月と夕刻の少年の褪せぬ誇りに差す残光   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。

それではどうぞ。



第4話 決戦前 氷川紗夜と白金燐子

「こんにちはー。予約してた青葉モカでーす」

「あ、モカちゃん! もしかしてモカちゃんも個人練習?」

「という事は、つぐも? いや~、奇遇ですな~」

 

CiRCLEのロビーにて。個人練習をしに来たモカ。奇遇にもつぐみと会った。どうやら彼女も自分と同じく個人練習をしに来たそうだ。

 

「すみません、Aスタジオに予約を入れていた氷川ですが……あら?」

「あっ……あれ? 氷川さん……? それに青葉さんと羽沢さんも……あの……こ、こんにちは」

 

なんというタイミングなのか、紗夜と燐子とも鉢合わせたのだ。

 

「どーもー、こんにちは~。お二人も個人練習ですか~?」

「は、はい……ライブの事、考えてたら……緊張しちゃって……練習してないと、落ち着かなくて……」

「それ分かります! 私も、どれだけやっても足りないんじゃないかって思っちゃって」

「そうですね。お互いにとって、大切なライブですから」

 

ここに居る4人、みんな同じ……という事だった。

 

「それにしても、蘭も困ったもんですよね~。今回のいざこざは蘭が原因っていうか、うっかり起爆剤になっちゃったっていうか~。まあ、蘭が対抗心メラメラにしちゃうくらいRoseliaのライブが凄かったって事でひとつご容赦をー」

「モカちゃん! わざわざここでその話題出さなくても……」

 

わざわざ紗夜と燐子が居る前で、その話題を出さなくてもと……つぐみはモカに言う。

 

「青葉さん。対抗心を燃やしているのは、あなたも同じでしょう?」

「「え?」」

「あたしがですか?」

 

紗夜の意外な言葉を聞いて、つぐみと燐子が驚く。モカはそう見えますー?といつもの口調で返してるが。

 

「ええ。羽沢さん、前に言っていましたよね? Afterglowは、完全に1人での練習は珍しい。スタジオに入る時は2人以上でということがほとんどだと」

「は、はい。夏々君以外のみんな、個人練習は家でする事が多いので……」

「そんなあなた達がそれぞれに個人練習をしている」

 

これが対抗心でない筈がありませんと付け足す紗夜。

 

「だいせいかーい。あたしも正直驚きですよ~。蘭がきっかけとはいえ、Roseliaがこんな作戦に出るとは~」

「意外とあっさり認めるんですね」

「そうですねー。紗夜さんのお陰ですかね~」

「私の?」

 

自分のお陰とモカに言われ、首を傾げる紗夜。

 

「はい。紗夜さんも、なんだか楽しそうなんで。あたしもつい素直になっちゃいました~」

「楽しそう? さて……実際のところはどうでしょうね」

「ふっふっふ~。どうでしょうね~」

「(氷川さん、すごく楽しそう……青葉さんも冷静だし……)」

 

そんな2人を見た燐子は、言い争いになったらどうしようと不安だったが、そんな様子はなさそうである。

 

「2人とも、笑顔だけど目が笑ってないよ……でも嫌な感じはしないし……うーん……燐子さん、どう思いますか?」

「ど、どうって……?」

「モカちゃんと紗夜さん、お互いに火花散らしあってますけど、どことなく楽しそうに見えるっていうか……」

「良かった……羽沢さんにも、そう……見えるんですね」

「てことは、燐子さんにも?」

「はい。今の氷川さん……すごく、楽しそうに見えます」

 

どうやら、つぐみも自分と同じ事を思ってたようで少し安心した燐子。ならきっと、心配ないですねと言うつぐみ。

 

「……あれ? 紗夜ちゃんに燐子ちゃん? それにモカちゃんとつぐみちゃんも……」

 

すると見覚えのある人物がロビーに現れた。それは悠里だった。彼は4人の姿を見つけると、物珍しそうな表情をしていた。

 

「こんにちは。悠里先輩も個人練習ですか?」

「…いや、個人練習っていうより……()宿()かな」

「「「「が、合宿……?」」」」

 

つぐみの質問に悠里は個人練習ではなく『合宿』と答えたのだ。当然、4人はどういう意味なの?とばかりに首を傾げてたが。

 

「…ん、合宿。なんでCiRCLEで合宿ができるのかっていうと……「うにゃーーー!!!」ドアをちゃんと閉めてて、これだもんなー……」

 

悠里が説明しようとした時、スタジオの奥から奇声に近いナニカが聞こえてきた。

 

「モカちゃんとつぐみちゃんに教えておくけど……今の声、夏々だから」

「「ええっ!?」」

「2マンライブ当日まで、Afterglowのみんなと一緒に練習するの止めるって言ってたからね。……それを夏々なりに抑えてるんだよ」

 

なんと今の奇声に近いナニカの正体は、夏々だと悠里がモカとつぐみに教える。それを聞いて驚く2人。ついでに奇声を上げてる理由を教える。

 

「悠里さ~ん。ナナ、あたしの事、何か言ってましたか~?」

「……そういえば、さっき『モカちゃん成分が足りない』とか『モカちゃん弄りがしたい』とか『モカちゃんにハグしたい』とか言ってたけど?」

「あ、あう……」

「それから『また屋上で、Afterglowのみんなの可愛さを叫びたい』とか……」

「あの、悠里先輩……それ以上言うと、モカちゃんが……」

「ちなみに、つぐみちゃんの時は『つぐちゃん成分が足りない』とか『つぐちゃんの寝顔がまた見たい』とか『つぐちゃんが淹れてくれたコーヒー飲みたい』って言ってた。まだあるけど……聞きたい?」

「「も、もう、大丈夫です……」」

 

それを聞いて赤面するモカとつぐみ。モカに至っては聞かなきゃ良かったと思ったまでである。というか、屋上でAfterglowの可愛さを叫ぶとはどういう事だ!?と突っ込みたい2人。

 

「そう? 時に紗夜ちゃん、燐子ちゃん?」

「「?」」

 

紗夜と燐子を真剣な表情で見る悠里。何か言いたそうだが、どうしたのだろうか?

 

「今度、藍音学院(あいねがくいん)で、屋上で○○○を叫ぶっていう授業があるんだけど……紗夜ちゃんと燐子ちゃんについて、叫んでもいい?」

「だ、駄目です!」

「だ、だだだ……だめだよ……!」

「……そっかー……ちょっと残念……」

「ちなみにどういう事を叫ぶ気だったんですか? 内容によっては許可しますが……」

「えっと……『紗夜ちゃんの可愛さ』とか『燐子ちゃんの可愛さ』とか……」

「「だ、駄目です!(だめだよ!)」」

 

真顔でとんでもない事を言い出したのだ。

当然、紗夜と燐子は却下する。……顔は真っ赤だが。ちなみに藍音学院(あいねがくいん)とは悠里と夏々が通ってる高校で、一部しか知らない学校である。

 

一応、叫ぶ内容を紗夜が訊いてみたが……案の定、恥ずかしさ満点だった。なので、却下した。

 

「…そうだ。友希那ちゃんについて叫ぼう。尊い犠se……じゃなかった。紗夜ちゃんや燐子ちゃんと同じ、数え切れないくらいあるし別に問題ないよね」

「「「「……(今、尊い犠牲って……)」」」」

「…うん、そうしよう。今回の2マンライブの原因は友希那ちゃんにも責任はある訳だし。別にいいよね♪」

「「((湊さん(友希那さん)、なんか……すみません……))」」

 

今、尊い犠牲とか言わなかったか?と思った4人。そしてこの場に居ない友希那に紗夜と燐子は心の中で謝るのであった。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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