TS転生ド田舎ネクロマンサー聖女   作:どくいも

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第60話 ケモミミメイドご奉仕プラン

まぁ、結局のところ、新人メイドマートはいろんな意味でメイド向きの人材ではなかった。

彼女自身が不器用であるし、清潔に対する意識は薄く、料理にこだわりが薄い。

その上今まで、教団で祭り上げられたり、盗賊団として参加することはあっても雑用を任されたことがない。

そもそも家事や雑務の経験自体が圧倒的に不足していたのだ。

 

「……仕方ないだろ。

 私の持つ邪獣人の加護は、低位でも発熱や下痢に、混乱に凶暴化。

 重症だと、獣化に発狂。

 最悪、魔物化もあり得る呪い…いや、祝福だからな」

 

「無論、身体共に適性さえあれば、獣人に、さらに良ければ邪獣人になれる。

 とはいえ、素質持ちすらある程度限られて、成りたいものはさらに一握りだ」

 

マートの作った見た目がちょっと残念な目玉焼き料理を食べながら、彼女の言い訳を聞く。

 

「だからこそ、私は選ばれた存在故に料理やら家事やらはしない。

 この祝福を無為にばらまくことは、母からも禁止されていたし、私とて、この祝福によって死ぬ人を無為に増やすつもりはない」

 

「……もっとも、どこぞの変態はそんな私に。

 選ばれし存在に、わざわざ給仕のまねごとをさせて、愉悦しているようだが」

 

彼女がじっと睨みつけながら、嫌みを言う。

ともあれ邪獣人の呪いは思ったよりも、厄介なものであったようだ。

彼女曰く、邪獣人の呪いは吸血鬼のそれとは違い、本人が制御できないくせに、それなり以上の感染力と致死性を持っているらしい。

一応、彼女の体から伸びようとする呪いと無数の謎の菌の気配が見え隠れするため、彼女の邪獣人化の呪いがどのような物かも感覚的には理解できている。

これが真実なら、かつての彼女は結構やばい存在であったのだろう。

 

「まぁ、でも安心して。

 この家ならもちろん、どうやら隷属の聖印でも、基本的に今の君の邪獣人の呪いは抑えられているよ。

 少なくとも、周囲に無為に感染させることは不可能だと思うよ」

 

「……」

 

「だから、適性や経験不足は仕方ないにしても、家事については少しずつでも覚えていってもらうからね。

 どじっ娘メイドは今はまだかわいいから許すけど、数か月もしたら、普通の家事くらいはできるようになってもらうつもりだからね。

 覚悟しておくように」

 

「……へ~い」

 

口でこそ不服そうに言ってるが、地味にピコピコ跳ねている尻尾や耳が彼女がそこまで嫌がっていないのが眼に見えてわかる。

なんだよそのあざとい耳と尻尾は、もう少し本音を隠す努力をしてもらいたい、襲うぞ。

 

「……それよりも、そろそろ料理の味が薄くなってきたな~

 あぁ~、おいしさが足りないな~」

 

「……っ!おい、本当にそれ、やんなきゃいけないのかよ!

 別にこれ必要ないだろ!」

 

自分の意図していることに気が付いたのか、耳がピンと張り、頬を染めるマート。

しかしながら、これは事前に約束していたことであるし、何より彼女が残念ながら料理を焦がしてしまった負い目がある。

それゆえに彼女は、恥ずかしがりながらも、その行動をとってくれた。

 

「……お、おいしくな~れ♪

 おいしくな~れ♪もえもえきゅん♡」

 

FOOOOOoooooo!!!!

生意気獣人メイドのおいしくなぁれサービス入りましたぁ!

 

「……おい!!こんなこと邪獣人である私にさせて何の意味があるんだよ!

 料理に邪獣人の呪いがかかっていいのか!

 というか呪いかかってるだろ!それ!」

 

尻尾をぴんと張りながら、マートがぷりぷりと怒る様子を見つつ、彼女の不揃いな料理を食べる。

正直、彼女の朝食はまだまだあんまりおいしくないし、焦げている部分も多い。

けど、それでも目の前に作った娘がいて、それが奴隷でメイドで、しかも赤面になりながらも逆らえずサービスしてくれるって、それは最高の調味料だなって。

 

「うんうん!

 おいしいおいしい!

 マートちゃんは将来、凄腕の料理人になれるかもねぇ」

 

「……見え見えの世辞はやめろ。

 ったく、本当にうまそうに喰いやがって、邪獣人になっても知らないぞ」

 

こんな状態でも料理をほめられてうれしいのか、しっぽはくるくると回って喜びを表現している。

それと全然関係ないけど、今日の遅めの朝食は私とマートの2人だけだ。

さすがに、やばい奴相手とはいえ、仲間の妹にご奉仕プレイを強要させて楽しんでいるのを、ヴァルターやベネちゃんにばれるのは、心苦しいを超えて恥辱すぎる。

 

「はいはい!それじゃぁ次はあ~んでもしてみる?

 あ、セリフはご主人様、私を食べてにゃん♪でお願い」

 

「お、おまえ!それマジで言ってるのかよ!!

 というかニャンってなんだよ!?」

 

「え?だめ?」

 

「だ、だ、だ、ダメダメに決まってる!

 というかどういう願いだよ!」

 

「……隷属の聖印の効果使おうかな」

 

「!!!?!?!?」

 

かくして、マートちゃんの愉快な光景を全力で楽しみつつも、彼女の手料理を堪能。

途中でアリスが乱入してくるまで、存分にそのマートとの主従の戯れを楽しむのでしたとさ。

 

☆★☆★

 

なお、その日以降もマートのメイド修業は日々続き、その結果彼女の家事適性に一つの光明が見られる。

 

「というか、マートちゃんは邪獣人だけあって、陰魔力への抵抗力がかなり高いね。

 なら、ちょっぴり呪術を学ばない?」

 

「!!!?!?!?」

 

「……!!つまりは、私の妹弟子ってことですね!

 私があなたのお姉ちゃんです!アリス姉と呼んでもいいんですよ?」

 

「なんでだよ!」

 

さもあらん。

 

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