ハイスクールD×D ~歌姫と罪の王~   作:黒樹

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はい、ギルティクラウン好きなので、書いてみました。
知らない人でも、読みやすいようにします。


第一話  始まりのアーティスト

 

 俺の名前は瀬戸 桜歌。駒王学園の2年生で、軽音楽部に所属している。俺は楽器ならなんでも引けて、歌もうまく、1人の少女と『EGOIST』というグループ名で、冥界ってところでアーティストをしている。俺は長い白の髪を後ろ髪だけ、黒く細いリボンのようなもので束ねて、垂れ流しており、目はライトブルーの瞳をしている。

 

 これは普通の人間だった、俺の物語だ。

 

 

 

 

 朝、俺は今だに薄暗い部屋で、目を覚ました。時刻は午前5時・・・・・・俺はいつも通りに、ジャージに着替えて、下に下りていく。長い白髪は黒いリボンで束ねて、腰まで垂れ流している。一応言っておくが、俺は男だ。ただ、長い髪が好きなだけ・・・・・・。

 

「桜歌、一緒にランニングに行こう?」

 

「いのり、もう起きたのか? じゃあ、一緒に行くか」

 

 俺には、同居している女の子がいる。彼女は楪 いのり・・・・・・髪はピンク色で、俺と一緒に冥界というところで、一緒にアーティストをしている。冥界にも、いのりに連れて行ってもらった。そして、俺の彼女でもある。

 

 俺はいのりと一緒に玄関に出て、靴を履き、外に出た。何時もなら、俺が朝早くにランニングを終わらせて、朝食を作るのだが、たまに一緒にランニングをする。

 

「いのり、ついてこれるか?」

 

「大丈夫・・・桜歌、絶対に私を置いてかないから」

 

 俺はいのりを心配しながらも、走り出した。いのりはやらないが、俺にはこのあと、筋トレ各種、

500回が待っている。

 

 

 

 

 それからランニングを終えて、俺はいのりと一緒に家に帰ってきた。俺は庭に座り込んで、腹筋を開始する。一応言っておこう。ここは俺の家だ。いのりは親がいないらしく、俺と一緒に生活を始めた。俺の親は既に死んでいて、冥界でのアーティスト活動が生命線だ。冥界の人って、コスプレイヤーが多いんだよな。何でだろうか?

 

「87・・・88・・・いのりは風呂に入ってこないのか?」

 

「桜歌と一緒に入る。ダメ?」

 

「いや、いいけど。風邪引くぞ」

 

「いい、桜歌と一緒にお風呂に入りたいから・・・」

 

 俺はいのりに先に入ることを勧めたが、一緒に入ると言われた。俺は断る理由もないので、軽く了承した。そして、黙々と筋トレをやり続けて1時間。俺は全てを終えて、立ち上がる。いのりは楽しそうに俺を見ていて、俺も笑い返した。

 

「じゃあ、早く入ろうか。終わったぞ、いのり」

 

「うん。桜歌、背中の流しっこしよ?」

 

 俺が体を鍛える理由は、ライブをするには、体力が必要。ただ、それだけだ。1時間のライブとなると、結構体力を消耗する。それに、いのりに冥界では仮面を付けるように言われてるから、呼吸がしづらいんだよな・・・・・・。衣装は黒い執事服で、道化師のような仮面を付けている。最初は白いコートだけにしようとしたけど、いのりがまだダメって・・・・・・なにがダメか知らないけど、従っている。

 

 このあと、俺は約束通りに一緒にいのりと風呂に入った。そして、風呂を上がって、朝食と弁当を作り上げ、学校に向かう。

 

 

 

 

 それから学校に向かって、俺といのりは歩いた。俺は男子共に嫉妬や怒りなどの負の感情のこもった視線を受けて、校門をくぐる。校門には、美女として有名なリアス先輩、朱乃先輩が見張りのようなことをしていた。そして、いのりと俺を見つけて、近づいてくる。

 

「おはよう、いのりと桜歌君。相変わらず、ラブラブね」

 

「あらあら、いつも通りラブラブでいいですわね。桜歌君もいつも通りで、いのりとお似合いですわ」

 

「どうも、リアス先輩、朱乃先輩。いのりとは知り合い・・・・・・友達なんですか?」

 

「ええ、悪いけど。少しいのりを借りていくわね。安心して、ちゃんと返すわ」

 

「桜歌、じゃあまた後で。教室で会おう?」

 

「わかった。じゃあ、先に行ってるよ」

 

 知らなかったな。いのりがリアス先輩達と知り合いだったなんて、そんなそぶりはしなかったんだけど、俺が知らないだけか・・・・・・。

 

 俺はいのりに先に教室に行くことを告げて、教室に向かった。その際、廊下で会う生徒全員に『破局』という言葉を聞かされたが、気にしないでおく。

 

 そうして、俺は1人で教室の前にたどり着いた。ドアを開けて、中にはいると何時もの3人組が目に入る。元浜、松田、一誠だ。この3人組はのぞきなどの常習犯で、変態3人組と呼ばれている。

 

「おう、桜歌に・・・・・・いのりさん? お前、ついに破局か!」

 

「やったぞ、一誠! 俺らにもチャンスが回ってきた!!」

 

「えっ? 桜歌が破局だと・・・・・・? よっしゃああ! ・・・・・・あっ、悪いけど、俺はパス。俺にも彼女が出来たんだぜ! 見ろよ、これ! 夕麻ちゃんって言うんだ」

 

 俺の破局疑惑に喜ぶ松田と元浜だが、何時もなら喜ぶ一誠も、携帯を取り出して、1人の女の子の写真を見せてきた。どうやら、一誠の妄想が酷くなったわけじゃないようだ。携帯には、ちゃんとした女の子の写真がある。しかも、トップにしてあった。

 

 もちろん、俺の携帯のトップにいのりの写真がある。

 

「破局はしてない。それにしても、一誠に彼女か・・・・・・まあ、頑張れよ」

 

「おう、ところでどうデートしたらいいんだ? 今日、夕麻ちゃんとデートなんだけどさ。これと言って、何処に連れて行けばいいかわかんねえんだよ。だから、いのりさんとつきあっている桜歌なら、何回もデートしてるだろ? 教えてくれ! というか、伝授してください、お願いします! このチャンスを逃したら、一生モテキが来ないと思うんだ!!」

 

 一誠が俺の手を取って、頼み込んでくる。その間にも、俺と一誠のカップリング疑惑が浮上して、松田と元浜は血の涙を流している。これ以上、そんなカップリング疑惑はあげられたくないので、俺は手を離して話し出した。

 

「一誠、どうせ行くんだったら、お前の得意な店。俺の場合はいのりと最初に行った場所は、楽器専門店だから、同じ趣味だったけど。その後は普通だったからな。行くんだったら、ゲーセンとかの方がいいと思うぞ。見たところ、清楚だし、ゲーセンにあまり入りそうじゃないかな。ついでに、俺がいのりをゲーセンに連れてって、ガンゲーをしたら、惨敗だった」

 

「なるほど、ゲーセンか・・・・・・。やっぱり、同じ趣味だと苦労しないよな。でも、いのりさんとゲーセンでガンゲーして惨敗? お前、俺らより上手かっただろ? 何があったんだ?」

 

「それがさ、俺はハイスコアだしたんだけど。いのりがパーフェクト叩き出したんだ。ゲーセン初めてって言ったのに、得意らしいんだ」

 

「そっか・・・・・・でも、夕麻ちゃんは大丈夫だ! 見たところ、ドジっこに近かったからな! 俺は今日、本当の意味で夕麻ちゃんを手に入れてみせるぜ!」

 

 俺がいのりと一緒にゲーセンに初めて行った日、デートだった。俺は得意なドラムやギターのゲームではなく、一緒に楽しめるガンゲーにしたのだが、無駄弾を一つも出さずに、圧勝されてしまった。それからは、カラオケがデートの基本へとなっている。

 

「桜歌・・・待った?」

 

「あっ、終わったのか? リアス先輩達、なんて言ってたんだ?」

 

「桜歌でも、それは秘密だよ? でも、たいしたことじゃない」

 

「そっか、ならいいよ。そうだ、一誠に彼女出来たんだって」

 

 気づくと、何時の間にかいのりが俺の後ろにいた。俺は一誠の携帯を指差して、一誠の彼女が出来たことを話すと、一誠が嬉しそうに話し始めた。そして、俺と同じように頼み込む。俺はいのりの事を深くまで知る必要はないと思う。聞かれたくないことも、人にはあるだろう。

 

「そうです。俺にも彼女が出来たんだぜ! ところで、女であるいのりさんに聞きます! もし、彼氏とデートに行くなら、何処がいいですか?」

 

「桜歌と行くなら、カラオケがいい。私も楽しい・・・・・・」

 

「なるほど、カラオケか・・・・・・ありがとうございます! これで、俺はデートを成功させるぜ!」

 

 一誠の宣言と共に、授業開始をするために教師が教室に入ってきた。俺といのりは席に戻って、授業の準備を始めた。

 

 

 

 

 そして、放課後。俺は暇な授業の時間を寝て過ごして、一誠の晴れ舞台を待った。俺はこのまま、一誠のあとをつけて、成功するかどうか、見届けるつもりだ。

 

「じゃあ、行ってくるぜ! 桜歌、ありがとな!」

 

「おう、頑張ってこい」

 

 一誠はなにも知らずに、教室を飛び出していった。俺も追いかけるために、鞄に教科書を詰め込んで、ギターケースを肩に担ぐ。

 

「桜歌、私今からリアスさんのところに行ってくるから、先に帰ってて」

 

「ん、わかった。じゃあ、先に帰る」

 

 いのりは俺にそう告げて、教室から出て行った。俺も一誠を追いかけるために、教室から飛び出していく。

 

 そして、数分間走っていると、歩道橋の上に一誠と写真の女の子が会っているのを見つけた。俺は物影に隠れて、様子をうかがう。

 

「それじゃあ、一誠君。行こっか?」

 

「うん、夕麻ちゃん。じゃあ、ついて来て。いろいろと考えてきたんだ」

 

 一誠と夕麻ちゃんという子は、手をつないで歩いていく。うん、いつも通りにギターケースを持ってきたけど、邪魔だな。置いてくれば良かった。

 

 それから観察し続けて、夕暮れ時になる。今は俺は、一誠と夕麻ちゃんを追いかけて、公園に来ていた。そろそろ、二人は別れる時間だろう。デートも終盤にさしかかり、隠れようとしている太陽が二人を照らしている。

 

「ねえ、一誠君・・・・・・お願いがあるんだ」

 

「えっ? なに、夕麻ちゃん。何でも聞くよ?」

 

 夕麻ちゃんという子は、何か冷たい笑顔を浮かべて、一誠に話しかける。一誠は照れたように顔をかいて、夕麻ちゃんの顔を見ていない。・・・・・・おかしいな。あの子、何処か普通じゃない気がする。

俺は胸騒ぎに支配されながらも、黙って見届ける。

 

「じゃあさ、死んでくれない?」

 

「・・・・・・えっ? 今、なんて言ったの? ごめん。聞き取れなかったから、もう一度言ってくれないかな」

 

 夕麻ちゃんという女の子は、さらに表情を冷たくして、一誠の腹に何かを突き刺した。それは、光り輝く一本の槍。刺された箇所からは、血がドロドロと流れている。俺はとっさに飛び出して、一誠の本に駆け寄った。

 

「一誠! 大丈夫か!?」

 

「ああ、桜歌か・・・・・・逃げろ。このままじゃ、お前まで死ぬぞ。いのりさんを悲しませたら、ダメだろ。だから、早く逃げろ。いのりさん、1人にすんのか?」

 

「うるせえ、馬鹿が! 俺が友達を置いて、逃げるわけねえだろ。そんなことしたら、いのりに嫌われるじゃねえか」

 

 一誠が巻き込まないように言ってくるが、もう手遅れだ。見てしまったからには、俺も殺されるだろう。俺は黒い羽を何時の間にか生やした夕麻ちゃんに向かい合って、聞く。

 

「お前、なにもんだよ」

 

「あら、困惑しない人間なんて初めてね。私は堕天使レイナーレ。見られたからには、あなたにも消えてもらうわ。冥土の土産に、もう一つ教えてあげる。そこの子は危険だったの。だから、コカビエル様に殺すように言われてた。まあ、目撃した人も同様にね」

 

「そっか、でも簡単には死なねえよ。一発殴ってやる」

 

「へえ、威勢だけはいいのね。じゃあ、望み通り死になさい!!」

 

 堕天使レイナーレって奴は、手に光の槍を出現させて、俺に投げつける。俺はそれをかわして、一気に接近して、殴ろうとするが、脇腹に痛みを感じて、動きが鈍った。どうやら、完全には避けきれずに、脇腹を掠めたらしい。血が、俺の腹からゆっくりと流れていく。

 

「人間に避けられた!? でも、残念。これで終わりよ。惜しかったわね。人間」

 

「グフゥッ───!? 誰が負けるかよ・・・・・・。お前も、人間なめるな」

 

 俺は接近してあと数センチってところで、俺は腹に2本目に出された槍を刺された。ドロドロと掠ったときより、俺の腹から血が流れるが、俺は最後の一歩を踏み出して、レイナーレの顔を殴りつけた。

 

 油断していたレイナーレは、俺の拳を受けて、少し吹っ飛んでいった。そして、地面を転がっていったところで、俺は片膝をつく。

 

「くっ! ただの人間如きが、よくも───!? 仕方ないわ。この手で無惨な姿にしてあげたかったけど。もうじき、悪魔が来る。私は退散するわ。じゃあね、死にかけの人間」

 

 レイナーレは羽を羽ばたかせて、空に飛び立っていった。俺はそれを見てから、地面に倒れて、腹から暖かい血が流れる感触を感じる。それは、死の感覚・・・・・・。俺の体を這いずり回って、死への恐怖ではなく、悲しみが俺を犯していく。

 

 俺、いのりをおいて死ぬのか・・・・・・嫌だな。もっと音楽をいのりとやっていたい。ただ、いのりと一緒に歌を歌いたい。ただ、いのりの歌が聞きたい。

 

 俺はそんな事を考えながら、薄れゆく意識を手放した。

 

 

 

 

 

 side《いのり》

 

 

 私は今、桜歌と離れて、オカルト研究部の部室にいる。私には、桜歌に話していない秘密があった。それは、私が悪魔であること・・・・・・それも、滅びかけている純血悪魔のアンドロマリウス家の次期当主だということ。親は、戦争で死んだ。そして、アンドロマリウス家は私だけになった。

 

「ところで、いのり。もしかして、まだ隠してるの? 冥界に連れて行ってるとは聞いてるけど、そろそろ話さないと、ダメよ。知らないうちに冥界で有名になっているのに、隠すのは良くないわ。気付いていないのは凄いけど。もうそろそろ、バレるわよ?」

 

「わかってる。でも・・・桜歌を巻き込みたくない。私は、アンドロマリウス家の次期当主。でも、桜歌には普通に過ごして欲しい。出来れば、このまま知られないまま、一緒にいたい。知られるのが怖い。私を化け物と言って、嫌われるのは嫌・・・・・・!」

 

 この部室には、リアスさん、朱乃さん、木場、小猫ちゃんがいる。私に話しかけてきたのは、リアスさん。リアス・グレモリーと言って、グレモリー家の次期当主。最弱となった私の家と違い、魔王を排出している名門だ。

 

「もう、昔からの仲なんだから、”さん”付けは止めてちょうだい。最弱と言っても、あなたは上級悪魔なのよ? それに、私より強いじゃない。私と同じ立場でいいの。昔の呼び方にしてくれる?」

 

「わかった・・・・・・。リアス、朱乃・・・・・・ごめんなさい」

 

「あらあら、いのりちゃんは大変ですわね。彼氏に隠し事をして、黙っているのも辛い。でも、冥界の悪魔達を見て、どうやって騙しているんですの?」

 

「桜歌には、コスプレって言ってある。桜歌は、私が聞かれたくないことを聞かない。疑問に思ってたけど、『余計な詮索はしない』って、言ってくれた」

 

「本当、いい彼氏ね。いのり、大切にするのよ? もし、嫌われることがあれば、仲直りの間は私が面倒を見ておいてあげるわ」

 

「ありがとう・・・リアス」

 

 私はお礼を言って、朱乃が入れてくれた紅茶を飲む。桜歌が入れる紅茶とは違って、美味しいけど、桜歌の入れる紅茶の方が美味しい。でも、それは言わないでおく。せっかく入れてくれたのに、失礼だ。

 

「それに、いのり。新曲聞いたわよ? あなた達の作る曲。とってもいいわ。冥界中が注目するのも無理ないし、ファンも結構増えてるわよ。もう、あなた達に冥界中が虜ね」

 

「ありがとう。サーゼクスさんがプロデュースしてくれなきゃ、始められなかった。それに、音楽がないと、お家のお金もそこをつきちゃうし」

 

「もう、あなたは完全に独立出来るわよ。あれだけの歌があれば、お金には困らないしね」

 

 私とリアスが話していると、朱乃から声がリアスにかかる。どうやら、悪魔の契約の仕事が入ったらしい。私の契約は、ライブで出来るので、そんな出向くことは必要ない。

 

「部長、契約が入りましたわ。どうやら、部長ご指名みたいですわ」

 

「あら、嬉しいわね。でも、誰かしら? 私が悪魔だって知っているものはいないけど。いのり、悪いけど、少しの間留守にするわね」

 

 リアスがそう言った瞬間、私のところに一匹の小鳥が飛んできた。それは、部室の開けられた窓から入ってきて、私の指に止まる。これは私の使い魔の一匹。冥界で歌を歌ったら、どんどん使い魔になりそうな鳥が飛んできたのだ。一応、桜歌も使い魔がいる。歌を歌ったら、桜歌にも寄ってきたらしい。何匹いるかは知らないけど・・・・・・。

 

「そう、一誠が・・・・・・桜歌が!?」

 

「どうしたの、いのり? 桜歌君、何かあったの?」

 

「私も契約先に連れてって! そこに桜歌がいる!」

 

「えっ? まあ、わかったわ。事情は知らないけど、一緒に行きましょう」

 

 私はソファーから立ち上がり、リアスの横に立った。そして、リアスが魔法陣を展開する。私はその赤い魔法陣に飲まれ、転移先に向かった。

 

 

 

 

 そうして転送先につき、私の目の前には、血だらけの同じクラスの一誠と桜歌が倒れていた。近くには、ギターケースも転がっている。私は走り出して、桜歌の横に座り込んだ。

 

「桜歌・・・・・・? 桜歌! 起きてよ、死なないで・・・・・・! 私の前から、消えないで!」

 

「いのり・・・・・・ごめんなさいね。私の管轄なのに、堕天使に殺されるなんて・・・・・・。仕方ないわ。いのり、悪魔の駒を使いなさい。一緒にいたいんだったら、使いなさい」

 

 悪魔の駒・・・・・・それは、悪魔に転成する代わりに、生き返らせることが出来る。でも、桜歌をいろんなことに巻き込んでしまう。私は桜歌との生活と、危険。それを天秤に掛けたが、結局の所、私は一緒にいたいという気持ちが勝ってしまった。嫌われるのが怖い。でも、桜歌がいなくなる方が、もっと怖かった。

 

 私は兵士の駒を取り出して、桜歌に近づけるが、反応しない。桜歌は特別な神器を持っていないのに、兵士の駒じゃダメ? 何で・・・・・・? 私はそう思いながらも、僧侶の駒、騎士の駒、戦車の駒を試してみた。それでも、無理だった。

 

「いのり、おかしいわね。あとは、女王の駒しかないわ。それでもいいの?」

 

「うん、それで桜歌と一緒にいられるなら」

 

 私は最後の駒・・・・・・女王の駒を取り出す。これには秘密があった。女王の駒には、特別なものが混ざっている。ヴォイドゲノム・・・・・・《王の能力》と呼ばれる、私の家に伝わる力。勿論、他の人の駒には、そんなもの混ざっていない。この能力は、神の領域を暴く、心を具現化するもの。

 

 これは何時も以上に輝いて、女王の駒の中で、螺旋状の何かが混じり合っている。きっと、これは桜歌を選んだんだ。この能力は、選ばれたものしか使用できない。それに、桜歌は選ばれてしまったのだ。桜歌は確実に、戦いに巻き込まれる。

 

「いのり、早くしなさい。悩まないでいいじゃない。桜歌君なら、許してくれるわ」

 

「・・・・・・うん、わかった。ごめんね、桜歌・・・・・・」

 

 私は一言謝って、桜歌の上に女王の駒を置いた。リアスは私の一族の力が、どうやったら眷属の力になるか知らないけど、『桜歌なら許してくれる』という言葉が、私の背中を押した。そして、そのまま女王の駒は桜歌の胸に吸い込まれていった。

 

 でも、傷は治っていないから、すぐに回復させないと・・・・・・。

 

「これで終わりね。私は依頼主を見に行くわ。あなたは、もう帰ってなさい。桜歌君の傷、今すぐにでも治さなきゃいけないでしょ」

 

「ありがとう、リアス。明日、桜歌と部室に行くね」

 

「ええ、その時は使いをそっちに行かせるから。そこの子と一緒に来てちょうだい」

 

 私は桜歌の頭を膝の上に載せて、優しく撫でながら、転移魔法を使って家に転移した。リアスがいるなら、少しは楽に話せるかな・・・・・・。




《王の能力》
簡単に言うと、人の心? を具現化して、ヴォイドという武器にする能力。
本来だったら、コンプレックスや恐怖によって形作られるが、
少し、都合のいいように改造します。

能力は次の話くらいに書きます。
多分・・・・・・。
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