聖杯瓶の使用回数を増やす
それは、エルデンリングが砕けた時
黄金樹から各地に飛来した
生命が、自らの終末を悟ったかのように
さてさて、生まれて落ちて数ヶ月、子供の成長は早いとはいうがやはり私もその例から外れることはないようだ。
と言うのも神である母、つまりマリカの血を引き継いでいる私は通常の人間よりも成長が早いらしいのだ、通常赤子は言語を発するのに約半年から一年ほど掛かると見聞きしたのだが、今の私は既に物事を見聞きし拙くとも言語を発するに至っている、序でに掴まり立ちは既に習得済みだ、思えば誕生してすぐに視界がクリアになり2人の声をはっきりと耳で聞き取れたことから薄々勘付いてはいたが、やはり私の体は通常の人間の構造とは大きく異なるらしい、ガワこそ人のそれだが構成する細胞等が異なるのであろう、既にデミゴッドたる所以は垣間見えているということだ。
そして母の血の繋がりを感じ取れたのなら父の方の血の繋がりも感じ得る物だ、言うまでもないが狭間の地で王となるには力、つまりは武力を示す必要がある、そんな現代倫理0な無法の地で己が五体のみで王の座を勝ち取った父ことゴッドフレイの実力は語るまでもないだろう、要は邪魔する奴刃向かう者全員殺せば王理論である、蛮族かよ、蛮族だったわ。*1
まぁ要するに何が言いたいかというとだな、私の身体、滅茶苦茶頑丈である、流石にまだ父が持つ斧は持てそうにないが*2兵士たちが使っているショートスピアくらいは軽々と持てる。*3
まぁ尤も持てるだけで使うことは当然できない、と言うより中身が争い事とは無縁であった一般人の為にこういう物とは無縁だったはずなので当然と言えば当然である、よくある物語の主人公のように武器を手に持って触れただけで使い方をマスターする、なんて都合のいい話は現実には存在しないのだ、だが兵士達が訓練をしている所を見ると何故か体がウズウズする、遊びたい盛りなのだろうね。(現実逃避)
更にそこから数ヶ月経ち、産まれて落ちて約半年と言ったところか、通常であればこの段階で掴まり立ちや言語を発していくのだろうがそこはデミゴッドたる私、既に直立歩行を物にしており背丈もかなりの物だ既に100cm台に差し掛かっているおかげで成長痛に悩まされた、それと言語もお陰様でかなり喋れる様になった。
言語に関しては日本語と簡単な英語ぐらいしか知り得ない私ではあったのだが生まれ落ちてからずっと聴いていれば自然と喋れるし理解も出来るものだ。
ククク、人の適応能力の高さこそ霊長の長たる所以よ……そしてそんな私が今何をしているのかと問われれば──。
「そら!どうした!受けてばかりでは俺は倒せんぞ‼︎」
この
何故こうなったのかと言われればまぁ、有り体に言えば暇だったのだ、彼方では娯楽施設やサブカルチャーなど、暇を潰そうと思えば事欠かぬ世界であった、しかしこちらは違う、中世ヨーロッパでさえまだ娯楽が発展していると言える程娯楽がないこの世界では本当にやることがないのだ、強いて言えば戦士と戦士が鎬を削る闘技場くらいか、血生臭い物だが現代で言うところのボクシング等を更に過激にしたものと思えば良い、相手の死を以て決着とする程の物ではないが、まぁ骨の5、6本は折れてるだろうなとは思う、殺傷能力を潰しているとは言え武器を思い切り振るい時には殴り、蹴る、仕舞いには投げや噛みつき等々彼方の表社会ではまず見れないであろう試合内容が普通に行われている──。
それがこの世界での娯楽だ、力こそ全てのこの世界でこそ似つかわしい娯楽だろう、かく言う私も何度か試合を観戦したことがある、そのせいか知らないが最近身体がウズウズして仕方がない、血が疼くとも言う、もっと言うなら生物としての基礎本能、つまり闘争を此の身が求めているのだ、以前までの私であれば争い等と、嫌悪感を出していただろう、格闘対戦ゲームの類もやってたはやってたが性に合わなかったのである、あれは実際にプレイするよりも見る方が私は好きだったのだ。
だがこの世界に来てからの私は娯楽に飢えに飢えていた、更にそこに蛮族且つ戦士の王でもある父の血による倍プッシュでブーストが入ればもうあとは時間の問題だ、そんなこんなで絶賛身体作り(実戦)である。
それにしても本当に攻撃が当たらない、相手の動きはそれこそ某ゲームをやりこんでいた方ではあるのでモーションは熟知している、した上で当てられている、純粋に相手が巧いのだ、簡単に言えば既存のモーションで私の動きに指向性を持たせた上で本命となる別の動きで攻撃してくる、当然私は見たことのない動きだ。
成程所詮はゲームはゲーム、私が今いるこの世界は現実だ、ならば相手にもちゃんと理性と意志がある、故にフェイントの一つや二つするだろう、私の認識が甘かった、そもそも今の私が真正面から正々堂々と戦ったとて勝てるはずもなし、向こうが力で蹂躙してくるのならば、こちらは小細工を仕掛けさせてもらおう、接近戦はNG、そもそも体のリーチが違う、ならば中〜遠距離から攻める、とは言うがこの場に弓や弩の類はない、あるのは先程から父がぶち壊した床の石片のみ、つまりは弾薬は無限にあると言うことだ。
人間が何故大型の動物に対して強く出れたのか、その一説に投擲力が挙げられる、霊長類の投擲力、つまり肩の力は全生物でもトップクラスなんだそうだ、かのダビデ王が投石を用いて巨人であるゴリアテを蹴散らしたのはあまりにも有名だ、つまり生物である以上投擲はかなり有効だ、そしてそれは例え父であっても例外ではない。
服が邪魔なので武器作成も兼ねて破り捨てることにする、私が作ったのはかのダビデ王に習ってスリング、投石紐とも言われる物、今の私の筋力ではあの筋肉要塞を突破するだけの威力は見込めない、しかしこれを使えば遠心力と繰り出される際の回転でそれなりの威力は期待できる、それを人体の急所にぶつけにかかる‼︎
流石の父もこれを受けるわけにはいかないのか先程までの甘い防御ではなくしっかりとした防御で飛来する石を砕きに掛かる、このような戦法を変えた私に父は呆れるでも侮辱するでもなくそれで良いと言わんばかりの表情であった、そして1人なので弾幕など張れるわけもない、容易に接近されるが、こちらもそれを狙っていたのだ、落ちていた石片の中でも一番大きな物、もはや岩とも取れるそれを搭載させハンマー投げの容量でぶん回し、至近距離でぶつける。
遠心力+重さによって生まれる速さによる破壊力は今の私な出せる最大の一撃だ、正直これ以上はない、
案の定岩は砕かれた、そう砕いてしまった、それにより一瞬だが私の姿を捉えられなくなっただろうその一瞬を、突く!
「うむ、戦法は悪くはなかった、戦術もな。だが後一手、詰めが甘いな」
なっ…あそこから反応するのか…!ッそうか!拳で行くのではなく破いた服を鞭の要領で顔に行くべきだっ──。
「ふむ、反省する点は己で気づけたようだな、お前は最後の一手を素手ではなくその衣服を鞭のように使うべきだったのだ、そうすればお前が勝っていた、惜しかったな」
後から聞けば腕を掴まれ床に思い切り叩きつけられ気絶したらしい、功を焦った私の隙を父が見逃すはずがなかったのだ、やはり、まだ父には勝てない、しかしわかったこともある、私のゲームによる知識はあまり当てにならない、これは大きな収穫だ、次に活かせる。
主人公は誇りとか矜持はないそんなものに拘るなら生存を選ぶしどんなに卑怯と言われようが勝ちを取りにいく、それはそれとして根っこは善人のつもりなので悪逆には走れない、そんな奴です