生まれ変わったら後の死王子だった件   作:Another2

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幻影の木の根元で見つかる、黄金の種子

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世界は黄金の英雄の覚醒を待ち侘びている
しかし、英雄は未だ発芽せぬ、正しく種子なのだ
真に開花した時、この世は黄金の祝福に満たされるだろう


黄金の種子(裏)

 “驚愕”、俺が我が息子を初めて見た時に感じたのはそれであった、あの時のことは今も鮮明に思い出せる──。

 ついにこの時が来た、我等の愛し子が遂にこの世に生まれ落ちるのだ、普段は俺にも劣らぬ程の勇猛っぷりを見せるマリカもこの時は痛みに苦しんでいた、俺は男故その痛みは微塵たりともわからぬのだが、あの悶えようから見てもかなりの物であると察することはできる。

 だが!その痛みも今日までだろう、何度その痛みや苦しみを俺が代わってやれたらと思ったことか、不安で押しつぶされそうになった日は数え切れず発散する為に手頃な飛竜共を叩き潰してやった事数知れず、だがそれと同時に今から出会う赤子に楽しみや興奮を抑えきれぬ、戦士としての才は如何程か?容姿はどちらに似た?男か女か?等と歳にもなく興奮してしまっていた、だからだろう、俺は乱暴にドアを開けて大声をあげてしまったのだ。

 

「おぉ!遂に産まれたのか!私達の子供が!」

 

「私の王よ我らの子が生まれたことを喜ぶのは良いが声を抑えるように、今の私に其方の声は響くのだ」

 

 む、そうであった、平時であればいざ知らず今の妻は出産直後、体力の低下は激しい物であろうに、迂闊であった……そして妻の腕の中に抱かれているこの小さき者、これがどうやら我らの子であるらしい、どんな顔をしているのかと顔を覗かせてみると……なんと此方と目が合ったのだ、ぼんやりとではない、はっきりと俺の姿をその目は捉えていた、しかも今チラリとだが俺の肩にいるセローシュの方にも目をやった、偶然ではない、この子は産まれて落ちてすぐに外の情報を視覚から得たのだ、幾ら神人たるマリカの血を引くとは言えここまでのものなのか?だが俺が思案している間にマリカの言は進む。

 

「エルデの王ゴッドフレイ、及び女王マリカの名の下に、今日から其方の名は()()()()()()とする、私達の愛しい我が子よ、逞しく、強く成長するのだぞ」

 

 ゴッドウィン──我等の愛し子だ、それは疑うべくもない、然し俺は戦士故なのか、胸の中の不安を払拭出来ずにいた。

 そして息子が生まれて早数ヶ月と言った所か、本来ならまだ掴まり立ちは愚か喋ることすら不可能なはずだ、然し息子は例外であった、息子は既に掴まり立ちを成し、拙いながらも言語を発している、しかもただの言葉ではない、ちゃんとした意味のある単語だ、奴が言った言葉を幾つか列挙していくと、黄金、ルーン、神……そして、エルデンリング……最初はまさかと思った、どこでそれを知ったのかとも、黄金とルーンはこの狭間の地であれば誰しも聞く言葉だ、黄金は我等の血統のルーツでもある、ルーンは黄金樹からの祝福の類だ、誰しもが日頃から口にする言葉故此方は気にしない、神とは恐らくマリカの事だ、マリカはこの地を収める神であり同時にその上の存在である者と交信する巫女のような存在だ、従って奴が神という単語を知っていても不思議ではない。

 だがエルデンリング……どこでこの言葉を知ったと言うのか、それはこの世界の根幹を示す言葉でありそこらからしれる者ではないはずだ、*1どこで知った?いや、どこで知ろうとも関係はない、ゴッドウィンは我等の愛しい息子だ、それ以下でも、それ以上でもない、それで良い筈なのだ……

 更に月日は流れゴッドウィンが生まれてから半年が経った、我が子ながらゴッドウィンの成長速度は目を張るものがある、以前直立歩行を行ったかと思えば既にはっきりと言語を喋っている、そして今では文庫に潜り込んでは書物を読み耽る日々だ、勤勉な事で大変良い事だと思う、こういう所はマリカの血を継いでいるのだと認識させられる。

 しかしやはり俺の血を引き継いでいるのだろう、時折訓練所の方を見ては兵士達が鍛錬している所を興味深そうに見ている、それに武器の類をまるで新しい玩具を見つけた童のような反応をするのだから、体が疼いているのだろう、だがそれだけが理由で奴に鍛錬を強いる理由にはならんだろう。

 何れは俺と並んで軍を率いて戦をしたり竜や巨人と言った生物とも戦うのだろうが、まだ生まれて一年にも満たないのだから、多少はそう言った部分からは身を離したくなるのは人の親としての情だろう、だが俺の考えに対し奴は闘技場で行われている剣闘試合が見たいと言う、正直な所嬉しさより困惑が勝る。

 そも、ゴッドウィンは寡黙な子だ、必要以上に言葉を発する事もなく表情を変える事もない、だからこそ何故今剣闘試合が見たいのか気になった、すると奴から返ってきた言葉はこうだった。

 

「少々退屈なので」

 

 俺は言葉を失った、あれだけ貪欲に知識を身につけておきながら尚本を読み耽っている日々が少し退屈である、などとは、俺はこの子のことをちゃんと見ていたのか?まだ幼いからと身の危険から遠ざけておくのは悪手ではなかったのか、自責の念に駆られながらも俺たちはすぐに闘技場に向かった、ちょうど今日が剣闘試合だ。

一介の戦士であれば“此処で戦った”と言うだけで一種の功績になる程此処の査定は厳格だ、つまり各地から集った選りすぐりの戦士達が集う場所でもある。

 試合が始まった、此度も良い戦士達が集まった物だ年甲斐にもなく興奮が収まらぬ、ゴッドウィンも戦士達の戦いを見て血の気が騒ぐのか身を乗り出すようにして戦いを観ている、一挙一足、全ての動きを見逃さんと言わんばかりの目だ、何よりも戦士達を見る表情からも分かるように心の底から楽しんでいるようだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()、それは紛れもなく“戦士の顔だ”、後にも先にもゴッドウィンが大きく変わったのはこの日であると断言できよう。

 剣闘試合から数日たったある時ゴッドウィンが身体作りも兼ねて鍛錬を積んでくれと申し出てきた、元々ゴッドウィンは鍛錬をせずともそこらの兵には負けぬほどの身体能力を持っていたらしく、兵士から報告を聞いた際にはマリカ共々驚愕に満ちていた、と言うのも報告の内容によれば兵士を1人半殺しにした様なのだ、後から聞けば他所から来た密偵のようなもので俺とマリカの子をまだ幼いうちに消そうとした際の防衛本能らしい、子供特有の手加減ができぬ体質も合わさってから下手人はそれはもう無惨な姿になっており時折もう殺してくれと呻いている、下手人は縛り上げ地下牢に放り込んでおいたが問題は多少なりとも怪我はあれど五体満足のゴッドウィンだ、密偵が弱すぎたなんてことはあるまい、寧ろ王都まで忍び込めるような奴なのだ、それこそかなりの実力であると推測できる、それを余裕で返り討ちにしたのだから戦う者としての才は満ち溢れているのだろうと確信付けられる。

 このままでは本能のままに力を振るう獣に成り果てるだろう、その本能を理性で持って抑えるのが人たる所以だ、その為にも心身を鍛えなくてはならない、然し此処で一つ問題が、ゴッドウィンは同年代はおろか大人の者すらも歯牙にかけぬ程の膂力の持ち主、そして例の半殺しの件が後を引いているのだろう、誰もゴッドウィンと鍛錬をしようとせん、故にこそ俺が直々に叩き込むことになったのだが、その際にも奴の天才性を見出せるものがあった俺の攻撃を一部とは言え事前に察知して回避の動きをとっているのだ、俺との手合わせは初めてのはずだが奴は戦闘の才があるのか既に一部の攻撃は見切られ初めている。

 尤も此方も速度を落としているし何より戦闘の駆け引きは未熟なのか少しのフェイントに引っ掛かる、だが逆に言えばそこまでしなければこいつの相手は務まらんと言うことだ、何より本人の頭がまわる、現に今奴は戦法を殴打から投石に変えてきた、一つの戦法で勝てぬなら次の戦法を試す、これも立派な戦士たる素質だ。

 素手でそのまま投げぬのも良い、服を破り一本の紐にすることによって即興の投石具に仕立てている、これによって不足していた威力と速度を補ったのだろうが…まだ足りぬ、それを理解できぬ頭ではあるまい、現に奴は近くにある一番大きな石片を使おうとしている、あれを直接ぶつける気だろう、ならば正面から打ち砕き奴に拳を叩き込む、その間に奴が何かするならそれでよし、何もなければ次の課題に生かせるので良し、さあどう出る…?

 結果から言うと奴の攻撃は此方に届くことはなかった、なかったが最後のあの一撃は良かった、岩は本命を隠すための餌、本命は視界から消えた一瞬を突く虚をついた一撃、まぁ折角持っている鞭状の服だったものを使わず素手にこだわったのが奴の敗因だが、初めてにしては上出来も上出来、ククッ今から奴の成長が楽しみだ、奴は間違いなく俺に……いやそれ以上の戦士となり得るだろう、否、なり得るように俺が育てるのだ。

 ゴッドウィン……奴が大成すれば恐らく神の座まで達するだろう、そうすれば黄金樹の奥底にて胡座を描いている“アレ”にも届くだろう、故にこそゴッドウィン、お前は強くなれ、この地の誰よりも

*1
まだ破砕戦争の影の形もないのでこの時代に大ルーンはないしエルデンリングと言う存在はかなり厳重に秘匿されてます




主人公があまりにも自分を出さないって言うか現状を理解できてないので周りの勘違いが加速する、尚事実
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