デミゴッド達はまぁ弟妹として扱っていいだろう、何せラダゴン=マリカなんだし、更に言うなら究極単為生殖兄妹のミケラとマレニアも弟妹と見ていいな、だって母親マリカだし、なんだ‼︎そんな事でよかったのか‼︎悩み解決‼︎スッキリした‼︎

 

 とまぁ楽観的な思考をしてるが現実はそんなに甘くない、と言うか現実逃避に近い、対魔術師に備えてレナラから魔術学院に赴いてはどうかと言われたので私はこれを快諾、序でにラダゴンも何匹なの赤い子犬を伴って随伴する様で、何やら友好の印らしいのだが……どう見ても赤狼だったよなアレ、あんな子犬があそこまで大きくなるのか……すごいな生命。

 

 とまぁ晴れて私の魔術師ライフが始まると思ったのだが、そもそも魔術を覚えるためには魔術とは何か?神秘とは何か?から始めなければならないらしく取り敢えず国語辞書並みの分厚さがある本を手渡されこれを読み解けとの事、他の奴の本を見たら漫画コミック並の分厚さしかなかったのだが、レナラ曰く“貴方は特別授業”なんだそうだ。

 まぁ本等幼少の頃より読み耽っている、退屈だったからな、だから今更文字の羅列等恐れるに──

 

──いやむっず、なんだこれは。

 

 なんだこれ、この学院の生徒は皆こんな物を読んでいるのか?基本の段階で分からん専門用語が三つほどあるぞ、なんだ詠唱の短縮って、明らかに基本じゃないだろこれ、異なる魔術術式の同時展開って何⁉︎どう言う事⁉︎そんなこと出来んの⁉︎特別授業ってそう言うことね⁉︎

 我魔術初心者ぞ⁉︎基礎から教えろや‼︎何?貴方なら出来る?それともこの程度も読み解けないかだと?……フフフそんな安い挑発には乗らんぞ女王よ、私は冷静且つ沈着なのだ、そんな事を言われたら学習意欲に火がつくだろうが‼︎畜生バカにしやがって‼︎絶対許さんあの高飛車め‼︎目に物を見せてくれるわ‼︎

 

「案外単純な男なのですね…ゴッドウィンは」

「ククッあれでもまだ8つ程の歳だ、煽りにはとことん弱いのだろう」

 

 クソ‼︎悔しい‼︎何が悔しいって書いてあること全てが我が身の為になると言う所がだ‼︎それも込みであの女王の思惑通りに進んでるのが腹が立つ‼︎絶対にこの辞書並の分厚さの本を読破して論理を理解してくれる‼︎

 

 まぁ人間慣れれば早い物であの(私専用の)入門編の魔導書をおよそ半年程かけて読み解き術式理論を理解してレナラに報告したのだが奴はそれを見越していたのか新たな本を寄越して来やがった。

 今度寄越された魔導書は分厚さは一般的な教本と同じ分厚さであり厚さにして凡そ5センチほどと言った所、一発目の辞書に比べてかなり優しくなったな、と思ったのだが代わりに書いてある難易度の密度の高い事、最初の辞書が義務教育で習う範囲とするならば今度のはかなり専門的な知識といった所、そしてある程度理解できてしまう私が怖い、だって他の生徒に見せたら脳の理解を超えて知恵熱起こしてぶっ倒れてたもん、なんてもん寄越してきやがるんだあの女。

 

 素養が高かったのか知らんがこれもまた半年で読破した事をレナラに報告しに行った所やれ早すぎるだの頭の方はどうなってるだの言ってきた、失礼すぎないか。

 寧ろ一年もかけてしまった事に驚いている位だ、魔術の素養は皆無と思っていたのだがな……最早魔導書を通して教えることは何もないらしいので後はひたすら実践あるのみとの事、まぁ魔導書を読みまくったお陰で一通りの魔術術式は扱えるが。

 輝石魔術に始まりカーリア王家の魔術、重力魔術、そして私独自の魔術体系として魔力そのものを身に流し身体能力を強化する強化魔術、特に強化魔術は良い、シンプルに身体能力の向上が見込める、レナラもその魔力の扱い方は知っていたのだが魔術体系にまで組み込むには至らなかったらしい、曰く

 

「とても非効率な魔力運用だからです」

 

 らしい、まぁ明らかに長続きする物じゃないからな、これ、効率良く魔力を体に流す事の難易度たるや、ましてや私の強化魔術は本来と少し違うらしく本来の魔術が体に薄い膜を覆う感じで身体能力を向上させるのに対し私が行ってるのは細胞の一つ一つに強化魔術をかけると言う荒業らしい、少しでも魔力操作がズレれば肉体が無事に済む物では無いらしい、あと効力が切れた際の疲労感がとんでも無かった、これは切り札だな、通常時は普通の強化魔術を扱うとしよう。

 

 さてさてこんな感じで私の魔術修得に一年を費やしたわけだがラダゴンとレナラの進展も進んだらしく遂に孕った、と言うか今日が出産日だ。

 ラダゴンが手を出すのが早いだって?多分マリカの時に神託受けたんじゃないかな、正直母の神託の絶対視はかなり危惧している、私や父の進言すら跳ね除けるしな、やっぱり根本的にどうにかするには神を殺さねばならんか…神殺しの刃を取りに行こうとしたらその時点でアウトだよなぁ…露呈したら何が起こるか分からん、だからこそ本史じゃラニが褪せ人を頼ったわけだし。

 

 っと…なにやら産室が騒がしくなってきた、どうやら無事産まれたらしい、昂る気持ちを抑え私は2人のもとに向かった。

 

「その様子だと、出産には成功したのか?」

「ン…ゴッドウィンか、うむ、無事に産まれたぞ、三つ子がな

「三つ子…三つ子⁉︎どうやってそんな華奢な身体に3人も…」

「あまり大きな声を出す物ではありませんよ、ゴッドウィン…男の子が2人、女の子が1人、女の子が最後に生まれたから末っ子は妹になるわね」

 

 この世界ではラニは末っ子なのか、ともなれば残る2人がラダーンとライカードな訳だが。

 

「名前は決まっているのか?」

「えぇ…一番最初の子がライカード二人目の子がラダーン…そして最後の子がラニよ」

 

 成程、序列はそうなったか…後の事を知ってると感慨深い、何せ本来の私はライカードとラニに殺されたような物だからな、故に…だ、今この二人を殺めるのは文字通り容易い、と言うか今やらねば後々補正とか加護的な意味で殺せなくなると思う、だから我が身に起こる確実な不幸を避ける為にはこの二人が死ねば良いのだが…

 

──()()()()()()()()()

 

『あー、うー』

 

 最早そんな思考等微塵も思わない、思えない、赤子を殺して私が生き残る?馬鹿も休み休み言え、私利私欲の為にこの穢れない赤子に手をかけるのは論外だ、赤子に必要なのは穢れではない、祝福だ、生命は等しく祝福されるべきなのだから、たとえそれで私に不幸が降り掛かろうとも、今はこれで良いんだ。

*1
エルデの玉座とは別の所

*2
円卓の部屋

*3
流石に重りで動きを制限しての回避訓練は無理があるだろうbyゴッドウィン

*4
まだ生まれてない




書きたい事書き綴ったら10,000文字越えてて草も生えない。

って事でこれにてゴッドウィン視点の第1章は終わりです、あとは他の登場人物の視点を写して第1章は終了です、その次から第二章となるゴッドフレイ追放と呪い兄妹の誕生迄を描くんだけど…書き切れるかなこれ、今から不安になってきた。

ここまでの強さの指標というか簡単な実力相関図

害獣>最終ラダゴン≧ゴッドフレイ>魔術ブーストウィン>マリカ≧アステール≧覚醒ウィン(現段階)≧初期ゴン=レナラ
と言った感じ。
 アステール周りの強さはアステールが3人の攻撃範囲外からビームやらメテオするだけで完封勝ちで終わります、それをしなかったのは唯々本人の性格が足引っ張ってる。
 殴りの射程範囲で3人からボコられたらそりゃあの結果にもなる。
因みに現状成りウィンの強さは極短時間ならマリカを上回ります、ゴッドフレイはまだ無理、というかそのマリカですら時間切れまで粘られるまである、アステール君はサンドバッグになる。
ついでにレナラは教え甲斐MAXの弟子が出来たので本人も知らず知らず成長してます、なので現状一番弱いの実は初期ゴンだったり…まぁそこまで目に見えた差という程ではないですが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。