生まれ変わったら後の死王子だった件   作:Another2

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今回ちょっとだけ第三者目線があります


祝福に満ちた忌み子

 私がその子達を認識したのはその日の鍛錬を終えた時だった、父に引き連れられ母の元に向かう、新たな子に楽しみにしている父と違い私の精神はそこまで余裕がない、と言うのも今生まれてくる子達がどの様な存在か、そしてどの様な扱いをされるのか、知っていたからである。

 何度でも言う、私には余裕がない、現状でさえ私自身のことで手一杯だと言うのに2人の分の運命まで定められるか、ましてや私と同じデミゴッドだ、多少の事では死にはせんだろうしなにより地下牢にぶち込まれるのだから命の保障はされているのだ、だから私が何かしてやる物でもないと、この時までは確かにそう思っていたのだ。

 

「なんと…!双生児とは……されど忌み子、つまりは忌み双子だ…!なんと悍ましい…‼︎」

 

 母の所に向かえば出産を手伝っていた助産師達がどよめいている、内容を聞けば双子ではあるらしい、しかしやはりというべきかその双子は忌み子であった、私もその姿を見たが身体中から忌み子の証たる角が生えており通常の人の姿形と異なるそれは正しく異形と言わざるを得ない。

 自らが忌み子を産んだ事による驚愕を隠せない母、そして忌み子の扱いを知っているのか顔を顰める父、状況は混迷としているがそれでも時は進む、助産師の1人が声を荒げ出す。

 

「この子等は忌み子です。黄金樹の祝福から外された者達…故にこの地で生きていくことは叶いませぬ、この場で処断せねば呪いが広がりますぞ!」

 

 そう、この地では忌み子は呪いとして扱われているらしい、私はなんとも思わないが確かに産んだ側、そして黄金樹を根強く信仰してる彼らからすれば此れは悍ましい物に見えるのだろう、出産の疲労からか答えを出せずにいる母だが二人に対して思うところはあろう、何せ自分の腹を痛めて産んだ子供達なのだ、それを生まれて数分で死に帰さないと行けないとしれば心中察するに余りある。

 

 父もそうだ、私は親の経験はないに等しいがそれでも父が考えていることはわかる、国の王としては2人を処断すべきなのだろう、しかし父は国の王である以前に1人の父であり、人なのだ、私とてそうなのだ。

 敵であるならば容赦なく叩き潰そう、反逆するのであれば冷徹に対処して見せよう、だがこの子達は敵ではなく、ましてや反逆は愚かなんの罪も犯していない、ただ生まれてきただけなのだ、誕生罪とは私はこの世で最も忌むべき物であると認識している、ならば私が……今取るべき行動は──。

 

「マリカ様、お気持ちはわかりますがその子達は忌み子なのです、王都に呪いが蔓延しては行けません、だからこそ──「待て」はい?」

「産まれたばかりの、それも我が弟達をなぜ私の無断で処断しようとしているのだ、忌み子である?それがどうかしたのか、貴公等にとって忌み子であっても私にとっては初めての弟達なのだ、乱雑に扱うのはこの世の全てが許しても私が許さん、蝶よりも、花よりも、丁重に扱ってもらおう」

「で、ですが」

「ゴッドウィン、お前は……」

「喧しい、今……私が喋っているのだ貴公等の意見など聞いていない、いいか、お前達は身体中から角が生えている、ただそれだけで呪われているだの忌み子だのと宣う、私にはそれが理解できんのだ、この世に生まれた命は全て尊く、そして儚い。呪われたり、忌まわしき子など存在しない……全て等しく唯一無二の存在たる命なのだ、それを貴様等……己と多少姿形が違うからと言って即座に処断するとは呆れた物だ。人間だけに問わず、生物は全てが同じ形をしているわけではない、一つ一つ全ての個体にその個体特有の個性があるのだ、我々人間もそうだ、多少背が大きかったり、肌の色が違ったり、様々な個性があり、その個性こそがその一個体を表すのだ、であればこの子達のこの角も立派な個性であり尊重されるべき物だ。

──お前達の誰もがこの子達を誕生を祝福せんのなら、私が変わってこの子達を祝福しよう」

 

 そう言うとゴッドウィンは助産師達を押し除け2人の忌み子、否赤子達に歩み寄っていく、そして2人を抱き抱える、その手はいつも武器を振っている荒々しい様子はない、割れ物を扱うかの様に丁寧且つ優しく包み込むその姿に慈愛のような物が溢れる。

 

「我が可愛い弟達よ……この世に生まれてきてくれてありがとう、私は、お前達が無事にこの世に生まれてくれた事を祝福する、私の声など聞こえていないだろうが、よく聴いておくのだ、今日からお前達の名は…モーゴット、そしてモーグだ。

──モーゴット、モーグ、お前達はこれから己と周りとの違いに苦悩するだろう、もしやすると忌み嫌われる存在になるかもしれん、だがこれだけは言っておく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

──すまぬ、母よ、命名の儀は貴女がこなしたかっただろうに……」

「いや、良い……苦労をかけたな、ゴッドウィン、だが良いのか?其方の其れは苦悩と葛藤に満ちた人生になるぞ」

「構わない、元より…覚悟の上だ。其れよりも……貴公等、いつまでここにいるつもりか、仕事は終わったのだろう、後のことは私達がやる故、もう下がっていろ、私の気分が、穏やかなうちにな」

 

 そう言うと助産師たちは忽ち部屋を去っていった、私がやっているこの行いに意味はないのかもしれん、正しくないのかもしれん、だがそんな事は心底どうでも良い、私はこの子達を守護らねばならぬ、そう思ったのだ。

 故に覚悟は決めた、道も定めた…運命は…大きく変わってないのかもしれない、しかしそれでも世界の大筋通りに進められてたまるものか、抗って抗って抗いまくる、そしていつの日か、定められた運命を破壊する者が現れるだろう、私はその時生きているかは知らないし死んでやるつもりもないがもしも、死王子になった時に備えて後世に色々残しておく必要がある、いまはそのための備えだ、一刻も早く強くならねばならん。




と言う事で兄としての役目に目覚めた成りウィン君回でした。
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