TS転生ド田舎ネクロマンサー聖女   作:どくいも

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第80話 合法獣人風俗【夜獣の檻】

「というわけで、邪獣人化の呪い耐性の装備を作ろうと思います」

 

「いろいろと今更だな」

 

ヴァルターの治療を終えてからさらに数日後。

彼への付きっ切りの看病も一段落して、私は再び、新開拓村へとやってきていた。

今横にいるのは、すっかりこの新開拓村に馴染んでいるマブラス司祭。

教会建築以降にこの街にやってきたくせに、甘いマスクと表面上は人当たりのいい性格で、すっかりこの村に馴染んでしまっていた。

 

「ところでここにいるということは、すでにあの男の治療は終わったという事か。

 ……無論、冥府神の司祭でもある貴様には余計な説法だと思うが、獣人化の呪いは、本来ならば完治までかなりの時間がかかる呪いだ。

 しかも、下手な癒者では再発することも多々ある。

 本当に治ったか、きちんと確認したか?」

 

マブラス司祭は、こちらに向かってそう忠告してくる。

口調こそきつめだが、言ってることは当然、彼の発言は至極真っ当である。

 

「……でも、それを死霊術師でもある私に言うのは、ちょっと余計なお世話過ぎない?」

 

「竜も火で火傷するという格言がある以上、確認しておいて損はないだろ。

 この手の問題は、そういう術者の油断から大問題に発展するのだからな」

 

「安心してよ、流石に仲間の治療で手を抜くことはないよ。

 それこそ魂の診察はもちろん、体表に問題はないかも確認して、獣人化時の彼のしっぽの生え際まで、ちゃんとチェック済みだよ」

 

「……それは、もちろん霊視で、だよな?」

 

「え?何言ってるの!

 仲間の治療に手を抜くわけがないから、当然触診だよ?」

 

「……それは別の意味で問題……。

 でもまぁ、治療のためには致し方ないのだが……」

 

いやまぁ、マブラス司祭の懸念もわかるけどね?言うてこちらも治療だし、どちらもきちんとした友情で繋がれた仲間だ。

だからこそヴァルターも、はじめは泣きそうな顔をしていたが、真面目に何故その診察が必要かを説明したら、きちんとわかってくれたのだ。

 

「まぁ、治療のついでに、呪術でも奇跡でも癒しと浄化をしておいたし。

 最終的にはヴァルターも治療を受け入れてくれたから、問題なし!」

 

「……哀れな」

 

マブラス司祭は目頭を押さえながら、そうつぶやいた。

や、やめろよそんな反応、邪獣人化の治療は徹底的にやっても、やり過ぎってことはないし。

 

「でもまぁ、だからこそ、こんな重傷を負うたびに、ヴァルターはじめ仲間や被害者にあそこまでの治療をしていくわけにも行かないからね!

 どうせなら、この機会に改めて、対邪獣人化装備を作っておこうかなって」

 

「ふむ、まぁそれはいい心構えだな。

 一応薬などもあるが、それよりも装備の段階から気を使ったほうが楽だし、分断や薬瓶を壊されたときにも有効だからな。

 悪くはない考えだろう」

 

マブラス司祭は色々と納得したのか、頷きながら賛同してくれる。

だからこそ、私達は改めてこの場にやってきたわけである。

 

「と、いうわけで、ここがこの村に集まった獣人たちの集い場というわけか」

 

「そうだな。

 もっとも、表口からだと誤解されるから、裏口から入るぞ」

 

かくして、私とマブラス司祭は、この新開拓村にある獣人の集合住宅兼娼館である、【夜獣の檻】へとお邪魔させていただくのでした。

 

 

★☆★☆

 

 

「結局、イオ司祭様は、獣人が好きなんですか!?

 嫌いなんですか!?どっち!?」

 

「馬鹿だな~、このイオ司祭の匂いを嗅いでみなよ?

 基本的には消臭済みだけど、それでも香るこの同族の匂いは……。

 間違いなく好き者!はっきりわかんだね!」

 

「いやまて、この匂いは……マーキング!?

 既にお得意さんがいるってこと!?」

 

というわけで、【夜獣の檻】の内部の待合室。

お世話役という名の、無数の子供獣人たち相手を適当にあやしながら、話を進めることになった。

 

「どうです?純粋無垢な獣人の子供たちは?

 この子たちは、まだ教育してないので、本当に無垢な状態ですよ」

 

「……いや、純粋な子供を相手にするのは、まぁ、嫌いではないけど。

 それで、私にどういうリアクションを期待してるの?」

 

「いえ、一部の()()()()()司祭様方は、こういう子供たちを自分の手と下半身で教化し、洗礼を授けることに愉悦を覚えるので……。

 ふむ、どうやら、今回は無用な気遣いであったようですね」

 

突然のサプライズに色々と気圧されつつ、目の前に座るのは一人の人物。

どうやら、彼女はアルマジロの獣人なのだろうか?

その体には獣人特有の毛皮こそないが、代わりに鎧のように硬そうな体表と、頭部から生える獣耳は、彼女が獣人であることをはっきりと示していた。

 

「私、一応は女だぞ?」

 

「でも女性もお好きだと噂を聞いたので。

 それにその子たちは、どちらもいますし」

 

「女なのに、そういうの好きな奴はさすがに司祭の中でも少数派では?」

 

「いえいえ、少数派だからこそ、私達の店にやってくる司祭様方は、そういう趣味の方が多いので……。

 むしろ、そうでなくて残念と言えますね」

 

そんな風になぜか、対面していると、こちらがそこまで詳しく掘っているわけでもないのに、勝手に教会やら司祭の闇を話すこと話す事。

何かそんなに、教会に思うところでもあるのかと聞けば、そうだと答えられる始末だ。

 

「いやまぁ、そもそも私達がこの開拓村にやってきたのは、基本的に厳格な司祭様に追いやられたり、裏切られた結果流れ着いたのが大半ですから。

 ですのでまぁ、多少はわかってる上で話を進めたほうが楽なので」

 

なるほどな~。

でもまぁ、このアルマジロの獣人が言う事はもっともではあるし、彼女たちにはきっと自分が思いもよらぬような人間への恨みがあったりするのだろう。

が、それでも、基本的に獣人がこの村に来た当初、強盗やら窃盗やらのいろんな騒動を起こしたことも事実であるため、迷惑云々で言えばこちらもある意味では同様の被害を受けているのだ。

 

「えぇ、えぇ、それももちろん理解しております。

 ですが、私達からしても、彼らは同じ獣人であっても別人です。

 ある意味では、私達が司祭に色眼鏡で見ることと同じことだと思ってくださってかまいません」

 

ふむ、要するに彼女たちからしても自分はある意味では招かれざる客というわけだ。

 

「ですね。

 いえ、一応はイオ様の貢献と献身のおかげで、私達がこの村に移住できたことは十分承知しておりますし、この村に住む村人としては、多くの施しなどを受けて、感謝の言葉も語りつくせないほどです。

 しかし、それでも司祭という人物が、わざわざこんな場所までやってくる。

 それだけで警戒してしまうのも仕方ないでしょう?」

 

「まぁそっか」

 

つまり、こいつらは、自分が何をするか怖いというやつか。

ならばこの突然の来訪は、彼女たちに無駄な警戒心を抱かせてしまったのかもしれない。

そんな少しだけ、申し訳ない気持ちが心の中に湧いてきた。

 

「え~、でも先生的にはイオ司祭はいい人だから、できるだけ媚を売りなさいって言ってたよ!」

 

「イオ司祭は、エルフのにーちゃんが信頼してるからまぁ多分大丈夫だろって!

 それに、邪獣人のお姉さんでも受け入れる変態さんだから大丈夫だろうって!」

 

なお、自分の考えはあっさり周りにいる子供獣人たちに否定された模様。

 

「……おい」

 

「いや、まぁ、もしもの事がありますし?

 子供の未来のためならば、多少は威圧的に交渉したほうがいいでしょう、ね?」

 

この女郎アルマジロめ。

こいつ、こっちの性格や情報をある程度知った上でこれをやりやがったな?

まぁ、よく考えれば事前にマブラス司祭に紹介してもらっていたはずだから、そんな認識の齟齬などないはずなので、ある意味では納得ではあるが。

 

「ふふふふ、先生は言ってました。

 ここでイオ司祭は、よくある子供に対しても優しいタイプのお人よし系司祭のはずと!

 だから唾付きでも、メイド待遇ならまだ需要があるはずだから、ここでいい感じに清楚や賢いムーブをすれば売り込めるはずと!」

 

「おい」

 

「……っふ、そんなことどうでもいいじゃないですか!

 ところで、結局今回はどんな用事でここにやってこられたのですか?」

 

「流石にそのごまかしは雑過ぎないか?」

 

色々と納得はいかないが、それでも結局は本題に入らないわけにもいかず。

自分は彼女たちになぜ自分が今回ここに訪れたか、その理由を伝えた。

 

「……つまり、その対邪獣人の装備を作るために、我々の血肉が必要、と?」

 

「ま、そう言う事だね」

 

そう、実は今回の目標として、自分は対邪獣人装備を作りたいのだが、そのための素材としてさまざまな種類の獣人の魔力や血、毛などが必要なのだ。

しかもそれは一回貰えば終わりというタイプではなく、呪術的な手法を使うために、定期的に、多くの獣人の、様々な状態の血肉や助けが必要というものなのだ。

一応ただの対邪獣人装備程度なら、それこそ奇跡や呪術で簡単なエンチャントをすればそれで十分だが、今回相手にするのは魔王の幹部の根城クラスなのだ。

だからこそ今回はそこに手を抜く気はないし、そのために、この新開拓村でもっとも獣人が集まっているこの場所に来たというわけなのだ。

 

「……ふむ、話は分かりました」

 

「ちゃんと金貨と宝石は用意した。

 一応、相場的にこれで問題ないはずだが」

 

そして、彼らの目の前で、自作の宝石と今まで貯めていた無数の金を、じゃらじゃらと見せつける。

子供の獣人はそれだけで目を輝かせて、大いに沸き上がる。

が、流石というか、交渉相手であるアルマジロの獣人の反応はよろしくなかった。

 

「……ふむ、魔造とはいえ本物の魔宝石に、金もきれいな王国硬貨。

 金銭的には問題ないといえるでしょうが……残念ながら、私達にはこれはそこまで必要ない物なので」

 

「……というと?」

 

「話は簡単ですよ、この開拓村は驚くほどの好景気ですので。

 それこそ、王都から冒険者や大工に聖職者、金や宝石ならば彼らから十分に頂いております」

 

え~と文句を言う獣人の子供たちをよそに、そのアルマジロの獣人は、実に平静な態度でこちらへと交渉を続ける。

 

「つまり、金以外の頼みごとがあると。

 そう言う話だね」

 

「そういうわけです。

 というわけで、イオ司祭、いえ、冒険者のイオとして。

 私は、あなたにこの依頼を受けてもらいたいというわけです」

 

また、依頼か。

そんな風に思いつつ、私はそのアルマジロの獣人から渡された一枚の依頼書を確認するのでした。

 

 

★☆★☆

 

 

なお、新開拓村から少し離れた辺境。

小さめの洞窟にて。

 

「げぎょ、げぎょぎょぎょぎょぎょ!!」

 

「い、いやぁ、やめ……あああぁああああ!!」

 

「げひ?げひ?……げぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」

 

その洞窟の中には、無数のゴブリンとそれに性的に襲われ、また妊娠した女性獣人達の姿が!!

 

「滅びろ」

 

「ぎぃぃぃ!!!!」

 

かくして、その獣人達からの依頼は、思いのほかあっさりとクリアするも、ゴブリンの巣と攫われた獣人の数はまだまだいるわけで。

この日から数日は、ゴブリンの巣の湧きつぶしと、攫われた女性獣人の救出を繰り返すのでした。

 

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