TS転生ド田舎ネクロマンサー聖女   作:どくいも

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第6章 邪神と死霊術師
第66話 神託


神々により、聖痕を授けられた日。

私は一つの夢を見ることになった。

そこには8人の荘厳な人々がおり、歓迎されるような説教されるような、実に不思議な夢であった。

荘厳なようで、神聖でもあり、親しみを感じるような、どこか恐れ多いようなそんな雰囲気。

人によっては、これを天啓というのかもしれないし、神からのお告げというのかもしれない。

或いは選ばれし者や聖女を自認してしまうような勘違いが起こりうる事態なのかもしれないことは、重々承知している。

 

――しかし、この夢に限り、おそらくそんな素晴らしいものや凄いものではないだろう。

 

『というわけでね~、いやね、悪いとはわかっているけどね?

 ■■だから、ちょ~っと厳しくても、この■達にも新しく教会を建ててほしいな~って。

 ほら、まぁ、大変だと思うけど、ひいては世のため人のため、つまりは君のためにもなるから……ね?』

 

『あいかわらず、■■はマメですねぇ、そんなんだからいつも貧乏くじを引くんですよ』

 

『それよりも、俺様の神殿の設計図をちゃんと暗記しろよ!!!

 俺様の神殿は、ここにいる奴らのだれよりも、超絶強くてデラックスで最強な感じにしなきゃいけないからな!』

 

『え、何この品性の欠片もないくそ神殿は、ドン引きなんですけど』

 

『は?』

 

『まぁ、普通に考えて、このレベルの教会を他柱の信者に任せること自体、問題なのは確かでしょう。

 そこはひな形が完成してから自分の信徒に頼みなさいよ。

 しかもなにこの魔族滅殺カルバリン式魔導聖陣って。

 周りへの影響とか考えてないの?』

 

『そもそも、聖罰の代償にかこつけてとはいえ、こういうことをほかの神の信者にさせること自体がねぇ……。

 いやまぁ、だからと言って、他の変な聖痕を選ぶよりは、これが丸いからしょうがないけど』

 

『というか、ちゃんとあなた達からも出資しなさいよ?

 今のところ、私ばっかり割を食ってるんだから』

 

『ねぇねぇ、兼任でもいいから私のところの信者にならないか?

 いまなら、このよく魔を祓える●●神お墨付きの洗剤付きだぞ』

 

『抜け駆けすんな!』

 

『引き抜きはおやめくださ~い』

 

『あなた、また浮気ですか?殺しますよ』

 

『ひえっ、で、でもこれはあくまで●●だから、セーフ、セーフじゃない?』

 

『アウト』

『無理だろ』

『ダウト』

 

『あ、あ、ああああああああ!!!』

 

あくまで夢の中とはいえ、神聖な存在があまりにもフランクに会話し、あるいは暴力を振るう光景。

もしこれが真面目な神学者や信者ならば、己を疑うか、または信仰を捨て去ること間違いなし。

あるいは、こんな彼らのド突きあいを見て、神格同士の対立を勝手に妄想する可能性すらある。

 

『いや、お前から我らがどのように見えてるかは知らんが、その光景はあくまで、我らという存在をお前の脳と魂というフィルターを通して見ているものだからな?

 だから、本当はもう少し高尚で厳かな感じでこの神託は行われているんだぞ?』

 

『え!じゃぁあの神格同士の殴り合いは私の見た幻想で、実際神格同士はまともに接触してないし、話し合いやド突きあいは起きてない……ってこと?』

 

『……いや、まぁ、うん。

 あれは、ちょっとしたじゃれ合いだから。

 わかりやすく言うなら、ゲームで操作キャラ同士で殴り合ってる程度のお遊びだから』

 

判断に困る例えだなそれ。

かくして私は、この神託の大筋こそ覚えるが、詳細については見ないふりをすることにしたのでした。

 

☆★☆★

 

そうして、神託?を受けてから数日後。

 

「というわけで、さっそく七大善神の教会を作っていくわけだけど……。

 とりあえずは、今すぐ全部の教会をギャレン村に建てるのは無しで」

 

脳内になぜか、7つの光柱がえーと文句を言う幻聴が聞こえたがそれはスルー。

今回の会合にはギャレン村代表としてルドーやシルグレット、さらには旧ストロング村代表として、吸血鬼であるエイダや元騎士団現エイダ監視役の騎士であるラウラも参加していた。

正直、複数の教会を建てる云々は、半分は私の聖痕除去のため、いわば私欲によるものなので、ルドーから許可をもらって一人で建てる覚悟もあった。

が、ルドーの方から、それくらい村の費用で建てさせろと快く申し出てくれたのは、うれしい誤算であった。

 

「いやまぁ、俺としては構わんが、理由を聞いても?」

 

「主な理由としては2つ、地脈と治安の問題かな。

 教会って、大なり小なり地脈から魔力を吸い上げる装置でもあるから、突然大きな教会を一か所に建てすぎると、土地自体が教会に順応できず、万全に効果を発揮できないのが一つ。

 それと、せっかく教会を複数建てるんだったら、ある程度周辺の村にも教会を建てて、治安の維持を分散させたいって言うのがもう一つだね。」

 

もっとも、これに関しては、出資者であるルドーやエイダがどのくらい了承してくれるかが問題であったが、二人ともこの話は快く受け入れてくれた。

 

「俺としては賛成だな。

 こちらとしても、新しく教会を作るなら、今開拓している新しい村の方にもいくつか立ててほしいのが本音だ。

 新しい開拓村のほうが林業やら木材の仕入れに向いていそうだからな。

 さらに近くに小規模とはいえダンジョンがあるんだ。

 そう言う意味でも教会は必須だろうからな」

 

「私としても、賛成ね。

 最近、月女神さまのダンジョンがあるからか、治療目的で私の家に来る人で診療所がパンク状態だからね。

 そろそろ教会を増やしたいと思っていたのよ」

 

どうやら、今回の教会建築の話に関しては2人とも渡りに船であったようだ。

 

「予算に関しては……、よほど無茶を言わない限りなんとかなるだろう。

 開拓費共々、王家と領主様の双方から貰ってるからな。

 教会への連絡はどっちがやる?」

 

「とりあえず、それはお互いにいい感じに割り振りましょう。

 ニーラ様や水神様には、私のほうが伝手があるから。

 でも建築用の人材はどうする?一応私にもいくつか伝手があるけど」

 

「建築用の人材かぁ!一応こっちも最近いくつかの伝手が増えたが、手が足りないのは確かだからなぁ!」

 

「もっとも、私が紹介できる人材って、大半が吸血鬼かその信者だけど」

 

「……うん、建築用の人材はこっちでかき集めるわ」

 

かくして、金銭は双方。

材料や資材に関しては、吸血鬼であり、ダンジョンの管理者でもあるため、複数のマジックアイテム持ちのエイダが主軸に。

人手集めに関してはルドー側が主軸に行うことが決定。

こうして、思ったよりもあっさりと『開拓村・ギャレン村(町)・旧ストロング村(名前変更予定)』による3村合同の教会建築が決まることになった。

 

「もっとも人材や資材の移動は、村同士の距離を考えてそれなりに時間がかかることになると思うが……」

 

「そうよねぇ、今回のは聖痕でのクエストとはいえ、一応は神様発注なんでしょう?

 なら……」

 

ルドーとエイダの2人が、それとなくこちらに視線を寄せてくる。

二人の言わんとしていることはわかるが、あまりにも視線から願望が漏れすぎている。

 

「今回は、ちゃんと神様から許可をもらった建築だからね。

 ギャレン村とダンジョンだけではなく、ストロング村と新しい開拓村にもポータルをつなぐことが許可された。

 それに、建築中に限り、建築用の大質量の輸送もできるようにしてくれるとのことだ」

 

ガッツポーズを上げるルドーと、満面の笑みのエイダ。

そんな2人のあからさまな様子に、頭を抱えるシルグレットとラウラ。

まったく、そんなにポータル先の新規開拓がうれしいか?

いやまぁうれしいだろうなぁ。

 

「というわけで、今回の会合はおおむね終わり。

 私は今から早速新しいポータルの出入り口設置場所として、開拓村に兄弟神の簡易な祠を立てに行くけど、ルドー村長やエイダはどうする?」

 

「無論!俺もついていくぞ!

 なにせ、貴重な資材の搬入口を決める場所だからな!

 それに教会を建てた後も、ポータルの出入り口として残るなら、きちんと設置場所には口を出さなきゃいけないからな!」

 

「もちろん私も、参加するわ!

 留守の間は使い魔を置いているし、遠征する許可もニーラ様他数柱の善神からばっちり免罪符を取得済み!

 数日程度とはいえ、久々の遠征!ちょっとだけ気分が高揚するわね」

 

村長の癖にやけにフットワークの軽いルドーに、はじめっから今回の話を見越して外出許可を取っていた吸血鬼。

その2人がウキウキで外出の準備をする様子を見つつ、この2人の世話役の心労を想像し、何とも言えない気持ちになるのでした。

 

 

☆★☆★

 

 

なお、開拓村への移動途中。

 

「ふん! ここであったが百年目!

 やはり邪悪な存在とつるんでいたか!」

 

「訳あって所属は言えないが、貴様らには死んでもらう!

 さぁゆけ! 汚れし禁断の獣よ!! 奴らを殺し、せめてもの罪を雪ぐのだぁ!!!」

 

――ぐおおおぉぉぉぉ!!!!

 

かくして、私達の目の前に、いつぞや見たような特大聖痕が刻まれた怪しげなカルトが、無数の邪獣化状態の獣人を引き連れて襲撃しに来たのでした。

 

 

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