今回で最終回になります。
それではどうぞ。
そして2マンライブ終演後。
「はあ、はあ……つ、疲れた~! でも楽しかった!」
「私も~。明日絶対に筋肉痛だよ」
CiRCLEの楽屋にて。あことひまりが言う。
「あはは。ホント、さいっっっこうの盛り上がりだったね! 今日のAfterglow、メチャメチャ鋭かったな~」
「Roseliaこそ、1曲目からかなり飛ばしてましたね!」
「良かった……ライブ、大成功だったって……両方のファンになったって声が……たくさん聞こえたって、まりなさんも……」
結果的にライブは大成功。
RoseliaとAfterglowのファンになった人がたくさん居たよとまりなが嬉しそうに言っていたのだ。
「まさか、アンコールの声をあんなにたくさん頂けるとは思っていませんでした」
「はいっ! それに、アンコールの声もすっごく揃ってて団結してたっていうか……お客さん同士も仲良くなってくれたみたいで嬉しいです!」
紗夜とつぐみの言う通り、観客から多くのアンコールをもらったのだ。
「…なんで僕にもアンコールするのかな? 僕はただの前座だって言ったのに……」
「それボクも思った! ボクの時もそうだけど、アンコールする人を間違ってるよ!」
「ゆうりんとナナ兄の演奏を聴いて、アンコールをしない人は居ないんじゃないかな……」
『確かに』
悠里と夏々が自分達のアンコールに愚痴っていたが、あこがそれは寧ろ無理な話だと言った。その言葉に同意する他の面々。
「みんなそれぞれ、納得のいくステージだったみたいね。それで、美竹さん。あなたはどうだったの?」
「……楽しかったです」
友希那が蘭に今日のライブについて訊くと、彼女はそう答えた。
「湊さん、この前言いましたよね。あたし達の魅力は、ありのままの姿。感じた事を、むき出しでぶつける事だって。それってつまり、あたし達の『いつも通り』なんですよね。そう思ったら、なんかすっきりしちゃって」
演奏中は、ただ楽しいって事しか考えられませんでしたと付け足す蘭。
「そうね。ステージに集中できたという点はでは私も同じだわ。けど、これは勝負ではなかったかしら?」
「あっ。べ、別に忘れてた訳じゃないですから! そういう湊さんはどうだったんですか?」
「……(蘭ちゃん。話逸らしたな……)」
この2マンライブが勝負だったという事を忘れてた……というより、忘れかけて話を逸らす蘭を見た夏々は心の中で突っ込んだ。
「当然Roseliaの勝ち、と言いたいところだけれど今回は引き分けね。どちらのバンドも、同じくらい盛り上がっていたもの」
「悔しいけど、あたしもそう思います。その代わり、次は負けませんから」
「……(2人とも納得してるし……結果的に……安心かな?)」
どうやら今回の結果は引き分けらしい。友希那と蘭も納得してるようだし喧嘩にならなくて良かったとホッとする悠里。
「次か~。次やるなら、一緒に曲でも作っちゃいます~?」
「そうね。2回目の開催を本格的に考えてもいいかもしれないわ」
モカの言葉に友希那は2回目の開催も考えてもいいかもと言った。
「ついでに、Roseliaの気持ちも伝わりましたよ。Roseliaの音は、Afterglowを侮ったりバカにしてる音じゃなかった」
「ええ。寧ろその逆だとすら思っているわ。Afterglowの音楽は、素晴らしいものよ」
技術的に優れてるとか、そういう事ではなく、蘭達しかできない音楽だからだと友希那は答える。
「そんなあなた達が、自分達の方がより盛り上がるライブができるというのは当然だと思った。だから気にならないと言ったの」
「そういう事だったんですね。でもそれなら、最初からちゃんと説明して貰えれば……」
理由を聞いたひまりは納得する。でも最初からちゃんと説明してもらってもいいのでは?と友希那に聞き返す。
「それは……ごめんなさい。あなた達の感情を利用させて貰ったわ。Roseliaは高みを目指している。だけど、その高みとは一体なんなのか。それはまだ私達も掴んではいないの」
「Roseliaは今、私達にとっての高みを探している状態。それなら、見つかる可能性のある事には積極的に挑んでいかなければと思ったんです」
友希那の言葉に続いて、紗夜が説明する。
「経験値が欲しいなら、やっぱり強敵に挑まなきゃって事! だよね、りんりん! ゆうりん!」
「うん。Afterglowは本当に素敵なバンドで……だからこそ、強敵……だもんね」
「こういう機会のライブって、ありそうであんまりない事が多いからさ。結果的にお互いにメリットが多かったし」
あこ、燐子、悠里が言う。
「強敵? あたし達が?」
「あなた達は、迷うことなくRoseliaにぶつかってきた。売り言葉に買い言葉、という事もあるでしょうけど……」
それでも、その闘争心は凄まじいものよと言いながら友希那は言葉を続ける。
「ぶつかるという事は、自分達も傷つく可能性があるという事。それでも、あなた達は自分達の誇りの為に迷うことなく、音楽で勝負する事を選んだ。そんなあなた達だからこそ、互いに影響し合い、よりいい結果を生み出す事ができる」
そんな関係になれると思ったのよと友希那は蘭に言った。
「それってつまり、Afterglowの事……あたしの事、ライバルだと思ってるって事ですか?」
「ライバル……そうね。あなた達が私達のライバル、なのかもしれないわ」
「か、かもしれないって……」
友希那が断言しない事にちょっとだけ複雑な蘭。
「アタシ達もRoseliaのお陰でいつも以上に、いい演奏ができたしな! ホント、ありがとうございます!」
「だね~。ひーちゃんも、苦手だったとこさらっとできるようになってたし~」
「そういうモカちゃんもだけどねー」
「えへへ、バレてた~?」
巴、モカ、夏々が言う。
「Roseliaも同じよ。対バン相手や観客を盛り上げようと強く意識した演奏……今まで以上に攻めの演奏ができたと思うわ。すぐに頂点が何か分かるわけではないと思う。けれど、バンドとして確実に力をつける事ができたわ」
「蘭っていうライバルも出来たしね♪」
「今はまだ『かもしれない』ですけどね。けど、すぐに認めさせてみせますから」
「お互いに影響しあい、高めあう。まさに理想のライバル像ですね」
「おお、これはもしかして……いがみあってたライバル同士が和解して熱い握手を交わす展開~?」
そんな光景を見た紗夜の言葉に続き、ノリで言ってるのか、モカがそんな事を言った。
「モカ、いちいち茶化さないでってば」
「でも、今の私達には相応しいかもしれないわね。美竹さん。握手、してもらえるかしら」
「はあ!?」
友希那からの予想外の反応に思わず驚きの声を上げてしまう蘭。
「まあいいですけど……これで、いいですか?」
「十分よ。お互い、これからも全力でぶつかりあいましょう」
「もちろん。望むところです」
そして互いに握手をする友希那と蘭。
「最初は大丈夫かなって思ってたけど……お互い、いい経験になったみたいだね。友希那ちゃん、いい表情してるし」
「そうだね♪ 蘭ちゃんもいい表情してる♪」
そんな2人の表情を見た悠里と夏々は、最初はどうなる事かと思ったが、結界的に今回の2マンライブを開催して正解だなと思うのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで出来たのも、読者の皆様のお陰です。
気が向いたら、また何か息抜きに書くかもしれません。
それではまたいつかどこかでお会いしましょう。
ありがとうございました。