TS転生ド田舎ネクロマンサー聖女   作:どくいも

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第68話 ファンブル表

というわけで、色々と突然のカルト及び獣人奴隷による襲撃であったが、おもったよりもあっさり撃退することができた。

獣人奴隷は隷属の聖痕こそ壊れたが、それでも生きたまま確保することに成功したし、怪しげなカルティストも五体満足で捕縛。

まぁ、移動中という問題はあったが、それもせいぜい数日程度の問題。

ともすれば視察も終わった後に、尋問するのは当然の流れとなろう。

 

「くっ!邪悪な貴様らに話すことなどない!

 殺せ!」

 

「よし!それじゃぁさっそく殺そうぜ!

 日が暮れちまう!」

 

「まって」

 

何人かの獣人や護衛が、嬉々として殺そうとするが、それを何とか押しとどめる。

いやまぁ、獣人に関しては奴隷にされた恨みがあるだろうし、護衛の人は普通に殺されかけたから恨み節なのはわかるが、それでももう少し待ってほしい。

 

「まぁ、まずは情報だよ情報。

 殺してからは聖痕やら教典的にアウトだから、できれば生きたまま尋問したいわけだけど……」

 

縄で縛られて動けないカルティストに近づいて、その状態を確認する。

見た目は中年程度の男性。

しかしながら、身なりが綺麗すぎることや栄養状態も良さげなことから、どう見てもただの盗賊のご身分でないことは確定的に明らかであるし、体に付いた特大聖痕から、前回のカルティストの一員だということは間違いない。

 

 

「できれば操魂術でなんとかしたいけど……ん」

 

陰の魔力をこのカルティストに流し込み、魂を囲おうとする。

 

「んぽ?あぽぽぽぽぽ!!!!!!ぴょ~~~~!!!」

 

が、残念ながら、陰の魔力で彼を支配することはできず。

適当に命令して、秘密を聞き出そうとしても、うまくいかず。

 

「げへ、ごほぉ!我の一番の秘密はぁ!

 かの神の信仰を始めたのは、神殿のシスターのパンツを覗くためでしたぁ!!」

 

「いや、しらんし」

 

操魂術で無理矢理行動を制御しようとも、謎のエラーが発生。

命令にそぐわない、しょうもない行動しかできなくなっていた。

 

「……イオ?」

 

「いや、これは私の趣味とかじゃないよ。

 というか、普通の人間が操魂術を使われると激痛が発生するのは知ってるでしょ?

 だから今のコイツの状態は、私としても不本意。

 なんかおかしなことになってるなっていうのが、本音だよ」

 

こちらを何とも言えない眼で見てくるルドーに、きちんと事態を弁明する。

でも、ルドーの視線とは別に、こいつに怪我やら屈辱を受けた護衛人や獣人からは好評のようだ。

というか、勝手に豚のまねとか始めないでくれ、なんで静かにしろって命令がそうなるんだよ。

 

「おそらくこれが、あいつにつけられた『聖痕』の効果だろうね。

 効果としては、【呪術や死霊術に対する、変則的な耐性】ってところかなぁ?」

 

「いや、それだけではないみたい。

 とりあえず、あいつに【浄化】の奇跡をかけてみて」

 

エイダに促され、顔を地面に押し当てて虫を喰おうとしているカルティストに【浄化】の奇跡をぶつけてみる。

 

「ぐぽぉぉおお!!!」

 

すると、本来なら人間には無害のはずの【浄化】により、勢いよく吹き飛んでしまうカルティスト。

 

「……え!?

 もしかして今のあの人って、奇跡魔法の恩恵を受けられなくなってるの!?

 アンデッドや魔族扱いになってるとか」

 

「いや、そういうわけでもないぞ。

 だって、ほら、あのレベルの浄化を受けてなお、アイツは生き残っているだろう?

 もしあいつが真に神の加護を失ってるなら、おそらく今の浄化で死んでいるはずだからな」

 

【浄化】により吹き飛ばされたカルティストがカエルの様に気絶している様子を見つつ、エイダがそう診断する。

 

「おそらく、こいつの【聖痕】の効果は、【呪術に対する変則耐性】を得るがかわりに【奇跡の効果を正しく受けることができない】。

 そのようなものなのだろうな」

 

さもあらん。

 

☆★☆★

 

というわけで、結局カルティストを捕まえること自体は成功したが、尋問や情報を抜き出すことはできず。

拷問しようにも、回復の奇跡の効きが悪いせいで、殺してしまう可能性が高く深入りはできないし、呪術に関しては正しく機能せず、操り人形にすることもできない。

 

「ふははは!やはり天は我らを見捨てていなかったかぁ!

 やはり我らこそが善!然る後に、貴様らは真の神の偉業を見ることになるだろう!

 ……ごぽぉ!!」

 

というわけで、回復の奇跡で気絶するカルティストは、一旦捕縛及び放置。

それよりも、大規模な妨害が入る前に、さっさとポータルの設置及び教会の建設にいそしむことにした。

 

「はい、というわけで簡易だけど、冥府神様の祠完成。

 本音を言うと、墓地辺りに置いておくと、野良のアンデッドが出現しにくくなって一石二鳥なんだけど……」

 

「ポータルの出入り口としては、以降も残り続けるんだろう?

 なら、流石にその案は却下だ」

 

というわけで、冥府神のための祠は、ポータル機能との兼ね合いも兼ねて開拓村のど真ん中に設置することが決定した。

はじめは、冥府神様的にはこんな目立つ場所で文句を言わないか不安であったが、祈りと供物を捧げたところ、無事ポータルがつながったのを確認。

どうやら、冥府神様はそういうのは気にしないタイプの様だ。

 

「ならさっそく、機能の確認も兼ねて、さっそく資材や人材の移動を確認するか!!

 別にこれは、私利私欲の利用じゃないからな!

 神々へ捧げる教会建築、そのための第一歩だから!

 聖なる行いだから!」

 

「そうね!あ!ついで、ちょっと陰の魔力系アイテムや吸血鬼関連の物もどのくらい移動できるかの検証もしなきゃね!

 全然悪用する気はないけど!

 あくまで、善神様の村の発展のためだから!」

 

うきうきした顔で、部下に命令を下し、ポータルを活用し始める両名。

正直、地脈や魔力の安定度を考えて、そんなすぐに大量輸送に使うのはいろいろ不安なのが本音だが、どうやら今のところは問題ない模様。

あっという間に無数の物資が開拓村に向かって運ばれ、その逆に無数の木材がポータルの向こうへと消えていった。

 

「あぁ~、すごい!!これはすごい!!!

 開拓計画が一気に進んでいく音がする!!!

 これなら、新規の移住者を百人単位で入れても、全然採算が取れる気がする!」

 

「ふひへへへ、リアルなポータルがここまでとは!

 とりあえず、教会の位置を調節して……。

 あ~、でも大質量輸送は、教会建築期間限定だっけ?

 ううぅ~!永続にしてほしい~、何かいい方法ないかしら?」

 

なんか目を輝かせているルドーと怪しげな企みをしようとするエイダ。

その二人の暴走を何とか諫め、改めて、教会建築及びポータルの活用について、話をまとめていった。

 

「……つまりは、このイオちゃんの魔力が込められた指輪を使えば、ある程度私達でもポータルを使うことができる、と。

 みたところ、雷の妖精入りのいい宝石使っているみたいだけど、いいの?

 私もこの指輪をもらっちゃって、本気にしちゃうわよ?」

 

何を本気にするのかはさておき、概ね問題ない。

そもそも宝石に関しては、私が土の魔術で作った鉱石にちょっとした電気の魔術をエンチャントした程度のもの。

それに、エンチャント効果やポータルの手形効果も基本的に永続というわけではなく、あくまで定期的にギャレン村の周辺にいないと魔力がリチャージされない仕組みだ。

効果も構造も単純なものであるし、あくまで手綱を握っているのはこちらのため、まぁ、渡してもそこまで悪用できないだろうというのが私の本音だ。

 

「それに、ポータルに触れたりいじったりするのに、手形なしであんまり長期間操作されると、それはそれで危ないからね」

 

「空間を超え、次元を湾曲させるポータル……。

 やっぱり、許可なしでポータルに触れたりすると、大変なことになるのか?」

 

「いや別に、基本的には何も起きないよ。

 仮にも聖具なんだから、悪用や失敗して暴走するようなものを、神様がこちらに貸し与えることは少ないからね」

 

試しに、その辺の石ころを拾って、起動させていないポータル出入り口に向かって、呪術と共に石ころを投げつけてみる。

が、無起動のポータルの出入り口は、それらに何ら影響を与えることはなく、あっさりと石も呪術も透過し、何の問題も起こさなかった。

 

「だから、基本的にはどんなに雑に扱っても問題はないからね。

 でもまぁ、それでも、門外漢の人はあんまりむやみにいじらない様に。

 基本的に神官や私が渡した指輪を持った人が、移動を管理する感じにしておいたから」

 

「……」

 

私がポータルについて説明したあとに、やけに複雑そうな苦笑を浮かべるエイダ。

 

「……えっと、どうしたの?」

 

「……何でもないわ。

 でも、とりあえず、今晩はこのポータルの周りに監視の目を付けないほうがいいと思うわよ」

 

「え?なんで」

 

かくしてその日は、疑問に思いながらも、エイダの助言に従い、開拓村ポータルには監視や警備を付けずにその場を後にするのであった。

しかし、それでも監視や警護は付けずにその場を後にするのであった。

 

 

 

そして、翌日。

開拓村、冥府神の祠兼開拓村ポータル出入り口にて。

 

「く、ぬ、ぬううぅうううう!!

 う、動け動け、動けぇええ!!!」

 

「ぐぅぅぅ!!こんな不良品をポータルと宣言するとは!

 おのれ邪教徒どもめぇえ!!!」

 

なんと、そこには周囲にある木材や石材と一体化し、石の中にいる!や壁尻状態になっている複数のカルティストの姿が!

 

「……なぁにこれ?」

 

「やっぱりね。ほら、こいつらの目的ってポータルじゃない?

 でもこいつらって【魔術狂わせ】の【聖痕】がつけられているからね。

 そんな状態で、勝手にポータルをいじろうとしたらねぇ?

 まぁ、こうなるのは自明の理よね」

 

エイダは、石材に下半身が飲まれてしまい動けなくなっているカルティストを棒でつつきつつそう言った。

 

「ところで……どう救えばいい?」

 

「え?放置しないの?」

 

「いやいや、流石にそういうわけにもいかない……いかないよね?」

 

なお、そんな無数の壁尻カルティスト共は、まともな魔術が使えないのに、本人たちも魔術を狂わせるせいで、魔術による救出は困難。

しばらくは放置して見世物にすることが決定してしまったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

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